(依子)本日残業は遠慮させていただきたいのですがよろしいでしょうか?ああもちろん。
君にばかり頼んで悪いなと思ってたんだ。
あっ今日はクリスマスイブじゃないか。
あっデートかな?はい。
デートです。
(留美)・「恋人がサンタクロース」・「恋人がサンタクロース」・「恋人がサンタクロース」
(巧)適当に歌うなよ。
(留美)んっ?いってきます。
いってらっしゃ〜い。
・「恋人がサンタクロース」・「本当はサンタクロース」・「つむじ風」・
(クラクション)・「追い越し」
(クラクション)そんなわけないそんなわけない。
スクーターが同じなだけだ。
通り過ぎろ通り過ぎろ通り過ぎろ!メリークリスマス。
驚いたようですね。
戸惑っているんです。
人生初のクリスマスデートを上質なものにするべく情報収集したところサンタクロースのコスプレをしたら彼氏がとても喜んだという体験談があったので参考にしてみました。
完成度が高過ぎる!再現するからには完成度の高いものを目指して何が悪いんですか。
目指す方向性が間違ってる!だいたいなぜ赤い付け鼻をしてるんだ?歌を知らないんですか?・「真っ赤なお鼻のトナ」トナカイでした。
藪下です。
お電話したのはケガの具合がどの程度か気になったためです。
どうってことないです。
《やはり手ごめにする気だったな!》《フォ〜!》《掛かってこ…。
うわ》2〜3日であざも消えると思いますよ。
安心しました。
ついでにもう1点あなたに私とデートする機会をもう一度与えても構わないと考えています。
理由は2点です。
1点目その行動の是非はともかくとして私を助けようとしてくださった点を評価して。
2点目あなたが高等遊民と称する若年無業者となった事情を正確に把握しないまま怠け者と断じ批判したことはわれながら早計であったと考え直しているため。
以上です。
3点目自分のような痛い女を相手にしてくれるのは僕みたいな痛い男ぐらいしかいないと思い知ったから。
それが本音でしょ?そっちがもう一度デートしてほしいと頼むなら考えてもいい。
こちらから頼むつもりはありません。
あなたに好意を持っているわけではないので。
僕だってそうですよ。
話し合いは無駄のようですね。
では。
お父さん。
(俊雄)ちょっと出張で近くに来たもんだから。
こんな所で立っていたら風邪ひくわよ。
(俊雄)だって中に入れないだろお前が合鍵くれないから。
何度も言うけどここは官舎。
国の施設なの。
無関係な人に鍵を渡すわけにはいかないわ。
(俊雄)無関係じゃないだろ。
親が娘の部屋に入るのも駄目なのか?他の人もそうしてるのか?他の人は関係ないじゃない。
クリスマスの予定?ああ。
当然帰るわ。
例年どおりツリーを飾ってフライドチキンを食べましょう。
無理に来なくていいんだぞ。
予定はないのか?うちは仏教徒だからクリスマスを祝う必然性はないと最初に主張したのは小学3年生の私よ。
お母さんもその意見に賛成だった。
でもお父さんが「だからといって何もしないのは寂し過ぎる」「せめてツリーを飾ってフライドチキンでも食べよう」と主張したから毎年こうしているんじゃない。
忘れたの?あっいやいや…。
ほら最近婚活頑張ってたからデートにでも誘われてるかなと思って。
そんな予定はないわ。
でも誰かに誘われてるなら行ってもいいからな。
お父さんクリスマスとは本来キリストの降誕を厳粛に祝う日であってデートをする日であるかのように認識しているのは日本人ぐらいのものよ。
まったく恥ずかしい文化だわ。
いやそうだけど…いやもしさ…。
うん。
着られそうね。
うん。
着るつもりはないけどね。
教室のクリスマス会ことしは盛大にやることにしたの。
フフフあんたはこれを着て子供たちにプレゼントを配る係。
うん。
断るよ。
そんなこと言わないで。
どうせうちにいるんでしょ?どうせ約束なんかないんでしょ?どうせ『素晴らしき哉、人生!』とか見るだけなんでしょ?いちいち「どうせ」付けるなよ。
佳織ちゃんたち卒業生呼んでにぎやかにやる計画なんだ昔みたいに〜。
卒業したやつって…オカリナばっかり作ってるバカとか自由の女神になって一日中立ってるバカとか来んの?
(留美)来るんじゃない?みんな今や立派な芸術家。
自称芸術家のくずだろ。
(留美・巧)フン。
最悪だ…。
(小夜子)いい年して父親と2人でクリスマスを祝うなんてどうなのよ。
お父さんが望んだことよ。
(小夜子)お父さんが望んでいたのはあなたが子供のころの話。
30にもなる娘と2人向かい合ってフライドチキンかじって楽しいわけない。
29よ。
あ〜あこの子はこのままこうやって年を取っていくんだろうか。
そう思うと絶望的な気持ちになるに決まってる。
「お父さんことしはデートの約束があるからクリスマスは一緒に過ごせないわ。
ごめんなさい」いつそう言ってくれるだろうか。
腹の中じゃそう思ってるのよ。
そう思いながら毎年毎年ことしもまた2人でフライドチキンかじって…。
しっ。
(操作音)んっ?
(依子・巧)こっちから送るんじゃなかった!そういうわけでことしは一緒に過ごせなくなったわ。
ごめんなさいお父さん。
クリスマスにデートなんてバカげてると私は思うけど向こうが望むので仕方ないわ。
じゃあ。
クリスマスにデートなんてバカらしいと思うけどさ。
まあホントに女ってのはしょうがないね。
というわけで協力はできないよ。
あっそう。
ところでクリスマスデートといえばプレゼントを用意するの…。
お金はないわよ。
1万でいいよ。
アクセサリーとかでいいんだ。
あ〜形だけで。
この間の10万ですっからかん。
年末は出費がかさむのよ。
というわけではいあしからず。
にょ〜ん。
(うなり声)イルミネーションって何がいいのかね。
あざといんだよな。
確かに電力の無駄のように思えます。
(女性)うわ〜奇麗。
夜景の見えるスイートルームでクリスマスディナーのルームサービスを予約したんだ。
(女性)うれしい!クリスマスプレゼントは私。
ラッピングを剥がすのが楽しみだ。
殺意を覚えましたよ。
キリスト降誕の日を何だと思っているんでしょうか。
バブル崩壊とともに死滅した人種だと思ってたのにしぶとい。
う〜…。
(せき)顔色が悪いですね。
うっうっ…だっ大丈夫です。
風邪ではありませんか?電車で前に座ってたばあさんがせきをしてたけど…大丈夫。
大変な熱です。
ここ十数年冬はほとんど室内にいたもんだから抵抗力がないようで。
でも大丈夫です。
お宅へお連れします。
だっ…だっ駄目です。
そっそれは駄目です。
このような状態ではクリスマスデートを楽しむなど不可能です。
さあつかまってください。
あっ今は駄目です。
うちはえらいことになってるんで。
えらいこと?がっがきどもとバカな芸術家気取りが集まってクリスマス会を開いてやがるんですよ。
母がそういうの好きなんで。
行きましょう。
あっあ〜駄目です。
行きましょう。
うっだっ駄目だ…。
(一同)・「クリスマスヘイジングルベルジングルベル」・「鈴が鳴る」
(宗太郎)ヘイカモン!
(一同)・「今日は楽しいクリスマス」
(宗太郎)サンキュー!
(歓声)悪いわね宗太郎君巧の代わりにサンタクロースやってもらっちゃって。
奥さんと過ごさなくてよかった?いいんですよ。
(留美)んっ?来ないわけにいかないもん俺も留美さんの元生徒だから。
(佳織)3日間だけな。
4日だよ!
(2人)サンタが高等遊民連れてきた。
(宗太郎)はっ?
(2人)ほらほらほらほら…。
チャイムを押したのですが聞こえてらっしゃらなかったようなので入りました。
藪下依子と申します。
谷口さんが風邪をひかれたようなのでお連れしました。
いらっしゃい。
(一同)お〜!噂をすれば!引きこもりとその彼女だ〜!イェ〜!はい。
リケジョ!
(一同)リケジョ!リケジョ!
(宗太郎)うわ〜!はい。
シャンシャンシャン。
だから言ったでしょ。
僕はこれから2階で気を失うことにします。
あなたも早く逃げた方がいい。
ちなみにこれが正解です。
メリクリ。
メリークリスマス。
では私はこれで。
(宗太郎)えっ?帰っちゃうの?谷口さんをお連れしただけですから。
えっ…何言ってんの。
クリスマス会断るなんてやぼ。
はいはいそこそこ藪下さんの席〜。
はい。
サンタクロースだよ〜。
はいはいはい。
あ〜んしてあ〜ん…。
・
(チャイム)
(俊雄)鷲尾君…。
(鷲尾)すいません。
1人で飲んでるのがつらくて…。
気持ちは分かる。
上がって上がって。
や〜!
(鷲尾・俊雄)面!
(俊雄)本気かい?はい。
ようやく自分の気持ちが分かりました。
お嬢さんのことが好きなんです。
まさか…。
いやいや…うれしいうれしい。
でもあれのどこが?人を好きになるって理屈じゃないんですよお父さん!あっ…そっそうだな。
君正気なんだな?はい。
お嬢さんに交際を申し込んでもいいでしょうか?もちろんだよ。
私の許可なんか必要ない。
申し込んでやってくれ。
クリスマスにデートを申し込もうと思うのですが…。
ただ例の谷口巧さんとまだ続いてるようなないような…。
私が探りを入れてみる。
弱気になるな。
君の方がいいに決まってるんだから。
君正気なんだな?
(俊雄)あっいや…ほら最近婚活頑張ってたからデートにでも誘われてるかなって。
そんな予定はないわ。
そうか。
でも誰かに誘われてるなら行ってもいいからな。
お父さんクリスマスとは本来キリストの降誕を厳粛に祝う…。
よ〜し!
(俊雄)完全にフリーだ。
どんと行け。
あっ。
クリスマスプレゼント何が喜ぶでしょう?やっぱりアクセサリーとか?いやいやあの子は実用的なものが好きだ。
電化製品とか。
そうだな…。
いやあんな高価なものは駄目だなあ。
何ですか?おっしゃってください。
いやあの子昔から肩凝りなんだけどね。
よく家電量販店なんかでマッサージ器を片っ端から試すんだが…。
《「これだ」っていうのがないのよね》《「これだ」っていうのが》しかし高いし置く所もないしなあ。
任せてください!自分安くて手軽な優れ物知ってます!
(呼び出し音)あっ依子さん。
あっ鷲尾です。
あのあさってのご予定はありますか?もしなければ僕とクリスマスを…。
あります。
えっ?デートの予定があります。
すみません。
では。
(不通音)
(俊雄)いや〜すまなかったね。
あの直後に例の彼にデートを申し込まれたらしいんだよ。
自分よりあんなニートの方がいいんでしょうか?先に約束したから優先させただけだよ。
あの子はそういう子なんだよ。
本音では君の方がいいに決まってるよ。
そうでしょうか?そうだよ〜。
やっやめろ。
おい出ていけ。
ここは聖域だぞ。
しかしお前の部屋久しぶりに入ったけど中2のときより中2感が増してんな。
うるさい出ていけ…。
ねえこの横尾忠則の画集ちょうだい。
駄目だ。
(宗太郎)俺は拓郎と泉谷と…。
駄目だって!おいフィギュアで遊ぶな。
ゴルゴ13とガンキャノン戦わせてんじゃねえよ。
やっ藪下さんは何やってんですか?あまりにもカオスなので整理整頓です。
図書分類法に基づいてカテゴリー別に。
ちなみに『忍者ハットリくん』は歴史『ベルサイユのばら』は植物でよろしいですか?悪夢だ。
クリスマスの悪夢だ。
(留美)どうだ…おお〜。
お手伝いいたします。
(留美)あっあら藪下さんありがとう。
ポトフ作ってんの。
じゃあ塩こしょうお願い。
塩こしょうはそれぞれ何gずつでしょうか?
(留美)目分量で。
目分量?うん。
目分量。
やってみます。
自分依子さんのためにこれも用意してたんですよ。
あらま。
あっクリスマスプレゼント。
はい。
ジャ〜ン。
これジャ〜ンだよ。
出たよ。
これうちの会社がスポーツ選手のために家電メーカーと共同開発した優れ物なんですよ。
あらま。
うん。
はい。
これをばちっとやって…。
ここ持ってくださいよ。
はい。
おっお〜!どうですか?これなら依子も絶対「これだ」って言ったに違いない。
(鷲尾・俊雄)これだ。
猫猫。
(子供)えっ?猫。
(留美)キツネ。
救世主イエスがお生まれになった。
(笑い声)トゥザセパレーション!
(歓声)
(宗太郎)リバティーちゃんでした。
楽しめてます?軽いカルチャーショックを受けています。
さあ次は誰の番かなあ?藪下依子!はい。
藪下依子!
(一同)藪下依子!藪下依子!藪下依子!
(宗太郎)わ〜!はい。
はいはいはい。
申し訳ありません。
私には皆さまにお見せできるような芸がありません。
何でもいいから。
本当に何一つないのです。
すいません。
円周率いっぱい言えるとか。
おっそれだ。
全然駄目です。
円周率をただ暗記するだけでは意味がないと考えているので。
覚えているとすればせいぜい2万3,000桁くらいでしょうか。
それでもよければ。
5403321571853061428137585043…。
何で円周率なんて言ったんだよ。
だって…。
だいたいこれ合ってるかどうか誰にも分かんねえじゃねえか。
771なっ…。
7717?違う。
7716692…。
どっちでもいいよ。
(留美)どうもありがとう。
わ〜!
(男性)おやすみなさい。
(留美)メリークリスマス!フフフ…。
(留美)遅くまでごめんなさいね。
騒がしかったでしょう。
いえ大変貴重な体験でした。
私はこのようなクリスマス会というものを経験したことがなかったので。
一度も?
(留美)厳しいご家庭だったのかしら?いえむしろ両親はクリスマス会を開きたがっていました。
実際父の勧めで何度かクラスメートを誘ったことはあったんです。
ですが不運にも毎回誰一人として都合がつかず。
それは嫌われてた…。
言わなくていい。
じゃあさみしかったわね。
いえ。
私自身まったく興味がなかったので。
(宗太郎)どうせサンタクロースも信じてなかった口だろ。
その問題については両親と論争したことがあります。
論争?
(俊雄)あったあった。
懐かしいなあ。
これを着て幼い依子さんのためにサンタやってたわけですね。
やりたかったんだけどねやらせてくれないんだよ。
あの子は私にサンタクロースをやらせてくれないんだよ。
ねえお母さん。
(俊雄)《はっ…》
(依子)《非現実的な存在を偽装して子供をだますのは何のため?》《だましたわけじゃないよ》《依ちゃんにも夢を見させてあげたくてね…》《お父さんにとって夢とはありもしないものを信じこませることなの?》《依子サンタが存在しないと言い切る根拠は?》《実証済み》《あなたにプレゼントをくれたのがお父さんだったからといって世界のどこかにサンタが存在しないという理由にはならない。
そうでしょ?》《世界中の子供たちにたった1人で一晩のうちにプレゼントを配るなんて不可能》《世界の子供の数を仮に20億人とし配達に24時間かけた場合子供1人にかけられる時間は0.00004秒》《確かに不可能ね》《でしょう》《でもサンタが1人であるという前提はないし世界の子供全てに配らなければならないという条件もない》《つまり複数いるサンタが毎年選ばれた数人ずつだけに配っているとすれば可能》《よってサンタが存在しないとは言い切れない。
違う?》
(俊雄)《うん…おっお父さんもサンタはいると思うな》《うん。
どこかにきっといるよ》《いつか依ちゃんの所にも本物が来るんじゃないかな》《うちには煙突がない》《窓から入るさ》《私の部屋は2階よ》《トナカイのそりで一っ飛び…》《はしごを掛ければわけない》《じゃあ今後は本物のサンタからのみプレゼントをもらうことにする》よくとしからクリスマスの夜は部屋のドアに鍵を取り付け父が入れないようにし窓の鍵だけを開けて寝るようにしています。
(宗太郎)どういうことよ?サンタの存在を実験をもって検証するためです。
以来20年そうしていますがいまだサンタが現れたことはありません。
(俊雄)私はね…。
うん…。
何とかあの子にサンタを信じてもらおうと2階に忍び込もうとしたこともあるんだよ。
でも近所に通報でもされたらどうする。
しゃれにならんだろう鷲尾君!はい。
そうっす…はい。
あの子は私にサンタをやらせてくれなかった!うん…。
父親の夢なのに…。
うん…。
もうことしから一人暮らしだから窓開けてねえだろうなあ…。
長年の習慣なのでことしもそうすると思いますが期待はできませんね。
もうやめた方がいい。
不用心だしサンタ強盗とかよく聞くし。
うん。
(留美)私はいいと思うけどな。
ホントにサンタクロースが来るかもしれないじゃない。
留美さんはサンタ信じてるもんね。
もちろん。
巧さんはどのようなお子さんだったんでしょうか?やはり私と同様クリスマスなんて興味がなかったんでしょうね。
ううん。
あの子は大好きだったわよクリスマス。
えっ?今日みたいに毎年にぎやかにやってたもんね。
うん。
サンタさんだってずいぶん大きくなるまで信じてたわ。
「サンタがくれたよ〜」って毎年。
フフフ…。
本当ですか?ああきっとだまされてるふりしてくれてたのかもしれないけど。
ふり?うん。
私たち親を喜ばせるために。
巧君らしいなあ。
まあサンタなんてほとんど親のイベントだからな。
(留美)あの子私たち親にもよくクリスマスプレゼントをくれたわ。
子供がくれるものだからたわいのないものだけど。
でもいまだに大事に取ってある。
優しい子よのう。
女の子にもモテたしね。
本当にモテたんですか?俺の次だけどな。
どこ行っても人気者だった。
俺の次にな。
勉強も運動もできて文才もあって絵なんか私よりずっと上手だったし。
いつからあのような屈折した人間に?
(留美)あ〜いつごろかしらねえ。
(宗太郎)中学ぐらいから凡人と一緒にするなオーラ出してたよ。
「僕は天才だから」みたいな。
(留美)あっ太宰治にはまったりしてね。
(宗太郎)一番厄介なパターンだ。
(留美)作家か芸術家になるって決めてたのね。
大学のころも授業にはほとんど出ないで部屋にこもって何か書いてたわ。
ある日部屋から出てきてげっそりした顔でこう言ったの。
《僕は凡人だったよ》《創作者になる才能はないって思い知った》
(宗太郎)天才じゃないって自覚したわけだな。
《漱石や鴎外のような文章も書けないしピカソのような絵も描けないモーツァルトのような音楽も作れないし黒沢のような映画も作れない》比べるところが高過ぎる。
(留美)うん。
私もそう言ったんだけど頂点を目指せないんだったらやる意味がないって。
《おとなしく就職するよ》
(留美)でも就職がちっともうまくいかなくて。
面接で落とされるらしいのね。
(宗太郎)分かる気がするがね。
(留美)ある日面接から真っ青な顔して帰ってきて…。
《おかえんなさい》《もう就職しないから》《就職しないでどうするの?》《高等遊民になるよ》《それどういうお仕事?》近所の人に何か言われるのが嫌で外にも出歩かなくなって今に至る…かな。
共感できるようなできないような。
面接で何があったんでしょうか?さあねえ。
よほどのことがあったんでしょ。
誰だって好きこのんでニートなんかやってるわけないもん。
(宗太郎)なまじ挫折知らずでプライドが高い分凡人にすらなれないという現実を受け入れられなかったんだろうな。
私の育て方が悪かったのね…。
(留美)でもまっ何だっていいじゃない。
私はもう何も聞かないことにしたの。
で考え方を改めることにした。
これも彼の個性なんだって。
個性…。
(留美)別に人さまに迷惑掛けてるわけじゃないし。
私にだけ迷惑掛けてんだもん。
そしてああいう子に育てたのはこの私。
製造元が責任取るのは当然でしょ。
どうせ私が死んじゃったらどうにかするでしょうし。
世の中いろんな人がいていいしいろんな生き方があっていい。
いろんな生き方があっていい…。
うん。
その方が面白いわよ。
(宗太郎)・「Silentnight」
(佳織・宗太郎)・「Holynight」
(3人)・「Alliscalmallisbright」・「RoundyonVirginMotherandChild」・「HolyInfantsotenderandmild」・「Sleepinheavenlypeace」・「Sleepinheavenlypeace」本日は遅くまでお邪魔してしまい申し訳ありませんでした。
大変有意義な時間でした。
これクリスマスプレゼントです。
巧さんにお渡しください。
あっ…。
直接渡してあげて。
いえ私はこれでおいとまします。
でもあの子もあなたにプレゼント用意してると思うの。
だからもらってあげて。
・
(足音)
(宗太郎)お〜。
具合はいかがですか?だいぶ楽になりました。
あっそうだ…。
あのこれ…安物だけど。
お気遣い恐縮です。
こちらつまらないものですがどうぞ。
ありがとうございます。
うっ…すごい重い。
これずっと持ってたの?はい。
何だよ何だよ?開けてみろよ。
うん。
いい?はい。
ぜひ。
ヘヘヘ。
えっ?ヘヘ。
何かわくわくするな。
ハハ。
「若年無業者社会復帰プログラム一覧」「とにかく働いてみよう」
(宗太郎)「君は一人じゃない社会とつながろう」私が調べた若年無業者社会復帰支援事業の参考資料です。
現在厚生労働省も力を入れており調べてみたところたくさんありました。
例えばこれは親子で参加するプログラムです。
お母さまも育て方を間違えたかもしれないとおっしゃいましたがまさにそのとおりで家族に問題があるケースが多いのです。
ですからお母さまも一緒に更生される…。
やっぱり君は何も分かってないよ。
母は関係ないだろ!お母さまは自分に責任があると…。
君は人の心の機微というものが分からないのか!私が何か間違ったことを言いましたか?間違ってないよ!君はいつだって正しいよ!だけど心がないんだ!君には心がないんだよ!・
(ドアの開閉音)あ〜あ…。
やぶっ…。
(宗太郎)置いてっちゃったよ。
(ドアの開く音)これ母さんにあげるよ。
(留美)はっ?
(舌打ち)鷲尾君。
鷲尾君!君があの子のサンタになれよ!このマッサージ器を持って依子の所へ!サンタはいるんだって!あの子はきっと窓を開けてるよ!今の部屋は2階だけどきっと入れる!鷲尾君!君があの子のサンタになれ〜!鷲尾〜!何で数学の本ここに入ってんだ。
訳分かんねえよホントに。
・
(ノック)巧君入っていい?宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』と『銀河鉄道999』が同じジャンルになってる…。
気持ちは分かるけどさ…。
何で『バガボンド』と『天才バカボン』が交互に並んでるんだ。
どういうジャンルなんだよ!
(せき)これ見てごらんよ。
どのページにも手書きで色々書き込んである。
こんなにたくさん。
気に入らないかもしれないけどさ巧君のためにこんなに一生懸命調べてくれたんだよ。
そんな人いる?こんなに手間のかかったクリスマスプレゼント私知らないよ。
やっぱり私これいらな〜い。
(宗太郎)早く着ろ。
ユーミンだ。
恋人がサンタクロースだ!気を付けて。
あっ。
はい。
(宗太郎)おい乗れ!よし…。
私は待ってる。
頑張ってこいや。
よ〜し行くぞ!ホントにあなたはデリカシーがないわね。
うるさい。
彼の方があなたよりよっぽど優しいじゃない。
サンタを信じてるふりして喜ばせてたなんて。
それに比べてあなたはいるかいないかで論争してお父さんにサンタをやらせてもあげなかった。
かわいそうに。
その上谷口巧は自分からお父さんやお母さんにクリスマスプレゼントをあげてたっていうじゃない。
あなた一度でもお父さんにクリスマスプレゼントあげたことある?しっ!
(俊雄)うっ…。
あ痛っ。
(俊雄)うっうっ…。
依子サンタはいるんだぞ…。
(俊雄のしゃっくり)
(俊雄のしゃっくり)
(俊雄のしゃっくり)
(俊雄のしゃっくり)
(俊雄)まだ帰ってないのか…。
(俊雄)ハァ…。
(俊雄のしゃっくり)
(俊雄)俺は何やってんだ…。
あ〜…。
(宗太郎)登れそうだな。
ふっ不法侵入だろ。
恋人の場合夜ばいだ。
こっ恋人というわけじゃ…。
じゃあ恋人になっちまえよ。
もし窓が開いてなかったら?それまでだ。
縁がなかったと思え。
だがもし開いてたときはそんときは神様がこう言ってると思え。
今夜決めろ。
おい。
クリスマスの奇跡起こしてこい!痛っ。
(宗太郎)《もし開いてたときはそんときは神様がこう言ってると思え》《今夜決めろ》藪下さん。
思ったより筋肉質なんですね。
僕があっあなたのサンタクロースです。
あっ…ちょっ…あっあっ…。
はい。
藪下です。
はっ?警察?はい。
あっちょっと…。
あっちょっ…。
(パトカーのサイレン)
(警察官)え〜サンタ姿の変質者2名女性宅に2階窓から侵入。
室内で乱闘。
共に身柄確保。
(男性)了解。
すいません。
お電話頂いた藪下です。
(警察官)ああ部屋の方?1人は私の父。
もう1人は…。
お父さん。
あ〜…。
お父さんこちら谷口巧さんです。
あっ…。
谷口です。
谷口さんこちら父です。
あっ父です。
(巧・俊雄)初めまして。
何がどうしてこうなったのか説明するべきだとは思うんだけど…。
分からないんだ。
取りあえず来年からは鍵を掛けるようにします。
その方がいいと思います。
すいません。
片付けは得意なので。
先ほど警察官にあなたとの関係性を説明する際便宜上交際中の恋人であると言ってしまいました。
すいません。
いいです。
そう言わないと事態がさらに悪化複雑化しそうだったので。
いいです。
14人目です。
はっ?私に「心がない」と言った人の数。
幼稚園から現在まであなたで14人目です。
関連性のない不特定多数の方がそう評価するということはおそらくそうなのでしょう。
私には心が…。
そんなことはない。
心のない人間なんていませんよ。
いいかげんなことを言ってすいませんでした。
あっ…。
たぶんお父さんが置いてったものだと思います。
おっ。
お〜。
お〜。
おお…。
お〜。
あっぼっ僕のはホントにつまんないものだから…。
またお母さまのお金で買ったんですか?いえ…。
もらえなかったんで仕方ないから高値が付きそうな古本を何冊か売ったんです。
断腸の思いで。
でも思ったより値が付かなかったんで安物のネックレスです。
巧君…。
(留美)あったあったあった〜。
あった…。
「いつでもどこでも期限なし回数むせいげん」ん〜…。
どうですか?そうですね…。
う〜ん…。
あんまりやったことがないもんで…。
そういえばうちで寝ていたのは誰だったんだろう?はっ?いえこちらの話です。
おっ…。
「いつでも来てください依子」あっ…あっちょっと…えっ?やった…。
・
(戸の開く音)あっ!あっ…。
あっおかえりなさい!えっ?いや〜えらい目に遭ったよ。
あっえっ?あっもう少し下。
あっここ?おっお〜お〜。
おっもっもう少し。
はっ…おっ…。
お〜…。
これだ!はっ?こちらの話です。
2015/02/09(月) 21:00〜21:54
関西テレビ1
デート〜恋とはどんなものかしら〜 #04[字]【クリスマスに依子と巧が大ゲンカ!?】
クリスマスイブにデートをする依子と巧。しかし巧が高熱のため谷口家に戻ることに。そこで依子は留美から巧が高等遊民になったきっかけを聞かされることになる。
詳細情報
番組内容
藪下依子(杏)と谷口巧(長谷川博己)は、クリスマスイブにデートをすることになった。本来なら受け入れないふたりだが、依子は藪下俊雄(松重豊)と小夜子(和久井映見)の、巧は谷口留美(風吹ジュン)の過干渉に辟易として、イブの直前に約束をする。
デート当日、なぜかサンタクロースの格好をした依子と普段着の巧は、カップルでにぎわう商業施設にやってくる。ところが、巧が高熱を出してしまったため
番組内容2
デートは中止となり、依子は巧を自宅まで送り届けることに。
その頃、谷口家はクリスマス会の最中で、留美の美術教室の生徒や、島田佳織(国仲涼子)、宗太郎(松尾諭)らが盛り上がっていた。巧は自室に倒れ込んでしまったが、依子はクリスマス会に参加させられる。
同じ頃、藪下家の俊雄を、鷲尾豊(中島裕翔)が訪ねてくる。一人でいるのが辛いという鷲尾に、俊雄は酒を付き合ってやる。やがて、酔いが回った俊雄は、
番組内容3
押し入れからサンタクロースの衣装を引っ張り出す。それを着て幼い依子のサンタクロースになったのか、と聞く鷲尾に、俊雄は依子の幼少時代のエピソードを明かす。
一方、谷口家では、留美が依子に、巧の子供時代の話をしていた。クリスマスが大好きで、サンタクロースの存在も信じ、両親にプレゼントも贈っていたという幼い巧の話を、依子は意外な思いで聞いていた。さらに、巧が「高等遊民」になったきっかけを話し始め…。
出演者
藪下依子: 杏
谷口巧: 長谷川博己
島田佳織: 国仲涼子
鷲尾豊: 中島裕翔(Hey!Say!JUMP)
島田宗太郎: 松尾諭
藪下小夜子: 和久井映見
谷口留美: 風吹ジュン
藪下俊雄: 松重豊
スタッフ
【脚本】
古沢良太(『リーガルハイ』シリーズ、『相棒』シリーズ、『外事警察』『ゴンゾウ』、映画『エイプリルフールズ』、映画『寄生獣』シリーズ、映画『三丁目の夕日』シリーズ、映画『少年H』、映画『キサラギ』など)
【企画】
成河広明(『リーガルハイ』シリーズ、『すべてがFになる』『ラストホープ』『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』
スタッフ2
『ストロベリーナイト』シリーズ、『謎解きはディナーのあとで』シリーズなど)
狩野雄太(『大使閣下の料理人』『世界一即戦力な男』など)
【プロデュース】
山崎淳子(『リーガルハイ』『マルモのおきて』シリーズなど)
【演出】
武内英樹(映画『テルマエ・ロマエ』シリーズ、『のだめカンタービレ』シリーズ、『電車男』『カバチタレ!』など)
スタッフ3
石川淳一(『リーガルハイ』シリーズ、『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』『ストロベリーナイト』『謎解きはディナーのあとで』『ジョーカー 許されざる捜査官』など)
【音楽】
住友紀人
【主題歌】
chay「あなたに恋をしてみました」(ワーナーミュージック・ジャパン)
【制作】
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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