日曜美術館 アートシーン ▽“菅木志雄 置かれた潜在性”展 ほか 2015.02.08


東京都現代美術館では菅木志雄の展覧会が開かれています。
金属板の上の石やパイプ。
今年71歳になる美術造形作家の菅は60年代後半から石や木など物質そのものを作品として提示してきました。
今回最も先鋭的であった70年代の作品を中心に美術館の空間に合わせ再制作されました。
物質性が希薄な現在物を通して改めて「存在」について問い直します。
例えばさ石ころ1つ山の中にある。
それからもう1つ川の中にある。
海にある。
平原草のむらにある。
同じ石でも状況違うわけでしょ。
そうすると石の表れ方っていうか表層の表れ方が全部違うわけですよね。
という事はその石がある場所という事もやはり念頭に置いてひっくるめて持ってくるわけですね。
結局物そのものが空間であると同時に「場」なんですよ。
そういうリアリティーをちゃんとつかんでいけるかが大事です。
まるで石が水の上に浮いているような不思議な空間。
並べられたブロックの上に敷かれた半透明のビニール。
その上に石を配置する事によって地下に広がる空間や石本来が持つ体積を強く認識させます。
菅は物同士の関連性によって改めて見えてくる物に潜む本質や空間の意味を探求し続けています。
空間に1本のワイヤーが張り巡らされています。
その交差する部分にはさまざまな木片が置かれています。
放置された物がつくり上げる秩序が表されています。
複雑に形づくられ網の目のように広がる空間。
現在のインターネットがつくり上げる世界を予見していたかのようです。
ろうで出来た長方形の板をつなぎ合わせ作られた立体作品。
ろうは熱に弱く温度や湿度によって変化します。
そのため作品は時間とともに形を変えていきます。
同じに見えていても刻々と変容している物や空間。
菅は物質や空間の流動性を可視化しようとしたのです。
素直な気持ちでとにかく見えてる物を見てほしいと。
だから自分がそれを見た時に跳ね返ってくるものってのは自分の中にあると思ってます。
それをやっぱり確かめてほしいわけですね。
どういうものが跳ね返ったかなという事によってその時のあるいは自分の生き方みたいなものそれから物がどういうふうに存在しえてここにあるのかなという事も納得できればいいかなと思ってますけどね。
もう一つ静岡県のヴァンジ彫刻庭園美術館でも菅木志雄の展覧会が開かれています。
窓枠に斜めにはめ込まれた角材。
物建築物風景の関連性を考察した初期の代表作です。
パイプロープ石が織り成す果てしない連鎖を思わせる空間。
97年の作品です。
各時代を代表する作品が美術館と屋外や庭園に展示されています。
東京の畠山記念館では開館50年を記念して琳派のコレクションを一堂に会した展覧会が開かれています。
江戸時代初期琳派の祖本阿弥光悦と俵屋宗達による全長9mを超える巻物。
金と銀のみずみずしい草花によって季節の移ろいを表す宗達。
光悦は絵と呼応するように「古今和歌集」を緩急自在な筆致で書いています。
光悦が「雪峯」と命名したと言われる赤楽茶碗。
白い釉薬は山の峰に降り積もる雪に見立てられています。
また金粉とにかわで繕った火割れの跡が流れる雪解け水になぞらえ「雪峯」と名付けられました。
川のほとりに咲く紅白の躑躅。
琳派の華麗な装飾美を受け継いだ尾形光琳の作品です。
川辺の土がたらし込みによる微妙な墨の濃淡によって見事に表されています。
光琳のデザインによる硯箱。
箱の底の部分から生い茂る草。
金の蒔絵によって表され伸びやかに全体を覆っています。
咲いている立葵の花は金属の錫を線彫りしつぼみにはあわび貝が用いられています。
代々琳派の絵師たちに受け継がれてきた画題「風神雷神図」。
酒井抱一は掛け軸にも描きました。
風神と雷神を上下対角線上に描く事によって広がりを持たせています。
大正昭和と60年以上にわたって博物画の世界で活躍した小林重三の展覧会です。
小林は特に鳥の絵で大きな足跡を残しました。
日本の鳥類三大図鑑と呼ばれる全てに鳥を描き「鳥類画家」とも言われているほどです。
微妙な羽根の特色を描き分ける正確さ。
それでありながら温かみがある画風が特徴です。
京都画壇で活躍した日本画家菊池契月の展覧会が笠岡市立竹喬美術館で開かれています。
大正14年契月46歳。
浮世絵の研究を経て描かれた作品。
契月は日本の古典をはじめ西洋画などさまざまな様式を探求しました。
琉球の女性を情緒豊かに描いた作品。
ここでは伝統と写実の融合が試みられています。
昭和6年さまざまな研鑽の末優雅な美しさをたたえた代表作「朱唇」が描かれました。
ポップで鮮烈な極彩色。
生命の輝く一瞬を捉えたような花々や人物の写真で知られる写真家蜷川実花。
蜷川が原点に返り内面に迫る事をテーマにした展覧会です。
腐乱する花。
2010年から続く「noir」というシリーズの一枚です。
生命の裏に潜むゆがんだ欲望や死の気配。
「noir」は蜷川が日々感じる「闇」がテーマ。
色鮮やかな金魚の群れ。
観賞のために人工的につくられた金魚は人の欲望を象徴したような存在です。
金魚は蜷川を引きつけるモチーフです。
人間のエゴで赤く着色されたヒヨコ。
蜷川にとって「noir」は生身の自分に近い写真だといいます。
2011年に発表された連作…目黒川に散りゆく桜。
蜷川が夫と別れた直後感情のコントロールがきかない状態でファインダーに収められました。
幻想的な桜の姿を通して蜷川のさまざまに交錯する感情の揺らぎが伝わります。
展覧会ではモノクロームのセルフポートレートが展示されています。
鮮烈なカラーで象徴される蜷川ですが自分を知るため初期から断続的に自らをモノクロームで撮り続けています。
やっぱりカラフルだったりポップだったりするものの奥にあるものって意外と目から入る情報って強いのでそこまでたどりついて見てもらえてなかったかなって思いが自分の中でちょっとずつちょっとずつ降り積もってた。
もともとがモノクロのセルフポートレートでデビューをしてるからモノクロを撮るって事も私にとっては普通の事だったりとか自分自身と向き合って撮るというのも本当にスタートだったのでなのでコマーシャルなものも今回全然入ってないのとほんとに個人的に自分が撮りたいものを撮りたいタイミングで撮ったものたちの集合体ですね今回。
2015/02/08(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“菅木志雄 置かれた潜在性”展 ほか[字]

「菅木志雄 置かれた潜在性」(東京都現代美術館 1月24日〜3月22日)ほか、 展覧会情報

詳細情報
番組内容
「菅木志雄 置かれた潜在性」(東京都現代美術館 1月24日〜3月22日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:32669(0x7F9D)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: