平成26年度 NHK全国短歌大会 2015.02.07


1月24日NHKとNHK学園が主催する「NHK全国短歌大会」が開かれました
会場のNHKホール既に大勢の方がお見えですね。
選者のお一人小島ゆかりさんでございます。
さあ小島さんにとってこの大会はどんな大会でしょうか?毎年各地でさまざまなすばらしい短歌の大会がございますけれどなんと言ってもNHKの全国大会は一年の初めですしそれから規模が大きいですから私にとってはまたこの大会から晴れやかな歌の一年が始まる。
そんな気持ちです。
さあどんな歌が登場しますか楽しみですが私どももそれでは早速ステージの方へまいりましょう。
(拍手)平成26年度「NHK全国短歌大会」開幕です。
ステージには現代短歌界で活躍する15人の選者の方々と特選に輝いた受賞者の皆さんが晴れの席を共にされております。
2万を超える作品の中から選ばれた特選受賞者の皆さんでございます。
皆様どうぞお立ち下さい。
(拍手)どうも皆様おめでとうございます。
(拍手)
今年の大会の短歌の投稿数は一般の部では題詠自由題合わせて…
国内だけでなく海外からも多くの作品が寄せられました
去年の10月一次選考会が行われその結果およそ5,000首が入選となりました
大会ではその中から特選として選ばれた題詠15首自由題30首を選者の選評を交えながら紹介してゆきます
そして最後に5つの作品を大会大賞として発表します
作品の朗読は加賀美幸子さんです。
どうぞ。
(拍手)加賀美幸子でございます。
作品の心に深く共感しながらそしてまた新たに物事に気付かせて頂きながら今年も朗読致します。
どうかよろしくお願い致します。
(拍手)さあそれでは題詠です。
5,339首の中から選ばれました特選15首です。
初めは坂井修一さんの選んだ特選です。
題詠「和」坂井修一選。
「仕事に出かける私のために母は毎朝ごはんとみそ汁を作ってくれました。
母から妻へと替わっても台所にはいつもの匂いが待っています」。
この人にとってお母さんというのは昭和のお母さんで母の気配で起きるんですよね。
音じゃなくて気配ね。
それから「昭和の火には匂いがあった」というこの表現が抜群でありましてねごはんとかみそ汁とかの匂いじゃなくて火の匂いなんですよね。
まさにこの焦点の絞り方にとっても魅力的なものを感じて参っちゃうわけですね。
私なんかもね。
匂いとか気配とか歌ってこういうものに対する心寄せがとっても大事なんだと思うんですね。
この口語の歌なんですけれどもこの口語の歌に込められる柔らかさと同時にねわりとクラシックな古典的な感じのする人間的な落ち着きのようなものも感じられてとってもいい歌だと思いました。
(拍手)岡井隆選。
「みんなが絶賛する本に堂々と異論を唱えた一人の女性。
一瞬にして場は静まりかえりました」。
皆さん和とか和やかというのをやってるんですけど和やかそれに異論を唱えた。
つまり和やかの反対ですがそのために座が一瞬静まりかえったという歌でその場の臨場感というんですか実にきれいに出てる。
それと同時に和とか平和とか和やかとかそういう事を人間はもちろん欲するわけでありますけれどもその中にやっぱり言わなければならない異論というのもありうるわけでそういう時の感情ですね。
なかなか見事に表現してらっしゃる。
そういう点にとても共感を致しました。
以上です。
(拍手)佐佐木幸綱選。
「子供たちがまだ幼いころ私たち両親の名前を覚えるのも一苦労。
電話は取り違えてばかり。
そんな2人の名前がNHKホールで読み上げられるなんて」。
実は作者和代さんの夫の和男さんがNHKホール会場にお見えでございますがどちらにいらっしゃいますか?あ〜いらっしゃいましたね。
ようこそお越し下さいました。
ありがとうございます。
(拍手)この題詠のためのご夫婦みたいな方でそれをうまい形で短歌の形にされたなと思って感心致しました。
ユーモアな歌やっぱりユーモアな歌なりの力があんまり入りすぎると面白くないとか。
あるいは言葉にあんまり凝りすぎるとまたそれもわざとらしいとかユーモアな歌わりと難しいんですけれどもとてもうまく歌われたと思いました。
特に「こそばゆい」という言葉ですね。
僕は東京生まれで東京の人はあんまり使わないかなという感じで僕は去年1年「こそばゆい」って言葉使ったかなと思いましたがどうも使ってないような気もしますけどね。
「こそばゆい」って言葉をとてもうまく使われておられる。
ここがやっぱり一首のポイントになってるなと思いました。
では山下さんに少し伺いましょう。
実は2年前も夫である和男さんの事を題材にお歌いになって特選でございましたね。
和男さんはこうして歌の題材になる事をどんなふうに思っていらっしゃるんでしょうね?それがあまり聞いた事はないんですが今回特選の通知を頂きまして本人が読んで声をあげて笑いました。
せっかくですから和男さんにもお気持ちを伺いたいですね。
いかがですか?歌の題材になるお気持ちは。
もう結婚して40年にもなるんですが忙しい中でなおかつ私に意識を向けてくれてるという事は大変ありがたいと思います。
この「和」の文字どおりに仲良くお過ごしになれるといいと思いますね。
本当におめでとうございました。
ありがとうございました。
(拍手)道浦母都子選。
「言葉も生活習慣も違う国に来て今の地位を築き上げた横綱白鵬。
広げた口は小さくてもしっかりと『君が代』を歌う姿が印象的でした」。
これは白鵬をテーマにした歌ですが「唱和」という「和」を使って歌っている一首です。
優勝力士には優勝杯と国旗国歌掲揚の時に「君が代」を一緒に歌わなければならないんですがモンゴル出身の白鵬は別に自分の母国がありますので国歌が違うわけですね。
ですからそれを小さな口で一生懸命口を合わせて歌っている。
その対象をとても丁寧に見ながら大相撲の1シーンをうまく切り取っている一首だと思いました。
以上です。
(拍手)小池光選。
「学徒出陣で出征した夫。
名前のなかった馬に『大和』という名を付けました。
甘えてくる姿が今も忘れられないそうです」。
さてこの馬に「大和」という名前を付けた夫の壽さんが会場にお越しでございます。
どちらでございましょう?ようこそいらっしゃいました。
(拍手)なんと御年91歳で社交ダンスを楽しんでいらっしゃるんだそうです。
すごいですね。
戦争の歌ですよね。
そして大陸に出征されて軍馬を扱ってこられた方で大和という名前を付けてかわいがってたんだと思いますけれども戦争が終わって引き揚げてこられた時きっとその馬は中国に残したままであれがどうなったかなと今でも思うというふうな歌でとても格調の高い美しく厳しい歌になったと思いますね。
特に「噛癖を言ふ」というのが具体的でいいと思いますね。
馬の噛み癖って私よく分からないけれども要するに人に向かってしきりに噛む癖があった馬なんでしょうね。
甘噛みするというかね。
そういう「噛癖を言ふ」というのが具体的な思い出になっていてとてもいい歌だと思いました。
(拍手)三枝之選。
「公園で娘が砂を掘り返しているといつの間にか子供たちが集まってきてみんな一緒にいろんなものを埋めていました」。
実は作者柴田さんはこの大会のためにアメリカからお越し下さいました。
どうもありがとうございました。
(拍手)この歌も強いてテーマを特定すると平和という事になるかと思いますがその平和をどういうふうに平和という言葉でなくてどういうふうに言いかえをしながら工夫をするかと。
その工夫がなかなか「和も洋もなく」というそんな表現の中で生きていてこの表現のセンスにまずとても感動しました。
場面は無心に遊ぶ子供たちそれからアメリカ初夏3つそろうと文字どおり全ての障害の壁を乗り越えた本当の平和の姿がそこに浮かんでくる。
そこがこの歌のとても魅力的なところだったとそういうふうに思います。
(拍手)アメリカにいらしてまだそう長くはたっていらっしゃらないそうですね。
昨年の夏に越しましてやっと慣れてきて少しずつ楽しめるようになったかなという感じですね。
その緊張状態の中ですっと生まれてきたような歌でしょうか。
そうですね親の方が外国暮らしというので気負ってましたのでそれに対して子供は和とか洋とかそういう事は考えずに伸び伸び遊んでいる姿からふと詠んだ歌になります。
本当に今回おめでとうございました。
(拍手)穂村弘選。
「高齢者を狙う詐欺の手口を解説する催しがありました。
訓練では犯人逮捕となりましたが実際には果たして平常心を保てるでしょうか」。
「いや〜あんたのだまされっぷりよかったよ」とか「あんたやった事あるんじゃないの?」とかそんなふうに和んでるっていう感じですね。
何でほっとしてるかというと役割が終わったからですね。
うまくだまさなきゃと。
うまくだまされなきゃってまあ訓練ですからね。
それが終わってほっとした。
この「和む」にはその独特のニュアンスがあってそれが面白いんですね。
でも訓練終わってもまだ町内会の役員であるとか会社の部長であるとか父であるとか夫であるとかそういう無数の役割があって他に似た歌がなくて面白いなと思いました。
(拍手)馬場あき子選。
「娘が青年海外協力隊でアフリカ北部のニジェールに派遣されました。
過酷な環境の中で和ろうそくのほのかな明かりにいつもなぐさめられていたそうです」。
松本さんが歌われました娘さんのちほさんの写真を持ってきて下さったんですがマラリアを防ぐための蚊帳のつり方。
あるいは農業を指導されていたという事なんですね。
現在はニジェールではなくネパールにいらっしゃるという事ですが世界各地で活躍される何とも活動的な方なんですね。
この歌ねとても「五七五七七」からはみ出しているんです。
「六九五八七」というようなもの。
じゃあ破調かっていうと言葉が非常に柔らかで優しいので破調性を感じさせないんですね。
そこに一つこの人の言葉技っていうか物言いのこなれた物言いがあると思います。
アフリカにともる和ろうそくという「和ろうそく」という言葉も特別題が「和」だからこれだというよりも非常に自然に使われているのもいいなと思っています。
黄昏の頃アフリカに和ろうそくが灯るというだけでも詩ではないかと思うのですけれども大変すばらしいと思いました。
(拍手)篠弘選。
「北上川の河口から20キロ離れた私の町にも津波は押し寄せました。
翌年からは採った山菜の放射線量を測るようになりました」。
こごみの胡桃和えというのは作者としても極めて腕のふるいがいのある味わいかと思います。
しかしこの歌は「今年も測る線量」というところにいやおうなし放射線量の測定を経てそして初めて口にしうるというこの悔しみとそしてまた同時にようやくOKが出てともどもに味わえる季節の風土の味わいこれを楽しむ歌になっています。
古典はもとより近代もこうした味覚の歌というのは少ないもんでした。
味覚を通じて人生のある種の切り口特に肉声本音が出てくる喜びが率直に出てくる。
そういう歌になってるところが新しいものにふさわしいと思いました。
(拍手)伊藤一彦選。
「テンポが速く凹凸のある言葉が外国語なら小川の流れのような穏やかさを日本語には感じます。
癒やしの響きのある言葉です」。
冷さんもアメリカからこの大会のためにお越し下さいました。
どうもありがとうございました。
(拍手)この大和言葉は広い意味で日本の言葉という意味で使われてるんだと思いますね。
「受話器を置きて」と歌ってらっしゃるのでこれでもう場面が明瞭ですね。
「さようなら」っていう言葉は私も本当にいい言葉だと思います。
もともとは「ごきげんようさようなら」と言って相手に対する優しさ温かさを表した言葉ですよね。
今はもう略してさよならとかもっと簡略にさいならとか言ってしまいますけれどもこの「さようなら」って言葉はあ音の多い非常に明るい響きですし濁音がありませんよね。
今冷さんとお話してたんですけどどうして日本の人はバイバイと言うんでしょうかってようおっしゃったんですけど「さようなら」という日本の言葉のすばらしさそれを電話を切られてしみじみと思われたというですねですから大和言葉の和の象徴的なものをさようならに感じられた大変いい歌だったと思います。
はいありがとうございました。
(拍手)冷さんはアメリカでの生活はもう長くていらっしゃって20年ほどと伺っておりますが長いですね。
はいそうです。
やはり日本語の柔らかさをお感じになるのは今は場合の歌でしたが他にどんな言葉でお感じになりますか?日本語の持っている流れが柔らかいなっていつもいつも思っております。
流れがね…なるほど。
歌のお仲間というのは大勢いらっしゃるんでしょうか?皆さん短歌に熱心に取り組んでいらっしゃいます。
短歌自体が日本人のDNAでしょうか?日本がとっても身近に感じます。
どうも大変おめでとうございました。
(拍手)
引き続き題詠の特選作品をご紹介します
「暖かいうちにと思っていてもついつい年末まで先延ばししてしまうもの。
ふるさと長野で『ずくなし』と呼ばれる怠け者なのでしょうか?」。
「京の皇室から江戸の徳川家に嫁いだ和宮は私が暮らしている塩尻にも宿をとられたそうです。
雅な行列が見事に再現されました」。
「バス旅行で訪れた時名護湾の名前の由来を知りました。
目の前に夕暮れ時の海の色が浮かんできました」。
「子供の頃は戦争中で遊び道具は何にもありませんでした。
たった一本の荒縄で日が暮れるまで夢中になって遊んだものです」。
「空襲で命を落とした友達の和子ちゃん。
その後長年教師をしていましたがもう二度と生徒たちにはあんな目に遭わせたくないと思っています」。
「NHK全国短歌大会」今度は近藤芳美賞の発表です。
近藤芳美は1913年大正2年生まれ。
戦後を代表する歌人の一人で現代短歌の新しい世界を切り開くとともに短歌の裾野を広げる事にも力を尽くしました。
この近藤芳美賞はより多くの方に短歌に親しんで頂くため去年から設けられました。
15首をひとくくりの作品として審査する部門です。
選には岡井隆さん篠弘さん馬場あき子さんの3人が当たりました。
選者のお三方どうも大変ありがとうございました。
(拍手)さあそれではいよいよ近藤芳美賞の発表です。
近藤芳美賞は福岡県の大西淳子さんの作品「さみしい檸檬」が選ばれました。
大西さんどうぞお入り下さい。
おめでとうございます。
(拍手)さあそれではこの近藤芳美賞受賞作品「さみしい檸檬」をご紹介致します。
大西淳子さんの「さみしい檸檬」でした。
どうもおめでとうございました。
少しお話を伺いましょう。
近藤芳美賞は15首ひとくくりでございます。
こういう連作は独特の難しさがあるんじゃないでしょうか?今回は連作という事なのでやはり構成という事は考えました。
少しストーリー性を持たせて作ってみました。
そうですか。
それが近藤芳美賞受賞でございます。
本当におめでとうございました。
ありがとうございます。
(拍手)「NHK全国短歌大会」ここからは中学生以下を対象にしたジュニアの部です。
Eテレで日曜朝に放送しております「NHK短歌」第4週「短歌de胸キュン」に出演中の3人と歌人の古谷智子さんに進行を担当して頂きます。
どうぞお入り下さい!
(鈴木寿えりちょす)よろしくお願いしま〜す。
皆さんこんにちは!鈴木あやです。
よろしくお願いします。
寿るいです。
よろしくお願いします。
えりちょすです。
よろしくお願いします。
(鈴木)私たちが出演している「短歌de胸キュン」は初めての人でも短歌が楽しめる初心者のための短歌講座です。
(えりちょす)私たちは番組を通して短歌を始めるようになって3年ぐらいたつんですけれどもいつも新しい発見があってとても楽しく勉強をさせてもらっています。
(寿)今回全国の幼稚園児や小中学生から寄せられた歌はなんと2万888首にもなりました。
お〜すごい。
今日はジュニアの作品を選んで頂いた歌人の古谷智子さんが来て下さいました。
よろしくお願いします。
今年もたくさんの応募を頂きまして本当にありがとうございました。
皆さんのユニークな作品を毎日ワクワクして選歌いたしました。
今日は「短歌de胸キュン」の皆さんと一緒に楽しくご紹介したいと思います。
それではジュニアの部小学生と中学生の大賞それぞれ3首ずつ発表したいと思います。
(鈴木)東京都中野区立中野神明小学校2年加来悠和さん。
(笑い)
(鈴木)こういう夢中な感じとかちょっと切ない感じがすごい共感できました。
ミニトマトって本当にたくさんなるんですよね。
とってもなくなると思えません。
夏休みもお休みがたくさんあるんですけれどもいつかなくなってしまうと。
目に見えるトマト目に見えない時間が共になくなっちゃうという事に気が付いた。
すごいですよね。
えりちょす加来さんは客席にいらっしゃいますか?はいこちらに来て下さっています。
悠和さんトマトはおいしかったですか?とってもおいしかったです。
(笑い)
(えりちょす)かわいいですね。
自分たちで作ったトマトですか?そうです。
ありがとうございます。
じゃあ今年もたくさんミニトマト作って下さい。
ありがとうございました。
おめでとうございます。
(寿)長野県塩尻市立広丘小学校4年藤森寛生さん。
(寿)確かに子供の頃って花火がすごく大きく感じてライオンみたいなイメージがありますよね。
大人にはちょっとマネができないと思います。
花火の閃光をたてがみに例えたというところがすごいなというふうに思いましたね。
えりちょす藤森さんも感想聞いてみて下さい。
大賞おめでとうございます。
ありがとうございます。
花火はきれいでしたか?はい。
(えりちょす)花火をライオンに例えていたと思うんですけどどんな音がしたんですか?「ドーン」って音がしました。
(笑い)すごい大迫力ですね。
ありがとうございました。
おめでとうございます。
(鈴木)岐阜県郡上市立大和西小学校6年日置陸斗さん。
(鈴木)こういう緊張感とかもすごい伝わってきて最後の「ぐぐっとのばす」という部分が印象的でしたね。
やっぱり「ぐぐっと」というところのね音に例えたところが大変よかった。
それから「かべまで」というふうに普通の言葉が使われてますでしょ。
ふだん着の言葉というのがとてもいいです。
あまりよそ行きの言葉を使わない方がいいかもしれませんね。
では続いて中学生の大賞に移ります。
(寿)山口県柳井市立柳井中学校2年井本千晴さん。
(寿)「新しいクラスになっても夏までには声だけで友達の誰かが分かるようになりました」。
私最初にこの歌を聞いた時は恋愛の歌かと思ったんですけど友達の…。
私もそう思いました。
振り向かず分かるというとこに気付いてると。
もう一つそれが私だけだというふうに気付いてる。
その二重の気付きがとてもすごいなと思いました。
(鈴木)愛知県豊橋市立南陽中学校2年空井怜さん。
(鈴木)私も実際にバスケットボール部で試合とかもたくさんしてきたんですけど試合の時はすごい緊張なのでそういうのが伝わってきました。
バスケットボールって大きいですよね。
そうですね。
ピンポンの球ってもっとちっちゃいですのでね緊張した気持ちがピッと止まってるのが本当によく伝わってくると思いますね。
緊張感が目に見えるように詠まれているところが大変いいなというふうに思いました。
(寿)東京女学館中学校3年小林理央さん。
(寿)14歳って大人なのか子供なのかまだ微妙な年頃で本当にすてきな短歌だなと思います。
微妙な気持ちというのを言葉で表すの難しいんですけれども例えで表してる。
で「はじけた泡」というのではなくてねそれを流した時というのが大変すごい着想だと思いました。
すばらしいですよね。
理央さんは今年は歌会始の最年少の受賞者でもあります。
すばらしい。
(拍手)
(寿)その小林さんが客席にいらっしゃるんですかね?はい。
こちらで〜す。
理央さんおめでとうございま〜す。
今何か打ち込んでいる事などがあれば教えて下さい。
クラブ活動の競技かるたとサッカーです。
「競技かるた」。
百人一首とかをやるんですか?そうです。
なるほど。
サッカーもできて百人一首もできて賢さ全開ですね小林さん。
すてきです。
短歌も上手で勉強もできて運動もできる。
完璧です!ありがとうございます。
短歌の面白いところを教えて下さい。
短い中に自分の言いたい事をどうやって収めるか考える事だと思います。
コメントまですばらしいです。
(笑い)これからもたくさん短歌作って下さい。
ありがとうございました。
(拍手)続いてですね優れた作品をたくさんお寄せ下さいました学校に贈られる学校大賞の発表をいたします。
(鈴木)小学校は広島県福山市の…
(鈴木)日本の伝統的な文化を学ぶ事にも力を入れているそうです。
(寿)中学校は…
(寿)家庭学習で作った短歌を国語の授業中に自分たちで推敲して発表しました。
学校大賞の皆さんおめでとうございます!以上ジュニアの部の大会大賞と学校大賞でした。
はい皆さんどうも〜ご苦労さまでした。
(鈴木寿えりちょす)ありがとうございました。
ジュニアの部もいい作品がいっぱい出ましたね〜。
「短歌de胸キュン」で歌を作っているじゃないですか。
どうですか?かなり刺激を受けたんじゃないですか?こうしてストレートに物事を見てしっかりそれを短歌で表現するというピュアな感じが私たちもちょっと初心にかえってもう一度頑張ろうかなと思います。
負けてられないなと思いました。
一層番組の中でいい歌が出そうですね。
期待してます。
以上ジュニアの部でした。
皆さんご苦労さまでした。
(鈴木寿えりちょす)ありがとうございました。
(拍手)「NHK全国短歌大会」続いては自由題の選評でございます。
今年の自由題には1万6,178首の応募がございました。
その中から15人の選者の方々にそれぞれ特選作品を2首ずつ選んで頂いております。
小島ゆかり選。
(笑い)「店に入ると男の子が2人おなかを鏡に映して遊んでいます。
驚いた顔をすると恥ずかしそうに走り去りました。
笑顔をもらったひとときです」。
100円ショップの鏡におへそを映している大人というのはまず見た事がないと思うんですが子供ですから何か鏡があるとちょっとこうおへそを…。
おへそも1人ずつ違いますからいろんな形をしているので。
「お前のおへそはどんな形だ」とか「俺のはこんなんだ」というので見てる姿がある。
子供の歌で注意しなければいけないのは大人の眼鏡をかけて大人の眼鏡越しに子供を見てしまうと本来の子供の姿ってなかなか捉えられないんですけどこの歌のようにほんとに子供のありのままの姿と言いますかねそれがよく捉えられまた100円ショップという場所が大変によかったなと思います。
(拍手)斉藤斎藤選。
「身の回りの整理で日記だけは最後まで手元に残しておきたいと思っていました。
でも捨ててしまえば意外とすっきりしました」。
今は「終活」なんて言葉もありますけどね少しずつ身辺を整理されていく。
日記ってやっぱり今お話あったように今までの記録ですからとても重みがある事なんですけども。
燃やすというのも大変ですからね。
今怒られちゃったりしますし。
ゴミとして出してそれが回収されるのを見ていく。
その時の心の動きですね。
「燃したきに」とか最後の「無惨に砕く」というその下の句の音に非常に力があって日記が回収されていくその心の動きみたいなものが一首にとても写し取られているなと思って受け止めさせて頂きました。
(拍手)米川千嘉子選。
(笑い)「初孫の泣き顔は家族みんなを笑わせてくれました。
一つ一つの変化を楽しみながら成長を見守りたいと思います」。
赤ちゃんというのはいつもお人形みたいにかわいい顔してるわけじゃないんですよね。
乳が欲しければ怒ったように泣いて真っ赤になってまぶたも膨らんでくる。
むしろかわいいって歌うよりもこういうふうに歌った方がとてもリアルで命の勢いと言いますかそういうものを感じさせると思います。
それを作者のお嬢さんこの若いお母さんは「土偶のやう」と言うんですね。
これがとてもユーモラスでねここにはお母さんになった喜びとはにかみみたいなものもあってそれを作者は感じてるんじゃないかと思います。
とても風通しのいい伸びやかな歌だと思いますけれども3世代の喜びがこまやかに伝わる魅力があると思いました。
(拍手)さあその土偶のような顔だというふうに表現されたお孫さんの奏ちゃんが実はご両親と一緒にいらしています。
どこかな?…あ〜よく来てくれましたね。
ようこそ!
(拍手)森山さん今で何か月なんですかね?今6か月ですね。
もう土偶の顔ではないですか?なくなりました。
日に日に成長されて。
(笑い)泣き声も変わりましたし笑顔も変わりましたしとても楽しみに見守っております。
そうですね。
はい。
本当にすばらしい笑顔と共におめでとうございました。
ありがとうございます。
(拍手)栗木京子選。
「一人で母を介護する女子高生疲れて授業中眠ってしまいます。
そのニュースを見て父の最期をみとった私も身につまされました」。
介護というのは今ほんとに多くの方々にとって切実な問題になってるわけですけれども老老介護というのはよく言われるんですけどこれからやっぱり非常に若い年齢の方が介護をほんとに1人か2人でやっていくというそういう時代にもなってきたのかなというふうにも思いました。
この歌はただこの子偉いなとか気の毒だなというんじゃなくて国語の時間に必ず眠るというところに何か謎があって何で数学や物理じゃないんだろうとかホッとしちゃうのかな国語の先生が優しいのかなとかねいろいろ読む者に広がって考えさせるプラスアルファがあるところがとても歌の奥行きになってるなと思いました。
(拍手)永田和宏選。
「蜜蜂が一生かけて集める蜜はパン1枚分。
その話を聞いて蜂のはかなさとけなげさに胸が締めつけられる思いでした」。
面白い発見で「そうか」と思いましたね。
我々何気なくパンにハチミツ塗って食べてるんだけどこれは蜜蜂の一生分の働きなんだと思ったらちょっとそれをおいそれと食べられない感じで。
歌というのは言われてる事に感動するというのはあるんだけどもう一つはねその歌を日常の中で思い出してやる時に「あっあの歌があったな」と。
思い出し方ってすごく大事だと思うんです。
私はきっとね次にパンにハチミツ塗る時に「これ蜜蜂一生分だよな」と思ったらハチミツ塗れなくなっちゃうという。
うちもハチミツ半分くらい残ってるんでどうしようかと今思ってるんです。
そういう力を持った歌でやっぱ歌って日常の中で思い出してやりたい。
それにうまく応えてくれる歌だと思いました。
(拍手)道浦母都子選。
「子供の頃は卵が食卓に上ればごちそうでした。
長女の私は妹や弟といつも仲良く半分こ。
懐かしい思い出です」。
たくさん歌を見てますと頭がだんだん固くなってきますので頭をやわらかくしてくれるようなそして卵という非常に身近なものをテーマにした作品でありますのでこの作品を採ろうと思って採ったんですがこれは卵かけ御飯でそれは2人でいつも貴重な卵だったので半分ずつ食べたんだよという。
「二人でひとつ」というこの締め方が私はとても素直でスッと心に入ってきましたのでこの作品を採らせて頂きました。
以上です。
(拍手)伊藤一彦選。
(笑い)「一目で親子と分かる2人でした。
女の子に声をかけるとはにかみながら『ママのコピー』という返事。
かわいい笑顔でした」。
今お聞きすると親子連れがいらして声かけられたという場面としてはありふれてるんでしょうけれどもちょっと子供の言葉に思いがけない内容があってびっくりしたという歌だと思うし私もびっくりいたしました。
子供は誇らしくママのコピーだって言ったんでしょうかね?それともやや親の言うとおりにしか生きていない自分を幼子ながら自嘲ぎみに言ったのか「コピー」というのは私からするといい感じじゃないんですよね。
ですから作者の鈴木さんもやや複雑な気持ちでさりげなく子供が「ママのコピー」と言った言葉をどう受け止めたらいいのか悩まれたと思うんですけども現代の母子関係を問うたそういう歌として大変印象に残りました。
(拍手)
自由題で選ばれた特選作品を続けてご紹介します
「散歩で遠出をするのが大好きです。
知らない土地の喫茶店に入るのは心細いものですが隣の椅子を引いて誰かの気配を感じたいのです」。
「孫夫婦に子供が生まれひ孫の顔を見せに来てくれました。
孫娘の優しさに触れて胸が熱くなりました」。
「象が南瓜を割る姿に子供も大人も皆笑顔。
でも足には長い鎖が。
ほのぼのとした光景なのですが少し切ない気持ちになりました」。
「子供の頃から近くの川に親しんできました。
年老いた今の自分にはのたりのたりがふさわしいと思ったのですが」。
「近くの公園に研ぎ屋さんがやって来ます。
ハサミを研いでもらいました。
新緑のもとで仕事をする姿を見てとても懐かしい気持ちになりました」。
「中学生の孫は反抗期の真っただ中。
なかなか言う事を聞きません。
このごろは急に身長が伸びて青年の体に変わってきました」。
「はたから見た人の家庭は実際と違う事が多くあります。
壊れてから初めて知る実情はまるでドロッと出てくる卵の中身のようです」。
さあそれでは引き続き自由題特選の紹介と選評を伺ってまいります。
佐佐木幸綱選。
(笑い)「1年ほど前不機嫌で怒りっぽかった3つ年下の妹。
でもしばらくたつとうそのようにいつもどおりの素直な妹に戻りました。
そんな成長をちょっとうれしく思います」。
松田さんは16歳の高校1年生でいらっしゃいます。
これまでで最も若い特選受賞者となりました。
おめでとうございます。
(拍手)私2つの点でこの歌なかなかな作品だなというふうに思いました。
一つは四句切れなんですね。
「うさぎ型のりんごも星の人参もよろこぶ妹」ここで切る。
一呼吸置いて「反抗期明け」こういうふうになるんですね。
この四句切れの歌というのはねやっぱちょっと意識的にならないとなかなか作れない。
非常に四句で切れる気合がとてもうまくいってる歌だと思いました。
もう一つはねこれ選んだ時はお姉さんの歌かお兄さんの歌か分かんなかったんですけどね自分もちょっと前に反抗期明けを体験したという事が読者にスッと分かるような形で歌が作られているんですね。
「分かるよ分かるよ」というのとそれから自分とは違う形でね反抗期が明けるんじゃないかというちょっとした好奇心とこの入り交じったようなところがとてもうまく出ている。
この2点で私は感心しました。
今日は実は松田梨子さんの妹のわこさんが会場に来てるんですね。
あ〜お見えですね。
ようこそ〜!
(拍手)似てますね!
(拍手)わこさん妹さんもたくさんの歌を実は詠まれているんですね。
お二人はお互いの事をよく歌に詠んでるという事なんですけど性格の違いなんてあるんですか?あの〜私よりも妹の方が少し大人っぽいです。
え〜妹の方が?例えばどんなところが大人っぽいんですか?う〜んと私のいろいろな相談に乗ってくれたりします。
へ〜頼りになるんですね。
(松田)はい。
そうなんですね。
これからもほんとに姉妹協力していい歌をたくさん作って下さいね。
ありがとうございます。
本当におめでとうございました。
ありがとう。
(拍手)坂井修一選。
「ある日公園は男の子の基地から女の子の城へと変わっていました。
子供たちの生き生きとした声は子育てをしていた日々を思い出させてくれます」。
「小公園」っていうのは何か町の中にあるねちっちゃい公園なんでしょうね。
それが秘密基地というのとね魔法の城という2つのものの対比によってすごくほんとにほんとに生き生きと表されているという事でしょうけども作者はこれどっちにより共感を覚えてるかというとふだん占領されてるようなね秘密基地じゃなくてたぶん今日ぱっと見た時にね「きょうは魔法の城だ」というそっちの魔法の城なんでしょうね。
その魔法の城に対する共感というのが割と素直に入ってくるというところでねこれはよく感じ取られるなというね。
そこでプラスかマイナスか分かれるんですよね。
これはプラスの歌だと思います。
以上です。
(拍手)馬場あき子選。
「択捉島から引き揚げてきて阿寒湖のほとりに落ち着いたのは8歳の秋。
それから23年間雄大な自然に囲まれて暮らす日々が続きました」。
阿寒湖は非常に透明度が非常にすばらしい湖として有名なわけですけどもそこに育つまりもをですね「トー・ラ・サンペ」と呼ぶ。
「みづうみのみたま」ここにはねやっぱりアイヌの人の祈りそのものがあると思うんですね。
魂ですからね。
そこにじっとそういう名の下に尊ばれながらまた大切にされながら眠っている「まりも」っていうものへのもう一つ新しい立場からの愛っていうなのが目覚めているようないい歌だと思いました。
(拍手)篠弘選。
「津波の被害を受けた宮城県の女川町での事です。
カーナビでは駅や旅館を示しているのにそこには何にもありません。
ひまわりだけが咲き乱れていました」。
「カーナビが駅といいたる場所にいま」というこの設定がいいですね。
カーナビに当然出てきた駅が見えない。
その空間に立っている限りない虚脱感が出ている。
なおかつひまわりが咲くという線量を減らすために幾分か役に立つひまわりの花かもしれませんが海に向かって咲くひまわり。
それに作者も背を並べるようにして海を見ている。
そうした歌です。
とにかく自ら体験したここでいう言いようのないいかんともしがたい虚脱感これはこれで作者が身をもって感じたもの。
これを私どもは今だけじゃなくこれからも詠み続けていくべきだろうと思います。
そういう意味でこの一首を推しました。
(拍手)栗木京子選。
「見上げた先にはこちらを向いた監視カメラが。
もうご時世なのでしょうが梅を愛でる場所にもあるなんて興ざめな気分になりました」。
高原さんは自由題でなんと二首特選となりました。
ほんとにおめでとうございます。
(拍手)もう監視カメラ至る所にあってそれによって犯人が捕まるとか犯罪の抑止力になるとかそういう面もあるんですけれどもこういうね風雅な探梅のね梅を見に行った所にも監視カメラを見つけるとやっぱり興ざめというかねがっかりするところがありますよね。
この歌は語順がとても巧みでのどかに歌ってきて最後の最後に「監視カメラが」っていうふうにぱっと何か本性を現したみたいなね空間がガラッと変わるというね。
こういう歌の作り方というのもねすばらしいと思いました。
(拍手)三枝之選。
「子供たちが独立して長くなった夫婦の時間。
互いに干渉しないという自由さは少し寂しくもあります。
そんな時のビールの味はまた格別だったりするのですが」。
カップルというのはやはりそれはそれでとても大切な単位でありますし掛けがえのないあれですね。
だけれどもそれが今この歌でいいますと長い年月を積み重ねる事によって楽しいという事だけではないもうちょっと微妙な関係が生まれてくる。
普通はこれ一人の方が孤独なわけですけれどもむしろ二人でいるからこそ時間を積み重ねた人でなければ見えてこない夫婦の関係とそれから二人の掛けがえのなさ。
同時に一人の孤独っていうふうな非常に複雑な感情がこの歌には詠み込まれていると思います。
そういうふうなもろもろの感情の中でロング缶を開けるっていう行為でねそれを受けたところが歌のまとまりとしてはとてもよかったとそういうふうに思います。
(拍手)穂村弘選。
「毎朝開く三面鏡。
そこには何人もの自分がいます。
女娘母親そして看護師の顔。
全てがそろって私自身になり立ち上がります」。
実際には現実に一人だけいる自分が三面鏡を開くとそこに少し遅れてというのかな。
自分の影のようなもう一人の自分たちがたくさん映るっていうのが普通の見方だと思うんですけどこの短歌はそれを反転させていて三面鏡の中にたくさんの自分がいて今のお話だといろいろな要素を持つ自分ですよね。
それを偶然のように「ひとつに纏め」てたった一人の自分がこの世に立っている。
それが何だろう?現実とは違う詩の世界の真実を何か言い当てているような気がして。
もう一つの詩の風景を見せてくれるとても鋭い魅力のある歌だなと思いました。
以上です。
平山さんも実は二首目の特選でございます。
おめでとうございます。
(拍手)小島ゆかり選。
「食べ物への好奇心が芽生えた2歳の我が子。
世の中のものは何でも食べられると思っているのか目に入るもの全て味で表現しています」。
私もこの歌に出会ってから雲を見ると何か甘そうだなと思えるし月を見ると何か口の中がちょっと酸っぱくなりますね。
実際食べた事はないですけども本当にそんな感じがしてくるふくよかな歌だと思います。
特に第四句から第五句にかけて句またがりがありますね。
それからこの歌は「雲あまし月すっぱし」ではお行儀がよすぎてまたこの柔らかな膨らみが出ない。
文語と口語それぞれの味わいが堪能できる。
これは口語のすばらしい一首だと思いました。
以上です。
ありがとうございました。
見るものを全て味わうという杉山さんのご長男の矩一ちゃんが実は会場に来てるんですね。
どこかな?あ〜ようこそ。
(拍手)ようこそようこそ。
2歳なんですね。
NHKホールや「短歌大会」はどんな味がするんでしょうね。
ちょっと伺いましょう。
矩一ちゃんは見るものを何でも面白そうなんですね。
散歩中は特におなかがすくのかいろいろなものを空想の世界で味見をしているようなんですが見た目がちょっと苦手なカラスとか虫なんかを見ると「からいからいらない」って言ったりします。
すごいな〜。
ほんとに想像力豊かですから何か楽しみですね。
単に食いしん坊なだけかもしれないんですが今のこのユニークで自由な想像力をもっと磨いて将来一緒に短歌作りができたらいいなと思っています。
ほんとですね。
どんな想像力豊かな歌が生まれるかね楽しみですね。
どうもおめでとうございました。
(拍手)
引き続き自由題の特選作品をご紹介します
「ある会で決まった事が覆され私の意見は消えてしまいました。
ぼう然として腕時計の針だけを見つめていました」。
「4年近くがたってもいまだに残る瓦礫の山。
でもそこに咲くやさしい色の花を見つけた時人間も自然の一部なんだと強く感じました」。
「イギリスのヒースロー空港で黒いブルカを着た女性たちがしゃがんで入国の審査を待っていました。
初めて目にする光景でした」。
「私たち夫婦は性格が全く異なり意見の食い違いもしばしば。
だからこそ補い合ってきたんだと45年たった今気付きました」。
「護送車に乗っている人たちは春の青空をどんな気持ちで見上げているんだろうと遠ざかっていく車を見つめていました」。
「夫は心筋梗塞で帰らぬ人となりました。
亡くなる前日に処方された五錠は今も薬袋の中に入れてあります」。
「孫娘は動きだした前歯を得意げに見せに来てくれました。
青空に湧き上がった夏雲に孫の成長を重ね合わせました」。
「庭の石に腰を掛けて休んでいると1匹の蜥蜴が顔を出したり隠れたり。
その姿がいとおしくて『ゆっくり陽を浴びてね』と声を掛けました」。
選評が終わったあと歌が詠めない時はどうすればよいのか選者の皆さんにお聞きしました
なかなか歌が詠めない。
詠もうとしてるんだけどどうも浮かんでこないという事があるかと思います。
そういう時どんな工夫どんな事をしておられるのかという事をちょっと伺う事にいたしましょう。
まず斉藤斎藤さんいかがでしょうか。
私は歌出来ない時は作らないっていう。
あのね思うんですけど短歌のスランプって多分短歌では乗り越えられないと思うんですよ。
自分のものの見方とかが固まっちゃってちょっと自分に飽きちゃってる時に短歌が出来なくなるんで一旦短歌から離れますと。
皆さんね例えば時間が出来たらこれをやりたいなみたいな事が1つか2つあると思うんですよ。
そういう時間があったらこれやってみたいんだよなという事を思い切ってやってみてしばらくそれをやってから短歌に戻ると多分ものの考え方とか見方とかが動いて歌が出来るかもよっていうそっちに懸けますね私は。
あ〜なるほど。
米川さんもちょっと教えて下さい。
無理やり一人題詠をやるというか「和」とかあるいは「母」とか「老い」とかねそういう大きいテーマで作るのではなくて例えば「コップ」とか「かばん」とか今だったら「霜柱」とかねそういう具体的なものであんまり構えずにとりあえず一首二首五首十首作ってみると何か自分の中からズルズルズルッて出てきそうな気がします。
穂村さんいかがですか?なかなかひねり出せないという時ありますか?いい歌を作ろうとすると絶対出来ないのでどんなにひどくてもいいと腹をくくってひどい歌を作る。
誰にも別に見せるわけじゃないんでとにかく形に言葉が並んでればいいぐらいハードルを下げて作り始めると二十首目ぐらいから多少上向いてきて四十五首目ぐらいでまた下がってくるので二十首目から四十五首目までを人に見せる。
その前後は切り捨てて隠しておくみたいな感じですかね。
(拍手)「平成26年度NHK全国短歌大会」いよいよ大会大賞の発表です。
2万1,517首の中から5作品が大賞に輝きました。
それでは大会大賞1人目です。
題詠「和」愛媛県の加藤文男さんです。
(拍手)作品は…。
(拍手)では加藤さんひと言伺います。
大会大賞でございます。
お気持ちはいかがでしょう。
ほんとにびっくりして涙が出そうです。
歌作り続けてこられてよかったですね。
はい。
ありがとうございました。
どうもおめでとうございました。
それでは題詠大会大賞2人目は宮城県の遠藤徹さんです。
(拍手)遠藤さんは実は残念ながらご欠席なんですね。
作品をそれではご紹介をいたします。
遠藤さんおめでとうございました。
続きまして大会大賞3人目は自由題。
東京都の杉山桃子さんです。
どうぞお立ち下さい。
(拍手)作品は…。
(拍手)杉山さんこの大賞誰に一番知らせたいですか?そこにいる息子に感謝して。
またいつも母がいろいろとサポートを子育てのサポートしてくれてるので母にありがとうと言いたいです。
ありがとうございます。
これからもどうぞ歌作りをお続け下さい。
おめでとうございました。
(拍手)大会大賞4人目は北海道の奥泉一子さんです。
どうぞお立ち下さい。
(拍手)作品は…。
(拍手)奥泉さんもどうぞお気持ちをお聞かせ下さい。
今こうして短歌を詠んでいる…何て言うんでしょうか自然に恵まれて育った環境が歌を詠ませているんだと思って阿寒湖への恩返しになったかと思います。
ありがとうございました。
どうもおめでとうございました。
(拍手)大会大賞最後の方です。
静岡県の松井惠さんです。
どうぞお立ち下さい。
(拍手)作品は…。
(拍手)松井さん大会大賞でございます。
ご家族客席にお見えでございますね。
よかったですね。
ありがとうございます。
どんなお気持ちでしょうか?え〜心臓が飛び出るぐらいです。
ドキドキ。
歌作りは長くていらっしゃるんですか?え〜と丸13年。
ほんとにおめでとうございます。
これからも歌作りをお続け下さい。
はい。
ありがとうございます。
おめでとうございます。
(拍手)以上で大会大賞の表彰を終わらせて頂きます。
(拍手)さてそれでは最後に来年度の「NHK全国短歌大会」の題をここで発表いたします。
選者小島ゆかりさんからです。
来年の題は「一」です。
「二」では駄目なんです。
「一」です。
この漢数字の「一」という文字が入った作品をお願いいたします。
私がふと思うのは「一期一会」なんていうのは結構人気が高いのでハードルが高くなるかもしれないと思ったりいたします。
また皆様の良い作品をお待ちしております。
よろしくお願いします。
来年度の題は「一」と決まりました。
(拍手)皆様と一緒に過ごしてまいりました「平成26年度NHK全国短歌大会」この辺で閉会といたします。
また来年度の大会でお目にかかりましょう。
ありがとうございました。
(拍手)まぐれ。
おめでとう!ありがとう。
いいじゃないまぐれでも。
見せて見せて。
すごいじゃん。
びっくりしちゃった。
大丈夫かなと思ったぐらいドキドキしてたから。
倒れそうになった。
大会大賞じゃないですか!やりましたおめでとう。
びっくりした。
一番びっくりした?おめでとう。
おめでとうございます。
おめでとう!おめでとう。
ほらママ来たよ。
ほんとびっくりした。
ほんとに。
「ママおめでとう」って「よく頑張った」って。
「頑張ったね」って。
がんばった。
ママ頑張った。
たくさんのご投稿をお待ちしています
2015/02/07(土) 15:00〜16:15
NHKEテレ1大阪
平成26年度 NHK全国短歌大会[字]

17回目を迎えた「NHK全国短歌大会」。特選受賞者54人が集い大賞の行方を見守る。大賞は誰の手に!番組では中継と共に受賞者の声も交えドキュメント的に放送する。

詳細情報
番組内容
17回目を迎える「NHK全国短歌大会」が1月24日にNHKホールで開催された。今回の大会には一般の部(自由題、題詠)とジュニアの部合わせて、42,405首の短歌が国内外から寄せられた。ステージには短歌界を代表する選者と予選会で選ばれた特選受賞者が集い、熱気に満ちた選評が繰り広げられた。果たして大賞は誰の手に!番組では中継映像と共に受賞者の表情や喜びの声も折り込みドキュメント的に放送する。
出演者
【司会】濱中博久,えりちょす,鈴木あや,寿るい,【審査員】馬場あき子,佐佐木幸綱,岡井隆,永田和宏,伊藤一彦,小島ゆかり,篠弘,米川千嘉子,道浦母都子,三枝昴之,斉藤斎藤,栗木京子,坂井修一ほか

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸

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