「北海道中ひざくりげ」。
今回は弟子屈町の川湯温泉を訪ねます。
古くから湯治場として栄えてきた道内有数の温泉地。
ここ数年宿泊客が大きく減る中温泉街を立て直そうという取り組みが始まっています。
その切り札は…
道外から移住した人たちと地元の住民が手を携えての挑戦です
さまざまな人が集うぬくもりの温泉街。
新たな魅力を生み出そうと奮闘する人々に出会います
どうもありがとうございました。
はいありがとうございました。
釧路市の中心部から北へおよそ70キロ。
川湯温泉にやって来ました
足湯です。
入ってらっしゃる方がいますねえ。
こんにちは。
(女性たち)こんにちは。
ご一緒してもよろしいですか?
(女性たち)どうぞどうぞ。
おじゃまします。
旅人が気軽に立ち寄れる無料の足湯です
いつお見えになったんですか?ついさっきぐらいですね。
ずっとドライブをしながら。
そうですか。
でもやっぱり川湯の足湯の方が温まるんじゃないですか。
高いから。
うん。
源泉から湧き出るお湯は50℃以上。
お湯は硫黄を多く含む強い酸性。
湯量も豊富です
真っ赤っかになっちゃた。
もうだいぶ入ってるから。
いやいやいや。
屈斜路湖のほとり広大な自然が広がる国立公園の中に川湯温泉はあります
15軒の旅館とホテルがあり土産物店や飲食店が並びます
使われなくなった宿泊施設を新たによみがえらせようとしている人を訪ねました
こんにちは。
はい。
いやここの何というか…はい。
宿のご主人ではなくアートプロデューサーと名乗っています
拝見してもよろしいですか?どうぞ。
いきなりあの窓の外から何かちょっと…。
確か宿だと聞いてやって来たのですが…
おじゃまします。
失礼します。
何かいきなりこう…室内なのに屋外みたいな感じになってますね。
これは関口恒男さんという方の「レインボーハット」っていう作品です。
こちらはロビー。
今井さんが栃木県のアート作家に依頼して2か月かけて制作してもらいました
こいつがレインボーを作るいわば装置。
ちょっと揺らして頂いたら分かるんですけど。
こう朝の光が入って今あっちに反射して。
そうです。
なるほど。
でこれ水が揺らぐから虹がこういうふうに揺らぐわけですね。
面白い!
目指しているのは「泊まれる美術館」です
(今井)2階が客室になってるんですけども…。
今井さんは日本各地のアートフェスティバルに出向き若いアーティストと交流してきました
5つある客室は異なるアート作家に制作を依頼しそれぞれ全く趣が異なります
中でも取って置きの部屋があると言います
ちょっとだけお待ち下さい。
ちょっとだけお待ち下さいね〜。
こういうオブジェもね…作品があったり。
これは作家の名前でしょうかね。
野田さんという作家の…。
(物音)
(今井)どうぞ!何か音が聞こえてきましたけども。
ハッハッハッハッハッ!何だこりゃ!お〜!鹿の頭が回っていますね。
(今井)そうなんです。
鹿の剥製は改装する前からこの施設にあったもの。
それを生かしたいというアーティストの発案です
不思議と怖くないですね。
(今井)そうですね。
部屋全体で宇宙を表現しています
大体この辺の「後ろ向いたかな目が見えないぞ」というところでパチッと止めまして。
ああ静かになりました。
それでこちらに寝て頂くと。
ここに寝るんですか実際。
ここに布団ひいて寝て頂きます。
こうやって?これでもね鹿がこっち向いてても結構怖いですよやっぱり。
僕分かってるからいいけどここで夜これどういう気分になるんですかね?何かここに泊まってですね寝てたら急にこれがこう動き出すとちょっとまた怖いかなって。
これね夢に出ますよ。
今井さんは10年前京都から移住してきました。
もともとはテレビ番組を制作するディレクターだった今井さん。
さまざまな番組を作ってきましたが10年以上の長きにわたって取り組んできたのが温泉番組でした
移住の大きなきかっけは豊富で質の良いお湯
これまで500か所以上の温泉を回った今井さんをうならせたと言います
すっごいやっぱり酸性で濃いんですよねこの湯が。
この濃さがお好きなんですね?この濃さがいいですね。
今井さんはディレクターとしての経験から自然や温泉に何かをプラスできないかと考えるようになりました
かつて年間50万人もの宿泊客が訪れていた道東屈指の川湯温泉。
しかし観光客の多様化するニーズをつかみきれずこの30年余りでホテルや旅館が3/3にまで減りました
「何とか現状を打開したい」
夜今井たちさんの宿に住民たちが集まってきました
はいすいません部会やりま〜す。
やって来たのはホテルの経営者や大工など9人。
4年前からアートで町おこしをしようと活動してきた仲間たちです
一応先日も部会でちょっとしゃべらせて頂いたんですが…。
若いアート作家の作品を町内のあちらこちらに展示する事で観光客を呼び込もうとしています
手始めにホテルの壁に鹿やシマフクロウなど道東を代表する動物たちを描いてもらう事にしました
弟子屈の豊かな自然と住民が生み出すアート作品。
誰もが驚くような風景を作り出し訪れる人に楽しんでもらうのがねらいです
ホテル摩周さんで1場面目2場面目が道の駅3番目がどこどこ4番目がどこどことか…。
温泉という資源ばかりに頼るのではなく住民が新たな行動を起こす事で町の再生を図ろうとしています
・「若さにつまずいてベソをかいたあの夏の日」・「毎晩恋しくて北へ向かうバスに乗った」・「あの街を出る時に胸に誓った」・「父のような大人になって帰ってくるからと」言われると見えてきますね「極寒」。
尺八をポロロロッと吹きながらこれを「エイッ」つって砂湯の舞台の所で書いてくれたんですよ。
「北海道中ひざくりげ」。
今回は弟子屈町川湯温泉で町のためにと挑戦し続ける人々を訪ねています
今井さんたちの活動に関わる人が増える事で見直された地域の宝があります。
翌日宿の近くの店で朝食を取る事にしました
おはようございま〜す。
おはようございます。
朝御飯を頂く事はできますか?はいできます。
大丈夫ですか?では是非。
10年前に神戸から移住してきた…
温泉街で雑貨店を営んできました
岩さんは今年から今井さんに頼まれて宿泊客への食事作りを始めました。
そこで目を向けるようになったのがこの土地でとれる新鮮な野菜。
この日のメニューはかぼちゃの煮物に小松菜のお浸し白菜と玉ねぎのサラダです
いただきま〜す。
ん!うん。
(岩)アルデンテが好きなんで。
(岩)あえてほとんど薄くしょうゆとだしで炊いただけでかぼちゃの甘みだけで。
甘みが出てますね。
太ネギそれも近所で…川湯で作ってる太ネギを白髪ネギ状にして。
このネギまたしっかりしてるわ。
すっごいしっかりしてるでしょ。
岩さんはせっかくのすばらしい素材が注目されてこなかった事に気付きました
この日取って置きの野菜を仕入れに行くというので連れていってもらいました
おはようございま〜す。
(倉田)おはようございます。
いつもありがとうございます。
(岩)あります?今日も。
何かいいの。
おはようございます。
突然ついてきてしまいました。
地元で50年以上野菜を作ってきた…
今の時期にとれるんですねこれ。
最終です。
(岩)おいしいよ〜。
私いつもつまみ食いするんだ。
岩さんは倉田さんに会うのをいつも楽しみにしています
いやっ!いろいろあるじゃないですか。
ありますよ!
作っているのは30種類余り。
年中収穫できるように少しずつでもさまざまな野菜を育てるのが倉田さん流です
いろんなものをこう…。
この日の倉田さんのイチオシは畑からちょっと離れた場所にありました
川湯の湧き水で育つクレソンです
湧き水は水温が一定なのでこれからの寒い季節でも収穫できます
おいしそう。
これ用途は?ピザの上にのせます。
ピザに。
おいしいです。
あっめっちゃおいしいわ!そうそうそう。
ね?
岩さんとの新たな出会いが倉田さんのより一層の励みとなっています
アートの宿の雑木林。
岩さんが何やらまた新しい事を始めていました
これミズナラの木ですよね?はい。
これが結構でかいので。
集めているのはどんぐり。
なんとどんぐりを使って絵の具を作ろうというのです
岩ちゃん是非お店で。
じゃあ作ろうか。
手伝ってくれるのは…
ふだん自然素材を使ったクレヨンなどの画材を作っています
「どんぐりを絵の具にする鍵は温泉にある」と岩さんは言います
温泉の成分が固まって出来たこの部分
川湯の温泉にミョウバンが多く含まれている事に注目しました
「ガリガリ削って使ってみない?」って。
どんぐりを鍋で煮出し色素の成分を抽出します
だいぶ茶色い液ですね煮汁が。
次にミョウバンをたくさん溶かした温泉水を投入
この液をしばらく置いておくと…二層に分かれました
ミョウバンは色素の成分を取り出す鍵だったのです
そうですね黒と茶と混ざったような…。
黒茶っぽいような感じのイメージはありますね。
これがこのお庭でとれたどんぐりの色ですねえ。
すご〜い。
プラス川湯温泉のミョウバンで作った色なので。
川湯の自然をギュッと詰め込んだ絵の具です
お〜記念すべき…。
あ何かすご〜い。
使いようによってはすごくいいかも。
お〜。
まっすぐなの?うん。
(岩)書き味っていうのがある。
すごい。
「町を彩るアート作品にもこの絵の具を使ってもらいたい」。
岩さんの願いです
どうも。
おはようございます。
アートで町を盛り上げたいという今井さん。
この日活動に賛同してくれるという観光ハイヤーの会社を訪れました
ここの壁面。
シャッター両面なんですけどね。
シャッターの部分に人の形をした動くアート作品を作る事になったのです
おはようございます。
ありがとうございます。
(今井)社長この前もちょっとお話したんですけど…。
(村岡)あこれね。
いいねえ。
今井さんが愛知県から呼んだ作家が手がけます
(村岡)これはじゃあ常時動くんですかね?
(今井)そうです。
モーター入れれば。
(村岡)入れればね。
(今井)だからハイヤーさんとして「何時から何時まで動くやつが見れますよ」というふうにして頂いたらいいかなと。
(村岡)面白そうだね。
この辺の模様もまた面白いね。
(今井)これは弟子屈にちなんだもの。
駅前にあるにもかかわらず閉まったままのシャッターを大きなキャンバスにしようというのです
ね?力でひとつよろしくお願いします。
面白い…。
弟子屈町川湯温泉。
ぬくもりの街に新たな彩りを添えようとする人々に出会った旅でした
2015/02/09(月) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる直送便 北海道中ひざくりげ「ぬくもりの街に彩りを〜弟子屈町・川湯温泉」[字]
道内各地の魅力を旅人の視点を通して伝える紀行番組
詳細情報
番組内容
奇抜なアート作品で温泉街を復活!?道東・弟子屈町の川湯温泉の再生にかける人々に出会います。旅館の客室に、シカのはく製が登場!ホテルの壁にシマフクロウやシカなどの絵を描くプロジェクトも進行中!宿泊客の減少でさびれゆく温泉街に新たな彩りを加える取り組みに密着です。
出演者
【旅人】若林則康
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
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