(テーマ音楽)真っ白な雪原に舞うタンチョウ。
冬の北海道で繰り広げられる恋のダンスです。
一方こちらは夏の沖縄。
イソギンチャクの家で暮らすのは人気者カクレクマノミです。
南北に長く四季が巡る日本には実に多様な生きものたちのドラマがあります。
そこで!キーワードはこの3つです!まずはこちら!近田アナウンサーが向かったのは北海道の知床。
(近田)いました。
いました。
北の大地で繁栄するエゾシカ。
ツノが命のオスたちに密着します。
私首藤は鹿児島県の屋久島へ。
もういた!屋久島のサル!南限のニホンザルたちの個性あふれる暮らしぶりを紹介します。
2つ目のキーワードは「人の近くでたくましく生きる」。
人里に進出するイノシシやタンチョウ。
その秘密とは?豊かさを取り戻した東京湾。
縁の下の力持ちに注目です。
3つ目のキーワードは「親子の感動物語」。
体を張って子どもを守るミサゴの夫婦。
雪崩が多発する厳しい冬を母と子で生きるニホンカモシカ。
「これぞ親子愛!」という名シーンをお伝えします。
ちょっと待った!あっヒゲじいご登場ですね。
はい!今回はスペシャルという事で私は日本のすごい生きものたちをクイズで紹介しますぞ。
名付けて「ダーウィンが来た!検定」!わぁ〜楽しみ!この4つの映像に大きなヒントがありますぞ!よ〜く見ておいて下さいな。
私も挑戦します!分かるかなぁ?さあ驚きと感動が詰まった73分間!参りましょう!1つ目のキーワードは「世界自然遺産で生きる動物たち」。
日本には4つの世界自然遺産があります。
まずは一番北北海道の知床へ私近田が向かいました。
根室海峡が見えています。
その手前は知床の森が広がります。
北海道の知床にやってきました。
後ろは羅臼岳。
真冬になると雪で真っ白になるんだそうです。
今回やってきたのはずばりエゾシカに出会うためです。
オホーツク海に突き出す知床半島。
長さはおよそ70キロになります。
秋になると海からたくさんのサケやマスが押し寄せます。
産卵のためにふるさとの川を遡るんです。
それを糧にするのは日本最大の陸上動物ヒグマ。
巨大なオオワシも空を舞います。
ダイナミックな命の営みが知床の魅力です。
この場所で大繁栄しているのがエゾシカです。
早速見つけました。
頭にツノのないメスです。
エゾシカは本州に暮らすシカと比べると一回り大きくメスでも体重は80キロになります。
この群れはメスと子どもたちだけ。
オスの姿はありません。
ひときわ立派だというオスに会うため森の奥へ向かいました。
案内して頂くのは増田泰さん。
知床の自然を調査保全しています。
増田さんがかすかな足音に気付きました。
その方向へ急ぎます。
見つけました!大きなオスです。
体重は130キロほどでしょうか。
特に目立つのが立派なツノ。
付け根から先端まで70センチはあります。
あ〜行っちゃいました。
いや我々人間には目もくれず。
まっすぐ行っちゃいました。
私たちはこのオスジカのツノを巡るドラマを記録していました。
こちら大きなツノを持つオス。
「大ヅノオス」と呼びましょう。
視線の先には…ツノの小さな若いオスが3頭。
ちょっと脅しただけで若いオスたちは逃げていきます。
戦わずして決まるオスたちの力関係。
決め手はツノの大きさです。
ツノは体の成長に応じて年々大きくなります。
最大級になるのは7歳くらい。
ツノが大きいほど順位が上になるんです。
今度はオスがメスの近くにやってきました。
そしてひたすら後を追います。
秋は恋の季節。
オスがプロポーズしようとしているんです。
でもメスがプロポーズを受け入れるのは1年でたった1日だけ。
しかもどのメスがいつその日を迎えるか分かりません。
その時を逃すまいとオスはメスを囲うように縄張りを作り寝る間も惜しんでチャンスをうかがい続けます。
メスたちの横に陣取る大ヅノオス。
のんびりしているように見えますが結構大変なんですね。
あっ大ヅノオスが首をのけぞらせながら歩きだしました。
見るからに怖〜い顔。
どうやら怒っているようです。
走りだしました!その先には…若いオス。
縄張りに近づくものは絶対に許しません。
こうして大ヅノオスはメスを独占していきます。
(オスジカの鳴き声)森に響くオスジカの声。
「ここは俺の縄張りだぞ!」。
大ヅノオスが縄張りを宣言しているんです。
すると…。
声を聞きつけて別のオスが現れました。
隣の縄張りのあるじです。
ここは互いの縄張りが接する場所だったんです。
2頭とも甲乙つけがたい大ヅノの持ち主。
こんな場合は戦いが始まります。
こん身の威嚇のポーズ!今度はツノで草をはね上げています。
これも威嚇です。
でも両者互いに譲りません。
あっ!ついに激突!一騎打ちが始まりました。
ツノとツノがぶつかり合います。
ツノを頼りに生きるオスたち。
結局この戦いは引き分けとなりました。
翌年の春になりました。
この時期になるともうオスたちが争う事はありません。
のんびりと食事をしています。
あっ急に走りだしました。
このツノに注目して下さい。
後ろを向いたとたん背中にぶつかったツノが落ちてしまいました!こちらでは頭を振っただけで簡単に取れちゃいました。
実はシカのツノ毎年春に落ちて生え替わるんです。
ツノが落ちてしまった元大ヅノオス。
大きいツノほど早く落ちてしまいます。
こうなると立場は逆転。
ササを食べていてもあとからやってきた若いオスに追われる始末。
オス同士の順位はあくまでもツノの大きさによるんです。
この表情何だかちょっと切ないですね。
それから1か月あまり。
次の恋の季節に備えて元大ヅノオスに新しいツノが生えてきました。
成長中のツノは「袋角」と呼ばれます。
袋をかぶせたように表面を覆う皮膚の中で新しいツノが成長しているんです。
袋角は柔らかく傷つけば成長が止まる事もあります。
とってもデリケートなんです。
1歳ほどのオスが来ました。
若いオスのツノはまだ落ちていません。
なんと元大ヅノオスの休憩場所を横取り。
大ヅノオスは一切反撃しません。
ツノが成長しきるまでの間争い事に巻き込まれる訳にはいかないんです。
じ〜っと我慢で過ごします。
やがて知床に再び秋が巡ってきました。
茂みの中にオスがいます。
ツノを木にこすりつけています。
皮膚を剥がしているんです。
ツノを落としてからおよそ5か月。
ついに固くて立派な大ヅノが現れました。
そして…ぬかるみに横たわりツノを使って体に泥をこすりつけています。
メスにアピールするためのいわば男のお化粧です。
ツノの先端は白く浮き立つように木の枝で磨きます。
白と黒のコントラストがくっきり。
どうです?精かんな感じですよね?そして大ヅノオスはまた子孫を残すための戦いへと歩みだしていきます。
続いて舞台はこちら!鹿児島県の屋久島です。
屋久島は黒潮の通り道に位置します。
黒潮は南から暖かく湿った空気を連れてきます。
その空気は屋久島の高い山々にぶつかり大量の雨を降らせます。
そして豊かな森が育まれたんです。
この島だけに見られる植物はおよそ50種。
貴重な自然が評価され1993年日本で初めての世界自然遺産となりました。
見て下さい!「屋久杉」と呼ばれるのは樹齢が1,000年を超える杉。
この杉の推定樹齢はなんと3,000年です。
こちらはガジュマルの木。
網のように絡まり合うのは根っこです。
標高の低い場所にはこんな一風変わった森が広がっています。
私がこの森にやってきたのはある動物に会うためです。
案内して下さるのは藤田志歩さん。
10年以上にわたり屋久島で研究を続けています。
そう私が会いたかったのはニホンザル。
最も南に暮らすニホンザルで他の地域と区別して「ヤクシマザル」と呼ばれています。
私は以前青森県の下北半島で最も北に暮らすサルに会いました。
比べると少し違いがあります。
左がヤクシマザル。
目尻が上がってきつい印象ですよね。
暮らす環境も雪国とは大違いです。
暖かく一年中緑の森には食べ物がたっくさん!次々に木の実を頬張ります。
ヤクシマザルはこの豊かな森で30匹ほどの群れを作って暮らしています。
群れの仲間はとても仲良しです。
ところがこのサルたち群れ同士のケンカの多さは日本一だといいます。
私たちはその様子を克明に記録していました。
(サルの鳴き声)森に響き渡る大きな叫び声。
ヤクシマザルの声です。
駆けつけてみると…。
2つの群れがケンカを始めていました。
その数全部で70匹。
尾根を境に向かい合う2つの群れ。
右側の群れはおよそ40匹。
「紅組」と呼びましょう。
対する左側は30匹ほど。
こちらを「白組」と呼びます。
紅組のこの2匹にご注目。
白組に攻め込んだ!…と思ったら追い返されました。
こうした攻防があちこちで繰り広げられています。
激しい争いの背景にはこの森ならではの理由があります。
下北半島で暮らすサルは1平方キロあたりたったの5匹。
これに対しこの屋久島の森ではなんと100匹に上ります!いくら豊かな森でも食べ物は足りません。
食べ物を探して森の中を移動するうち群れ同士が鉢合わせする事もしばしばです。
そうなると激しいケンカになるんです。
負け続けた群れは消滅してしまう事もあるといいます。
だからサルたちは必死です。
こちら見て下さい。
おなかに子どもがしがみついています。
子連れのお母さんまで総動員しての戦いです。
あっ左側から白組が攻め込んだ!紅組も負けじと押し返します。
勝敗を決めるのは群れの大きさだけではありません。
攻め込む勢いも大切です。
斜面の上に陣取る白組と下側の紅組。
にらみ合いが続きます。
騒ぎが始まって20分ほど。
突然白組が退散しました。
どうやら決着がついたようです。
いや〜迫力の戦いでした。
群れの仲間とはとっても仲のいいヤクシマザル。
その絆はサルがひしめく森を生き抜くために培われたのかもしれません。
ヤクシマザルたちの波乱に満ちた物語は続いていきます。
世界自然遺産3つ目に紹介するのは小笠原諸島です。
本州から南に1,000キロ。
大小30ほどの島々から成る小笠原諸島。
海底火山の噴火によって生まれた島々は一度も大陸とつながった事がありません。
そのため独自の進化を遂げた生きものが多く「東洋のガラパゴス」とも言われます。
ここだけに住む生きものが多い事から世界自然遺産になりました。
でも小笠原諸島の魅力は陸地だけではないんですよ。
この広大な海!何種類ものクジラを観察できる世界有数のポイントなんです。
深い所ではマッコウクジラが巨大なダイオウイカを狙って狩りをしています。
なんだかワクワクしませんか?そして毎年12月ごろに現れるのがザトウクジラです。
体長は13メートル体重は30トンを超えます。
クジラは私たちと同じ哺乳類。
およそ15分おきに頭の上にある鼻で息継ぎをします。
2頭が寄り添って泳いでいます。
お母さんと赤ちゃんです。
暖かく穏やかな小笠原の海でザトウクジラは子育てをするんです。
そして同じころ次の恋も始まります。
オスたちが繰り広げる大迫力の恋のバトルに密着しました。
10頭ほどの巨大なオスの集団。
突然猛スピードで泳ぎだしました!最高時速はおよそ25キロ。
これメスを巡るオスの戦いです。
全速力で泳ぎ体力を競い合っているんです。
さすがのクジラたちも息があがってきました。
泳ぎで勝負がつかない場合今度は別の方法で競い始めます。
2頭が近づきました。
水面付近で入り乱れ相手目がけ突進!尾びれに頭をぶつけました。
クジラが泳ぐ時最も大きな推進力を生み出すのが尾びれです。
そこを狙って攻撃しているようです。
あまりの威力に尾びれにケガをするものもいるといいます。
今度は長さ4メートルにもなる胸びれを振り下ろして相手をたたきます。
しかも胸びれの先にはフジツボが付いています。
研究によるとこれが武器になるんだそうです。
強烈です!お互い体はボロボロ。
見て下さいこちら。
頭の皮膚にすりむいたような傷。
体当たりした衝撃でできたようです。
攻撃する側もケガを覚悟で戦うんです。
大海原でのんびり暮らしている印象のクジラたちも恋の季節は激しいんですね。
小笠原の海ではイルカのオスたちも恋のバトルを繰り広げます。
大群で現れたのはハシナガイルカ。
体長は2メートルほどです。
イルカたちの勝負カギを握るのはジャンプです。
2頭が同時に跳びました。
右側のイルカは跳び出してすぐに着水。
一方の左側のイルカは1回2回3回回って着水。
勝敗は着水時水中にできた泡の量で決まります。
この泡の範囲が広い方が勝ち。
だからオスたちは高く跳んだり回転したりと工夫を凝らします。
こちらでは後方宙返り!そしてきりもみジャ〜ンプ!一体何回回ったんでしょうか?なんと5回転半!華麗なジャンプを決めたくさんの泡を出したオスにはメスの方から近づきます。
小笠原の海では巨大な海の生きものたちが豪快な恋のバトルを繰り広げています。
いや〜日本の大自然ってすばらしいですなぁ!そうですねヒゲじい。
はい。
アフリカのサバンナや南米の熱帯雨林にも負けておりませんな。
はい。
しかも1億人以上が暮らす国に残されているんですからすばらしいですよね。
う〜ん!日本は貴重な自然の宝庫という訳ですな。
ほ〜こらしい気分であります。
よっ待ってました!ヒゲじいはダジャレの宝庫ですね。
ヤハハハッ。
珍しく褒められちゃった。
テヘヘヘ!「ダーウィンが来た!スペシャル」。
2つ目のキーワードは「人の近くでたくましく生きる」。
大都会の海で暮らす生きものたちや人里に進出してきた生きものたちの素顔に迫ります。
北海道・十勝平野。
畑を歩いているのは国の特別天然記念物タンチョウです!こちらでは道路を横断中。
実は今畑暮らしを始めるタンチョウが急増中なんです。
一体どうしてなんでしょうか?タンチョウの生息地として知られる釧路湿原。
一時は絶滅したと思われたタンチョウがここで見つかったのは1924年のこと。
その後国の特別天然記念物に指定されるなどの手厚い保護を受けて1,500羽近くにまで増えました。
ところが数が増えるにつれ釧路湿原とその周辺だけでは手狭になってきたんです。
そこで釧路から西へ100キロの十勝平野へ移住するものが現れたという訳です。
十勝平野は日本有数の穀倉地帯。
小麦やジャガイモなどの畑が広がります。
湿原とは全く違う環境ですが結構居心地はいいようです。
理由の1つがこれ堆肥です。
堆肥の中にはたくさんのミミズがいます。
これがとってもいい食べ物になるんです。
さらに雑食性のタンチョウは落ち穂も食べます。
季節に応じて上手に畑を利用しています。
こちらは牧草地。
タンチョウのカップルがいます。
5月子育ての真っ最中です。
でも慣れない新天地での子育てには苦労もあります。
ヒナの好物はカエルや小魚。
湿原ならたやすく手に入りましたがここでは幼いヒナを連れて水辺まで歩いていかなければなりません。
どうにか農業用の水路にたどりつきました。
親鳥が取った魚をヒナに与えています。
幸せそうなひとときです。
(鳴き声)突然親鳥が空に向かって大きな声を上げ始めました。
危ない!急降下で襲いかかるオジロワシ。
ヒナは間一髪で攻撃を逃れました。
オジロワシの執ような攻撃が続きます。
狭い水路ではこうして敵に狙われやすいんです。
親鳥は体を張ってヒナを守ります。
こんな時もともと暮らしていた湿原ならば強い味方がいます。
こちらがその映像。
親鳥が警戒の声を上げています。
同じようにオジロワシが上空に現れるとヒナは生い茂るヨシの中に逃げ込みました。
背の高いヨシはオジロワシの攻撃を阻んでくれるんです。
しかしこの水路にヨシはありません。
周りの草はヒナが身を隠すには高さが足りないんです。
そこに思わぬ助っとが登場しました。
カラスです。
カラスにまとわりつかれて嫌気がさしたのかオジロワシは飛び去っていきました。
カラスのおかげで命拾い。
畑暮らしにはこうした危険もつきまとうんです。
8月中旬。
ヒナがかえってから3か月がたちました。
そろそろ飛び立ちの時期を迎えます。
「こうやるんだよ」。
親鳥がヒナの目の前で羽ばたいてみせます。
今度は走りだしました。
体の大きなタンチョウが飛び立つには助走が必要です。
「さあついておいで」。
親鳥が促すように前を行きます。
そして…。
ついに飛び立ちました。
湿原を離れ人里に舞い降りたタンチョウ。
人の営みをうまく利用しながらたくましく暮らし始めています。
イノシシいます!夜中の住宅街をうろつく2頭のイノシシ。
この地域では最近頻繁にイノシシが出没しています。
現場は兵庫県・六甲山の麓。
イノシシは山から街に下りてきます。
一体どうしてなんでしょうか?20年にわたりイノシシを研究する江口祐輔さんの協力のもと調査を開始しました。
住宅街から5分ほど入るとすっかり山奥の雰囲気です。
すると…。
いきなりイノシシが目の前を通過。
イノシシは警戒心が強いはずなんですが…。
ここでは人が見ていようがお構いなしです。
たくさんの子どもたちもいます。
子どもはしま模様をしたウリにそっくりなため「うり坊」と呼ばれます。
お母さんが移動を始めるとうり坊たちも遅れまいと後を追います。
急な坂道もなんのその。
よいしょ!よいしょ!大行列です。
親子が小川にやってきました。
大好物のサワガニを発見!うり坊が食べようとすると…。
イタタタタタタ!鼻先を挟まれてしまいました。
今度は大きなモクズガニ。
うり坊は…。
全く太刀打ちできません。
かわってお母さんの登場です。
カニの体を押さえつけて挟まれないようにしています。
はさみを食いちぎりました!いや〜豪快な食べっぷり。
イノシシたちは山暮らしを満喫しているように見えます。
なのにどうしてわざわざ街へ下りるんでしょうか?その理由はしばらくすると分かりました。
お母さんが急に駆け出しました。
ハイキング客の後をつけています。
あっ1人が餌を与えました。
後をつけていたのはこのためだったんです。
誰かが餌を与え始めるとイノシシたちの様子が一変。
興奮して餌を奪い合います。
餌欲しさに人を襲う事故も起きています。
こうして人の食べ物の味を覚え人を恐れなくなったイノシシが街へ下りるようになったんです。
問題を起こしたイノシシは駆除されてしまう運命です。
すっかりやっかいものになってしまったイノシシたち。
それはイノシシたちが持つたくましさを餌付けによってゆがんだ方向へと引き出してしまった結果だったのです。
巨大都市東京の目の前に広がる東京湾。
ここにもたくさんの生きものがたくましく暮らしています。
その代表ともいうべき魚を捕らえる漁に同行しました。
600本の筒を一つ一つ海底に沈めていきます。
30分後。
現れたのはアナゴです。
一見かわいい顔をしていますがどう猛な肉食魚です。
筒には餌となるイワシやイカを入れてあります。
入りました。
イワシに豪快にかじりついています。
続いて現れたのは…超巨大アナゴ!太さは直径10センチの筒と同じくらいあります。
無理やり入ろうとしています。
あっ!フタを破壊して中の餌を盗んでしまいました。
恐るべきパワー。
東京湾のアナゴは脂の乗りが良く江戸前ずしを代表するネタとして知られています。
こちらでもおすしでおなじみの生きものを見つけました。
砂の中にいるのは平べったい体のカレイです。
高級ネタのクルマエビも発見。
脚にアサリが付いています。
どうやら挟まれちゃったようです。
こちらも江戸前ずしに欠かせないシャコ。
東京湾はたくさんの生きものにあふれているんです。
そんな東京湾ですがかつては「死の海」と呼ばれていました。
工場や家庭からの廃水が流れ込み魚が大量に死んでしまう事もあったんです。
その後排水処理が整備され多くの生きものがかえってきましたがまだ完全に回復した訳ではありません。
今問題となっているのは海の酸素が不足する貧酸素化です。
排水処理で取り切れない余分な窒素やリンなどの栄養分が海に流れ込むとプランクトンが異常発生します。
その大量の死骸を微生物が分解する時酸素を使い尽くしてしまうんです。
そんな中注目されているのがアサリです。
アサリは貧酸素化の原因となるプランクトンを食べてくれます。
プランクトンなどで濁った水にアサリを入れてみると…。
きれいになっていくのが分かりますか?右の管で水ごとプランクトンなどを吸い込みこし取って食べたあと左の管から水を出すんです。
2時間でご覧のとおり。
かなり水が澄んでいます。
アサリが水をきれいにすると海中に光が届くようになり植物が育ちます。
たくさんの泡は光合成で作られた酸素です。
こうして貧酸素化を和らげる事にもつながるのです。
かつては東京湾の至る所にアサリが暮らす干潟がありました。
今人の手で復活させる取り組みが始まっています。
7年ほど前に完成した人工干潟。
自然にアサリが住み着き今では潮干狩りができます。
環境さえ整えば生きものたちは立派に回復する力を秘めているんです。
いや〜たくましいですなぁ。
大都会のすぐ近くにも大自然がある事よ〜く分かりました。
あれ?ヒゲじい今日は随分物分かりがいいんですね。
フフフ〜ン。
アサリだけにもうアッサリ納得!なんちゃってね!さ〜てさてここからは皆さんお待ちかねの「ダーウィンが来た!検定」ですぞ!早速第1問!鹿児島県の奄美大島に暮らすアマミノクロウサギからの問題です。
国の特別天然記念物アマミノクロウサギ。
意外な方法で天敵から子どもを守ります。
さて次の3つのうちどれでしょうか?1番四六時中ずっとおんぶをして連れ回す。
2番子どもを土に埋めて隠す。
3番強烈キックで敵を失神させる。
正解は2番「子どもを土に埋めて隠す」です。
こちらは赤ちゃん。
おっ巣穴に入りましたよ。
するとお母さんがやってきます。
そして…。
赤ちゃんの入った巣穴を埋め始めました!しっかりと土を押し固めます。
これなら天敵のヘビも入れません。
でも赤ちゃんは大丈夫?実は巣穴の奥は広いのでちゃんと呼吸できるんです。
お母さんは1日か2日に1回お乳を与えるために巣穴を掘り起こします。
いや〜赤ちゃん元気そう。
穴に埋めるなんてうめ〜方法ですな。
なんちゃってね。
さて続いては第2問。
日本中の海にいるウミウシたち。
問題はこちらの奇妙な姿のウミウシからですぞ。
このウミウシユニークな狩りの技を持っています。
一体どんな方法なんでしょうか?1番投網のように口を広げる。
2番吹き矢のように毒針を飛ばす。
3番鳥もちのようにネバネバした体で捕らえる。
正解は1番「投網のように口を広げる」。
もわぁ〜!さあ今広げたのが口です。
ぶわ〜っと広げて…閉じます。
口の中をよく見て下さい。
小さな生きものが捕まっていますよ。
大きく広げた口で獲物を一網打尽にするんです。
いやはや投網なんてこれまたすごい技をアミ出しましたな。
お見事!お見事!お次はこちらのアリ!日本には300種類ものアリがいますがその名も勇ましいサムライアリからの問題でござる!サムライアリはクロヤマアリという別のアリをある方法で利用します。
それは一体どんな方法でしょうか?1番捕まえて保存食にする。
2番巣から追い出して乗っ取る。
3番サナギをさらって自分たちの巣で働かせる。
正解は3番「サナギをさらって自分たちの巣で働かせる」。
サムライアリがクロヤマアリの巣に押し寄せどんどん中に入っていきます。
あっ白いものを抱えて出てきました。
サナギが入った繭です。
サムライアリ繭を盗むと全速力で自分たちの巣に持ち帰ります。
すさまじい勢いです。
相手がすがりついても武士の情けはありません!サナギから育ったクロヤマアリはその後サムライアリの巣で一生働かされるんです。
いや〜なんとこんな戦いが足元で起きているなんて…。
こんなアリってアリ〜!?続いての問題はこちらのフグからですぞ。
このフグオスからメスへロマンチックなものをプレゼントします。
さて何でしょうか?1番サンゴで作る巨大タワー。
2番海藻で作る花輪。
3番砂で作るミステリーサークル。
う〜ん「ダーウィンが来た!」をご覧の皆さんには易しすぎましたかな?正解は3番「砂で作るミステリーサークル」。
海底の砂地に描かれた美しい幾何学模様。
大きいもので直径2メートルもあります。
番組ではこのミステリーサークルの作者が15センチ足らずの新種のフグだった事を突き止め大きな話題となりました。
さらにメスを呼んで卵を産んでもらうための産卵床だった事も解き明かしたんです。
そして最新ニュース!このフグに名前が付いたんです。
その名は「アマミホシゾラフグ」!う〜んロマンチックですなぁ!一生懸命作ったミステリーサークル。
メスはサ〜クルのか?来ないのか?なんちゃってね!番組3つ目のキーワードは「親子の感動物語」。
困難を乗り越え我が子を育てる生きものたち。
そんな親たちの深い愛の物語です。
島根県松江市。
日本海を見下ろす鉄塔のてっぺんにいるのはタカの仲間ミサゴです。
すご〜い!どアップ!実はNHKのロボットカメラの前に巣を作っちゃったんです。
その距離わずか2メートル。
こうして間近で観察する事になりました。
ミサゴは翼を広げると1.7メートルほどある大きな鳥。
最初にカメラの前に現れたのはメス。
大きな声で鳴き始めました。
(鳴き声)するともう1羽。
何やら大きなものをつかんでいます。
ダツという1メートルはある魚です。
オスがプロポーズにやってきたんです。
どうやら受け入れられたようです。
その後メスは無事に卵を産みました。
全部で…3つです。
お父さんがお母さんのために魚を運んできました。
お母さんは魚を受け取ると…。
巣から離れた場所でお食事タイム。
こうして巣の中を汚さないようにします。
その間卵を温めるのはお父さんです。
ミサゴのお父さんって狩りも子育てもこなすイクメンなんですね。
卵を産んで1か月が過ぎたある日。
天気が急変しました。
風はどんどん強さを増していきます。
大変です!巣が風に持ち上げられています。
中にいるのはお母さん。
巣が飛ばされたら卵はひとたまりもありません。
お母さん必死に抵抗します。
自分自身も吹き飛ばされそうになりながらなんとか卵を守り続けました。
卵を産んで39日目。
足元にご注目下さい。
待ちに待ったヒナが誕生しました。
お父さん張り切って大物を運んできます。
くちばしで小さく切り分けて与えます。
ヒナに食べ物を与えるのは主にお母さんです。
働き者の親鳥のもとヒナはすくすくと成長しました。
いつものように親子で食事をしていた時の事です。
カラスが近づいてきました。
入れ代わり立ち代わり巣のそばをかすめるカラス。
親鳥を追い出しあわよくばヒナを奪おうとしているようです。
親鳥は大きな翼を広げて威嚇しますが数で勝るカラスは立ち去りません。
あっカラスがお父さんの羽を引っ張りました!挑発して巣から引き離そうとしているんです。
カラスの執ような攻撃に耐えかねたお父さん。
ついに巣を飛び出しました。
まんまとおびき出されてしまったんです。
お母さんまで巣を離れればカラスの思うつぼ。
お母さん必死にヒナの盾となります。
羽を引っ張られても決して巣から離れません。
日暮れが迫ってついにカラスは諦めました。
お母さんの粘り勝ちです。
それからおよそ1か月。
巣には大きくなった3羽のヒナがいます。
親鳥は留守。
そこに…再びカラス軍団がやってきました。
ヒナは勇敢に立ち向かいます。
力ではかなわないと見たカラス。
今度は巣を壊し始めました。
2時間後。
巣は完全に破壊されてしまいました。
翌朝。
疲れ切った3羽のヒナとお母さんの姿がありました。
巣はなくなり鉄塔にじかに座り込んでいます。
すると突然ヒナが羽ばたくしぐさ。
飛び立ちました。
巣立ちです。
さあ兄弟たちは?後を追うように飛び立ちました。
幾度もの試練を乗り越えてヒナたちは立派に成長を遂げていたのです。
3羽のヒナを見事に育て上げたミサゴの夫婦。
そこには人間顔負けの深い愛情がありました。
続いての舞台は石川富山岐阜福井の4県にまたがる白山国立公園。
険しい山あいに暮らす動物の親子の愛の物語です。
幻の動物とも呼ばれるカモシカが住むのが私たちの後ろ!ブナオ山です。
標高が1,365メートル。
雄大で本当に美しいですよね。
迫ってくるような感じがしますね。
果たして出会えるのでしょうか?ニホンカモシカが数多く生息するブナオ山。
深い谷筋が山頂近くから続いています。
カモシカに出会うためこのブナオ山へ分け入りました。
すると…このいきなりの急斜面!ロープを頼りに登ります。
案内して頂いたのは自然ガイドの山下和樹さんです。
私たちにとっては歩くというよりよじ登る感じです。
立っているのも大変なこの場所をカモシカたちは走り回るそうです。
あっ!何かあった!おぉ〜!カモシカが暮らす証拠を見つけました。
カモシカは葉っぱを引きちぎるように食べるため茎の先端は繊維が残るそうです。
2時間かけて探し回りましたが結局姿を見つける事はできませんでした。
いや〜さすが幻と言われるだけありますね。
会う前に我々の体力が尽きてしまいそうですね。
そこで作戦変更。
少し離れた観察小屋から探す事にしました。
おぉ〜こういう所。
へぇ〜。
向こうが一面見えるんですね。
窓の外から見るとブナオ山が一望できます。
この観察小屋からは山の斜面が見渡せます。
スタッフの皆さんの協力も得てカモシカを探します。
探し始めて1時間。
動いてる。
横に歩いてる。
だいぶ赤ブッシュから右斜め下に行きました。
ついに発見しました!いたでしょう?いた〜!すごい!国の特別天然記念物ニホンカモシカです。
私たちが探していた斜面よりもさらに急な場所を歩いています。
えっ?小さいのいた!あっいた〜!確かに並ぶと大きさが分かる。
現れたのは親子でした。
後ろから来た白っぽい毛のカモシカは春に生まれた子ども。
前を行くのがお母さんです。
幻のカモシカに出会えましたよ。
出会えましたよ。
ねぇ〜。
すご〜い。
仲むつまじい様子を見せる親子は厳しい冬を一緒に過ごします。
そこには日本有数の豪雪地帯を生き抜く涙ぐましいドラマがあったんです。
冬ブナオ山は雪に覆われ白一色の世界になります。
画面の中央付近。
分かりますか?カモシカが斜面を登っています。
深い雪をかき分けるように進んでいます。
体長は1メートルほど。
全身ふさふさの毛で覆われています。
「カモシカ」とは言いますがウシの仲間。
オスもメスも頭にツノがあります。
急斜面を歩くための秘密は脚。
太くて短いので安定感が抜群です。
さらに足元にご注目。
じゃんけんのチョキみたいでしょ?この大きなひづめを開き山肌を広く捉える事で滑らないんです。
雪の中に親子の姿を見つけました。
こちらはお母さん。
よく見ると左のツノが折れています。
雪が激しさを増してきました。
子どもが母親に近づきます。
寒さをしのぐためかぴったりと身を寄せ合う2頭。
子どもはお母さんが見つけたわずかな食べ物を分けてもらいます。
こうしてお母さんに守られながら厳しい冬を乗り切るんです。
気温が高くなったある日。
異変が起こりました。
すさまじい勢いで流れ落ちる雪。
雪崩です。
カモシカが慌てたように走りだしました!安全な林の中に避難します。
急しゅんなブナオ山は雪崩の多発地帯。
雪崩によって命を落とすものも少なくありません。
こんなに危険な場所にもかかわらずカモシカたちはここから離れません。
一体どうしてなんでしょうか?理由はこの草です。
雪崩が起きると埋もれていた草が顔を出すんです。
雪深い土地の貴重な食べ物。
カモシカは雪崩によって現れる草を得るためこの危険地帯で暮らしているんです。
4月中旬。
ブナオ山に春が訪れました。
芽吹いたばかりの葉っぱを頬張っているのはお母さん。
子どもはそこから離れた場所で食事をしています。
食べ物に不自由しなくなると子どもは1頭だけで過ごす時間が長くなります。
子どもが斜面で休むお母さんの近くにやってきました。
どうやらここで休憩するようです。
うとうとと気持ちよさそう。
その時です!突然お母さんが子どもに突進してきました。
びっくりして逃げる子ども。
実はお母さん子どもを自分のそばから追い出そうとしているんです。
大きくなった子どもがここにとどまればやがて訪れる次の冬限られた食べ物を奪い合うライバルになってしまうからです。
食べ物が豊富な春を子別れの時期に選ぶのも母の愛なのかもしれません。
さんざん追い立てられて疲れ果てた子ども。
しばらくすると子どもが斜面を下り始めました。
もうお母さんの近くにいる事は許されないと悟ったのでしょうか。
対岸へ渡っていきます。
旅立っていく子どもをじっと見つめるお母さん。
自然にあらがう事なく共に生きていくために母と子は別れていくのです。
いや〜母親の愛って実に深いですなぁ。
子どもの旅立ちを見守るあのお母さんのまなざし。
印象的でしたね。
厳しく見えるかもしれませんけれどお母さんからの激励なのかもしれませんね。
そうですね。
「ダーウィンが来た!」ではこれからも日本そして世界中の生きものたちの驚きの映像感動の物語をお届けします。
はい!私ヒゲじいも張り切って活躍しますぞ!
(3人)皆さんお楽しみに!2015/02/08(日) 16:05〜17:20
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!SP 日本の生きものはスゴかった[字][再]
雄大な世界自然遺産の中で躍動する動物たち。一方、人の近くでたくましく生きる命。珠玉の映像で日本の生きものたちを大特集。厳しい自然を生き抜く親子の愛情物語に感動!
詳細情報
番組内容
日本が誇る世界自然遺産。北海道・知床ではオスジカたちが巨大ツノを頼りに生きる。九州・屋久島では群れの絆で生きるニホンザル、小笠原の海ではクジラ&イルカの恋のバトルに密着。一方、人の近くでたくましく生きるイノシシやタンチョウも追った。大都会の海・東京湾の豊かさを支える生きものも紹介!さらに夫婦が協力してヒナを育てるタカの仲間ミサゴ、雪崩が多発する豪雪地帯を生き抜くニホンカモシカの母子に深い愛を見た!
出演者
【語り】近田雄一,首藤奈知子,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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サンプリングレート : 48kHz
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