誰もいなくなった町でじっとカメラを見つめる犬たち。
東電・福島第一原発の事故のあと飼い主と一緒に避難できなかったペットがたくさんいます。
そんな動物たちを震災直後からずっと撮り続けているカメラマンの太田康介さん。
東京に住む太田さんが福島に通い続ける事になったきっかけがあります。
震災直後の2011年4月。
通ってきた道をね…その時太田さん自身が撮影した映像です。
餌も水もない状態の牛たち。
(鳴き声)助けを求めて鳴き続けていました。
既に半分ほどの牛は餓死していました。
太田さんは30mほど離れた水路から何度も水を運んで牛に飲ませました。
その時思わずシャッターを切った一枚です。
太田さんは必死で生きようとする動物たちにカメラを向ける中で世話を続ける人たちとも出会ってきました。
こうした人たちの苦悩や葛藤を太田さんは見続ける事になりました。
(太田)失礼します。
「福島をずっと見ているTV」。
カメラマンっぽいですね。
何がなんだろうと思ったら。
今回はカメラマン太田康介さんと共に置き去りになった動物たちの命を守り続ける人々の思いを見つめます。
福島第一原発からおよそ10キロ浪江町です。
現在も全町民の避難が続いています。
お疲れさまです。
それで…私が太田です。
ここは太田さんが浪江町に来ると必ず訪れる牧場です。
震災直後必死の思いで水を飲ませた牛が1頭この牧場で生き延びているのです。
この白い牛です。
目の所だけほら黒くなってて。
吉澤正巳さん。
ガガを含めた330頭の牛を浪江町で飼育し続けています。
とはいえこの牛たちは放射線の影響により肉牛として出荷できません。
その決意からもうすぐ4年。
いつまで続ける事ができるのか。
餌は賞味期限切れの野菜などを譲ってもらい何とか確保している状態。
しかも従業員たちは避難によって職を離れ今は吉澤さんがほぼ1人で世話をしています。
それは何かを全うしてるんでしょうけど…ただやっぱり牧草を蹴りながらね「分かんないんだよ」って。
原発20キロ圏内で撮影された太田さんの写真のうち半分以上が猫です。
この猫たちは餌にありつけずに骨と皮のような状態でした。
震災直後避難先にペットを持ち込めないからとやむなく置いていった飼い主も少なくありませんでした。
震災から4年がたとうとする今も離れ離れになった飼い猫を捜し続けている人がいるのです。
この女性も飼い猫を捜し続けている一人です。
トラトラトラ。
避難先の二本松から浪江町に一時帰宅する度に近所を捜して回ります。
取り残された猫とその飼い主に再会を果たしてほしい。
太田さんはあるボランティア活動をしている人を応援しています。
浪江町で猫や犬の保護活動をしている赤間徹さんです。
赤間さんは避難先の郡山から毎日2時間かけてここに通っています。
そして取り残された猫や犬がいないかを見て回るのです。
猫や犬を見かけると捕獲器を仕掛け餌を入れておびき寄せます。
捕獲すると赤間さんが以前住んでいた浪江町の自宅に運び込みます。
(猫の鳴き声)飼い主や里親に渡すまでの間ここで世話をするのです。
(鳴き声)今では猫は64匹犬は19匹。
全ての部屋が猫と犬のシェルターになってしまいました。
およそ50か所あるトイレは1日2回掃除します。
餌やりや水やりも1日2回。
50個以上ある食器洗いも欠かせません。
しかも犬はけんかを防ぐために1匹ずつ散歩に連れていかないといけないのです。
これらの世話を…なあ。
この日東京からボランティアに来た人が捕獲を手伝ってくれる事になりました。
この時捕獲した猫はメスでした。
(鳴き声)えっ?大きい?野生動物と同じように猫によってますます家が荒らされてしまうおそれがあるのです。
繁殖を防止するために赤間さんが頼りにしている人がいます。
(豊田)ああそう。
毎週木曜日二本松からやって来る…町に人が戻ってくれば世話をする人が増えてこの活動は終息に向かうと赤間さんは考えています。
しかし最近の町の調査では「浪江町に戻りたい」と答えたのは17.6%でした。
この活動をいつまで続ければいいのか。
先の見通しは全く立っていません。
そっかそっか…赤間さんの「いつ終われるのか」というのに対してというか…そうですね。
そうですね。
太田さんが赤間さんを再び訪れたこの日。
(赤間)そう。
赤間さんはケージに入れた猫を2匹連れてきていました。
ここの住民が避難先から毎日通って猫の世話をすると申し出てくれたのです。
うん。
いつか猫も人も一緒に住める町になってほしい。
そう願いながら赤間さんは活動を続けています。
今日本の若きアニメーション監督が2015/02/08(日) 00:00〜00:25
NHKEテレ1大阪
福島をずっと見ているTV vol.44「それでもずっと 生かし続けたい」[字]
東日本大震災から丸4年を迎えようとしています。今回は、原発20km圏内に取り残された動物たちを保護し育て続けている人々の葛藤や思いにせまります。
詳細情報
番組内容
強制避難によってやむをえず置き去りにされたペットや家畜たち。震災直後から、その動物たちにカメラを向け続けてきた写真家・太田康介さん。写真を撮り続ける中で、取り残された動物たちを保護し、育て続けている方々に出会ってきました。彼らはなぜ動物たちを生かし続けているのか?震災から4年がたとうとしている今語られる、これまでの苦悩と葛藤、そして“これから”のこと…。太田さんと箭内道彦さんとともに耳を傾けます。
出演者
【司会】箭内道彦,合原明子,【語り】相沢舞
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:32640(0x7F80)