(日野和正)へえ〜木島君土門さんに憧れて捜査一課に来たんだ。
(涌田亜美)正確には所轄の時に土門さんと出会ってフラグが立ったみたいですけど。
(相馬涼)ほお〜さすが後輩。
よく知ってるな。
私の過去ログによると37回ほど聞かされました。
(木島修平)だってマジでかっこよかったんですよ。
所轄の新米刑事だった俺を一人前の刑事として扱ってくれたし。
(宇佐見裕也)土門さんらしいですね。
だから土門さんの部下になれた時誓ったんです。
もう絶対土門さんのそばを離れないって。
(ため息)なのに…。
なんでそこで落ち込むわけ?なんかよくわかんなくなっちゃって。
僕は本当に土門さんの役に立ってるのか部下として信頼されてるのかって。
うーんまあ権藤さんレベルにはまだまだって感じだよね。
(笑い声)権藤さん?who?亜美君は知らなかったよな。
木島君の前に土門さんと組んでた刑事さんなんだけどある事件に巻き込まれた女子高生を守ろうとして…。
えっ?木島さんも知らなかったんだ。
いや殉職した刑事がいた話は知ってますけど…。
(榊マリコ)お疲れさまでした。
ご苦労さまでした。
そっか今日は月命日だったわよね。
(土門薫)ああ。
もうじき1年になる。
二階級特進で警部。
今じゃやつの方が上役だ。
だったら土門さんも警部を目指してみれば?いや…。
たとえ警部になれても俺はやつには追いつけない。
えっ?死んだ人間には誰も追いつけないんだ。
(木島修平)あの…。
俺が来る前に亡くなった権藤さんって土門さんの部下だったんですよね?
(土門薫)うん。
今度よかったら権藤刑事の事詳しく聞かせてもらえませんか?悪いがお前に話すような事は何もない。
(佐伯志信)誰か…!誰か!本部長どうしました?
(佐伯)おおちょっとちょっと…君たち来て…!
(木島)ラニシン?触るな。
科捜研に連絡を。
(木島)はい。
(涌田亜美)この動画投稿サイトです。
(相馬涼)ラニシン…。
何それ?
(榊マリコ)リシンに似た毒性物質よ。
確か青酸カリの200倍の強い毒性を持つはず。
(日野和正)そんな物騒なものが本部長に送られてきたわけ?どうせイタズラじゃ…。
(宇佐見裕也)間違いなくラニシンでした。
(相馬)イタズラじゃなかったんだ…。
でもラニシンは構造が複雑で確実な製法も見つかっていない極めて珍しい毒物のはず。
ええ。
少なくとも国内に存在した記録はありません。
でも現にこうして…。
(相馬)嘘!これって犯行予告?しかも15日って今日ですよ。
ラニシンに対する解毒薬は?製法と同じでまだ見つかっていません。
(携帯電話)もしもし土門さん。
えっ?科捜研の榊です。
確かどこかで…。
(森脇治美)はい。
鷹城科学鑑定ラボラトリーで研究員をしていました森脇治美といいます。
鷹城さんの…。
ラニシンに心当たりがあるというお話でしたね。
前にラボで鑑定済みの報告書を整理していた時…。
ラニシン?
(鷹城京介)何してるんだ!ここはもういいから行きなさい。
はい…。
(治美の声)でもその報告書には依頼人の名前も連絡先も書かれていませんでした。
それはいつ頃の事ですか?私がラボに入ってすぐでしたから12年前です。
つまり鷹城さんは12年前ラニシンの鑑定をしていた。
(ノック)
(木島)失礼します。
京都拘置所と連絡が取れました。
鷹城は聴取を受けると言ったか?それが…科捜研の榊研究員と2人だけだったら話をしてもいいそう言っているそうです。
え?
(鷹城)ここは退屈でね。
鑑定はおろか科学的思考すら行う機会がなくて…。
時間がありません。
教えてください。
12年前誰の依頼でラニシンを鑑定したのか。
君が持つ私に関する知識情報あるいはこの部屋での私の反応それらを総動員して論理的に答えを導けばおのずと真実は明らかになる。
どういう事でしょう?鑑定だよ。
君に私を鑑定してもらおう。
本部長に届いた封筒は市販品で郵便局員や府警本部の職員佐伯本部長以外の指紋は出ませんでした。
(日野)宛名も定規を使って書かれていて筆跡の鑑定も無理でした。
(宇佐見)封筒自体からも犯人に繋がる微細物は見つかりません。
投函された時刻のポスト周辺の防犯カメラは?京都市内で一番大きな郵便局の管内です。
(亜美)人が多すぎて不審人物は絞り込めませんでした。
(木島)手がかりゼロって事ですか?いや最大の手がかりはラニシンそのものだ。
どういう事ですか?鷹城京介が自分のラボで密かにラニシンの鑑定をしたのは12年前だったそうです。
12年前って…あっ!
(相馬)まさにテロの脅威が世界を震撼させた年ですよね。
まさか12年前にテロリストが国内にラニシンを持ち込んだって事ですか?当時のあなたはDNAという限られた可能性の中で恋人を殺害した犯人を捜す事に必死だった。
復讐という大きな目標にまい進していたあなたがそれとは無関係な不正や犯罪に加担する理由はありません。
なおかつ私の知る鷹城さんは科学に対しては真摯であり私欲で動く人間でもない。
君にそう言われると光栄だ。
科学者の倫理として鑑定した毒物が猛毒性のあるラニシンだとわかった段階で当然通報したはずです。
なのに通報の記録は残っていない。
つまりラニシンの存在を隠蔽したのはあなたの意思ではなかった。
だとすれば考えられる可能性はただ1つ。
依頼した当人が警察組織だった場合。
いい調子です。
(佐久間誠)公安部?榊からの情報を元に調べた結果12年前鷹城京介にラニシンの鑑定を依頼したのは大阪府警の公安部でした。
大阪府警?そんな大がかりなテロ事件が起きたという記録などどこにもないだろう。
事件が公表される前に未遂で終わりなんらかの理由で公安部が握り潰したとは考えられませんか?だとすると12年前のテログループの残党が今回の事件の犯人って事か。
(ノック)
(日野)失礼します。
テロリストからのメッセージを発見しました。
(佐久間)何?例の投稿された動画の中です。
(相馬)画面全体がちらついているので最初はただのノイズだと思ったんですが…。
雪?雪が降る日を選んでまくつもりか。
まさか。
だってまだ11月ですよ。
ですが犯人は15日中には必ずと書いています。
とにかく雪に関係する企業や施設名前に雪がついている場所。
これらを徹底的に調べるんだ。
(佐久間)いいな?
(土門・木島)はい。
不審な人物や見覚えのない荷物は見てませんか?土門刑事。
心当たりはないそうです。
次は三班と合流して上京区に回れ。
はい。
(携帯電話)土門だどうした?市内のスケート場は全て異常なしでした。
だったら製氷会社まで捜査範囲を広げろ。
わかりました!
(日野)雪美谷でもなかったし雪彗寺も違ったか。
(日野)他に「雪」が付く地名はないのか?
(相馬)いやそう言われてももうこれ以上ないですよ。
いや「雪」と付かなくても雪を暗示する何かかもしれませんよ。
雪以外のキーワードで雪を示す何か…。
ヒット。
これ見てください。
(日野)京都キネマパーク?クリスマスツリーのお披露目ってまだ早すぎんだろ!いやでも「ひと足早いホワイトクリスマス」って…。
これって雪が降るって事ですよね?
(指を鳴らす音)キネマパークなら特殊効果で雪ぐらい降らせられるかも…。
(宇佐見)11月15日…今日の13時…。
土門刑事に大至急連絡!はい!あなたは大阪府警公安部から信頼されてラニシンを鑑定した。
その際事件に関する情報を最低限は教えられたに違いありません。
12年前どんな事件が起きたのか知っている事を全て教えてください。
(携帯電話の振動音)携帯出なくていいのかい?雪はもう降ったのかな?すみません。
京都府警です。
雪はどこから降りますか?あの降雪機ですが。
降雪機に毒物が仕掛けられた可能性があります。
イベントを中止して降雪機を止めてください。
ですがイベントの開始時刻と同時に雪を降らせるようにタイマーがセットしてあってすぐには…。
(木島)イベントの開始時刻って?
(スタッフ)あと2分ですが…。
ステージから客を遠ざけろ!お願いします。
(スタッフ)すみません道開けてください。
(スタッフ)道開けてくださいすみません。
皆さん緊急事態です!速やかにここから離れてください。
「申し訳ありませんイベント中止となります」すみませんすみません…!土門さん!危険です離れてください!これが降雪機か!
(相馬)多分タイマーはこの中です。
ここでは切れない。
電源探せ!
(相馬)了解!ダメです鍵かかってます。
だったらブレーカーを!
(相馬)はい!
(木島)危険ですから下がってください!下がってくださいお願いします!
(権藤克利の声)誓い合ったんです。
必ず本物の警察官になるんだって。
(降雪機の運転音)
(木島)土門さん!ううっ…!
(木島)土門さん!来るな!大丈夫だ。
恐らくただの塗料だ。
(藤倉甚一)ラニシンとやらは出たのか?
(宇佐見)降雪機からも雪からも検出されませんでした。
その代わりタンクの中に赤い塗料を入れた痕跡が…。
よし全員作業にかかれ!
(一同)はい!赤い塗料って…犯人が悪ふざけをしたって事ですか?犯人の狙いはわかりませんがもし塗料ではなくラニシンが混入されていたら大惨事は免れなかったはずです。
それを土門さんが…。
命を投げ出して防ごうとしたんですね。
(藤倉)生き急ぐのはここの刑事たちのはやりか?藤倉課長。
俺がここへ来る前…去年の冬も1人死んだな。
(藤倉)まあ殉職と言えば聞こえはいいが迷惑な話だ。
なんて事言うんですか!いくら課長でも言っていい事と悪い事があるんじゃないですか!?木島さん!いいか?組織の中で人が死ぬという事はただ死ぬんじゃない。
誰かが死なせたという事だ。
それぐらいは覚えておけ。
ひょっとして藤倉課長は権藤さんの死に対して上司だった土門さんは私たちなんかよりはるかに強く責任を感じてずっと引きずっているっていう事を言いたかったんじゃないんでしょうか。
悪いがお前に話すような事は何もない。
土門さん…。
俺は京都拘置所に行ってくる。
お前は府警本部に戻って12年前に何があったか洗え。
(木島)はい。
ムチャしたみたいね。
おかげでスーツが1着ダメになった。
まさかと思うけど…。
ん?権藤さんの事があったからそんなムチャをしたんじゃないわよね?どうしてそう思うんだ?上司として部下の権藤さんを死なせてしまった事を深く後悔しているからこそ自分も同じように命を危険にさらそうとした。
誤解するな。
降雪機の前に立った時俺は権藤に恥じない1人の警察官としてどうするべきか…そう考えただけだ。
権藤さんに恥じない…。
権藤は俺の命令を無視し単独で動き命を落とした。
警察官失格かもしれない。
だがその結果1人の市民の命を守った。
同じ状況に直面した時自分は権藤のように動けるか。
今生きている俺たち全ての警察官は常にその事を突きつけられているんだ。
それより鷹城はどうだ?雪の事も知っていたし12年前の事件を知っているのは間違いないわ。
なのに肝心な事は…。
自分を捕まえた警察に協力する気はないって事か。
だからってテロリストの味方をするとはな。
ねえ犯人は本当にテロリストだと思う?どういう事だ?投稿された予告や今回の赤い塗料…。
テロというより単なる愉快犯みたいな行動じゃない?捜査の撹乱を狙ってるって事か?テロを連想させるような派手な事件を起こしそれらを隠れ蓑にして…。
犯人は何か別の計画を進めているとしたら…。
それと同じ事が12年前にも起きてるはずだ。
なんとかして鷹城の口を割らせる事は出来ないか?1つだけ方法があるわ。
検査を承諾して頂きありがとうございます。
いや科学鑑定をする者としてポリグラフ検査は一度受けてみたかった。
検査方法はご存じですよね。
全ての質問に「いいえ」で答えてください。
最初の質問です。
今回の事件の犯人の目的はテロ行為ですか?いいえ。
《テロではない…》犯人の狙いはテロ行為以外の何かですか?いいえ。
《やはり犯行には別の目的がある…》
(秘書)社長宛に都京一様からお手紙が…。
(海沼茂和)聞いた事ないな…。
いや開けてみて。
社長これ…!どうした?
(海沼)ラニシン…?12年前佐伯本部長は大阪府警で刑事部長をされていましたね?いきなりなんの話だね?封筒が届いた時「ラニシン」と書かれた白い粉を見ただけでどうしてあれほど取り乱されたんですか?それはだね…。
12年前ラニシンを使った事件が起きた事をご存じだったからではありませんか?刑事部には公安が使うテロ事案の情報なんてものは一切上がってこないんだ。
私が知るわけないだろう。
テロ事案でなかったとしたらいかがですか?犯人の狙いがテロでなかったとすれば…。
例えばテロを装った企業恐喝ですか?いいえ。
(佐伯)12年前のターゲットはね大手飲料メーカーだった。
ホシは社長にラニシンを送りつけ原料タンクに入れられたくなかったら5000万円を払えと要求してきたんだ。
それでメーカーはどうしたんですか?ああ…。
愚かな事にねえ…警察には届けずホシに5000万円を渡したんだ。
ところが図に乗ったホシはさらに1億円払えと要求してきた。
そこで初めてメーカー側は大阪府警に泣きついてきたというわけだ。
犯人グループがテロ集団であるという可能性に備え公安部が担当し鷹城のラボにラニシンの鑑定を依頼したというわけですか?まあもっとも私たち刑事部が知らされたのは事件が片づいたあとだったがね。
犯人は何者だったんですか?尾藤充…。
(佐伯)当時は大阪理科大学理学部の助手だった。
(佐伯)毒性タンパク質の研究を重ねるうちに実験室で偶然にもラニシンの合成に成功した。
(尾藤充)ラニシン…。
(佐伯)しかしその後同じ方法を何百回繰り返しても二度とラニシンを作る事は出来なかった。
(佐伯)残ったのはわずか112ミリグラムのラニシンだけだった。
でもどうしてそれが企業恐喝なんかに?尾藤という男の心に魔が差したんだ。
犯人の尾藤は今どこにいるんです?もういないよ。
(佐伯)飲料メーカーに二度目の金を要求した尾藤を公安部は受け渡し場所で確保しようとした。
(パトカーのサイレン)うわあっ!
(佐伯)逃げようとして海に飛び込み翌朝遺体で見つかった。
ですがそんな事件記録には何も…。
恐らく風評被害を恐れた飲料メーカーの希望と公安部の圧力で事件は単なる恐喝未遂の末の事故死として刑事部に回された…。
そんなところでしょうか?捜査資料から「ラニシン」という言葉を全て削除してな。
当然尾藤の周辺を根こそぎ調べたはずです。
ラニシンは見つからなかったんですか?全て海に溶けた。
それが公安部の答えだ。
12年前ラニシンは海に溶けてなくなったんですか?いいえ。
《間違いないラニシンは残っていた》あなたは公安部と取引をしてラニシンの鑑定をした事を極秘にする代わりに…犯人に関する資料や事件の情報を手に入れたのですか?いいえ。
あなたは今回の犯人が誰か知っているんですか?いいえ。
誰なんです?教えてください!いいえ。
検査は終わりです。
科学者として忠告しておく。
ラニシンは神のごとく万能だ。
どんな物質でもその毒性を抑える事は出来ない。
たとえアトロイシンやプラミドリン硫酸アルミニウムでもね…。
土門さんどうかした?企業恐喝事件が起きた。
相手はテクノコメットというIT企業だ。
左京区の本社についさっき脅迫状が届いた。
同封されていた粉末を宇佐見研究員が調べた結果同じラニシンだった。
要求は?5000万円だ。
犯人は社長1人で運ぶ事を要求している。
金額も12年前と一緒だ。
土門さん鷹城京介は今回の犯人が何者か絶対に知っているわ。
もう一度だけ彼と話してみる。
(海沼)あの…私が運ばないとダメなんでしょうか?脅迫状には社長が運ぶようにと指示があり守られない場合は即刻取引を中止するとありました。
わかりました。
犯人が見つかったのか?はい。
京都キネマパークの防犯カメラから亜美君が。
昨日の深夜の映像です。
(相馬)用心深いやつです。
手袋に靴カバー。
指紋もゲソ痕も出ないわけです。
もう少し大きくならないのか?拡大鮮明化します。
(佐久間)男だな。
案外若いぞ…。
私が知りたいのは動機です。
動機…犯人の?いいえ。
鷹城さんあなたがどうして犯人を知りながらもそれを明らかにしないのか。
その動機です。
あなたは理性的な人間です。
警察をからかって喜びを得るようなタイプではない。
その行動には首尾一貫して明確な動機がある。
あなたが犯した犯罪もそうでした。
20年前妊娠中だった恋人とその父親を殺害して逃げた犯人を執念深く捜し出し殺害しようと計画した。
ここから読み取れる行動の動機づけは1つ。
理不尽な犯罪で愛する人を失ったやり場のない深い悲しみ。
あなたが今回の犯人をかばう理由があるとすればそれは…犯人が同じ境遇にあるから。
さすがだね。
そこまでわかってくれるのはやはり榊マリコだけだ。
それならば犯人が誰なのか教えてください!そのために私をここに呼んだんじゃないんですか?人を信じすぎるのが君の欠点だ。
え?私が君を恨んでないなどと思っていたのか?私の恋人を殺した男をもう少しのところで君は救い出した。
だから私は…。
だったらどうして私をここに!?科学鑑定に携わる者にとって最も苦しいのは真実が手を伸ばせば届くところにあるとわかっているのに手が届かない事。
そう…今のこの状況のようにね。
私は君が苦しむ顔を見たかった。
覚えておくといい。
復讐は目に見えず燃える炎だ。
簡単には消せない。
だとしても…私は絶対に止めてみせます。
(佐久間)運転免許でヒットしなかった…。
一体誰なんだ?こいつは。
(亜美)いました。
パスポートでヒットしました。
(日野)谷津勝成。
1900…。
25歳!12年前はまだ中学生だぞ。
死亡した尾藤充には息子がいました!長男勝成。
事件のあと母方の姓に変わっています。
母親の姓は…谷津!間違いありません。
こいつが犯人です。
榊さん!犯人がわかりました。
12年前に亡くなった尾藤充の息子です。
やっぱり…。
何がやっぱりなんだ?鷹城が犯人をかばっているのは犯人も同じように愛する人を理不尽に奪われたから。
じゃあ12年前に死んだ犯人のその息子が犯行を再現してるって言うのかね?それと鷹城ラボで研究員をしていた森脇治美さんに確認を取ったところ…。
若い男が鷹城ラボに?はい。
鷹城に伝言を頼まれました。
伝言ってどんな?「尾藤充の息子が来た」そう伝えればわかるって…。
それで私が弁護士の先生を通して鷹城に。
これでようやくわかったわ。
今回の事件が谷津勝成の犯行だと鷹城が知っていた理由が…。
マリコさんちょうどよかった。
何?ラニシンの量を調べてみたんです。
量って?12年前に尾藤充が合成したラニシンは112ミリグラム。
そのうち12年前の企業恐喝に使用された分を除くと56ミリグラム。
(木島)それがなんらかの方法によって尾藤の息子の谷津勝成の手に渡ったという事ですよね。
仮にそうだとしても今回佐伯本部長とテクノコメットに送られた分を合わせるとラニシンをほとんど使い切った計算になるんです。
犯人の元にはもうラニシンは残ってないって事?正確には1.5ミリグラム残っている計算です。
それって…成人男性1人分の致死量?ちょっと待て。
なんの事だかさっぱりわからんなあ。
もし12年前と同じ恐喝が目的なら万が一テクノコメットが失敗しても次に別の企業を狙うかもしれないのに…。
まさか恐喝が本当の目的じゃないとしたら…。
復讐は目に見えず燃える炎だ。
犯人の谷津勝成の目的は12年前の事件の再現じゃなく復讐…。
(木島)谷津が最後のラニシンを使うっていう事ですか?土門さんは?土門さんならもう現金の受け渡し場所に…。
こんなものでラニシンを抑えられるんでしょうか?わからないけど今はこれにかけるしかない。
(バイクの走行音)何っ!?取引現場に犯人が現れた。
ラニシンを所持しているか確認を急げ!自分も現場に向かいます。
ああ頼むぞ。
待って!持っていってほしいものがあるわ。
あっ!金は用意した。
さっさと持ってけ!谷津勝成だな?
(谷津勝成)ええ。
ラニシンはもうほとんど残ってないんだろう?
(谷津)へえそこまでバレてるんだ。
まあ1人分あれば十分なんだけど。
よくも親父を見殺しにしたな。
(谷津)親父と同級生だったお前は親父が偶然ラニシンの合成に成功した事を聞いて…。
なあ俺にいい計画があるんだ。
こんな世紀の発明役に立てない手はないだろう。
役に立てるって…。
(谷津の声)言葉巧みに親父をそそのかし企業恐喝を持ちかけた。
やった…!5000万だぞおい!まずいよやっぱり…こんなの。
何言ってんだよ。
ちょろいもんだぜ。
まだまだやれるぞ!
(谷津の声)ところが警察が動き出した事を知ったお前は二度目の金の受け渡しの直前に逃げ出しそのせいで親父は…。
親父は何度もやめようと言ったがお前は聞き入れず仕方なく親父は最後は自首しようと思って犯行の記録を全部ここに書き残したんだ。
降雪機にラニシンを入れたように見せかけるふざけた計画もそこにあったのか?ああ。
12年前は実行出来なかったみたいだけど。
ラニシンはどこで手に入れた?このノートと一緒にタイムカプセルサービスに預けてあった。
(谷津の声)日本に戻ってきてお袋の遺品の中からカードが出てきて引き取った中身を見てショックだった。
(谷津の声)親父はどうしようもない卑劣な犯罪者だずっとそう言われてきたのに…。
(谷津の声)利用されてたんだって初めて知った。
(谷津)12年前お前は経営してた会社が倒産して借金苦にあえいでいた。
なのに事件のあと借金を清算して今の会社を立ち上げ今や大手企業の社長だってな。
私は何も知らない!親父に全ての罪を被せ奪った金を独り占めして今の地位を手に入れた違うか!谷津!やめろ!親父のところへ行って謝れ!木島!
(木島)やあーっ!谷津勝成殺人未遂で現行犯逮捕。
(宇佐見)空気からもラニシンは検出されません。
もう安全です。
量が少なかったのが幸いしたのね。
でもマジでラニシン消火器で退治したんすか?正確には硫酸アルミニウムがラニシンの分子を皮膜状に覆って毒性を抑えたの。
凝固した。
そして化学泡消火器には硫酸アルミニウムが多量に含まれている。
なるほど。
だから木島っちに消火器を。
でもどうして硫酸アルミニウムにそんな効果があるってわかったんです?拘置所でポリグラフ検査の最後鷹城さんが教えてくれたの。
(鷹城)「ラニシンは神のごとく万能だ」「どんな物質でもその毒性を抑える事は出来ない」「たとえアトロイシンやプラミドリン」「硫酸アルミニウムでもね…」硫酸アルミニウムでは毒性を抑えられないその言葉は嘘だった。
鷹城さんは12年前の鑑定の際…。
すでに猛毒のラニシンに対する唯一の対抗策を見つけていたんだと思う。
それともう1つヒントをくれたわ。
復讐は目に見えず燃える炎だ。
簡単には消せない。
それで消火器か。
あなたにも話を伺わなくてはなりませんね。
まさかあんな男の言ってる事を信じたわけじゃないでしょう?ですがここにはあなたが犯した罪の全てが書かれています。
ゆっくり思い出してもらおうか。
連れてけ。
(刑事たち)はい。
(刑事)さあ…。
土門さん。
ん?どうした?
(木島)俺は権藤刑事にはなれません。
ん?刑事としても土門さんの部下としても張り合ったってかなうわけがないし。
もし同じ時がきても権藤さんと同じように行動出来るか…わかりません。
ああ…。
でも1つだけ言えるのは俺は絶対…何があっても土門さんのそばを離れません!このヤマが片づいたら飲みに行くか。
権藤の話を聞かせてやる。
1つわからないの。
ん?鷹城さんは復讐のために私を呼んだ。
そう言ったけど…同時に私にラニシンを抑える方法をわざと教えてくれた…。
それって矛盾してると思わない?案外止めてほしかったのかもな。
えっ?過去にとらわれ復讐に凝り固まる自分を誰かに止めてほしいそんな感情が芽生えていたのかもしれない。
人間どれだけ前を見ようとしても過去にとらわれ引きずり続けてしまうものだからな。
でも私は…。
忘れずに覚えている事と引きずる事は別だと思う。
2015/02/09(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
科捜研の女13[再][字]
「過去から来たテロリスト!獄中の鑑定対決マリコVS殺人科学者」
詳細情報
◇番組内容
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、犯罪現場に残された微細証拠を手がかりに、事件の真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、奥田恵梨華、長田成哉、崎本大海、田中健 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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