シャーロックホームズ「本当に困った校長先生の冒険」 2015.02.08


(ワトソン)
その日僕が授業から帰ってくると…
謹慎中のホームズは窓辺に腰掛けて外を眺めていた
(アガサ)あらおかえりなさい。
あなたワトソンさんがお帰りよ。
何だよ!君は奥さんか!ウフッ。
まさか一日中そうやって空を眺めてたのかい?いくら謹慎中だって少しは体を動かさないと病気になっちゃうぞ!うわ〜!あ…ホームズ!ホ…ホームズ!
(ホームズ)アハハハッ…アハハハハッ…。
相変わらず観察力が足りないな。
え…どういう事?ちゃんと元あった場所に戻しておいてくれるかい?え〜!ジェファーソン・ホープに言って作ってもらったんだ。
そうなの?こうしておくとモリアーティの命令で表で見張っているレストレードの目を欺く事ができる。
(レストレード)ん?はあ…。
この人形のおかげで謹慎中も自由に動けるというわけだ。
モリアーティ教頭にバレたら大変だよ。
バレなきゃいいだけの話だ。
おかげで今日は随分と収穫があった。
新しい事件を追いかけてるの?まあね。
ずるいじゃないか!僕に隠れて…。
これ以上君を巻き込みたくなかったんだ。
今更そんな事言ってほしくないんだけど。
(笛の音)
(アガサ)それじゃ。
私は戻ります。
洗濯物は引き出しの中に入れておきましたからね。
ご苦労さま。
はい。
ホントホームズさんは手がやけるわ。
私がいないと何にもできやしないんだから。
フフッ。
このイラッとくる気持ちは何だろう…。
おとといの昼校長先生がここにやってきた。
回想
(オルムシュタイン校長)校長先生はとても困っている。
今度はどうされたんですか?校長先生は他に好きな女の人ができてしまったんだ…。
またですか〜?はい。
今度は誰なんです?知ってるかな〜知らないかな〜知ってるかもしれないな〜。
この学校に女性の先生は数えるほどしかいません!先生じゃないんだな。
生徒なんだな。
今度は生徒ですか!アーチャー寮4年イザドラ・クラインさん。
なぜか18歳です。
・「キュキュッキュキュキュピカピカピカピカッピカー」・
(口笛)うん?
(口笛)
(オルムシュタイン)おお〜…あ!
(オルムシュタインの声)廊下で見かけた瞬間体中に電気が走ったんだ。
ああいうのを一目ぼれっていうんだな〜。
それ以来校長先生の頭の中は一日中イザドラの事でいっぱいだ。
夜も眠れずこれじゃ体に悪いって思ってね。
校長先生は手紙を書いた。
(口笛)タッタッタッ…お〜っとっとっと!キーキキキキー…。
いやこっちだタッタタタブーン!タッタタタ…。
(イザドラ)何だよ!
(オルムシュタイン)これ読んで下さい。
くるり!ぴゅ〜ん!タッタタタタター…タッタタ…。
はあ?
(オルムシュタイン)人は恋をすると怖いものがなくなるというが本当だね〜。
はあ…。
あきれてる?手紙には何て書いたんですか?ん…「すてきな髪形ですね」とか「おつきあいして下さい」とかもういろいろ。
あきれてるね?返事はきたんですか?それがね何日たってもなしのつぶて。
もう一回書こうか!と思っていた矢先の事だ。
はあ…。

(物音)ん?
(オルムシュタイン)何何何〜。
何だ何だ…。
あっちゃ〜!校長先生が書いたラブレターはどういうわけか人の手に渡ってしまったんだ。
その手紙にはこう書いてあった。
「返してほしければ1万ポンド払え」って。
そんな大金払えるわけないじゃないか…。
払わない時は?「ラブレターを貼り出す」って…。
・おい見ろよ!・何だこれ。
・うそだろ!
(生徒たちのざわめき)ノー!ホームズ君!校長先生のピンチを救ってくれ!頼りになるのは君だけだ!ん…。
本当に困った校長先生だな〜。
ラブレターを取り戻さないかぎりオルムシュタイン校長の未来はない。
それで君は調査に乗り出したんだ。
どんなに困った校長でも僕にとっては依頼人だからね。
じゃあそのラブレターは…。
欲しいっていう人がいたので差し上げました。
持っていてもしょうがないしね。
誰に渡したんですか?ノーコメントにさせて頂きます。
そいつは校長先生をゆすってるんです。
知ったこっちゃないわ。
私に言わせれば自業自得。
生徒にラブレターなんて教育者としてどうなのよ。
まあそれだけ魅力的な私にも罪はあるんだけどね。
脅迫状は数学の答案用紙の裏に書いてあった。
答案は白紙だったが手に入る人間は限られる。
僕はパイクに頼んでこの試験を受けた生徒を洗い出してもらった。
回想
(パイク)ウイッ毎度〜!フフッ…。
ディーラー寮の2年か…。
(ホームズの声)そこから犯人を見つけだすのは簡単だった。
ラブレターをネタに校長をゆすろうなんて考えるやつは一人しかいない。
(ケンプ)ヒヒヒヒッ…アハハハハッ…。
(ワトソンの声)ウィルスン・ケンプまたあいつか!もうすぐここにやつがやってくる。
ケンプが?僕が呼んだんだ。
一つ作戦を立てた。
君も是非力を貸してほしいんだワトソン。
もちろんいいけど何をするの?あのホームズ2号を利用する。
どんな作戦か分からないけど大丈夫かな?座ってるだけじゃ人形だってバレないか?・
(ドアが開く音)
(ハドソン夫人)シャーロックお茶の時間ですよ!ハドソン夫人ノックぐらいして下さいよ!お夕食は何時にしますか?僕の事は放っておいてくれませんか?謹慎中だからって食事はちゃんととらなくちゃ駄目よ。
じゃあ6時半に。
うん6時半ね。
あさっての…。
ハハハハッ…面白い。

(ドアが閉まる音)大事なのは先入観さ。
ハッハハ…。
ワトソンメモ
ホームズが謹慎になったのはダグラスさんの家で起きた殺人事件に首を突っ込んだから
モリアーティ教頭はホームズが校則を無視して外出したのが気に入らなかったらしい
謹慎中は部屋から出てはいけないのにホームズは校長先生脅迫事件の犯人を追って昼間から出歩いている
教頭先生の耳に入ったら大変な事になるのにホームズは分かってるんだろうか…
何だか嫌な予感がする…
(ケンプ)ん?ん〜ん…ん?エヘッどうぞ。
ホームズ!ケンプが来てくれたぞ。
どういうつもりだ?何が?人形だろどう見ても。
あ…ホームズバレちゃった。
(ケンプ)何をたくらんでる。
さすがよく見てるなケンプ。
俺に何の用だ。
君は校長先生がイザドラ・クラインに宛てて書いたラブレターを持っている。
(ケンプ)何の話だ。
それを渡してもらいたい。
帰る。
いいかげん目を覚ませウィルスン・ケンプ。
何だそりゃ。
このままじゃ君はろくでもない大人になってしまう。
僕はそれを心配しているんだ。
大きなお世話だ!こんな事を続けて何になる!人に迷惑をかけない生き方をしてみろ!お前は生活指導の先生か!僕は知っている。
君がネアンデルタール人の骨を盗んだ事も他人の描いた絵でコンクールに出た事も。
ふざけるな!証拠はない。
いつもマイクロフトがもみ消しているからな。
でも!神様は見てるんだ。
神様?そうだ。
ここは教会か〜?ケンプ!まだやり直せる。
僕らには未来がある。
お願いだから目を覚ましてくれ。
ホームズ!間の悪いやつだな。
あとにしてくれ!モリアーティ教頭がお呼びだ!モリアーティが?謹慎中なのに表をうろつき回ってたらしいじゃないか!事件の調査だ。
さあ来るんだ!離せ!いいから来い!ホームズ…ホームズ!あ…あ〜…。
謹慎中に出歩くのはまずいな。
下手すりゃ退学だぞ。
ケンプ僕は君が本当に悪いやつにはどうしても思えないんだ。
お前ら一体何なんだよ〜。
君は本当はいいやつだ。
もういいよ。
僕は転校してくる前はオーストラリアにいた。
これは向こうの友達にもらったんだ。
ん?面白い顔してるな。
オーストラリアに昔から住んでいる人たちはこれに向かって自分が犯した罪をそ〜っと告白するんだ。
そうすると魂が清められてとってもいい気持ちになる。
へえ…。
君もやってみたら?心が楽になるよ。
俺は別に。
ちょっと失礼。
う〜ん…。
な…何だよ。
君の心の奥が見えてきた。
悪い事をしたあとの罪悪感で押し潰されそうになってる。
そんな事はない!最近肩が凝るだろう?肩は凝るけど…。
原因は罪悪感だ。
たまると体に出るんだよ。
まさか…。
君もつらいよね。
つらいっていうか…。
君は悪ぶってるだけなんだ。
その澄んだ目を見れば分かる。
そんな事言われたの初めてだよ。
ほら全てを告白してごらん。
すっごく気持ち良くなるよ!あ…。
僕は部屋を出ていく。
誰もいない方が話しやすいだろ…ね。
詳しければ詳しいほど効果が上がる。
例えば脅迫のネタになる手紙を持っているとしたら置いてある場所とかその辺も正確に。
ウィルスン・ケンプといいます。
別に悪い事して金もうけしようとかそんなふうに考えた事なくてただ何ていうか俺勉強もできないしあんまり目立つタイプじゃないからそういう事でもしないと注目されないっていうかそれだけなんです。
今は校長先生が書いたラブレターを手に入れたんでそれで校長をゆすってます。
あ!誰にも取られないようにここに隠してあるんです。
今やってる悪い事はこれだけです。
ありがとうケンプ!あれ?人形じゃなかったのか!君は先入観に惑わされた。
え〜い!あ〜れ〜…。
ワトソン終了だ!どうだった?ああ…。
ま…回って…だ…大丈夫?ケンプ。
完璧だ!
(ケンプ)いつからそこにいた?部屋を出てからぐるっと外を回って窓から入り君がワトソンと話してる間に人形と交代したんだ。
ご協力感謝するよレストレード。
(レストレード)教頭先生には内緒だぞ。
これで事件解決だ。
お引き取りを。
一つだけいいか?どうぞ。
何だかとても心が楽になりました。
それは何よりです。
(ケンプ)それじゃあ!これで生き方を改めてくれるとうれしいんだけど。
ねえホームズ。
人の人生に興味はないね。
だ…いつもそう。
ただの置物だって言ってたよね。
人はね心に思っている事を口にするとすっごく楽になれるんだ。
これは本当だよ。
そういうもんかな。
僕も転校してきた時ホームズに聞いてもらって元気になった。
覚えてるかい?ホームズ!忘れた。
あら…。
(笛の音)
(オルムシュタイン)ありがとうホームズ!何とお礼を言えばいいか…。
記念にこれいる?結構です。
アハッ…だね。
なかなかうまく書けた。
国語の教材で使えないかな〜。

(ドアが開く音)モリアーティ教頭!
(オルムシュタイン)教頭先生…はあっ…。
(モリアーティ教頭)校長先生捜しましたよ。
今4年のイザドラ・クラインに会ってきました。
(オルムシュタイン)え…!この学校の中で私の知らない事はありません。
知ってたんだ…。
(モリアーティ)ラブレターの一件誰にも言うなとくぎを刺しておきました。
表沙汰になったらえらい事になる。
(オルムシュタイン)それは心配ない。
ホームズ君がラブレターを取り戻してくれたんだ。
(モリアーティ)ああ…校長先生も今後は少し自重される事をおすすめ致します。
生徒との間に個人的な恋愛感情を持ち込むのはいささか度が過ぎます。
それもよりによって問題児のイザドラ・クラインとは…。
寂しい子なんだよ。
校長先生は友達になってあげたかったんだ。
分かんないかな〜。
(モリアーティ)分かりませんね。
(オルムシュタイン)以後気をつけます。
じゃ帰ろうか。
(モリアーティ)まだ大事な話が残っております。
ホームズ君は謹慎を破って何度も部屋を出たそうだな。
許される事ではない。
それは…だって…。
言い訳は聞きたくない!それなりの罰は覚悟しておくように。
(オルムシュタイン)いいじゃないか教頭先生。
規則は規則ですから。
(オルムシュタイン)今回は大目に見てやろうよ。
校長先生が無理言ってお願いしたんだ。
その代わり謹慎の間はもう出歩いちゃ駄目だよホームズ君。
分かりました。
(モリアーティ)校長…。
(オルムシュタイン)これにて一件落着!
こうして事件は解決した…かに見えた
しかしその夜遅く…
(いびき)おい!おい!ワトソン!ん…何だよ〜。
困った事になった。
何?落ち着いて聞いてくれ。
実はさっきモリアーティがここにやってきたんだ。
ここに?君はぐっすり眠っていた。
回想
(モリアーティ)まんまと1杯食わされた。
さすがだなシャーロック・ホームズ。
どういう事です?イザドラからラブレターを手に入れ校長を脅したのは君だったんだ。
何を言い出すんです?君はケンプを使って校長を恐喝し自分でそれを解決した。
なぜそんな事をする必要があるんです?全てはオルムシュタイン校長の信頼を得るためだ。
私に目をつけられ私を恐れた君は校長に取り入るために全てを仕組んだ。
残念ながらその推理には無理があります。
第1に僕はアドラー先生の一件で既に校長からは信頼されている。
第2に僕はあなたを恐れてはいない。
(モリアーティ)好きなだけほざくがいい。
君が何を言おうと君とケンプが裏でつながっていた事実が全てを証明している。
そんな事実はない。
(モリアーティ)では今さっきケンプの部屋で見つけたこれは何だ!「親愛なるホームズ。
尽きる事のない友情に感謝して…ウィルスン・ケンプ」。
問い詰めたらケンプも認めたよ。
ケンプ…。
あ…!
(モリアーティ)言い逃れはできないぞ!君は謹慎を破ったうえに校長を欺いた。
これは退学処分に値する行為だ。
僕ははめられた。
僕をはめた人間は誰だ!事件の裏にいるのは…。
赤い糸はどこだ!
(モリアーティ)お前はおしまいだ!シャーロック・ホームズ!えいっ…。
おっ…。
何をする!ホームズ!僕はもうここにはいられない。
真実を見つけに行ってくる。
僕も行くよ!君は駄目だ!友達じゃないか!だから戻ってきたんだ!何が起こっても君だけは僕の事を信じていてほしい。
当たり前だよ。
また会おうワトソン!ホームズ!
それがビートン校におけるシャーロック・ホームズ最後の事件の始まりだった
2015/02/08(日) 17:30〜17:51
NHKEテレ1大阪
シャーロックホームズ「本当に困った校長先生の冒険」[字]

三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年・ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。今回は校長先生が持ち込んだ事件。

詳細情報
番組内容
三谷幸喜が推理小説の古典を学園ミステリーとして脚本化。15歳の少年・ホームズとワトソンが学園内で起こる奇妙な事件のなぞを解く。夜中に寮を抜け出したことで謹慎処分を受けたホームズ。しかし、ワトソンにも内緒で新たな事件の捜査を進めていた。今度の依頼人はまたしても校長先生。校長先生はあろうことか女子生徒に恋をしてしまったというのだ。しかもその女子生徒にあてたラブレターを何者かに奪われてしまったのだ。
出演者
【声】山寺宏一,高木渉,堀内敬子,江原正士,高泉淳子,関智一,岸尾だいすけ,中村梅雀,戸田恵子
原作・脚本
【脚本】三谷幸喜

ジャンル :
アニメ/特撮 – 特撮
ドラマ – その他
趣味/教育 – 幼児・小学生

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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