ました。
この華道展「うだつをいける」は、今月22日まで開かれています。
(里央)えっ?見直すってどういうことですか。
捜査方針を変えるんですか?張り込みを始めてまだ1カ月です。
(島田)もう1カ月だ。
・
(藤本)もう1カ月だ。
(里央)磯村は絶対に現れます。
(島田)その根拠は?・その根拠は?
(里央)刑事の勘です。
・アハハハハハ…。
何がおかしいんですか主任!
(島田)瀬川。
ここであきらめたくないんです。
(島田)瀬川。
はい。
(島田)お前のそういうとこがさ…。
うざいですか。
とにかく…。
んっ?磯村か?・おい聞いてんのか瀬川。
瀬川!おい聞いてんのか…。
あっ!応援要請お願いします!・瀬川!瀬川!うざくて結構!あっすいませんすいません。
・
(鍵の開く音)待て磯村!こら!
(踏切警報機の音)
(警笛)
(踏切警報機の音)おはようございます。
(警察官)おはようございます。
どういうことですか!
(藤本)後遺症もないんだって?鉄の女だね〜。
寝耳に水です。
2カ月ぶりに現場復帰した途端異動ってどういうことですか!けさまで人選難航してたみたい。
確かに…確かにあのときわたしが磯村を単独で追ったのは無謀でした。
でも…。
まあ聞けって。
でも磯村はその後非常線に引っ掛かり逮捕されました。
結果オーライね。
たとえあのときわたしが殉職していようともそれが犯人検挙につながったのであればそれは警察官として本望だったと思います。
ハァ…あ〜!うざいですか?どこに飛ばされるんですか。
「うざいわたし」はどこに飛ばされるんですか!極秘に新設される部署だそうだ。
えっ?
(藤本)警視庁本部内に。
本部?
(藤本)いつかは本部桜田門。
お前さんの野望がかなったんじゃないのか?よく分からないけどさ。
桜田門。
(芳樹)だからそれは誤解だってミキちゃん。
・
(女性)信じられない。
(芳樹)信じてくれよ。
俺にはミキちゃんしかいないんだから。
・じゃあ今から来て。
(芳樹)ちょっおいおい。
わがまま言うなよ…。
・今からすぐわたしに会いに来てよ。
・ほら都合が悪くなるとすぐそうやって黙る。
どうせ今もほかの女と一緒なんでしょ。
今からマジ死んでやるから!本気だからね!
(刑事)あっすいませんそこにあります。
(川崎)どこ?
(刑事)あっコピーの下。
あの…。
・
(寺西)瀬川。
寺西。
(寺西)大丈夫なの?傷は。
まあ鉄の女ってことで。
(岩崎)墨田署管内の路上で通り魔。
(小板橋)ガイ者の状況は?
(岩崎)鋭利な刃物で背後から一突き。
ほぼ即死の状態。
(杉浦)またかよ。
(寺西)特別警戒中だったのに。
3人目ですか?あっあの本日付で…。
・
(小板橋)専従班臨場!
(一同)はい!
(小板橋)君。
はい。
あっ。
(小板橋)瀬川里央君ね?あっよろしくお願いします。
課長の小板橋です。
あの私もすぐ現場に。
(小板橋)何で?いいよ君は別に。
いやしかし私も本日付で凶行犯捜査科…。
(小板橋)分室。
分室?あっ…。
そこ。
(杉浦)すまないね。
もともと倉庫だったもんでさ。
(小板橋)予算的に別の部屋空けるわけにもいかなかったんだよ。
ケチっただけじゃねえかよ。
ねえ。
どうも杉浦でございます。
あっ瀬川と申しますよろしくお願いします。
(杉浦)どうも。
今日から君がこの分室の室長です。
室長?おめでとう。
ちょっと早いけどお迎えに行ってくれる?お迎え?
(小板橋)うん。
(南雲)というわけで1964年3月ニューヨークで起きたこのキティ・ジェノベーゼ殺人事件がきっかけとなり1970年からラタネとダーリーによる援助行動についての研究が本格的に始められることになった。
最近この研究について学術的に貴重な教材となるものを手に入れたのでこれからみんなにも見てもらいます。
17歳になりました。
(南雲)これは2カ月前大井町の路上で起きた発砲事件を通行人が携帯で動画撮影していたものと近くのビルの防犯カメラに記録されていた映像を編集したものです。
(女性)観覧車いいよね。
(女性)ねえちゃんと撮ってんの?
(女性)誰か倒れた。
(南雲)警視庁の知り合いから譲ってもらってね。
いいだろ?
(学生たちの笑い声)
(学生たちのざわめき)
(千尋)どんくさっ。
(学生)あれだ美人刑事が撃たれたって何かの記事で見た。
(学生)ホントに美人か?
(学生)画質悪くて顔分かんねえし。
(南雲)ただみんなに注目してほしいのはこの美人かもしれない無鉄砲な女性刑事なんかじゃなくて…。
「なんか」って。
(南雲)周りの人たちだ。
状況的にとても面白いことになってる。
目の前を走る電車の大音量のせいで拳銃の発砲音はまず聞こえなかったと推察される。
(学生)死んじゃったんだっけ?あの人。
(学生)知らね。
よってその場にいた多くの人たちはこの女性がなぜ急にその場で倒れたのかその理由が分からない。
ましてやこの人が刑事だなんて分かるはずもない。
ここで面白いのはまさにこれがソーシャルインパクトセオリーを立証する絶好の場面になったことだ。
はいここテスト出るよ。
仮にこの場に人が2〜3人しかいなかった場合まずたいていはその人たちがすぐに彼女に駆け寄り助けようとする。
しかしこのようにおびただしい数の群衆の中で人が1人倒れた場合助けようという動きは格段に少なくなる。
ほら映像でも分かるね。
誰も倒れた彼女に駆け寄ろうとしていない。
つまりこれが人が多く集まってる空間に起こる集団心理の一つソーシャルインパクトセオリーによるもので責任分散とも呼ばれている。
一人一人の責任が分散されると途端に「誰かほかの人がやるだろう」という考えの下周りに合わせなかなか行動を起こさないようになる。
こういう場面はまず意図してつくれるものじゃない。
感謝しようなこの美人かもしれない女性刑事さんに。
はい!
(学生たちの笑い声)面白いだろ?心理学って。
先生その人死んじゃったの?どうなっちゃったの?知らない。
さっきも言ったとおりこの人が生きてるのか死んでるのかそんなのはどうでもいいの。
大事なのはこれがソーシャルインパクトセオリーの実証例だってこと…。
あの!生きてますけど。
全部ジャムパン?好きなんだただしこの一番シンプルなの。
果肉入りだとかやたら豪華ぶってるのは好きじゃない。
君は?いえ私は結構です。
いや君の好物。
別にこれといっては。
あっそう。
甘い物は苦手です。
珍しいね女の子なのに。
・
(アナウンサー)連続通り魔殺人事件の続報です。
東京墨田区内…。
ちょっちょっとちょっと大きくしてください。
はい。
(アナウンサー)通り魔によるものとみられる3人目の犠牲者が出ました。
凶器は前の2件と同じく鋭利な刃物によるものとみられ背中から一突きされた男性はほぼ即死の状態だったということです。
被害者男性は年齢が20歳代から30歳代。
身元が分かる物を何も持っておらず警視庁は男性の身元確認を急いでいます。
ガイ者が身元不明?そばにガイ者の携帯が落ちてたんだろ?そっから身元なんかすぐ割れんだろう。
(岩崎)携帯は本人名義じゃなかったんですよ。
(寺西)女性名義でした。
(小板橋)女?
(岩崎)はい。
その女が2台の携帯を契約し1台をガイ者に使わせてたってことです。
(小板橋)じゃあその女がガイ者に貢いでたって関係か?ってことでしょう。
(江藤)通話記録によると事件発生時はその女性と話してたようです。
(杉浦)彼女と話してる最中に後ろから「ずん」じゃあその女からガイ者の身元なんかすぐ割れるでしょう。
(寺西)それも駄目なんです。
(小板橋)えっ?
(みゆき)《彼とは半年前に繁華街で声掛けられて何となく付き合うことになったっていうか》
(寺西)《どこの生まれだとかどういう仕事をしてたとかそういう話くらい出たでしょ》
(みゆき)《そういうのなしで付き合うっていうルールだったし》《ルール?》
(みゆき)《お互い本名も明かさないでいようねって》《よくまあそんな相手と付き合えましたね》《だってそれわたしからお願いしたことだから》
(寺西・岩崎)《えっ?》
(みゆき)《お願いします》《わたしの名前とか職業とか秘密にしてもらえますよね?》《バレたりしませんよね?》《親とか親戚には知られたりしませんよね?》どういう女だよ。
私立高校の教師です。
(一同)教師!?
(岩崎)担当科目は古文。
高校教師の女が行きずりの男と遊んでたんすか。
さすがに素性を隠したくもなるか。
《もうおしまいだ》世も末だ。
・別にいいんじゃないかな大人なんだし。
あっすいません今戻りました。
こちら稜南大学文学部心理学科の南雲準教授です。
いや「准教授」ではなくて「準」は名前の方ですから。
「南雲準」教授です。
あっ!名刺持ってくるの忘れちゃった。
どうも課長の小板橋ですどうもお部屋あちらですから。
(寺西)どうも寺西です。
あっどうも…。
お部屋あちらです。
はあ。
あっ教育者は聖職だって考え方自体がそもそも偏見なんだし…。
あっご講議は後ほど。
えっ?
(小板橋)瀬川君。
あっはい。
教授。
いや仕事は仕事。
プライベートはプライベート。
法を犯さずに責任持って生活してれば別に何してもいいんじゃないかな。
瀬川。
あっはい。
教授あちらです。
うん。
(杉浦)あれが例のあれか?心理学の教授に捜査協力をねえ。
頭でっかちの連中の単なる思い付きなんですよ。
現場たたき上げのスキルだけじゃおっつけない事件が増えてきてるってことですかね。
悪かったねそりゃ。
いやすいませんあの杉さんのことじゃ…。
めんどくせえなああいうの。
理屈ばっかこねそうで。
いいから。
適当に受け流しときゃいいから。
息子さんに間違いありませんか?
(公男)間違いありません。
息子の芳樹です。
(美佐子のすすり泣き)結構イケメンだね。
あっ君タイプ?生前はかなりモテたろうな。
どういうおつもりですか!何が?教授は心理学がご専門ですよね?生きている人間を相手にする学問ですよね?いかにも。
被害者の遺体を見て何か分かるんですか?そりゃ無理だ。
死体を相手に心理学は通用しない。
だったら何なんですか!教授が遺体を見る意味なんかないじゃないですか!ただの興味本位だとしたら軽蔑します。
う〜ん。
あのご両親が息子さんの変わり果てた姿を前にどういう気持ちだったか分かんないんですか?心理学者なのに人の気持ちが分からないんですか!だから僕は…。
何ですか!説明してください。
今はやめとく。
どうして?平常時の君の呼吸は1分間に約16回。
しかし今は25回以上はある。
普段から人の呼吸数えてるんですか!それに冷や汗とその鼻の穴の不格好な広がり方から見て脈拍も血圧もかなり上昇してる。
はい?よって今の君は僕の話を冷静に聞ける精神状態ではないと判断される。
(寺西)やはりああいう場には居づらかったんでしょう。
僕も何度経験してもつらいです。
お気持ち分かります。
ご両親の様子は?
(寺西)相当なショックを受けてた。
息子さんが独立してから最近はほとんど会ってなかったそうだ。
久しぶりの親子の再会がこんな形で…。
結構裕福そうだったねあの両親。
八十島銀行の副頭取です。
八十島銀行?すげえ!じゃあ。
銀行の重役か。
だったら何ですか。
(寺西)瀬川とは警察学校が一緒だったんです。
あっそうなの?女だてらにって言ってはいけないですけどかなり熱いやつですが信頼はできるやつです。
知ってます。
じゃあ。
本部に戻るんでしょ?連れてってほしい所があるんだけど。
はい?いや〜一度見てみたかったんだ鑑識の作業。
こちら鑑識課の木下課長です。
どうも。
(木下)どうも。
(美奈)いい感じですね。
あっちょっと。
(美奈の笑い声)通常民間人は立ち入れない所なんです。
そういうの大好物。
今回の通り魔事件に関しご質問というのは?
(美奈)何でも聞いてください。
凶器の特定と3人の具体的な死因は?凶器についてはまだ調べ中ですが1人目の死因は腹部に3カ所。
こんな感じ?そんな感じ。
もうズブズブ。
あっ写真見ます?2人目はあごの下から斜め上約50度に。
こんな感じ?そんな感じ。
あっ写真見なくていいですか?3人目は背中から一突き。
こんな感じ?うっ…。
そんな感じ。
写真…。
(木下)ほかにご質問は?ないです。
では。
ちょっと。
課長怒ってる。
(木下)ちょっと。
はい?あなたの書かれた本何冊かは読みましたが…。
あっどうも。
あいにく家に置いてあるんで…。
サインを。
はい。
はい。
今後いつでもご協力いたします。
通り魔事件の捜査資料です。
持ち出しは厳禁です。
ありがとう。
ジャム落とさないでくださいよ。
みんなもう帰っちゃったんだ。
何言ってるんですか捜査員は寝る間も惜しんで聞き込みを重ねたり何か犯人に結び付く手掛かりはないかって何度も現場に足を運んで捜査をしているんですよ。
現場100回。
事件捜査の基本です。
小板橋課長は帰宅組ね。
(ため息)もうちゃかさないでください。
あの課長だって何かあればたとえ真夜中だって飛んで来ますから。
わたしたち警察官というのはそういうものですから。
はい。
机にかじりついてるだけじゃ何も分からないんです。
駄目でしょ学者にそれを言っちゃ。
あっ。
でホントは君もこんな所にいたくない。
現場に出て捜査に加わりたい。
できることならそうしたいです。
君は今事件捜査の最前線にいる。
えっ?僕と一緒に。
それは…。
あっ。
あ〜もう!ごめん。
あ〜もう…。
で何か分かったんですか?何が?昼間被害者の遺体確認に立ち会ってみて。
大丈夫です。
わたし今は冷静ですから。
知ってる。
僕は遺体が見たくてあの場にいたわけじゃない。
えっ?息子の遺体と対面する両親の表情を見てた。
表情?結論。
あの両親は何か隠してる。
何か重大なことを隠そう隠そうとしてそこからくる緊張が明らかに見て取れた。
えっでも…でも突然殺された息子さんの遺体を目の前に何を隠すっていうんですか?そこがね正直僕も戸惑った部分だ。
ああいう場面は僕も初体験だったから判断を誤る可能性がある。
それもあってあの場でうかつなことは言えなかった。
いや言ってたら大変なことになってました…。
君に連れ出されて僕も冷静になれた。
冷静じゃなかったんですか?君は僕の役に立つ。
そこで一つ君に頼みたいことが。
はい。
あ〜もうあの男絶対早死にする。
あ〜あ憧れの桜田門で何やってんだろわたし。
(ため息)《君は今事件捜査の最前線にいる》《僕と一緒に》
(ため息)お待たせしました。
勝手過ぎる。
(小板橋)マジか!マジなんだな?
(岩崎)間違いありません確認がとれました。
この3人のガイ者につながりがありましたよ。
(小板橋)ってことはこの3件のホシは…。
通り魔じゃない。
あっ。
捜査二課の内偵中のヤマでこれ借りてきました。
(岩崎)振り込め詐欺グループのメンバーだったんですよ。
振り込め詐欺?なるほど。
(杉浦)つながりが浮かんでこなかったわけだ。
お手柄だね岩崎ちゃん。
・
(江藤)お疲れさまです。
おうテラちゃんエトちゃんご苦労さん。
どうだった?彼らが出入りしていたバーのバーテンの証言がとれました。
グループ内の金の取り分でもめていたそうです。
(杉浦)仲間割れね。
しかもリーダーらしい男が口走っていたそうですあいつらを殺してやると。
(岩崎)リーダーの男…。
(岩崎)吉岡健一32歳無職。
現在二課でも所在がつかめてないそうです。
コイちゃん一刻も争うぞ。
こいつはほかのメンバーもやるかもしれん。
吉岡の立ち回り先突き止めろ。
見つけしだい確保!
(一同)はい!
(ため息)さすが八十島銀行の副頭取。
出勤時間遅らせて対応してくださるそうですから。
協力的だ。
何度も言いますけど今捜査の最優先は吉岡健一の確保で…。
(チャイム)お時間をとっていただき恐れ入ります。
(美佐子)驚きました。
まさか息子がそんな詐欺グループに。
信じられないお気持ちよく分かりますが。
(美佐子)何かの間違いじゃ…。
(公男)あのそちらは?あっ。
ああ。
僕は稜南大学で心理学を教えてましてこのたび警視庁から請われ極秘の捜査協力をしています。
はあ。
あっ!名刺忘れちゃった。
あっどうもどうも。
よろしくです。
まあ特に「人間の無意識の行動からその人の内面や性質を探る」というような分野の研究をしておりまして。
(公男)そういう方がどうしてわたしどもに…。
あっそれはですね…。
昨日の息子さんの遺体確認の際ですが心理学の面から見てお二人のご様子がかなり不可解でした。
教授。
どういう意味でしょうか。
つまり昨日あなた方が見せていたのは悲しみの感情もありましたが同時に安堵の気持ちも。
安堵?悲しい気持ち75%安堵の気持ち25%。
何を言ってるんだこの人は。
(美佐子)あっあの…。
悲しみの表情が左右不均衡でしたし息子さんの遺体を前にしたにもかかわらず驚きと悲しみの緊張状態というよりやけにリラックスした呼吸状態でした。
あっ演技をしても無駄です。
僕の目はその裏側を見る。
息子さんの遺体を前にして何を隠してるんですか?いいかげんにしてください!失礼にも限度がありますでしょ!帰って。
帰ってください。
あの両親が何かを隠しているとは思えません。
いやはっきりと確認できた。
えっ?何かを隠そうとして緊張状態であることはすぐに分かったよ。
まず2人とも異様に手が冷たかった。
あっじゃあそれで握手を?でもほかにじゃあ何を隠してると?いやそれを調べるのは僕の仕事じゃない。
あっただ次は母親の方とだけ話すべきだね。
母親とだけ?あの人は日常的に夫の支配下にある。
どんなささいなことでも夫の思いどおりにならなくてはいけない。
お茶の位置を直すだけでそんなことが分かるんですか?とにかく母親とだけ話すべきだ。
なるべく早く。
(ため息)さっきのあの感じでまた会ってくれますかね?あの母親からは僕らがいる間常にSOSのサインが発せられてた。
SOS?あの母親が僕らに対して常に警戒心をあらわにしたり激高していたのはだんなさんに対してそういう自分を見せるのに必死だったから。
だんなさんに対して?それは同時に無意識にその抑圧や支配から逃れたいというSOS信号でもある。
SOS…。
(公男)芳樹のことは忘れろ。
もう帰ってはこない。
(公男)犯罪を犯してたんだ。
生きてたとしたってこの先もうまともに生きられる未来もなかった。
今後警察から何か言ってきても一切応対するな。
電話にも出なくていい。
(美佐子)はい。
出掛ける。
(江藤)こら!
(寺西)おい!吉岡!
(一同の怒鳴り声)
(吉岡)放せ!
(江藤)てめえこらこっち来い!
(江藤)凶器押収!
(寺西)吉岡健一確保!
(吉岡)嘘じゃねえって!何度も言わせんなよ!
(小板橋)どう?杉さん。
(杉浦)おうげろったよ。
自分を裏切ったからやったんだってよ2人とも。
そう。
2人?
(杉浦)3番目はやってないって一点張りなんだよね。
やってるに決まってんでしょ吉岡が3人とも。
ちょっといい?3番目はさ犯人違うと思うんだ。
あのね。
瀬川!あっ室長さんなら出掛けてます。
どこに?あっ。
どうして電話に出ていただけないんですか?あの…あのすいませんお宅まで伺って申し訳ないんですけれども少しお話聞かせていただけませんか?あのお願いします少しでもいいんでお話をさせてください。
奥さんお願いします!
(小板橋)母親に話なんか聞いてどうするってんですか?それは聞いてみないと分かんないけど。
分かんないけどって…。
何か重大なことを隠してますよあそこの両親。
心理学か何かでそれが分かるのかい?はい。
じゃあ何で母親の方だけ。
母親単独からじゃないと意味ないし。
それも心理学?はい。
(岩崎)ほう。
奥さん!お願いします開けてください!近所迷惑なの分かってます!奥さんお願いします!奥さんと…奥さんと話がしたいんです!・お願いします開けてください!・お願いします奥さん話をさせてください!あなたを…あなたを助けたいんです!助けたいんです!
(ため息)
(小板橋)いくら暇だからってよもういい誰かあいつに電話して呼び戻せ。
(寺西)無理だと思います。
(小板橋)んっ?
(寺西)あいつは自分がこうと思ったら最後までやっちゃうやつで。
だから…。
だから撃たれちゃう。
僕も南雲教授の心理学のどうのって話は正直どうでもいいです。
ただあいつは瀬川は昨日今日刑事になったわけじゃありません。
あいつの刑事の勘は無視できません。
・
(美奈)失礼します。
吉岡から押収したナイフの鑑識結果が出ました。
1件目と2件目はガイ者の傷口と一致。
だけど3件目は一致しませんでした。
(江藤)えっ?
(小板橋)刃物を複数持ってる可能性がある。
ガサ入れだ。
(一同)はい。
(杉浦)なあコイちゃん。
(小板橋)はい。
その奥さんが聴取に応じるっていうんならよまあ分室新装開店のご祝儀っていうことで乗ってやったらどうかね。
(江藤)杉さん…。
(岩崎)本気ですか?
(小板橋)あのさ杉さん…。
(寺西)わざわざお越しいただきありがとうございます。
凶行犯捜査課の寺西と申します。
(杉浦)同じく杉浦と申します。
(杉浦)あの学者先生がお宅さまにどういった理屈を並べたかは存じません。
わたしはわたしなりのものの見方ってのがありましてね。
まあそういってもそのよりどころっつうのはですね現場でたたき上げてきた35年の経験の積み重ねだけなんですけどね。
その経験からですね今のあなたを見て思うことがあります。
さすが35年。
一瞬で見抜いた。
あんた今ひどい顔してる。
罪悪感に支配された極度の緊張状態だからね。
わたしの経験上そういう顔をした相手にはこう言って切り出すことにしてるんですよ。
そろそろ楽になりませんか?
(美佐子)芳樹は…。
一人息子なんです。
大事に…。
大事に育ててきたんです。
なのに中学のころから荒れ始めて…。
家庭内暴力を。
DV。
(美佐子)高校を中退してそれ以来まともに働きも…。
(杉浦)ニートってやつですな。
銀行の重役の息子が振り込め詐欺とはご主人も相当ショックだったでしょうな。
銀行のため職場の部下のため家族のためろくに遊びもせずまじめにあの子も…。
(美佐子)そんな父親の背中を見てきたはずなのに。
そのはずなのに…。
(芳樹)《うるせえよ!》《何で…》
(芳樹)《こんな俺を育てたのはなお前らなんだよ》《俺を止めたかったらな親父金出せ》《副頭取の息子が振り込め詐欺じゃまずいだろ?フッ》《芳樹。
あっ…》
(美佐子)もうぎりぎりだったんです。
限界だったんです。
(杉浦)息子さんを殺したのはご主人ですね?
(すすり泣き)ご主人を止めることはできなかったんですか?あなた奥さんでしょう!母親でしょうが!実の息子なのに。
実の息子だから。
教授は最初から分かってたんですか?1番目と2番目の殺しと3番目の違いは?3番目だけ背中から。
息子の正面に立てなかった。
父親だから。
いや父親なのに。
主人が…。
主人が一番つらかったんです。
顔を見たくなかった。
見られなかった。
最後の最後まで…。
向き合えなかった。
(小板橋)われわれは当初から被害者の1人の身元が判明しない時点でこれは犯人はほかにいると踏み捜査を続けてまいりました。
(せきばらい)結果…。
わたしの読みどおり事件の裏には何ともやるせない…。
父親と息子の確執が生んだ…。
全部小板橋課長の手柄になってる。
フッ。
つくづく分かりやすい人だ。
でもまあこれで一件落着ですね。
そういえば気になってることがあるんだけど。
んっ?まだ何か?ほらあの被害者と付き合ってた女性教師。
あ〜あの繁華街で男引っ掛けてた。
全部バレちゃったよね。
あ〜。
今相当まずい立場にあるだろうね。
(バイブレーターの音)はい。
えっ?あららららら…。
何とかしなきゃ。
そうだ教授説得してください心理学のスキルで。
無理。
どうして?高い所嫌い。
えっ?
(ため息)あっああ。
これから僕の言うことをよく覚えて。
えっ?自殺志願者に対する説得スキルだ。
その1絶対に大声は出さないこと。
バカなまねはやめなさい!早まるな!おい!いい?落ち着いて。
さあ。
その2決して命令してはいけない。
(みゆき)来ないで。
こっちに来なさい。
(舌打ち)言うことを聞きなさい!飛び降りるな!
(みゆき)来ないで!その3決して自分の考えを押し付けないこと。
そんなことないわたしがずっとそばにいてあげるから。
わたしが味方になってあげるから。
チッ。
まずい…相手に触るなよ自分も危険だぞ。
死ぬなんて許さないから!はっ!人生山あり谷あり。
どんなことも気合と根性で乗り切れるんだよ!ロジックを超えてる…。
2015/02/09(月) 14:57〜15:53
関西テレビ1
CONTROL 〜犯罪心理捜査〜 #01[再][字]
「顔は真実を隠せない!心理学でわかる事件の裏側」
松下奈緒 藤木直人 横山裕 泉谷しげる
詳細情報
番組内容
大井町署に勤務する熱血刑事・瀬川里央(松下奈緒)は、1カ月追い続けた犯人を発見。追いかけた先で犯人の放った銃弾に倒れる———。
2カ月後、復帰した里央が配属されたのは凶行犯捜査課の中に新設された“分室”。課長の小板橋正次(勝村政信)や杉浦幸造(泉谷しげる)に、里央は“室長”に任命されたことを告げられるが、共に任務に当たるのは稜南大学の心理学教授で厄介な南雲準(藤木直人)しかいなかった。
番組内容2
その頃、捜査課では通り魔事件をめぐって里央の同期の寺西景(横山裕)や岩崎幹也(北村有起哉)、江藤真人(与座嘉秋)ら捜査員たちが慌ただしく駆けずり回っていた。ようやく被害者の身元が楠田芳樹(篠田光亮)であることがわかり、両親に遺体確認をしてもらうことになったが、打ちひしがれる両親を前に平然と雑談をする南雲に里央は怒りを露わにする。さらに南雲は鑑識室に向かい、鑑識課課長の木下由紀夫(佐藤二朗)と、
番組内容3
写真班の香坂美奈(臼田あさ美)から芳樹を含め3件起きている連続通り魔殺人事件の凶器や死因について詳しく聞く。捜査員の地道な捜査で被害者3人は振り込め詐欺グループの仲間で、最近、金の取り分についてもめていたことがわかった。捜査課は行方不明のリーダーの捜索に入るが、南雲は里央にある人物に会いたいと言い出した…。
出演者
松下奈緒
藤木直人
横山裕
北村有起哉
臼田あさ美
佐藤二朗
与座嘉秋
奥村佳恵
*
勝村政信
泉谷しげる
ほか
原作・脚本
【脚本】
寺田敏雄
田辺満
ほか
監督・演出
【演出】
村上正典
城宝秀則
【編成企画】
鹿内植
【プロデュース】
貸川聡子
【アソシエイトプロデュース】
小椋久雄
音楽
井筒昭雄
【主題歌】
「銀河の星屑」桑田佳祐
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:24213(0x5E95)