問われる当事者性と専門性 精神障害のピアスタッフ急増で
2015年02月12日 福祉新聞編集部「ピアスタッフ」「ピアサポーター」と呼ばれる人は地域活動支援センター、就労継続支援B型事業所などで働いている。仕事内容は相談支援や退院支援が多いとみられる。
政策的にもこの10年ほどの動きは急速だ。
厚生労働省は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業のメニューに「ピアサポート」を明記。
日本社会事業大学は12年度、精神保健福祉士の通信課程に、精神疾患の治療経験者を対象とした「ピア精神保健福祉士コース」を設けた。
「ピアサポート専門員養成研修」(南高愛隣会主催、福祉医療機構助成)も一部地域で13年度に始まった。
「ピア流行り」「ピアブームだ」と言われることもあるが、「ピア」として働く当事者の名称や定義は定まっていない。全国に何人いるかも不明だ。職場内での立ち位置があいまいで、孤立する人もいる。
そこで14年9月14日、前年度までの全国集会に携わっていた有志が協会を設立。情報共有や学びあいを目的として活動を始めた。
当事者性とは何か。専門性とは何か——。対人援助の根幹にかかわる議論がさらに加速しそうだ。
学びの機会を設けたい
現在41歳の私は、10年前に入院した。病名は統合失調感情障害。眠れなくて幻聴もあった。入院を機に、60%程度の「ほどほどの力」で生きるようになり、少し楽になった。
最近はピアスタッフ、ピアサポーターがブームだが、ブームで終わらせたくない。ピアだからこそできることがたくさんある。それを広く知ってもらいたい。
当事者性を生かすには気づきと学びが必要だが、その機会は非常に乏しい。協会では学びの機会を設けたい。専門職とも「協働」したい。支部も設け、ピアの人材バンクができたら面白い。
私は言葉にすることで多くのことを実現してきた。皆さんもぜひ思いを言葉にしてみてほしい。
【日本ピアスタッフ協会】
会長=原田幾世(宮城県障害者職業センター・仙台市)、副会長=引地はる奈(障がい者相談・地域活動支援センターひびき・福島市)、磯田重行(つばめ福祉会ピアつばめ・福岡市)。連絡先や入会方法などはホームページ参照(http://peersociety.jimdo.com/)
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