池上彰が伝えたいこと 実はみんな知らない日本 そして生放送で「イスラム国」問題 2015.02.09


『池上彰が伝えたいこと実はみんな知らない日本』。
そしてもう1つ…。
「イスラム国」問題。
先日殺害された後藤さんへの思い。
今後日本人が注意すべき事知っておくべき事は何か?後半は生放送で池上彰が語る。
さあ今年は戦後70年。
日本は節目の年を迎えました。
私たち日本人はそもそも日本の事をどれだけ知っているんでしょうか。
っていう歌がありましたけど。
謎多き日本を皆さんとともに考えていこうと思います。
日本人として生まれながらに知っている事だけどその意味その目的よくわかっていない事ありませんか?日本人なら知っておくべき日本について今夜謎を解き明かす。
ではゲストの皆さんに早速問題です。
(宇賀)正しくは「にほん」か「ニッポン」かどちらでしょうか?ずばり「にほん」と「ニッポン」正式な国名はどっち?えーっいきなりですか?いきなり基本的な問題ですが…。
ちょっと聞いてみましょうか。
「にほん」だと思う方。
(宇賀)いない。
「ニッポン」だと思う方。
(市毛)うーん…。
あら市毛さんはどちらにも手を挙げてませんけど。
NHKに出た時にNHKのアナウンサーが読む時には「ニッポン」と読みますと。
外の方は「にほん」でもどっちでもいいですって言われたんですよ。
ああ…いやそれ違います。
(市毛)違います?ある時なんか「ニッポン」って統一された事があったような気がするんですよ。
なるほど。
(市毛)なのでそっちが今は正しいのかなと。
では正解は?
(一同)えーっ!
(坂下)どんな問題ですか!
(竹山)どっちでもいいんだ。
実はねやっぱり「にほん」と「ニッポン」…。
昭和の初めの頃に「ニッポン」で統一しようじゃないかって話に一度はなったんですけど最終的に決まらないままうやむやになってしまって。
で最近になって麻生内閣の時に…。
…という事になったというわけなんですね。
でも考えてみれば国の名前2通り読み方があるってのは大変珍しい国なんだという事だと思いますね。
じゃあ今日の番組のタイトルは「ニッポン」の方でいいでしょうか?そうしましょうかね。
では「ニッポン」でいかせて頂きます。
宗教は?と聞かれ無宗教と答える人がいますがそんな人たちでもお宮参りや初詣に行くのはなぜ?天皇はそもそもなぜ誕生し普段何をされているのか?デリケートな部分にも踏み込む。
それでは『実はみんな知らない日本』まずはこちらから。
さあその日本語…皆さん生まれながらに知っているのにそもそも日本語ってどんなものかって意外に知らないんじゃないかって思うんですよね。
だってひらがなカタカナさらに漢字まで3つも文字があり日本人が使う漢字は同じ文字なのに音読みやら訓読みやら読み方色々。
アルファベットなら…。
しかし日本語への世界のほとんどの国が1種類まあ場合によっては2種類の文字を使ってるんですが3つの文字を使うなんて世界でも日本だけなんですよね。
元々日本古来の言葉って大和言葉ってあったんですけど大和言葉は文字を持っていなかったんですね。
そこで中国から漢字を輸入して漢字をワ〜ッ!と崩しているうちにひらがなやカタカナが生まれてきたという事があります。
書き言葉のなかった日本に中国から漢字が伝わったのはわかりますが…。
ひらがなカタカナとなんで2種類も文字があるのか?それは平安時代それぞれ違う人たちが文字を作ってしまったから。
こちらですね。
平安時代の女性貴族が恋文でこれを流行らせたという事があります。
当時はねいちいちメールでのやり取りなんてなかったですからね。
やり取りは手紙に書くわけですよ。
漢字で書いてたわけですよね最初は。
でもそれを女性がさらさらさらさらと崩し字で書いているうちにひらがなが生まれたというわけですね。
特に平安時代の貴族たち…一日に何度も恋文のやり取りをした事があるんだそうですよ。
こうして生まれたと。
ひらがなはこういった漢字を崩して主に女性たちが作り出したと言われています。
一方カタカナは…。
まずはどの漢字がどうカタカナになったのか。
ちょっと強引に変化させたかも…。
皆さん何が何になったかわかりますか?さあこれカタカナのもとになった漢字なんですがここからどのカタカナが生まれたかわかります?わかるのはわかります。
はいどれですか?押切さん。
ああこれね。
ここで「エ」ですよね。
(押切)そうですよね。
そのとおりですね。
他には?これですね。
ここの部分が「イ」ですよね。
「チ」もそうですよね。
「チ」そうですね。
これもそのままカタカナになっていったという事がわかりますね。
さあ大体わかると思うんですが…。
見てください。
(竹山)ひどいな「サ」も…。
かなり無理があるかもしれません。
誰がこんな強引に変化させたんでしょうか。
急いで何か…。
そう急いで書かなければいけない人。
まだ速記という人は…本当に現代になってから生まれた人ですから。
そもそも中国から仏教が渡ってきた時に仏教の経典あれを書き写すお坊さんがカタカナを使うようになったりしたという事なんですね。
言ってみれば漢字の横にねメモを書いていたとあります。
強盗…ヌスビトなんですけどこうやってカタカナでルビを振るというかこうやってカタカナというのが生まれてきたというわけですね。
漢字をひらがなにした人たちとカタカナにした人たちが同時期に存在。
そのまま両方が広まったため2つとも今に残っていったんだそうです。
これだけでも計92文字覚えなければいけないのにこの他にも漢字が山ほどあって覚える文字がたくさん。
続いてちなみに坂下さんは何文字ぐらい使ってますか?まあでも…。
嘘!?2万は出るでしょ!そういう時はね…。
と言えばいいんですよ。
(押切)うまい切り返し。
ごまんと。
中国ではおよそ8万5千の漢字があるそうですが日本では5万字ほどを使っています。
日本の漢字って中国の漢字をそのまま…形そのままで使ってるんですか?
(坂下)出た!「いい質問」だよ。
多くの漢字というのは確かに中国から来たのをそのまま使ってるんですが…。
日本で出来た漢字はこちらですね。
「鰯」。
ほら魚だけど弱くてすぐ腐っちゃうでしょ?ねえ弱いよねっていうので魚偏に「弱」と書いたり…。
「峠」。
山をのぼってくだるでしょ?そこでこう「峠」というふうに使ったり。
この「畑」というのは昔焼き畑農業というのがありましたでしょ?一度こう火で焼いてしまって畑を作る。
そこでこうこんな字になったりという事なんですね。
現在およそ1500字ぐらいの漢字は日本で作られた漢字…。
それ中国人の人はもう知らないんですか?その漢字。
知らないものもあれば日本から中国に逆輸入されて向こうでも読めるようになってるものも中にはあるんです。
では続いて同じ漢字でも読み方が違うものってありますでしょ?例えばこちら。
この「平」という字は「平等」って読むでしょ?でもこっちになると「平和」。
「平」と読みますよね?それぞれのこう読み方がいつ中国から入ってきたかによるんですね。
かくして漢字というのは同じ漢字でも音読みが何通りもあったりさらにそこに訓読みがあるという非常に複雑な言葉が生まれてきたと。
訓読みっていうのは日本独自のものなんですよ。
これどういう事かといいますとこれ「山」ですよね?でも中国からは「山」として入ってきたわけです。
山を意味するこの漢字が中国から「サン」という読み方で入ってきた時日本人は「山」を別の漢字で表していました。
「山」というのはこういう字を書いていた。
これで「也麻」って書いていたんですけどこれは中国では「サン」と読んでいるからじゃあこれを「やま」と読むようにしよう。
こうして音読みでは「サン」訓読みでは「やま」という読み方が出来たと。
こうして漢字をも日本独自のものにして日本には3種類の文字が誕生。
その几帳面さゆえに実は明治になってからヨーロッパあるいはアメリカから様々な言葉が入ってきますよね?特に学術用語が入ってきました。
これを一つ一つ日本語の漢字に直していくという作業が行われたんです。
明治維新によって欧米から新しい文化や考え方が入ってきたんですが…。
当時はこれらに当てはまる日本語がまだありませんでした。
そこで日本の知識人たちが欧米の思想や科学技術の言葉を日本語で理解出来るように一つ一つ翻訳していったのです。
economy。
economyってなんなんだろうか?中国でいうと人々の暮らしをよくしていくというような意味の言葉がある。
その「経世済民」の「経」と「済」を取って「経済」にしよう。
そこで名付けたんですね。
ちなみにその漢字をそもそも作り出したはずの中国大陸の…今の中華人民共和国という国ですけれど中華人民共和国の「共和」というのは実は日本で作られた訳なんですよ。
そうなんですか。
そうですか。
あるいはね中国共産党の共産主義communismというのを日本でこれを「共産主義」と訳してその「共産」という言葉が中国に逆輸入されたんですね。
ですから「中華人民共和国」「中国共産党」という肝心の漢字の部分は実は日本製だと。
さあそしてですね明治の時代そういう…全部日本語に置き換えようというのにとりわけ一生懸命熱心だった人がいます。
それがこの人。
福澤諭吉ですね。
一万円札の肖像としても有名な福澤諭吉は偉大な教育者でもあり…。
西洋文学に詳しかった彼は仲間とともに様々な翻訳語を作った事で知られます。
例えば福澤諭吉がですねfreedomあるいはlibertyっていう言葉をなんて訳そうか?「自由」と訳そうか?「天下御免」と訳そうか?つまり何をやってもいいという意味でいえば当時の事でいえば「天下御免」である。
だからfreedomあるいはlibertyを「天下御免」ともし訳していたら今…。
(市毛)だいぶ違いますね。
「天下御免」って私たちは言ってたんでしょうね。
それを「自由」こちらにしたので今も「自由」という言葉になったんですね。
これが例えば東南アジアですとそういう事が行われなかったものですから欧米の言葉をそのまま使うしかない。
だから大学の授業などでも全部英語で授業が行われたりという事があったんですね。
日本の場合はこれを全部学術用語を日本語に置き換える事が出来たので日本語で高度なレベルの授業が行えるようになったんです。
そんな日本人が大切にしてきた太平洋戦争の最中1942年政府は…。
日本人としてところが日本が戦争で負けるとアメリカは教育使節団を送り込み日本の教育を改革させようとしたのです。
その1つが軍国主義教育の排除。
日本が二度と戦争をしないようにその時日本がなんで戦争に負けたのか。
それはとにかく漢字とカタカナとひらがなと3種類の文字を一生懸命覚えるのが大変で科学的な発想法科学の勉強をする暇がなかったんじゃないか。
こんな色んな文字を使うのをやめてだから日本語をアルファベットで表記しなさい。
こういう提案があったんですよ。
これはね日本も困りましてね。
さすがにそういうわけにはいかないだろうというのでじゃあ…おっしゃる事はわかります。
でも私たちはやっぱり漢字を使っていますからとりあえず当面用いる漢字というのを作りましょうと言って出来たそれが当用漢字だったんです。
いずれ漢字はなくしますけど当面用いる漢字として1850字を使う事になったんですね。
それでしょっちゅう変わるんですね。
使える漢字がしょっちゅう変わりますよね。
1981年に日本の漢字の方針が変わるんですよ。
いやいや日本はやっぱり漢字をこれからも使っていくよ。
当面用いる漢字ではなく常に用いる漢字にしましょうと言って常用漢字に指定しました。
これは小学校中学校の義務教育の時におおよその文字が読めたり書けたりするようにしましょうという基準としてこの文字が作られた。
当面の間使う漢字から日常使う漢字として1981年常用漢字と表現が変わりました。
その後常用漢字は改定され現在は2136字。
義務教育だけでなく高校の漢字教育の基準ともなっています。
ですから大体新聞社あるいはテレビ局が使う漢字というのはこの常用漢字を基本にしましょう。
でこの常用漢字に入っていない文字を使う時には例えばそれはひらがなにしたり漢字にしてもルビを振る。
こういう事をやるようになったという事なんですね。
テレビや新聞で読めそうな漢字にも振り仮名があったりひらがなだったりするのは常用漢字じゃなかったからという場合があります。
でも…ええ!?それも常用漢字じゃなかったの?というものもたくさんあるんです。
2010年29年ぶりに新たに追加された常用漢字を見ると…。
こちら見てください。
(一同)えっ!?
(宇賀)2010年に追加された…?はい2010年に新たに追加された。
つまりそれまで使われなかった。
見てください。
岡山の岡って使えなかったんですよ。
片岡危なかったですね。
ああ片岡さんね。
あっこれはね…。
でも都道府県の名前が常用漢字に入ってなかったんです。
ほら埼玉大阪熊本茨城鹿児島奈良山梨。
信じられない!これはおかしいだろうという事になってこの時入ったんですね。
ですから今は47都道府県常用漢字に全部入るようになったという事です。
さらに「嵐」。
常用漢字に入ってなかったんですよ。
もう結成されてたんじゃない?2010年。
ねえ?だからひょっとするとあの嵐というのが人気になってみんな知ってるようになったから入れようって話になったのかもしれません。
それはすごい!そこはわからないですよ?そこは私の単なる推測ですからわかりませんけど常用漢字に入ってなかったら嵐ってひらがなで書かなきゃいけなかったんです。
一方憂鬱の「鬱」など普段書かない漢字も加わりました。
パソコンや携帯などが普及し…。
さらに誰が決めたわけでもないのに例えばこちらの漢字。
これなんと読みます?「びゃくや」ですよね。
これも間違いなんです。
ええ〜!本当は「はくや」なんですよ。
わざわざ難しく…。
『白夜行』とか。
これは「はくや」だったんですけど『しれとこ旅情』の歌にこの字が出てきた時に森繁久彌さんがこれを「白夜は明ける」って間違って歌ったんですね。
間違ってたんだ。
森繁さんが間違うわけないと皆さん思うでしょ?あっこれは「びゃくや」なんだなっていうのがワーッと広がった。
本来は「はくや」なんですよ。
でも今みんな「びゃくや」だと思ってるでしょ?これ「はくや」って読むとお前「びゃくや」も読めないのかって言われるでしょ?だから「びゃくや」でいいんですよ。
へえ〜!そうでしたか。
そうなんだ。
ではこちらの漢字は?これはなんと読みます?本当はね「ひとごと」なんですよ。
ええ〜!そもそも「ひとごと」というのを昔はところがこれが「ひとごと」だったんですけど「じんじ」と間違って読まれるから他人の事だからこう書いて「ひとごと」と読みましょうという事になっていたらそういう事を知らない人が「たにんごと」と読むようになっちゃった。
漢字の読み方ってのは多数決の原理というのがあるんですね。
でも「たにんごと」派が多数派になったら「たにんごと」が答えになるって事ですか?そうなります。
「たにんごと」の方が正解だよ。
そうですね。
ここにいる前段の人たちが世の中からいなくなってこの後段の人たちが世の中を占めるようになると…。
ちょっと押切さんかわいそうですけど。
私ちょっと微妙なとこなんですけど…。
このあとは勘違いばかり仏教について。
続いては…。
(銃声)海外では宗教の教えを信じてテロを起こすといったニュースをよく耳にしますが…。
日本の方にこんな事を聞いてみました。
とはっきり答える人もいたが多くの人は…。
信じてる宗教ですか…。
そうなっちゃいますね。
年末年始とかしか行かないですけど。
属してないですね。
これって矛盾していませんか?さらに街角でイメージを描いてもらいました。
(スタッフ)どんなイメージなんですか?
(女性)見えなくてつかみようがなくて…。
自分次第で解釈出来るみたいな。
パッて思いついたのがこんな感じですかね。
別に何教とかないですけど日本人だしよく言われてるのはこういう感じの神様かなって。
他にも人間のイメージに近いものや仏様やお地蔵さんみたいなものだったり…。
得体の知れない漠然としたものなど様々。
中にはこんな絵を描いてくれた方も。
日本人と宗教ってどういう関係にあるの?確かに。
(宇賀)色々な神様の絵が出てきましたけれども実は…。
こちらです。
(宇賀)全然違いますね皆さん。
押切さんはこれは…。
七福神っていう…すぐ浮かんだんですけどちょっと7人描けなかったので…。
上手ですね。
よく見かけますよね。
これ渡辺さんの…これはなんですか?それやっぱり…なんて言うんですかね?仙人みたいなイメージなんですよ僕としては。
(押切)神様って思った時これ思い浮かべるんですか?僕絵が下手っていう事ですね。
イメージしたものがちょっとうまく描けなかったっていう事で。
すいません。
これ北村さんは…。
豊かな自然に川とか山とか雲とかお日様とかそういうものに全て神様が宿っているというイメージですね。
はい。
さあ色んな神様が出てきましたがまずは仏教の神様について考えてみましょう。
実は仏教とキリスト教やイスラム教で言う神様は…。
ユダヤ教では神様の事をヤハウェと言いキリスト教でもヤハウェと言いイスラム教ではアッラーと言う。
アッラーってアラビア語で神様って意味なんですよ。
つまりこれ全て神様。
…っていう事にすぎない。
同じ事というわけですね。
この3つの宗教信じている神様は同じ。
この神様がこの世界宇宙をおつくりになったんだ。
こういう考え方なんですね。
それが神様というふうに考えますと…。
キリスト教やイスラム教では神様が地球など全てをつくったという考え方。
仏教では神様という発想がなく世界は自然に出来ていたという考え方。
ここが明確に違うんです。
(押切)ありがとうございます。
という事になるんですよ。
では最初に悟りを開いた人って誰でしたっけ?学校で習いましたよね。
そもそもなんていう名前でしたっけ?仏陀…子供の時ですか?さすがです。
言おうと思ってたのに。
(押切)早く言ってくださいもっと。
彼が色々修行した結果悟りを開くんですね。
「悟りを開いた人」っていうのが仏陀。
それもまあだから釈迦族だったものですから…。
一緒なんですか?一緒なんですよ。
でも…。
皆さん輪廻転生という言葉を聞いた事はありませんか?人間は死んだら生まれ変わるという考え方で生まれ変わったら畜生道という動物だったり地獄に落ちるかもしれないというもの。
そもそもはこのような考え方だった仏教。
例えば病気をしたり愛する人と別れたりそういう苦しみがいっぱいある。
こういう苦しみから逃れられるようにするためにはそもそもこの世に戻ってこなければいいんじゃないか。
…って考えたんですね。
もう二度とこの世界に戻ってこない。
そういう存在になりたい。
これが仏様なんですよ。
二度とこの世界に戻ってこられませんようにとお願いをし修行する。
それが仏教。
(一同)へえ〜!日本のイメージというと亡くなったらすぐ皆さん仏様になる。
あるいは亡くなったら浄土に行く。
なんとなくこういうイメージがありますでしょ?ここがだからそもそもの仏教と私たちが持っているイメージの仏教と大きく違うという事なんですよ。
このような考え方の違いは本来の考え方では苦しい修行をした人しか救われないという批判が生まれもっと多くの人が救われるべきだとして日本に入ってきたような考え方が生まれたと言われています。
そして日本の仏教で多くの人が勘違いしているポイントが!仏壇に向かって拝む事あります?
(押切)あります。
誰に向かって拝んでます?拝んでました。
これ本来は仏様を拝むのが正しいんです。
仏壇を思い出してみてください。
位牌より上に仏様の像ありません?
(竹山)ありますあります。
元々ですから仏壇っていうのは仏様の世界を表したもので仏様に対してお祈りをする。
それが一番高いところにある。
それが中国で先祖信仰という…。
仏様よりちょっと一段低いところに位牌があると。
ですから本来亡くなったからといってすぐに仏様にはならないわけですよ。
生まれ変わらないように一生懸命お祈りをしてそれによって仏様に近づいていこうという考え方なんですね。
そして日本人はお寺やお墓参りに行ったりしますよね。
実はこのような習慣を生んだきっかけが日本人と仏教の関係を漠然とさせているとも言われています。
皆さんこんな場面に出会った事はありませんか?葬式や法事の時お寺からお坊さんを呼んで今日はどうもありがとうございました。
家の人がこのようにお寺が家の法事などを執り行いその家がお寺を支えるこの関係一体なんて言いましたっけ?さあこういう関係なんて言いましたっけ?北村さん。
まあ檀家制度ですよね。
檀家制度はいさすがです。
そうですよね檀家制度。
そのお寺にはそれぞれ檀家という人たちがいてその人たちによってお寺が支えられているという事なんですがこの檀家制度ってそもそもキリスト教と関係していたって事をご存じですか?
(一同)えーっ?
(押切)結びつかないですね。
結びつかないでしょ?これ対キリスト教対策だったんですよ。
江戸時代キリスト教は禁止されるわけでしょ?とにかくキリスト教が広がらないようにするにはどうしたらいいか?全国の人をどこかのお寺の所属にしてしまえばいいんだ。
そのお寺が言ってみれば幕府に代わって戸籍を作るわけですね。
うちの檀家にはこういう人がいますよっていう事を登録する。
その結果キリスト教に走らないで済むようにしたという事なんですね。
ですからその時にその地区に住んでいた人はこのお寺の檀家になりなさいと言った段階でそのお寺の宗派になったんですよ。
(市毛)そうなんだ。
(片岡)意志でないんですね。
(市毛)信仰じゃないですね。
こうして日本人と仏教が漠然と付き合うという関係が出来上がっていったのです。
なので今出てきた宗派というものもなんとなく受け継いでいるという人が多くいるんです。
そしてそもそも宗派って何?という方もいるのでは…?そんな方はこんな違いがないか思い出してみてください。
葬式や法事でお坊さんが「南無阿弥陀仏」と言っていますか?それとも「南無妙法蓮華経」と言っていますか?この意味がわかるとあなたの家の宗派が見えてくるんです。
実はこういう事なんですね。
「南無」というのは「お願いします。
信じます」。
「南無阿弥陀仏」…「阿弥陀仏様を信じます」。
阿弥陀仏様のお導きによってどうか浄土に行けますようにというのが南無阿弥陀仏なんですね。
「南無妙法蓮華経」とは「妙法蓮華経」法華経こそが一番素晴らしいお経です。
法華経を私は信じます。
皆さん法華経を信じましょう。
っていうのが南無妙法蓮華経になるんですね。
ですから浄土宗や浄土真宗などはこちらの南無阿弥陀仏。
それから日蓮宗あるいは日蓮正宗はこちらの南無妙法蓮華経という事になるんです。
この他にも天台宗や真言宗などは般若心経を読んだりと宗派によってお経にも様々な違いが…。
そんな宗派の中には現在では形を変えて存在しているものがあるんです。
日蓮宗からさらに日蓮正宗というのが分かれます。
そして日蓮正宗を信じている信徒の団体この1つが創価学会という事になるんですね。
創価学会は日蓮正宗と激しく対立して今はまったく縁を切りましたから宗教法人として活動をしている。
そういう関係になっているんですね。
創価学会は公明党じゃないですか。
応援しているという…。
公明党を支援している。
支援しているという形ですけどあっだから…。
熱心な信者がいる一方でなんとなく仏教と関わっている人も多い日本。
そんな日本にも厚い信仰心を持つ人が集まる聖地と呼ばれる場所があります。
なぜその場所が聖地なのか?そしてどんな人たちが集まるのか訪ねてみました。
まずは…。
皆さんも一度は聞いた事があるでしょう。
和歌山県は伊都郡。
標高1000メートルの山々を越えた先にあります。
実は高野山という山はなく8つの山に囲まれた場所がそう呼ばれており…。
人口のおよそ5人に1人がお坊さんという町。
そんな聖地と呼ばれる場所で修行に励むお坊さんの生活は実に意外なものだった。
普段はもう一般のお料理皆さんが食べているのと同じような料理を食べてます。
日本各地にある宗教の聖地その中の1つ高野山。
高野山は弘法大師空海が修行のために開いた場所で真言宗の総本山金剛峯寺があり明治時代まで霊域奥之院には20万基以上とも言われる墓石群が…。
中には戦国武将織田信長や明智光秀のお墓も。
樹齢1000年を超える杉の林の中でひっそりとたたずんでいます。
高野山が聖地と呼ばれる理由それは奥にある御廟という建物に。
御廟と申しますのは…。
真言宗では弘法大師は御廟で今も生きているとされておりそのため1日2回弘法大師の食事が1200年間欠かす事なく運ばれています。
現代の日本でもいまだ残っている聖地。
そこで日々修行を行うお坊さんたち。
よく新聞やテレビを見ないとか肉や魚を使わない精進料理を食べているなど世間から離れた生活をしていると聞きますが果たして本当なのか?あっ…。
(スタッフ)知ってますか?はい。
(スタッフ)正統?普段はもう一般のお料理…皆さんが食べているのと同じような料理を食べています。
(スタッフ)じゃあ肉魚を食べるんですか?はい。
もちろん頂いております。
当然お坊さんでも日本人であれば選挙権もありますから選挙にも行きますしニュースも当然見ますので…。
そう日々は普通にお寺のお勤めをして修行の時は弘法大師のおそばで自分を律して励む。
(読経)聖地高野山ではこんな事が行われているんです。
日本には他にも宗教の聖地と呼ばれる場所があります。
その1つが沖縄はアマミキヨという神様がつくったとされており世界遺産首里城の中にある首里森御嶽や斎場御嶽も神様がつくった聖地の1つと数えられています。
そんな沖縄に現代でも神様の教えを厳格に守って生活している場所があります。
それは…沖縄本島の東に位置するこのちっちゃな浜辺ですね。
一説には最初にアマミキヨが降り立った地とされるため神の島と言われているのです。
人口は200人強雑貨店が3軒だけの小さな島。
ここは神様によって住む場所が決められていると言います。
この交差点ちょうどこれが北でこれが南なんですがこの南の方が集落でここから北側が神の世界。
人々が住めない場所です。
という意味があるようですね。
久高島では北は神様がいる神聖な場所とされ今も人は南にしか住む事が出来ません。
そしてもしくはわかりやすく言えば地割制度という事がありますね。
というのが基本的な考えですね。
久高島では「土地は神様から借りている」という考えのもと平等に分割。
つまりお金があるからといって個人がたくさんの土地を所有する事は出来ないんです。
昔は沖縄各地で見られた地割制度が今でも残っている久高島。
そんな島には数多くの聖地と呼ばれる場所がある。
このきれいな浜も儀式が行われる場所なので立ち入り禁止。
この林の奥には…。
島民であっても祭祀の時にしか入れない沖縄で最高の聖地が。
そんな数々の場所が今なお残っているんです。
そして久高島を語る上で欠かせないのが古来から行われている祭祀。
中でも特に重要な祭祀が島の女性が行事を執り行う神女になるために12年に一度行われる儀式でこれを経て久高島で生まれ育った女性は全員神にお仕えし祭祀を行うようになるのです。
しかし後継者がいないため1978年を最後にイザイホーは途絶えているのです。
そんな
(スタッフ)東京から。
東京?
(スタッフ)そうですね。
(スタッフ)今なんで手入れされてるんですか?
(スタッフ)じゃあ普通の1月1日の正月っていうのはあんまりお祝いしないんですか?
(スタッフ)あっそうですか。
じゃあ…。
そうそうそうそう。
大勢にぎわってくれるわけよ。
沖縄地方では重要とされている旧暦。
中でも久高島はその風習が色濃く残っており旧正月などに祭祀が行われています。
その時に1人につき3個の守り石を拾って持ち帰って…。
それの繰り返しを久高島の人たちはやってますね。
年間30以上もの祭祀を島をあげて執り行う。
久高島の人たちにとって祭祀は深く根付いた生活の一部なのです。
その他にも日本には古くから広まっている宗教がある。
それがこちらなのだが…。
皆さんは読めますか?仏教やその土地独特の信仰など様々な宗教が広まっている日本。
しかし宗教への信仰心を悪用し大問題になる事も。
それが…。
その名を広く知られるようになったオウム真理教。
しかし1990年代の半ばには反社会的な活動が明らかになっていく。
長野県松本市の住宅街や東京の地下鉄の車内で相次いでサリンをまき散らしたり…。
教団の反社会性を調べていた坂本弁護士の一家を殺害するなど数々の事件を起こし合計で29人の命を奪っていった。
一連の事件の首謀者として裁判で死刑が確定しているがまだ現在教団は2派に分かれそれぞれアレフひかりの輪として活動しているが今でも信者は合計1800人ほどいると言われており…。
公安調査庁という国の機関が監視を続けている。
(宇賀)片岡さん印象に残っているものありますか?オウムの事件はやっぱりね…。
(片岡)まあ実を言うとそれで僕はこれ現実に見れるんだと思ったらばえー…収録しようとしたらば今日は調子が悪いので帰りますっていって帰ってしまったんですよ。
(宇賀)あらららら。
(片岡)それがオウムという形で出てきた時にうわっと思いましたね。
ええ。
(橋本)宗教団体って今私が立ち上げようと思ったら作れたりするものなんですか?宗教団体や宗教法人ってよく耳にしますが誰でも作れるの?橋本教っていうのもその気になれば。
ええ〜!もちろん色んな条件があるんですよね。
主教団体に必要なものはいくつもあります。
そもそも何かこういうものを拝むものがあってそのための活動あるいはそのための儀式というのはそれぞれの宗教がありますよね。
そういうものがちゃんとしているかどうか。
あるいはそういう事をやる施設がちゃんとあるかどうか。
そして信者がいるかどうか。
信者が1人もいない私1人ですってわけにはいきませんよね?やっぱり信者がいるかどうか。
そして一定程度その宗教活動をしているかどうかという実績。
これもまた必要なわけですね。
少なくとも宗教法人となりますと3年間健全な活動実績があるかどうかという事をその後もまた厳しく審査されるという事があります。
どうです?橋本さんやってみます?いや私…普段握手会とかやっていて立ち上げたらきっと付いてきてくれるファンはいると…。
信者ですよそういった意味では。
信者ですよ。
教祖様ですよ。
そして日本には様々な宗教がありますが実は仏教以外にも古くから広まっている宗教がある。
それがこちらなのだが…。
(スタッフ)これってなんて読みますか?「じん」じゃないですよね。
わからん。
何?これ。
そう。
これは「神道」と読み仏教が日本に入ってくる前からある宗教。
という考え方。
でももともと神道という宗教があるのになぜ仏教も広まっているの?
(宇賀)知らない方多いんですね。
すごいですね。
いやあ神社の人がこれ見たら怒るでしょうね〜。
お寺はまあ仏教の仏様をまつる。
神社は神道の神様をまつった施設。
じゃあね日本中でお寺と神社どっちの方が数多いと思います?
(市毛)どっちだろう…。
(橋本)神社の方が…。
どうですか?
(橋本)神社の方が古くからありそうなイメージがあるので神社の方が多いような気がします。
なるほど。
答えはこちら。
そう。
おっしゃるとおりなんですよ。
神社の方が多いんですね。
それにしても神社も8万1000お寺も7万7000とはものすごい数ですよね。
さあじゃあ北村さん。
はい。
もうちょっと高度な質問を致しますが…。
お寺や神社全国の都道府県でどこが一番多いと思います?どこが多いか…。
神社が多いところとお寺が多いところ違うんです。
(北村)違うんですか。
わかんないですが奈良県…奈良とかいう感じがしますね。
そういうふうに思いますよね?
(北村)思いますね。
実はですねこうなんですよ。
お寺が一番多いのは愛知県なんですね。
神社が一番多いのは新潟県なんです。
意外でしょ?
(市毛)意外です。
京都や奈良の方が多いってイメージがありますよね?当然あるんだろうと思って調べたんですけど…。
愛知県がなぜお寺がたくさんあるのかはっきりとした理由はわかりませんでした。
新潟県に神社が多いというのはこれは理由があるんですね。
えーっ!?当然それだけ集落も多かった。
それがどんどん市町村合併する時に神社は1つでいいだろうっていって神社がどんどん合併していった。
ところが新潟県っていうのはそういう神社の統合っていうのがなかったんですね。
その結果昔ながらにたくさんの神社が残っていると言われてるんですね。
(坂下)池上さんいいですか?よく神社で呼び方で何々神宮とか何々大社とか読み方が違いますよね。
違いますよね。
あれはなんでですか?確かに様々な呼び方がある神社。
実はここに知っておくと得するポイントが。
これ神宮というのは天皇や皇室と関わりの深い神社についていいます。
よく伊勢神宮っていいますでしょ。
あれ私たちは伊勢神宮っていいますけどただの「神宮」なんですよ。
ですが今は一般的に伊勢神宮といいますよね。
あるいはそういう皇族とゆかりの深いところが神宮。
それに対して著名な神社のいわば総本社的なところこれが大社。
ですから出雲大社あるいは春日大社というのがこの大社という事になるんですね。
その他にも武士の神様をまつった八幡宮と呼ばれるものや学問の神様菅原道真公をまつった天満宮と呼ぶものもあります。
これは明確な決まりがあるわけではなく一般的にこのように呼ばれるものが多いとされています。
そしてもう1つ。
皆さんこれは弘法大師って…?空海でしょ?神社じゃないでしょ?川崎大師っていうのは正式な名前は平間寺といいます。
あるいは豊川稲荷も正しくは妙厳寺というお寺…。
(坂下)お寺なんだ。
…なんですけどなんとなく神社というイメージになってしまった。
一緒のとこいっぱいありますよね。
ありますでしょ。
お寺と神社が一緒になっていたりお寺の中になぜか鳥居が立っていたりというのがありますよね。
例えばキリスト教の教会とイスラム教のモスクが同じ敷地内に設けられているところはありません。
でも日本ではお寺と神社の区別があいまいだったり違いを意識せずに初詣に行く事もありますよね。
なぜそんなゴチャゴチャになっているのか?そこには歴史的な背景があるんです。
神様仏様という言葉があるくらい古くからある伝統的な宗教は神社だったわけですね。
そこに仏教が入ってきた。
でも区別しなかったという事があるんですね。
日本はですね尊いものを敬うって気持ちあるでしょ?自分はなんとなく何か宗教を信じているわけでもなくてもなんとなく神社に行ったらねかしわ手を打ったりお寺に行ったらお賽銭あげたりお祈りをしたり…。
あらゆる宗教施設をとにかく大切にしようという思いがありますよね。
神道の神様と仏教の仏様をなんとなくごちゃ混ぜにしたりあるいは神様の仮の姿が仏様なんだそういう理論も生まれてきたという事があったんですけど。
それが結局端から見るとよくわからないっていう事に実はなってしまうのかなという事なんだろうと思うんですね。
ですからなんか子供のお宮参りですと神社に行って結婚式は教会でお葬式はお寺で…。
みたいな事についなってしまう。
仏教も神道も根本的には色んな考え方があってもいいですよという非常に寛容な宗教。
それが結局日本ではこうやってあまり区別される事なくみんながとにかく大切なものというふうに考えるようになったという事ですよね。
さあそしてその一番のトップとされているのが天皇陛下という事になります。
続いては憲法に日本国の象徴国民統合の象徴とある天皇陛下。
でも天皇と聞くとどことなく深く探ってはいけない感じがしたりベールに包まれているような気がしますよね?そこで気になる。
普段ニュースで目にする以外にそもそも天皇陛下の近く皇居内で50年以上暮らした女性の話などから天皇にまつわる不思議をひも解きます。
皆さんの中で実際に天皇陛下にお会いした事があるっていう方はいらっしゃいますか?園遊会に呼ばれて親しく声をかけて頂いたみたいな方は…。
いません?
(坂下)あら!まあ宮内庁によりますと世界で一番長く続いているいわゆる王朝といってもいいんだろうと思うんですが。
初代から数代は実は存在しなかったんではないか神話の世界ではないかという話もあるんですね。
若い人は意外にこの神話知らないのではないかという事でその神話のおさらいから参りましょう。
『日本書紀』によればその昔伊弉諾尊と伊弉冉尊という男女の神様がいました。
2人は矛で海をかき混ぜ日本列島をつくりさらに山や海など自然を守る多くの神様を産みました。
そして2人は最後にこんな相談をします。
そこで産まれたのが彼女は天を治め地上は彼女の孫が治める事に。
その子孫が橿原に移り住み天皇に即位しました。
それが初代天皇と言われる神武天皇と伝えられています。
…とまあこういう神話があるわけですね。
神話って言い伝えだとは思うんですけども誰がそういうふうなものをものにしたのかとか…。
つくったって言い方ちょっと違うと思うんですけども。
だからこの場合の神話というのは『日本書紀』あるいは『古事記』というものですよね。
こういうものにそういうものが書かれていてこうやって神様が日本をつくったんだよという事なんですね。
さらに神話の中のもので現代まで受け継がれているものが皇居に3つあるといいます。
去年の3月天皇皇后両陛下が伊勢神宮に参拝された時の映像。
これ後ろからこの男性が持っているもの。
これがおよそさあなんだかわかりますか?わかりますよね?全くわかんないです。
はいそうですね。
カークーラーカラーテレビじゃないですからね。
鏡は伊勢神宮にまつられており剣は熱田神宮。
そして皇居には3つあります。
そうですね。
だからあの2つを持って行った。
2つしかないなと思って。
はいそうですね。
結果的にこっちにもこっちにもこっちにもあるんですけれどもこれをレプリカと言うとそういう事を言ってはいけないって事になってる。
三種の神器の分身がこうやって存在しているんだよという事になるというわけですね。
こうした神話が元になっているため初代から数代は存在しなかったとも言われており実在したとされる最古の天皇は3世紀頃の15代応神天皇だと考えられています。
そしておよそ1700年経った現在も受け継がれているのです。
続いては被災地への訪問や総理大臣の任命さらに海外の要人をもてなされる様子などはよく目にしますが…。
実はこのような事もされているんです。
こちらなんです。
祈る事なんですね。
天皇陛下というのは日本のですから今でも年間数十回の重要な祭祀つまりお祈りをするそういう儀式があるんですよ。
だから普段私たちが見えないところで皇居の中で場合によっては深夜にその様々なお祈りをされている。
さらに皇居内ではこのようなお仕事も。
実は前の昭和天皇がサインをしている貴重な映像がございます。
ご覧ください。
はいここでほら。
ここに天皇陛下の名前を裕仁とお書きになってますね。
これが御名になるわけです。
さあそしてこの黒い革の箱に入っているのが印鑑です。
これが御璽ですね。
(市毛)すごい大層な…。
ほら。
(市毛)うわあ!きれい。
これ金で出来てまして重さ3.5キロほどもあると言われているんですよ。
これはさすがに天皇陛下ではなくて侍従職の方が押すんですね。
これがよくね天皇陛下の公務をもっと減らしたらどうかという議論がありますでしょ。
要するに外へ出て行くのをそればかりが公務だって思ってしまうでしょ。
だからそんなに仕事大変じゃないんじゃないのって意外に思ってしまうかもしれませんがそうじゃないんですよ。
でも池上さん私実際天皇陛下が普段どんな生活を…暮らしぶりをされていて…。
これを見ていてほしいです。
実はですね昭和天皇が記者会見をした時にですね新聞記者たちからどんなテレビをご覧になってるんですかって質問があったんですよ。
さあその時にどのようにお答えになったのかご覧ください。
(記者)どうもありがとうございました。
という事なんですね。
やはり天皇陛下のお立場としてはそういう事はなかなか言えないという事があります。
学校とかで友達とか出来るじゃないですか。
友達が赤坂の御用地に呼ばれていくという事はよくありますね。
赤坂御用地には皇太子ご一家はもちろんほとんどの皇族の方々もお住まいになっています。
お住まいなどを警護するのは皇室専門の警察組織皇宮警察。
普段私たちが目にする警察官と違い赤いひもを身に付ける彼ら。
そこにはこんなわけが。
これが皇宮警察だけは赤いんですよ。
「赤心」天皇にお仕えする赤い真心のシンボルとしての赤いひもを誇り高くつけているという。
例えばJR山手線の原宿駅。
ホームの北側に見えるもう1つのホーム。
(坂下)あっあるよねなんか。
ありますね。
これは皇室専用のホームで通称造られたのは90年前。
大正天皇が葉山の御用邸などに向かうため設置されたそうです。
さらに丸の内中央口の隣にあるこの車寄せ。
奥にある白い扉が東京駅を使用する際はこの扉から出入りされます。
新幹線を利用される事も多い天皇陛下。
その際は通常ダイヤの新幹線ではなく臨時の専用列車を運行し貸し切りにして乗車されます。
そしてそれがおよそ140年前日本で初めて鉄道が開業した時に合わせて初代のお召し列車が作られました。
そして天皇陛下のお住まいといえば…。
実はこの皇居に住み込みで働いている人たちがいるんです。
天皇陛下の仕事の中に「祈ること」というのがありましたよね。
その祈る場所というのが皇居内にある宮中三殿と呼ばれる神様がまつられている場所。
ここに住み込みで働いているのが内掌典と呼ばれる女性たち。
彼女たちはとても厳しいしきたりにのっとって暮らしているんです。
そもそもえ〜大変!ずっとこの中で暮らしていると。
中にはですね
(坂下)ええ〜!2001年に退職するまで57年間皇居に暮らしていました。
一体元内掌典の方お二人も合わせて話を聞く事が出来ました。
例えばお供え物を供えたり神様のお世話をするのが内掌典の仕事。
そんな内掌典の方々が日常の…。
そうこの清める事が一番気を使うと言います。
ちなみに清いものは「清」汚れたものは「次」と言うそう。
という順番がございますので…。
お塩の事。
ちなみに御所言葉は色々あり…。
さらに着物には「大清」という一番清いものがあるそう。
さらに食事制限やお風呂の入り方寝起きする作法まで実は…。
代々口で伝えて覚え次の内掌典へと受け継いでいくのです。
天皇陛下あるいは皇后陛下どういうお仕事をされていらっしゃるのかなって事もある程度わかってきたと思うんですね。
でも例えば日本全体が大変な被害を受けた東日本大震災のような時に被災地に足を運ばれて。
だから被災者の人たちが本当に涙を流して話をしていた。
あれで一体どれだけの人が勇気づけられたんだろうかって思うと日本国の象徴国民統合の象徴というのはあっこういう仕事をする人なんだっていう事がわかったと思うんですね。
日本という国色んな意見や議論も分かれてますけどどこかでなんではないかなというふうに思うんですね。
続いてははっきりと答えられますか?『ここがポイント!!池上彰解説塾』の番組本第2弾が好評発売中です!番組で解説しました「世界を変えた民衆の力」あるいは「世界の独裁者」などが掲載されています。
興味のある方はぜひ!続いては…。
そもそも憲法って何?はっきりと答えられますか?簡単そうで意外に難しいこの質問。
そういえば。
知っているようで実はあまり知らない憲法。
去年の夏憲法の解釈を変えて今まで認めていなかった集団的自衛権の行使を内閣が認めた。
こんなニュースありましたよね。
そんな憲法について池上彰が今こそ日本人に知っておいてほしいポイントは?今こそ日本人が知っておくべき憲法。
この際学んでおきましょう。
さあじゃあ竹山さん。
(竹山)はい。
日本国憲法の三原則とはなんでしょうか?あああったな…。
中学の公民の教科書に出てます。
ありましたよね。
はい…。
じゃあ後ろの4人で3つ出てくればいいと思いますが。
三原則。
(竹山)教育入ってますよね?入ってません。
入ってない。
平和って入ってますか?ん?平和…。
平和主義。
入りましたはい。
平和主義が一つです。
あと2つ。
(坂下)裕太君。
えっ…。
平和主義…。
(片岡)基本的人権は…。
ついにもうたまらなくなって片岡さんも出ました。
基本的人権の尊重ですね。
残りの一つは…。
国民が国をどうするか決められるというもの。
皆さんは3つ答えられましたか?では憲法と法律一体何が違うのか?法律というのはそもそも私たち国民が守るべきものルールですよね。
それは私たち国民が選んだ政治家が決めるもの。
そして私たちはこれを守るものなんですけど。
これがみんないい法律ならいいんですけど中にこの悪い政治家がいてですね私たちにとってとっても困るような法律を作っちゃったらどうなるのか…?困るでしょ?そういう事がないようにしよう。
政治家つまり権力を持っている人が守るべきものをこちらの国民が作ろう。
それが憲法なんですよ。
ですからこれがもし悪いものであれば憲法に照らしてこれはよくないよ憲法違反だよと言ってこの法律を変えさせる事が出来る。
こういう関係になっているんですよ。
法律を作るのは選挙によって選ばれた国会議員。
彼らは憲法に照らし合わせながら作っているんです。
つまり権力者が守らなければいけないのが憲法なんです。
政治家っていうのは権力を持ってる。
国家権力なわけですよ。
法律は国民一人一人が守る。
憲法は国家権力が守らなければいけないよ。
…とこういう事なんですね。
まあ極端な事を言えば…という事になりますけど。
でも国民が例えばお前は憲法違反だから逮捕するとかそういうものはないわけですよ。
国政選挙の度に話題となる1票の格差問題。
これは法律違反ではなく憲法違反。
憲法にある「法の下の平等」に反するのでは?と選挙区の割り方を定めた法律に対しダメ出しをしているのです。
国民の自由や権利を保障。
私たちは言論の自由や宗教の自由また恋愛の自由に至るまで憲法に守られているのです。
法律は国民が安全に暮らすためのルールでありその全ては憲法をもとに作られています。
つまり憲法はスローガン的な役割でもあるのです。
さあその日本国憲法の実物って見た事あります?
(竹山)実物はないなぁ。
見た事ないですね?これはここに保管してあります。
ご覧ください。
憲法の実物見た事ありますか?憲法の実物つまりオリジナルは皇居横の国立公文書館という国の重要書類を管理する施設にあります。
昔の法律に関する貴重な文書やおなじみの書などが展示。
(解錠音)明治以降の国会の記録など重要な書類は地下の書庫に保管されていますが…。
では日本国憲法の現物はどこにあるのかといいますとこのフロアなんですがこのフロアがどこにあるかがそもそも秘密なんですが。
(竹山)なるほど。
でこう案内されて入って行きますとここですね。
この鉄の扉の先に…。
(押切)厳重…。
貴重書庫というのがあってですねこの中に日本国憲法保管されている。
ところが防犯上あるいは人や空気の出入りで紙が傷むからというので中には入れてもらえませんでした。
でもその代わりに非常に精巧に出来たレプリカというのがありましてそれを見せてもらう事が出来ました。
これです。
本物そっくりに作ってあるレプリカなんです。
(坂下)うわあそれでもこんな大事に…。
ほらこの古めかしいところまでそっくりでしょ?で最初に「朕は」と書いてありますね。
天皇陛下の言葉が書いてあるわけですね。
「私は憲法を公布しますよ」と書いてありまして…。
わずか19ページ。
(市毛)こんな薄いものなんですね。
そうなんですね。
わずか19ページですね。
ここに天皇陛下の御名御璽があります。
そしてここに「第一條天皇は」というふうにですねこれが全部書いてあるという事なんです。
憲法は103の条文によって作られています。
条文とは法律や条約などの箇条書きの文の事。
憲法にある103の条文の中で池上彰が一番好きというのが…。
それが第23条学問の自由という部分なんですね。
これなんで私が好きかわかります?いえいえそういう事じゃ…。
ちょっと坂下さんこれ読んでみてください。
(坂下)「学問の自由はこれを保障する」なんとなくちょっと
(坂下)語呂…語呂いいですね。
これねこう読むんですよ。
「学問の自由はこれを保障する」五七五になってるでしょ?ああ…。
大学で色々勉強したりしてお前なんでそんな勉強してるんだなんて怒られたら憲法第23条学問の自由はこれを保障すると言えればいいんじゃないかと…。
でも北村先生は…。
我々の仕事は覚える事じゃないですから。
それを見ながら解答を書きます。
そうなんですね。
(坂下)なんだ。
憲法について池上彰が今こそ日本人に知っておいてほしいポイント2つ目は…。
憲法9条にはとりわけ解釈というのが出てきます。
皆さんも一度は目にした事があるはず。
憲法9条。
ここには戦争の放棄戦力の不保持などが書かれています。
その解釈をめぐって議論となったのが…。
はいそのとおりですね。
去年の夏閣議決定で憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を認めるというニュースがありましたよね。
仲間の国が攻撃を受けたら一緒になって反撃出来る権利集団的自衛権の行使は憲法9条に照らして今までは認められないとされてきましたが…。
今回は憲法の解釈を変更したので行使オーケーと閣議決定されました。
でもちょっと待ってください。
そもそも大事な憲法の文書はひとつも変わっていないのに解釈で変更ってそんな事ありなんでしょうか?こちらご覧ください。
三権分立とありますでしょ。
例えば国会…新しい法律を作る時にこれはそもそも憲法に違反していないかどうかあるいは憲法の趣旨を反映した法律かという事を実はいつも解釈をしながら法案が提出されているという事があるわけですね。
そして裁判所も裁判ではこれが解釈をするという事が続いてるわけですね。
例えばご飯を大盛りにしてと頼んだ時これもこれもこれも大盛り。
人によって捉え方は様々。
つまり解釈によって結果は変わるという事なのです。
ところが特に今回の場合なんで大きなニュースになったかといいますと歴代の内閣が集団的自衛権は憲法9条に違反するからこれは使えないんだよとずっと言ってきたのが突然いやこれは解釈を変えて出来るんですよと言った。
内閣が突然これまでの内閣の考え積み上げてきたものを一挙にひっくり返しちゃった。
それって解釈改憲っていうんですけど。
憲法にこれまでは違反するんだよって言ってきたんなら憲法を変えればいいのに解釈を変える事によって変える事になったのはおかしいんじゃないかという議論があったんですね。
その一方で内閣にしてみればいや内閣は日々この憲法を解釈してるんだからその解釈の一環としてこれを変えるそれはいいんだよという言い方をした。
その結果これが大きな議論になったっていう事ですよね。
北村さんいかがですか?この点に関して。
憲法のプロ北村弁護士は解釈での変更についてどう見たのか?そもそも憲法解釈っていうのはこれまで憲法が…日本国憲法が出来てから色々変わってきてるんですよ。
解釈というのはそれぞれいくつかの解釈が当然あるわけですね。
学者も議論をしてますと。
その中で例えば正しい解釈かって事を判断するのは日々行われて当然ですから。
解釈の変更それ自体がおかしいっていう議論はどうもこれは議論をそこでストップさせようっていう考え方であまりよろしくないと僕は思っています。
日本は…だから今の憲法が出来て以来変わった事一度もありません。
(渡辺)1回もないんですか?ちょっと変わったって事も全くないんですか?日本以外は結構変わるんでしょ?憲法って。
特にヨーロッパの場合はEU全体のルールに合わせてそれぞれの国が憲法を変えてきたっていう事が実は随分あるんですね。
では憲法の解釈を変える事を池上彰はどう考えているのか?やっぱりこれから憲法改正というのが大きな政治課題として出てくるんですね。
その時にそれに対して…という事を考えていかなければいけないんじゃないか。
そしてそれは…。
日本という国の形はどうあるべきかっていう事を考えて憲法の事を考える。
それが大切な事だと思うんですね。
このあとは生放送で「イスラム国」問題について池上彰が伝えたい事。
(後藤さんの声)「アイアムケンジゴトウ」当番組は同時入力の為、誤字脱字が発生する場合があります。
≫ここからは生放送です。
イスラム国問題について池上さんが今伝えたいことをお送りしていきます。
≫先日、本当に残念にも湯川遥菜さんそして後藤健二さんが自称イスラム国によって殺害されました。
ちょっとあまりにショックでこの1週間ずっと落ち込んでいて、これについて発言する気力もなかったんですけれども。
やっぱりそれではいけないと思ったんですね。
というのも、後藤さん戦地に、とにかく取材に行って戦地あるいは紛争地帯で一番犠牲になるのは、女性であり子どもたちであるということをずっと発信し続けてきた。
それはやはり誰かが伝えなければいけないだろう。
あるいは後藤さん現地の取材においてイスラム教徒の人たち、友人がいっぱいいたんですね。
特に今回後藤さんが殺されたことに対して多くのイスラム教徒ヨルダンの人たちが嘆き悲しんでくれている。
やっぱり、イスラムに対する正しい理解そういうものをやはりきちんと伝えていくこと。
それが、後藤さんの遺志を継ぐことなのかなとこういうふうに思っているんですね。
今日は、あえてこの時間これを生放送にしてお伝えしようと思います。
特にイスラム国に関しては驚くことがいっぱいですよね。
最近、政府がISILという言い方をしています。
ISILという言い方に変えているんですね。
イスラム国というとまるで国として認めているんだからということで変えているんですが。
これが、一体どういうものなのか後ほどやりますしとりあえず、私たちはイスラム国に常にかぎ括弧をつけています。
彼らはイスラム国といっている。
だけど私たちは国家として認めているわけじゃないんだよ。
更にイスラムという言葉を使っていますからイスラム教徒ってあんなものなのかって誤解が広まっていくこともあるわけですよね。
実はそうじゃないんだということも含めて今日はお伝えしようと思います。
≫生放送のここからは4名のゲストの皆さんをお迎えしております。
よろしくお願いします。
では、今後どうなるのかを知るためにまずはイスラム世界について解説をしていただきます。
≫後藤健二さんを殺害したとされる動画の中でこう、宣言した過激派組織イスラム国。
彼らの目的はかつてヨーロッパ人によって引かれた国境をなくしイスラム教の大国を作り上げること。
武力により支配地域を広げ去年、一方的に建国を宣言した。
これらを行う理由を彼らはこう主張する。
それが、イスラム教の教えであるから。
残虐な行為の数々も全て、イスラム教の教えに則した行動だというのだが…。
現在、世界にイスラム教徒は16億人以上いるともいわれ世界人口のおよそ4人に1人はイスラム教徒なのです。
イスラムの世界を正しく理解することでこれから私たち日本人がどうすべきなのかが見えてくる。
≫まず、大前提として世界の大多数のイスラム教徒が信じているイスラム教と、超少数派である自称イスラム国の考えというのは全く違うんだということです。
さあ、ではその過激派組織イスラム国はなぜ、大国を作ろうとしているのかということなんですが彼らの論理といいますか。
なかなか理解に苦しむんですが彼らは彼らなりにどんなことを考えているのかということを理解するために、そもそもイスラム教とは何かという本当の基礎・基本から考えていこうと思います。
まず、イスラム教というのはアラーを信じている。
アラーという神という言い方をします。
アラーという独自の神様がいるわけではないんです。
アラビア語で神様のことをアラーというんですよ。
英語でいえばザ・ゴッドになるわけですね。
だから、要するに神様を信じているんだよ。
ユダヤ教徒もキリスト教徒もイスラム教徒もこの世界を作ったのは唯一の神様だと言ってるわけですから、結果的にそれはこの世界を作った唯一の神様という点において同じではないかということになるわけですね。
これが、例えばユダヤ教徒あるいはキリスト教徒ですと旧約聖書とか新約聖書という形になるわけですがイスラム教徒にとっての聖書にあたるのがコーランですね。
ずっとコーランと言ってきたんですが最近、高校の世界史の教科書ではクルアーンという言い方になっています。
クルアーンというのがより正確な発音になるので教科書ではクルアーンと言われるようになっているんですが一般的にはコーラン、コーランといわれていますのでここではコーランという言い方をしますがここには例えば天地創造であるとか道徳であるとか倫理。
あるいは、相続ですとか刑罰など法的な規定まで含めていろいろなことが書かれている。
相続の仕方とか、あるいは商売の仕方というのも出ていますね。
これは、神様が預言者、ムハンマドという人を人間の代表として選んで彼に伝えたという神様の言葉それを後世の人が本にしたもの。
これがコーラン、クルアーン。
本来は、声に出して読むべきものという意味なんです。
だから、向こうの人たちはこれを声に出して読むんです。
黙読はしないということなんです。
これ、ちょうど今から1400年ぐらい前。
ムハンマドという人が神様からいろんな神様の言葉を聞いたといってこれを、いろんな人に伝えていった。
このころ実は、ムハンマドが読み書きができなくて周りにいる人たちも読み書きができなかったんですね。
そこで神様の言葉だとみんな一生懸命覚えたんですよ。
ところが、ムハンマドが亡くなり覚えていた人たちがだんだん亡くなっていくとこれは後世に残らなくなるといって後世になってその覚えている言葉を書き記したものこれがコーラン。
だから神様が預言者ムハンマドを通じて人間たちにいろんなことを語りかけたり命令したりしているものこれがコーランの中身ということになるんですね。
1400年前といいますと日本でいいますと聖徳太子の時代ですね。
あるいは憲法十七条が作られたあの時代、アラビア半島で神様の言葉だといってどんどん広がっていったもの。
それがイスラム教。
もともと、イスラムというのは神様に全てを委ねて心の安心、安寧を得ようこれがイスラムという意味ですね。
ですから、イスラムで神様に全てを委ねてという宗教の考え方なんですが日本ではユダヤ教キリスト教っていうからやはり、イスラム教という言い方をしている。
これが、欧米ではイスラームでイスラム教のことを示している。
日本では、一応これをイスラム教と言っているということになるんですね。
そして、ムハンマドが神様の言葉を聞いたというのがアラビア半島のメッカなんです。
そのメッカここが今、イスラム教徒の最大の聖地というわけです。
年に一度は、ここに巡礼ここに行ったほうがいいとされていて。
世界中のイスラム教徒が一生のうち一度は行ってみたい。
これが、そのメッカのカーバ神殿という巨大な神殿なんです。
ここに、巡礼に行くのが夢であるということになるわけですね。
そしてイスラム世界を知るうえで大事なポイントがイスラム法法律ということになるんです。
つまり、人々はどのような行動をすべきかという法律は、神様が人間たちに定めているんだこういう考え方なわけなんですね。
そうするとコーランにいろんなルールが書いてある。
人々は、まずこれに従って生活しましょうということになるんですが。
でも、コーランが出たあとどんどん歴史があるわけですからコーランには書かれていないようなことが起きたときにどうするかなっていうことを人々は考えないといけないわけですね。
そうすると第2の教典として出てくる。
それが、ハディースといいましてハディースというのは伝承という意味ですね。
つまり、ムハンマドがこういうときにはこういうことを言ったとかこういうときにはこういう行動をとったということが全部伝承として書き記されているんです。
これがハディースというものです。
信者はどう考えるかというと神様がコーランに、人間たちがどう、生きるべきかということを指し示した。
でも、これだけだと人間たちには十分な判断基準にならない。
そのときにムハンマドがどんなことをしたかということが書いてある。
ムハンマドは神様の言葉を聞いているわけだからムハンマドがもし間違ったことをすれば神様がそれをやめさせていたに違いない。
ということはムハンマドがやった行動は全て神様が認めていることになるんだ。
こういうふうに考えるんです。
そうするとムハンマドがこう言ったあるいはムハンマドの部下がこんなことをしたときにムハンマドが、それを止めなかったということはつまり、これは認められているんだろう。
こういうふうに、いろんなことを推測していくんですね。
こうして、いわゆるイスラム世界においてみんなの常識となっているのがこちら、イスラム法。
シャリーアっていいます。
シャリーアというのはもともと、水辺に至る道という意味なんです。
特に砂漠の世界では水というのはとても貴重なもの。
つまり、本当にすばらしいところに行く道これがイスラム法、シャリーアという意味なんですね。
これは、ですからいろんな学者が、これがシャリーアだよということを書き記しているものもありますけども書き記していなくてもいろんな専門家がこういうものなんだよねということをまとめるわけですね。
この中が結局現在の私たちの法律でいいますと刑法ですとか、民法ですとかあるいは行政法とか商法とかこういうものが全部、含まれているということになるんですね。
これはだから実際には9世紀ごろですよね。
今から1000年以上前にイスラム教徒たちの間でとりあえずの常識としてこういうものが作られた。
そして、イスラム世界ですと今、いわゆる近代的な国家だと憲法がありますよね。
国民たちの選挙で憲法ができ、あるいは国民たちの選挙で選ばれた議会が法律を作るということをやっているわけですが例えば、サウジアラビアやカタールのような王国の場合は、そういう憲法や法律ってないんですよ。
全てはシャリーア、イスラム法で全てを裁くということになっていましてですから、裁判所とかいろんなところのイスラム法学者という人たちがいるんですね。
よく、ほら、なんとか師っていう教師の師って字を書くものがあるでしょ。
何々師って。
あれがイスラム法学者のことです。
彼らが、こういうことに非常に詳しいから尊敬を受けているということになりまして。
そしてそのイスラム教徒たちには守らなければいけない行わなければいけない5つの義務があります。
それが、こちら。
五行といいますけど信仰告白。
「アラーのほかに神なしムハンマドは、その使徒なり」。
使徒というのは教え子という意味になります。
神に仕える人ということをみんなではっきり言いましょうということをこれが信仰告白。
それから礼拝。
1日に5回のお祈りですね。
夜明け前、正午、午後、日没そして夜半。
寝る前ですけど1日の5回の礼拝を行う。
これがイスラム教徒にとっては大変大事な時間ということになりまして。
例えば日の出とか日の入りというのは毎日変わりますでしょ。
そうすると、常にイスラム教徒たちはその時間に敏感になっているわけですね。
そうするとモスクにいくと5回のお祈りの時間が今日は何時だよっていうことが全部デジタル表示されているんですよ。
常にこれを意識しているんですね。
ですから、例えば今回イスラム国の人質事件で最初、身代金要求の期限を72時間って言いましたよね。
72時間いつから、いつまでって時間がなかったでしょ。
だからこれは、本気ではなかったのではないかということも考えられるわけです。
最後の最後に日没までにという期限を区切りましたよね。
私たちにとってはえ?日没?そんなアバウトなって思うかもしれませんが。
向こうの人たちにとっては日没というのは非常にリアルな時間になっているということなんですね。
ですから、私は日没という言い方をしてきてあ、これはひょっとして本気なのかもしれないというふうに思ったということがあるんですね。
それから断食というのがあります。
これ、ラマダンといってイスラムの暦でなんですがイスラムの暦の9の月。
このときには、1か月間ラマダン日の出から日の入りまで食べたり飲んだりしてはいけないこういうものを皆さん守るということなんですね。
どうしてこういうことをやるのかつまり、こうやって食べたり飲んだりしないことによって食べ物がない人とかそういう、いろいろな人の苦しみも、またみんなで知る必要があるんじゃないかとも言われています。
はっきりしないんですけどコーランにそうしなさいと書いてあるからみんな、そのとおりにやっているということになるわけですが。
それ以外に、ここで喜捨というのがあります。
≫喜捨ってなんですか?≫寄付のことです。
つまり、世の中には貧しい人たちがいる。
金持ちはその貧しい人たちのために寄付をしなさい。
これが喜捨という考え方なんですね。
そうすると例えば、1日5回のお祈りついつい、寝過ごしちゃってお祈りができなかった。
ああ、しまったと思ったら貧しい人に喜捨をしなさい。
あるいはラマダンでどうしても、のどがかわいてつい水をうっかり飲んじゃった。
ああ、いけないことをした。
じゃあ、貧しい人のために喜捨をしなさい。
こういう考え方。
そして、先ほどの巡礼ということです。
この5つをイスラム教徒たちは守って生活をしなさいということになる。
ここまではよろしいでしょうか。
ですから、喜捨というのももちろんそれぞれの人が自主的に寄付すればいいんですけどイスラム教の国によってはこれをそれぞれの収入の2%を喜捨という形で集めますというまるで税金のような形でこれを集めて、その集めたお金を貧しい人たち、つまり社会福祉に使う。
そういう国もあるんですね。
だからなんとなく喜捨は、もちろん寄付してもいいんですけどなんとなく、相場観としては収入の2%ぐらいかなというのがあるということになるんですね。
そして、この言葉を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
ジハード。
ジハードってなんですか?≫聖戦?≫聖戦、そう。
聖なる戦いって私たちはつい思っちゃいますよね。
これ、もともとのジハードというのはこういう意味なんですよ。
神のために奮闘し努力すること。
つまり、イスラムの教えを守ろうと努力することがジハードなんですよ。
ですから、例えば1日5回のお祈り。
日の出前に起き出してお祈りをするんだけど眠くて、布団から起きられないよねということがあるでしょ。
そのときに努力をして布団から出てお祈りをすること。
これもジハードなんですよ。
あるいは、ラマダンのときにおなかがすいた。
なんか食べたい。
いや、やっぱり神様のことを考えて守ろうって、食べないでおこうと努力すること。
これもジハードなんですね。
ということは、例えばイスラム教徒が住んでいるところによそから攻めてきたり異教徒が攻めてきたら自分たちの土地を守るということはイスラムのイスラム教徒を守ることになる。
これもジハードになるわけです。
結果的にそれは戦争のような形になるでしょ。
戦争で、ジハードだって言っているのを見てこれを聖戦と訳したというところがあるんです。
だから、ジハードというとそれだけで聖戦と思ってしまうんですがそうじゃない。
イスラムの教えを守ろうというのがジハードの意味なんですね。
以前、私がエジプトで知り合った人の名前がジハードっていう名前で最初、びっくりしたんですよ。
え?すごい名前だなと思った。
でも考えてみれば努力することでしょ。
あ、日本語でいえば努君なんだなと。
そういったニュアンスということになるわけですね。
そして、このイスラム国において一応、裁判所があるということ。
裁判が行われているということがあるわけですがじゃあ、そこで適用されるイスラム法って何かといいますとこれはこれで、彼らなりの理屈があるんですね。
そういう、シャリーアイスラム法というのがイスラム法学者がまとめた本というのがありまして実はいくつもの版があるんですけどもこれなどは1つの代表的なもので。
ここに「統治の諸規則」と書いてあります。
イスラム法学者のアル・マーワルディーという人が10世紀から11世紀ごろにイラクで裁判官を務めながらこのイスラム法をまとめたというものなんですね。
これの日本語訳の本がありましてこれを読むと、例えば当時、戦争があったりする。
そうすると、捕虜を取ったときに捕虜をどう扱えばいいかということがこの本に書いてあるんですね。
≫どれにですか?≫この本にですね。
捕虜の扱い方このようになっています。
捕虜については捕虜を殺害する。
奴隷にする。
身代金を支払わせるか味方の捕虜と交換に釈放するか。
あるいは、慈悲深く釈放する。
この5つのやり方があると。
それぞれ最も適切であるというものを選びなさい。
4つですね。
最も適切であると考える4つの中から選べばよいというふうに書いていて。
≫結構すごいことですよね。
でも、これはもうイスラム教の人たちは皆さん、これを信じて…。
≫要するにいわゆる常識になっている。
ただし、これは今から1000年前ですよ。
今から1000年前にこういうものが定められたということがあるわけですね。
≫それは、コーランかハディース、さっきの本に書いてあるってことですか?≫コーランに書いてあることやハディースの中でムハンマドがこういうふうにやったということから類推をして、あるいはその中で戦争をしていたときにムハンマドがどういう行動をとったのか。
あるいは、ムハンマドの部下が何かをやったときにムハンマドがそれを止めなかったというものそういうものを積み重ねた結果こういうものがあるよ。
つまり、戦争のルールですよ。
今から1000年から1400年前に行われた戦争のときのルールというのがこう定められたわけですね。
でも、たとえば今のイスラム教の近代国家においては独自に、それぞれ憲法があり法律があるわけですよね。
これは、これでイスラムの教えはあるけれども今の近代法によってそれぞれ裁きましょう。
あるいは、戦争で捕虜にとったらジュネーブ条約にのっとって人道的に扱わなければいけないという国際的な約束があるわけですよね。
それを守ろうというのが基本的な考え方としてイスラム世界の国々にはあるわけですがこの自称イスラム国の連中は1400年前のあのころが理想だった。
1400年前のあの当時を現代によみがえらそうというのが彼らの考え方ですからこういう近代法の概念とか国際条約というのは全く眼中になくて1400年前のルールを現代に適用しようとこういう理屈をつけているということなんです。
≫だからイスラム教の教えでってずっと言ったりしてるんですね。
≫彼らは言ってるんです。
これはイスラム教の教えにのっとっているんだ。
彼らは言っているんですが大多数のイスラム教徒の人たちはそんなことは思っていないわけですよね。
それは、1000年ぐらい前にルールとしてできたもので現代は現代のルールがあると思っているわけですが彼らはそう言っているということです。
≫でも、イスラム国はどうやって支配地域を統治しているんでしょうか。
≫そこでそのリーダーというのがアブバクル・バクダディ容疑者。
いわゆる自称イスラム国の最高指導者という人物です。
これ、最高指導者、カリフという言い方をしています。
カリフというのは預言者ムハンマドの後継者という意味ですね。
歴史上、ムハンマドの後継者最初のカリフはアブバクルという人だったんです。
だから、彼は本名は全然違うのにそのアブバクルを名乗っているんです。
アブバクルというと、みんながああ、カリフだなって思ってもらえるようにといってこの名前を名乗っているということなんですね。
この人物がどういう人物かと思うとここに、腕時計があるでしょ。
この腕時計がチラッと写っていますよね。
これだけでブランドに詳しい人はああ、これは6000ドルのブランド時計だと。
ざっと日本円にして70万円ぐらいですか。
そんな腕時計を身に着けているということを考えるとちょっとどんな人物かなというのは見えてくるかどうかということなんですが。
そして、彼ら、あそこの自称イスラム国というのを支配しているわけですね。
ここには、実は800万人の人たちが暮らしているんですよ。
つまり、よく黒ずくめの人たちが過激なことをやっている。
あんな連中ばっかりだと思うかもしれないけど実はそうじゃなくてこういう連中はいってみれば、自称イスラム国の軍隊組織と考えればいいわけで。
軍隊組織とは別にいわゆる住民といわれる人たちがいるわけですね。
これが実は800万人もいて。
もともとイラクの政府の役人だった人たちフセイン政権のもとでイラクを統治する官僚たちが2003年にアメリカがイラクを攻撃してフセイン政権が崩壊した。
あのとき役人たちも、みんな失業してしまったわけですね。
そういう連中が今、イスラム国で官僚になって国家組織を維持しているといわれているんですね。
税金の徴収もしているということなんですね。
≫本当に、国のように統治されているということなんですね。
≫当然のことながら不満を持ったりあるいは、逆らう人は容赦なく殺害されていますしあるいは、難民となって逃げてくる人もいる一方で逆らわなければそこでそのまま生活ができるとこういうやり方を取っていると。
これがイスラム国というわけですね。
≫でも、イスラム国という自称ですけどそこに入っている人たちというのはみんな過激な人たちなんですか?≫こういう連中ですね。
もともと、イラクあるいは、シリアにいた過激な人たちも集まっていますけれども今、彼らはものすごくインターネットを使って宣伝をしているわけですよね。
そうすると、例えば中東からヨーロッパやアメリカに移り住んだ移民の2世たち。
だから、もともとルーツは中東にあってイスラム教徒で、だけど親は、そういう紛争を嫌ってヨーロッパやアメリカに逃げてきた、その子どもたち。
キリスト教社会の中で阻害されたり、どうもそこに暮らせないような人たちがこのイスラム国のインターネットでの宣伝を見てお、ここに自分の生きがいがあると考えて、ここに集まってきているといわれていますね。
≫今、こちらの動画ですよねまさに。
≫そうですね。
こうやって、いろんな動画を出しては、これを公開しているということがあります。
宣伝といいますとこういうことがありましたよね。
ヨルダン人のパイロットが人質になった拘束されたというのがあります。
彼ですね。
この彼が、焼き殺される映像を編集して、これをネットに公開したということもあります。
あれを見るとものすごく手が込んでいてCGなどを駆使して時間をかけて作られているんだなということがわかるんですが。
これが、多くのイスラム教徒の怒りを買っているんですよ。
焼き殺す映像なんですね。
焼き殺すというのはそもそも、アラーだけができることというふうにイスラム教徒たちは考えているんですね。
最後の審判というのがあってこの世の終わりが来たときに人々はみんなアラーの前に引き出されて生前のよい行いと、悪い行いが比較されて悪い行いのほうが多ければ地獄に落ちる。
地獄では永遠の炎に焼かれ尽くされるというふうにコーランに書いてあるんですね。
つまり、生きている人をそうやって炎で焼くというのはアラーしかできないことである。
それを、この連中はやったんだといってイスラム世界の人たちがみんなカンカンになって怒っているということがあります。
だから、これはここからイスラム国のことをそれでもなんとなく支持するように思っていた人たちがいるかもしれませんけれどもこの映像をきっかけにもうついていけない冗談じゃないという人たちが実は、いっぱい出てくるのではないかということですね。
更には、コーランにはこんな一節があります。
敵からやられたのと同じ方法で敵を罰せよ。
ある種の目には目を歯には歯をという考え方ですね。
ところがこれだけじゃないんです。
このあとにこう書いてあるんです。
だが、我慢することができるのであればそのほうがよい。
こういうふうにコーランには書いてあるんですが自称イスラム国の連中はここだけです。
だから、ヨルダン人のパイロットにしてみればヨルダン人のパイロットの空爆によって犠牲者になった人があるんだ。
その人たちと同じ目に遭わせてやるといってこれをやったということになるんですね。
≫あと、最近先ほどもありましたけどイスラム国の呼び方が変わったんですよね。
≫そうですね。
国会での例えば、安倍総理大臣の答弁のときに、ISILという言い方をしています。
これ、どういうことかといいますと…。
≫先月末から政府はイスラム国という呼び方を使わず、英語表記のISILで統一している。
その理由を安倍総理はこう発言。
≫このISIL。
一体どんな意味を持っているのかご存じですか?≫ちょっと、聞き慣れない方いらっしゃると思うんですがどういうことかといいますと英語表記で言いますとイスラミック・ステート・オブ・イラク・アンド・レバント。
イラク・レバントのイスラム国という意味なんですね。
この連中、もともとはイラクのイスラム国と名乗っていた小さな勢力だったんですね。
ところが、隣国シリアで内戦が始まりました。
これを見て、連中は今度は名前を、これに変えてシリアに入っていった。
つまりレバントというのはシリアも含まれるんです。
どこが含まれるかというとこちら、見てください。
レバント地方というのはシリア、レバノン、ヨルダンイスラエル。
レバントというのは歴史的に呼ぶ地域が変わっているんですが現在では、この辺りがレバント地方というんですね。
ということはあの連中が、イラクとレバントのイスラム国って名乗った段階でここを全部、自分たちのものにするんだぞという意味があった。
でも、レバントって日本ではピンとこないのでこれをイラクとシリアのイスラム国ISISというんですけどそういう表示の仕方をしていたところもある。
だけど、今、これがイラクに戻ってきて今度は地域名を全部やめてイスラム国と名乗ったわけですね。
ということはこれまでは、この地域を占領するといっていたんだけど地域名を外したということはもっともっと広い地域を自分たちの領土にするんだぞというこの宣言。
それは、安倍内閣としてはやっぱり、イスラム国っていうと誤解を招くからこういう言い方にしましょうと。
≫イスラム国のほかにイスラム過激派組織でたびたび話題になるのが女子生徒を200人以上誘拐し世界中を驚かせたアフリカ・ナイジェリアのボコ・ハラム。
更に…。
≫ノーベル平和賞受賞のマララさんを銃撃しニュースとなったパキスタン・タリバン運動。
ボコ・ハラムもパキスタン・タリバン運動もその残虐な行為で世界を震撼させていますが彼らとイスラム国って関係があるのでしょうか。
≫ボコ・ハラム、あるいはパキスタン・タリバン運動の一部の幹部はですねここへきてイスラム国に忠誠を誓うと言いだしたんです。
つまり、アブバクルがカリフだと名乗ったわけでしょ。
というと、イスラム教徒だからカリフに従わなければいけないといって突然、彼らに従いますといった。
そういう人たちがいるんですね。
以前は、そういう人たちはアルカイダ、反米テロ組織アルカイダに所属している人が多かったわけですが、ここへきてアルカイダからイスラム国に乗り換える過激派がどんどん出てきている。
アルカイダ系がどんどん減ってイスラム国だよっていう人たちが増えてきているということがあるんですね。
その結果どうなっているかというとそれぞれのところの過激派に関してイスラム国がそれぞれ勝手に州だと名づけて、州知事を任命するなんていうことを始めているんです。
イスラム国は一体どのような国家組織を考えているんだろうといって彼らが言っていることをもとに作ったものがあります。
イスラム国自身が発表したものではないんですけどイスラム国がいっていることをまとめたもの。
これ、アラビア語表記ですね。
これではわかりません。
日本語に直すとこうなっています。
例えば、最近アフガニスタンあるいはパキスタンをイスラム国ホラーサーン州って名前をつけて、州知事を任命したりしているんです。
将来的に北アフリカからヨーロッパ南部この辺りを全部イスラム国にしようという野望を持っていてそれぞれの州の名前も…。
≫フランスも違う州になってるんじゃないですか?≫アンダルス?これはスペインのアンダルシア地方です。
スペインのアンダルシア地方って昔、イスラム圏だったでしょ。
それを、だからスペインのカトリック教徒たちがそれを奪い返した国土回復運動ってありましたでしょ。
レコンキスタ。
イスラム教徒から取り戻したアンダルシア地方ですよね。
イスラム国からしてみるとキリスト教徒に取られてしまった土地を奪い返すんだ。
これを、だからアンダルス州と勝手に言っている。
≫ざっと見たところ州が10以上ありますけれども1つ1つの名前は何か意味があるんですか?≫これは、ホラーサーンは昔ながらの言い方が。
この地方、ホラサーン地方と言っていたことがあるんですね。
今でこそアフガニスタンやパキスタンという国になっていますが昔の呼び方。
あるいは、これはカフカーズ。
これはカフサス地方ですよね。
今のロシアのチェチェンです。
チェチェンに過激組織がいたりするでしょ。
ここも、だからイスラム国なんだよといってるわけです。
クルディスターンというのはクルド人の土地という意味です。
それぞれの昔ながらの言い方がこうなっている。
≫それは1400年前に基づいてそういう名前なんですかね。
昔は、そういうふうに呼ばれていたということですか?≫いや、1400年前にこれだけの地域があったというわけではないんです。
その後、伝統的にいろんな呼び方になってきて1400年前というのはあくまで、アラビア半島だけの小さな勢力だったわけですよね。
それが次第、次第に広がっていった。
そのあと、またキリスト教徒との争いによってまた小さくなってしまった。
一度は、取ったところを全部取り戻そうというのが彼らの野望なわけです。
≫それ以上、まだ広げようとしたりする可能性もあるわけですか。
≫とりあえずはこれが中期目標ですね。
ここまでになったらさあ、そのあと世界制覇ということを言い出すかもしれない。
≫広大な地域ですよね。
州と呼ぶにはあまりにも広すぎる。
≫ですよね。
だから、彼らは勝手に、こんなことまで青写真を描いているだろうとしてまとめられたものというわけですね。
となると、イラクとシリアのあの辺りのまだ、小さな勢力のように見えますけど彼らはとんでもない野望を≫今後、日本はイスラム国に対してどうやって対応していけばいいのかということですよね。
≫まさか日本として武力で対応するわけにいかないですよね。
じゃあ日本としてどんな貢献ができるんだろうかとなるとやはり、これは人道支援ということになります。
じゃあ、人道支援とはどういうものなのかということですが外務省のホームページにこう書いてあります。
紛争の被害者や自然災害の被災者の生命・尊厳安全を確保するために援助物資やサービス等を提供する行為というわけですが今、イスラム国によって戦争状態になっているわけですよね。
それによって多くの難民が生まれている。
そういう人たちの生命・尊厳・安全を確保するために例えば援助物資を送るという。
例えばサービスを提供するというのは国際機関に協力をしてそういう国際機関の人たちがそこに人道援助に出かけるそういうことをやっていこう、これが基本的な考え方ですよね。
日本としては、やはりこれしかできないあるいは、これが日本のやり方であるというわけです。
そして、それについてはこの身代金の要求が出る前に安倍総理大臣が中東を訪問しましてカイロで演説をしたわけですね。
そのカイロでの演説このようなものでした。
これ、地道な人材開発インフラ整備を含めISILと戦う周辺各国に総額で2億ドル程度支援をお約束しますと。
こういう演説をしたら突然、彼らが2億ドルと支援すると言うのなら我々は、2億ドルを身代金として要求するとこういう言い方をしたというわけですね。
これ、もともとこの前段に言えばですね例えば人道支援とか非軍事の分野ではと安倍総理大臣が発言しているんですね。
軍事じゃないよ。
あくまで、ISILと戦う国々を支援するよというふうに言ったんですが彼らは、また独特な判断をするわけですね。
彼らは日本が十字軍に参加したという言い方をします。
十字軍というのはイスラム世界においてはヨーロッパのキリスト教徒が突然攻めてきたこういう思いがあるわけです。
十字軍というのが一番非難する言葉になるんです。
日本が十字軍に参加したという言い方をした。
どういうことかといいますとISILと戦う周辺各国と。
こういう言い方を日本がした。
こういうときに戦うという言い方をfightという言葉を使うと刺激的であるということで日本政府、外務省としてはちょっと弱めたcontendという言い方にしたんですね。
fightingというと文字どおりISILと武器で戦っている。
戦争で戦っている国を支援しますよという言い方をすると、ちょっと刺激的過ぎるかなと。
contendという言い方ですと論争するとか本当に全部むき出しの殺し合いという意味よりももう少し弱くなるわけです。
つまり、ISILが拡大することに困っているそれをなんとかしようとしている国々に支援しますよとこういう意味でこういう言い方をしたんですね。
しかし、こういうところにインフラ整備をこういう国々に対する人材開発やインフラ整備をする。
私たちにしてみればそれぞれの人たちのために平和的な援助をするんだよねと受け止めますよね。
ところが、彼らはこういう国々にインフラ整備?インフラ?ひょっとして戦争のためのインフラか?人材開発?兵士を育成するのか?などととんでもない言いがかりといいますかそういう解釈をした可能性があるということなんですよ。
そして、更に安倍総理大臣がそのあと殺害が明らかになったあとこう発言しましたよね。
テロリストたちを絶対に許さないと。
その罪を償わせるために国際社会と連携してまいります。
これ、どういう意味だと受け止めました?罪を償わせるってどういう意味か。
つまり、あくまで法的に法律で裁くんだよというのが日本の考え方ですよね。
だから、日本人はこれは法律的に裁くんだなと思うんですがこれが、海外は思わぬ反応をしたということがあります。
アメリカのニューヨーク・タイムズはこう書きました。
過激派の暴力に指導者が直面した際こうした報復の誓いは西側では普通だろうが対立を嫌う日本では異例だ。
つまり、報復の誓いこういうふうに例えばニューヨーク・タイムズが受け止めているということはイスラム国の連中も、日本が特殊部隊の軍隊でも送ってきて我々を攻撃するんだろうかと思ったかもしれない。
ここはわかりませんけどね。
ニューヨーク・タイムズがこんなふうに誤解するということはイスラム国の連中もそう考えるかもしれない。
私たちにとってはそんな気あるわけないですよね。
≫言葉って難しいですね、でも。
≫我々の常識で言うと自衛隊を派遣して戦うなんてことは全く考えていないわけですよね。
あくまで、これは関係各国と協力して裁きにかけようということを言ったのにすぎないのに思わぬ受け止め方をされたのかもしれないと考えると私たちが、日本の国内で常識的に使っている言葉があの連中には、通じないかもしれないということを考えていかない配慮しないといけないということなんでしょうね。
≫こうやって戦ったり報復と言ったりいつ、終わりがくるんですかね。
≫そこですよね。
じゃあ、イスラム国っていうのが今、どれくらいの面積を占めているかという地図がこれです。
イスラム国活動地域ということでイラク、そしてシリアにまたがったところで彼らはラッカというところをここが自分たちの首都だと勝手に宣言をしているんです。
一時は、これがかなり広がってきたんですがこのところ、例えばバグダッドの辺りでもこの勢力の活動をかなり抑えることができたり。
あるいはこちらの辺りにクルド人自治区というのがあるんですがそのクルド人たちが自分たちの土地を守ろうとして民兵たちが奮闘した結果イスラム国の攻撃をかなり押し返しているということがあって一時は、これだけの面積になったんですがこのところ、ちょっと面積が小さくなりつつある。
でも、まだまだこれだけの面積を持っている。
この支配地域全体をざっくりいうとイギリスと同じぐらいの面積があるんですよ。
ということは、じゃあ、これをなんとかしなければいけないそうなると、さあ、アメリカは何をするんだということを≫今、中東は怖い、危険だと思っている方がたくさんいると思うんですけれども。
行っていいものなのかどうなのか。
≫これは日本に置き換えてみたらどうでしょうか。
アジアのどこかの国でテロが起きた。
アジアにいる日本は怖いよね。
行くのやめようといわれたらどう思いますか?≫ちょっと違うかなと思います。
≫いやだなと思いますよね。
つまり、中東だって安全な国だってあるわけですよね。
中東なだけで行くのやめる人がいたらどう思いますかねということなんですよ。
だから、中東が危ないということではなくてそれぞれの基準のようなものがあって外務省が海外についての渡航情報というのを毎日毎日、更新しています。
例えば、こちら最新のを見ますと4段階に分かれていましてね。
緑色のところは大丈夫なんですね。
黄色いところは十分注意してくださいね。
それから薄いオレンジ色のところは渡航の是非を検討してください。
更にオレンジ色が濃くなりますと渡航の延期をお勧めします。
そして赤いところは退避を勧告します。
渡航は延期してください。
ここは行かないでくださいとなるわけです。
中東を見てください。
とても安全なところがあるでしょう。
緑色のところがありますでしょ。
ここは安全なんだよ。
あるいは黄色いところは十分注意すればいいんだよということですね。
≫でも、思ったよりも範囲が広くて色のついているグリーン以外のところは全部、もめごとが何かしらあるってことなんですか?≫そうなんです。
これも例えば、ロシアというとロシアでもごく一部でテロリストの活動はあるわけですけど。
国として、これを指定しちゃってるものだからものすごく、みんな危険のように見えますけどもちろん必ずしもそうではないということです。
≫これは毎日更新しているんですか?≫そうですね。
≫赤いところでもここから先がイスラム国とかわかるようになってるんですか。
≫赤いところでもそれぞれの国の中で赤くなっているところとなっていないところがあったりするわけです。
例えば、これもイラクでも南部のバスラの辺りは薄いオレンジ。
そこから先イスラム国のほうに近づくとだんだん、濃い赤い色になる。
拡大図があります。
例えばクウェートは全然、赤くないわけでしょ。
クウェートは黄色ですよね。
そこから先、バスラの辺りはちょっとオレンジ色でそこから先が赤くなっているということでそれぞれ仕事あるいは旅行で行くときにさあ、どうしたものなのかなってことをこれを見ながら考えていただければと思うんですね。
あるいは海外に住んでいる人に対して外務省が3月から、こんなシステムを運用することになりました。
一斉通報・安否確認システムというものでしてそれぞれ、在留邦人というそこに住んでいる人は大使館であるとか領事館にここに住んでますよということを届けるわけです。
そうすると、携帯メールに一斉にさまざまな情報がきてそれに対して返信をすればすぐに、そこにいる日本人が安全かどうなのかということを瞬時に大使館が把握できるという仕組み。
≫こうやって見てきますと中東とかイスラムってひと口でくくるわけにはいかないということがわかると思うんですが。
さあ、ここまで見てきて北斗さん、いかがでした?≫やはりイスラム教の方たちがみんな同じように見られてしまいがちじゃないですか。
それでも、本当にイスラム国といわれている過激派の人たちがほんの一部のことだということが今日はわかったので勉強になりました。
≫ありがとうございました。
有賀さんは?≫私は部分的なんですけどニュース用語でジハードというのが聖戦で戦いだと思っていたら神のために奮闘し、努力することってのが本当の意味で本当に衝撃的でした。
≫そういう意味では私たち誤解しているということも多いっていうことですね。
磯野さん、いかがですか?≫1日5回お祈り、礼拝。
あれは何を祈ってるんですか?≫アラーをひたすらお祈りする。
ありがとうとかあるいは自分がこうやって生きていることもものを食べられることも感謝であったり、あるいはこの世の終わりがきたときにぜひ、天国にいけますようにとかいろんな思いでお祈りをしています。
橋之助さんはいかがですか?≫コーランだとかねすごい何千年も前のものがちゃんと残ってそれがもとになってよくも悪くもいろんな疑問がありましたが今日はよくわかりました。
2015/02/09(月) 19:00〜21:48
ABCテレビ1
池上彰が伝えたいこと 実はみんな知らない日本 そして生放送で「イスラム国」問題[字]

仏教・神社・日本語…日本に暮らしているのに意外と知らない日本について池上彰が徹底解説!!さらに、「イスラム国」について生放送で解説します。

詳細情報
◇番組内容
日本に暮らしていて、誰もが知っているのに、実は説明できないもの…意外と知らない日本について池上彰が解説します。皆さんは「神様」と聞くと何を想像しますか?そもそもお寺と神社は何が違う?日本語はどうしてひらがな・カタカナ・漢字があるの?憲法って守らないとどうなるの?逮捕されるの?など、基礎の基礎から分かりやすく解説します!
◇番組内容2
さらに、池上彰が「イスラム国」はなぜテロ行為を続けるのか、日本はどう対応していけばいいのか、生放送で詳しく解説します。
◇出演者
【解説】池上彰
【進行】宇賀なつみ(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】市毛良枝・片岡鶴太郎・北村晴男・カンニング竹山・坂下千里子・押切もえ・渡辺裕太・橋本奈々未(乃木坂46) ほか

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ニュース/報道 – 解説
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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