ハングリー! #10 2015.02.06


(麻生時男)僕と一緒に働いてほしいんだよ。
これはプロポーズだよ。
山手英介君。
信じてないって顔だな。
まっ普通に言っても納得するわけはないと思ったから前もっていろいろと根回しをさせてもらったよ。
君にはまず何よりも早く本場フランスに行ってもらうつもりだ。
(山手英介)えっ?リヨンのレストランアラン・ラカン。
去年ギログーミロで20点満点中18点を取った今フランスで最も勢いのあるレストランだ。
君はまず2年間そこで一からフレンチの修業をする。
俺がフランスで修業?そうだ。
それから少し前に君の大事な仲間とも話をしたよ。
(回想)どうぞ。
(藤沢)あぁありがとうございます。
君を我が麻生コーポレーションの社員として正式採用したいと思っているんだ。
えっ?俺が社員?
(住吉)俺の給料がこんなに?僕はフランスでの修業から戻ってきた君をその軽井沢に新しくオープンさせる麻生コーポレーション11番目のレストランの料理長にするつもりだ。
はぁ?そのレストランの名はル・プティシュ。
その名を君に返却させてもらおう。
もちろん君がその名にふさわしい洗練されたシェフに成長すればの話だがな。
何で今更そんなこと。
ははははっ。
こんなことは言いたくなかったんだが…。
あれから僕は君の味が忘れられなくなった。
(杏)あっ!オーナーったらまたあの人と。
(佳奈)しぃ〜!あれって…。
(佳奈)はっ!しぃ〜!僕の負けだ。
もし君が僕と一緒になってくれるなら今までの数々の非礼をわびよう。
だから僕のプロポーズを受けてほしい。
何てこと…。
あぁ…。
はぁ…もうだめ。
そうだそれから君の料理にはあの大楠農園の野菜が不可欠だからあの農園とも…。
ふざけんな。
今更んな頭下げられたって受けられるかんな話。
山手英介。
君はもっとたくさんの人に自分の料理を食べてもらいたいと思わないのか?もっとおいしいものを作り日本中をいや世界をうならせたいと思わないのか?ばかにすんなよ。
何で俺が。
待ってるよ。
僕は待っている。
あいつ本気かよ。
(住吉)そりゃ本気だろ。
俺らにまで話しにくるんだから。
(平塚)いやちょっと待て。
俺そんなもうかる話来てねぇぞ。
お前バイトだからだろ。
そっか。
でお前ら何て返事したの?えっ?それは断ったって。
たとえ今の給料があいつが言ってた額の半分しかなかったとしても。
(藤沢)そうそう定休日が全然なかったとしてもな。
(住吉)交通費も出ねぇし福利厚生とかも全然ないし店の名前が定食屋みたいな恥ずかしい名前だったとしても俺はお前とここでやるのが楽しいって。
悪かったな何の嫌みだそれは。
ふふふっ…。
まあでもやっぱあいつすげぇな。
うまいもんに対する情熱がマジ半端じゃねぇよ。
だよな〜。
あっ…あのさ英介。

(睦子)おはようございます。
(平塚)あれ?むっちゃん早くねぇ?…つうか何か服装違ぇし。
(住吉)確か今日は離婚調停じゃなかったっけ?
(睦子)ええ。
先ほどまで6度目の調停で。
それで待ち時間につらつらと手帳を見ながら過去の記憶を遡っていたら私あることを発見したんです。
実は私こちらが開店してから毎日いらっしゃるお客様の数をチェックしていたんですけれど昨日でなんと287名になるんです。
(藤沢)へぇ〜もう300人近く来てんの?この店。
そうなんですよ!だから今日13番目にいらっしゃるお客様がお店が開店してから300人目のお客様ってことになるんです。
300人目かそれめでてぇな。
あっじゃせっかくだからさその300人目の客に何かサービスでもするか。
おっいいね!それ。
あっじゃ例えば料理のサービスとか?おぉ〜。
(睦子)デセールのサービスとか。
(藤沢)酒がタダになるとかな。
(住吉)あぁいいねぇ〜。
(平塚)後はやっぱり俺の歌とかな。
はっはっ。
ははっ。
(平塚)ごめんなさい。
よし!じゃあ料理と酒とデセールをサービスしよう。
で拓と睦子さんで盛り上げてほしい。
いいか?
(平塚)了解。
(睦子)わかりました。
300人目かぁ〜。
どんな客が来るか楽しみだな〜。
あっそうだ英介。
ん?
(平塚)あの…俺千絵ちゃんとつきあうことにしたから。
えっ?
(睦子)千絵さんが拓さんと?うん。
つうことでみんなよろしく。
(住吉)おいお前大丈夫か?また何股もかけたり泣かしたりするんじゃねぇだろうな。
ばかだね〜俺もう25だよ。
もうね楽しむだけの恋は卒業っつうの?それにけっこう今回はマジなんだ。
だから心配すんなよ。
なっ?いや心配なんてべつに…。
まあ良かったな。
うん。
うん。
(住吉)でも拓と千絵ちゃんって意外だったよな。
(睦子)ですよね。
でも良かったんじゃないですか?お若い方同士ってことで。
(藤沢)これで俺だけフリーか。
寂しいな。
これな…ほんとに。
芋はいいからよし集まれ!よし。
開店してすぐのあの体たらくから考えたら300人目の客が来るなんて奇跡みてぇな話だ。
それもこれもうまいもん食って幸せになってもらいてぇって俺らの気持ちが少しずつでも客に伝わってるってことだ。
しゃ〜!今日もこの世の食いもんに感謝をしつつ300人超えに向かって突っ走ろうぜぇ〜!
(一同)おぉ〜!
(ナレーション)
その300人目の客が俺たちとこの店の運命を変えることになるとは…。

このときの俺たちはもちろん全然知らなかった。

(大楠千絵)つきあってって言われちゃった。
(奈々)えぇ〜!?しっ!どこで家族が聞いてるかわかんないんだから。
いや何それ!はぁ〜もうずるい〜。
ずるいよ千絵。
私も正直言うとちょっとうれしかった。
かなり心折れてたから。
英介さんに片思いのうえに自滅して。
そんなときに拓さんが優しくしてくれて。
(平塚)これからは俺が千絵ちゃん守る。
何かすごくほっとしたの。
羨ましすぎる。
羨ましいって…。
その前に失恋してるんですけど私。
(義明)あっ!
(佐助)そうだったのか〜。
しぃ〜!千絵が三角関係の真っただ中なんて…。
(佐助)義兄ちゃんにするならどっちがいいかな。
なっ。
ばかたれ。
・ちょっと!何してんのよ佐助もお父さんも。
何してんのよ!う〜ん!そうだ!何よ!千絵お前…あの店なくなんだってな。
えっ?
(義明)こないだの人あの人何つったっけ?あの…。
麻生さんだよ。
その人から連絡があってよ安心してここの野菜も全部卸してくれってよ。
えっ?うそでしょ?そのレストランの名はル・プティシュ。
その名を君に返却させてもらおう。
(睦子)1112…次に入っていらっしゃるお客様が通算300人目のお客様になります。
よ〜し次か。
(住吉)せっかくならかわいい女子とかがいいよな。
だよな。
もし変な野郎だったらノーカウントにして次の客にしようぜ。
そういうわけにはいかねぇだろ。
客は客なんだから。

(ドアの開閉音)
(睦子)誰か来ました!
(太朗)・ふふふふふふふ〜
(住吉)はぁ…。
(太朗)どうしたんだ?初めてじゃないか?みんなで私を出迎えてくれるなんて。
(平塚)どうする?これ。
もちろんノーカウントだろ。
客じゃねぇんだから。
(住吉)何かそんな予感したんだよな。
(睦子)私もです。
(太朗)何…どうしたんだ?英介。

(ドアの開閉音)
(藤沢)ストップ!いい女のリズムが聞こえる。
ちょっと聞いてほら。

(足音)ワオ!見たことない新規のお客様だわ!きたよこれ。
くそ美人だ。

(平塚)いらっしゃいませお客様いやすばらしい。
いやお客様当店オープンして以来300人目のお客様になります!パン!
(クラッカーの音)パチパチパチ…
(亜矢子)何これ…。
(平塚)えぇ〜栄えある300人目のお客様には当店より本日特別サービスがございます。
私が300人目?このお店いつからですか?えっ?あぁ…今年の初めぐらいですね。
ふ〜ん。
じゃあ3カ月ぐらいか。
店長はいる?あぁ俺っすけど。
もうかってるんですか?このお店。
えっ?いや〜いやまだまだですよ。
口コミとか常連のお客さんたちのおかげでようやく少しずつ軌道に乗ってきたところで。
そう。
軌道に乗ってきたとこ悪いんだけどこのお店すぐに閉めてもらえます?えっ!?
(亜矢子)ここ本当は倉庫でしょ?食べる所でも大音量の音楽をかけて騒ぐような所でもないじゃない。
いやいやでも今はもう既にレストランだし保健所から営業許可ももらってるし。
そうねぇ〜。
いろいろ手間かけたのに残念だけど私ねこの倉庫の持ち主。
つまり大家なんですけど。
大家さん。
はっ?何てこった〜。
300人目が大家だったなんて。
(藤沢)美人だと思ったのに最悪な女だ。
(平塚)どうすんだよ俺たち追い出されちゃうの?
(住吉)でももしかしたら…もしかしたらだよ?料理食ったら考え方変えてくれるんじゃねぇかな。
えぇ?
(住吉)あら?案外おいしくていいお店じゃない?みたいな。
そんな都合のいいことあるかよ。
でも…。
よし…。
みんなしっかり頼むぞ。
よし。

(太朗)さあさあこれを食べればきっと大家さんの心もほっこりします。
へぇ〜どうも。
もともとここは食料倉庫という条件でお貸ししたんですよ。
それをこんな勝手に…。
それに夜遅くまで営業してるっていうしご近所にも迷惑なんじゃないですか?塩塩…。
あの女…何しやがるんだ!俺が手間ひまかけて作ったポトフ!
(住吉)落ち着け英介。
落ち着け落ち着け。
ケチャップ頂けますか?ケチャップ?それでいつ立ち退いていただけますか?あぁ…。
(藤沢)あれってもしかして…。
いわゆる味音痴ってやつだ。
(住吉)何だよそれ…もう絶望的だよ。
くそ。
(太朗)私レストランにするってお話しましたよね?あぁはい。
あっあったあった。
えぇ〜イギリス赴任中の持ち主さんには話は通していたんですがね先月離婚されたんですよ。
であの土地と建物の名義が奥様に渡ることになるらしいんです。
あいにくですが契約の切れる夏までには立ち退いていただいたほうが良いかと。
(太朗)そんな…。

(店内のBGM)どうかお願いします。
俺たちのレストラン続けられる場所はあそこしかないんですよ。
またその話ですか。
そんなに何回も頭下げられても。
いや何回断られてもお願いするしかないんです。
俺たちにはもう他に道が残されてなくて。
そうなの…。
そこまで一生懸命言われたんじゃしかたないか。
えっ?えっ!じゃあ…。
なんて言うと思った?あの場所には賃貸マンションを建てます。
私ね無職なんでこれからはそれで生計立てるつもり。
あなたにはあなたの事情があるでしょうけど私にだって曲げられない事情ってものがあるのよ。

(住吉)おっどうだった?英介。
(住吉)はぁ〜やっぱだめか。
(藤沢)もう他探すしかねぇんじゃねぇの?そうだよな。
そうだよ!そもそもレストランさえできりゃ場所なんかどこでも良かったんだよ。
よし!すぐに別の場所見つけてやる。
おぉ〜いいじゃねぇかフロアもなかなか広いし。
2階もすげぇいい感じだよ。
(住吉)これ何階建てっすか?だめだ英介。
桁間違ってる。
えっ?
(住吉)あぁ〜環境は抜群なんだけどな。
(藤沢)でもちょっと手狭じゃねぇ?そうだな〜。
どうぞ。
バーや喫茶などの軽飲食ならいいんですがレストランなどの重飲食にはお貸しできません。
だめか…。
水回りがありませんので借り主さんのほうで工事してもらわんとね。
ざっと100万はかかると思うよ。
(住吉)どうすんだよこれ。
(藤沢)無理だ。
無理無理。
はぁ〜。
(まりあ)いい物件見つかりそう?う〜んなかなかねぇな。
あぁ〜すっげぇ腹減った。
いただきます。
大変だね〜賢太君も結婚したばっかりだし。
ん?何か味付け変だった?ん?ううん。
うまいよ。
うそ。
いや…べつに大丈夫だって。
うそはつかないで正直に言って。
正直に言えば…。
玄米なのは構わない。
でもどうせ玄米にするならもう少し芯を残すようにして歯応え出さねぇと玄米にする意味ねぇよ。
白菜も鶏肉も煮込み過ぎてこれじゃまるで離乳食だよ。
だしにもパンチがなくてどっか味がぼやけてるし。
いやいいんだよこれで。
あの家で食う夜食なんてさこれで十分なんだから。
何よそれ。
いや作ってくれてありがたいし。
あの…レストランの料理と家庭料理は別もんなんだから気にすんなって。
でもひと味加えるとしたら…。
こういうふうにもできる。
すてきね。
こちらになりますね。
ありがとうございました。
またね。
また来てね。
保証金のほうは多少融通させていただきます。
そうっすか。
(着信音)ちょっと失礼します。
はいもしもし。
いつもお世話になっております。
はい。
(住吉)おいいいのかよほんとに決めちゃって。
しかたねぇんだよ。
俺たちのレストラン続けるためには多少の妥協はしねぇとな。
多少って…。
来月から海外の講師を招くプログラムを組んでいこうと思うのですが。
本社の海外事業部と組んで進めていってくれ。
はい。

(太朗)あんたがやったんじゃないのか。
急に大家さんが来るなんて…。
ちょっと何なんですか?あなた。
お困りのようですね。
しかしその件に関しては私が故意にしむけたわけではありません。
私はただあの土地の契約状態がどうなっているのかを確認するためにロンドンの持ち主に問い合わせをしただけです。
次は息子の店まで取り上げるつもりか。
息子さんのためにやってるんですよ。
あのときもそうだった。
華子さんが僕の申し出を受け入れてくれていたらもしかしたら華子さんの負担も心身共に減って僕たちは今でも彼女の料理を食べることができたかもしれない。
前に僕のことを悲しい人間と言いましたよね?そのとおりです。
でも誰かさんと違って夢を見るだけで結局何もできずに死んでいく人間とどちらのほうがより悲しいのか…。
僕は何度生まれ変わっても迷わず今の自分の人生を選びますよ。
(平塚)やったよ英介!新しいバンド決まったよ〜!良かったな。
うん。
(祐希)今度こそメジャーになってよ。
ROCKHEADの最後の望みなんだかんね。
わかってますって。
あっでももうちょっとここ住ましてね。
俺お金ないし千絵ちゃんちから近いから。
あぁ?誰?それ。
新しい彼女?うんそう。
シェフよりロッカーのほうがかっこいいってとこを見せつけてやんないと。

(ドアの開閉音)
(祐希)あっどうもお邪魔してます。

(祐希)何?どうしちゃったの?お父様。

(平塚)ねえねえライブ観にきてよ千絵ちゃん。
あぁ〜ちょっとやめてください。
こんなミュージシャンみたいな人と大学内歩くなんてもう恥ずかしすぎるよぉ〜。
みたいじゃなくて本物だから。
そうか?意外と似合うと思うんだけどなぁ。
似合うと思いますよ。
ただ私とは似合わないだけで。
似合うよ!何ほらこの…ギャップっていうの?それに俺たちこんだけ毎日一緒にいるんだからさもうカップルでしょ!はい。
来てよライブ。
ステージでの俺見てほしいんだ。
案外観にきたら千絵ちゃんのほうからつきあいたい〜って言うかもよ。
なんてねぇ〜。

(平塚)えっ?えっむっちゃん福岡行っちゃうの?
(睦子)はい。
今まで娘を親の都合で振り回してきたので今度こそはわがままを聞いてやりたくて。
うん。
そりゃそのほうがいいよ。
まあ急すぎて寂しいけどな。
坊ちゃんが私に寂しいなんて…。
(藤沢)そっか拓もむっちゃんもいなくなんのか。
君はもっとたくさんの人に自分の料理を食べてもらいたいと思わないのか?・
(ドアの開閉音)どうしたんだよ?お前ら。
まだ帰ってなかったのか?
(住吉)なあ英介もっかい考えてみねぇか?やっぱり無理があるよ。
あそこでここと同じように店続けるっていうのは。
あの広さじゃ今より客が入るとは思えねぇし今以上に資金繰り苦しくなるだけだろ。
まあな…。
もう少し探してみるか。
(平塚)探すのもいいけどさ遠くなっちゃったらまた一からお客さん集めなきゃなんないんじゃないの?
(睦子)それにここを始めたときみたいにまた開店資金もかかることになるでしょうし。
じゃあ考えろっつうのは…あいつの申し出のことかよ。
そうだ。
あいつ俺に見せてくれたんだ。
お前に任せたいっていうレストランの写真を。
すげぇいいとこっぽかったよ。
俺らが最近見てた物件とは比べもんなんねぇくれぇな。
ル・プティシュって名前が似合いそうで…。
あいつ俺にも言ってたよ。
英介がフランスの修業から帰るまで頑張って社員やってればいずれはその新しいレストランで一緒に働かせてくれるって。
えっ?
(住吉)俺らだってあいつのことは全然好きじゃねぇよ。
でもあいつがお前の料理の才能を認めててそれを伸ばそうとしてんのも確かだ。
そんな応援のしかたはさ…悔しいけど…。
俺らにはできねぇよ。
できねぇ。
それはあいつがプロで俺らがまだ社会に出たばっかの甘ちゃんだからだよ。
英介がフランスで頑張るならさ俺らも日本で頑張るよ。
で2年後にまた集まってまた一緒にレストランやる。
そういう未来もありなんじゃねぇのか?ふっ…。
ありがとな。
お前らの気持ちはうれしいよ。
でも俺は…。
ほんとにいいのか?俺はうれしいよ。
どんなぼろい店でも楽しくやれんならさ。
でも…お前のいる場所はほんとにそれでいいのか?
(藤沢)そうだよ。
お前の行きたいところに行け。
俺らのことなんか心配してんじゃねぇ。
(平塚)俺もさ実はちょっと食べてみたいんだよね。
フランス留学してまたおいしくなった英介の料理をさ。
私もです。
そして私も福岡で修業していつかまた坊ちゃんのお店で働かせていただきたいんです。
お前ら…。
なあ英介ロックでかなえられなかった夢今度こそかなえるチャンスなんじゃねぇのか。
はぁ〜。
ふぅ〜。
食べるか?駅前のパン屋のか。
ここのサンドイッチは好きだ。
あの話…受けさせてくれないか。
俺はもっと料理がしたい。
もっとうまいもん作れるようになってもっと誰かを喜ばせたいんだ。
旅立つのは来月だ。
君にあるのは行きのチケットだけ。
向こうでは店から出る安月給で暮らすことになる。
住む所も自分で探すんだ。
一流シェフがみんな通った道だよ。
ああ。
わかったよ。
昔たまたま入った映画館で観た映画にこんなせりふがあったよ。
人生は食パンのように普通の年が多いがハムや辛子の年もある。
辛子も一緒にかみしめなきゃならん。
辛子で涙が出ても全部食べなきゃならんのだ。
そうだな。
でも…楽しいこともあったよ。
辛子にも味わいはあったってことだ。
なるほどな。
悪ぃ。
勝手に決めて。
ううんもう驚かない。
でも…。
私もうすぐ33よ。
大丈夫見えねぇよ。
そういう問題じゃなくて…。
わかってるよ。
結婚…しようか?結婚するってどういう意味?仕事辞めて一緒にフランスに行こうってこと?それとも別居結婚?いやそれは…。
うそはやめてって言ったでしょ。
まだ結婚なんかしたくないくせに。
いやしたいよ。
いつかは。
でも今は…。
ごめん…口紅付いちゃった。
あぁいいよ。
私もちゃんと考えてみる。
これからのこと。
春キャベツもだいぶ育って。
そろそろ春かなぁ〜。
よっ。
な〜んか久しぶりだな。
うん。
あっ…。
お元気でしたか?そうだなぁ〜…あぁ〜男にプロポーズされた。
店も閉めなきゃいけなくなって。
まあそれ以外は元気だ。
聞きましたフランスに行くって。
うんうん…。
あぁ〜あのさ千絵。
はい?・
(ノリオたち)かんぱ〜い!
(コウタ)飲むぞ〜!
(ノリオ)飲むか〜。
何かこうしてると全然最後の日って気がしねぇよな。
(藤沢)だな。
(平塚)はいお待たせ〜。
今日すげぇからマジで。
(ノリオ)うお〜!ははははっ!坊やは?僕も!
(藤沢)ライスお待たせ。
(平塚)はいよ。
あれ?何か今日量多くね?最後の日だからFにしといた。
俺の好み。
巨乳好きだったんだ。
ちょっとな。
シューファルシ1つ追加です。
チーズは少なめで。
了解。
あっ英介。
ステーキの火入れ見てくれ。
うん。
いいねぇ〜。
しびれる焼き目だよ。
おうサンキュー。
(ノリオ)でか!何で?
(平塚)今日何か剛がね…。
今日は…僕はお邪魔かな。

(ノリオ)もうどうすればいいんだよ。
これからお前らの飯が食べられなくなるなんてさ。
(コウタ)いいたまり場だったのにな。
ありがとなノリオ。
(ノリオ)頑張れよ英介。
おうじゃあな。
(コウタ)ごちそうさん!おうまたな。
いや〜おいしかったよ。
ありがとう。
ありがとうおいしかったよ。
(睦子)ありがとう。
(子供)じゃあねむっちゃん。
ごちそうさま。
いつもありがとうございました。
ありがとうね。
はいじゃあまた。
また。
(住吉)ありがとうございました。
(英介・藤沢)ありがとうございました。
(平塚)ありがとうございました!・
(ドアの開閉音)はぁ〜。
さてと店閉めますか。
ああ。
(平塚)あれ?それってまりあさんの予約席だったんじゃねぇの?いやまりあは来ねぇよ。
えっ?じゃあ…。

(ドアの開閉音)こんばんは。
やっぱり食べにきちゃいました。
(平塚)あれ?千絵ちゃん。
何で?俺が呼んだんだ。
(平塚)えっ?こいつはこの店が出来たばっかの日から来てる最初の客だ。
金もねぇのに何度も来てくれた大事な常連でもある。
だから最後の客はこいつしかいねぇと思ってな。
そうですね。
いらっしゃい千絵ちゃん。
来ちゃいました。
あぁ〜やっぱいい匂い。
よっ食いしん坊。
ふふっどうも。
いらっしゃいませ。
どうぞこちらへ。
本日は何になさいますか?じゃあいつものリエットとトマトのファルシおすすめスープに春キャベツと豚のソテーでお願いします。
かしこまりました。
オーダーいつものリエットにトマトのファルシ後おすすめスープに春キャベツと豚のソテー。
後サービスのワインを1つお願いします。
(3人)了解!う〜ん!う〜ん!おいしい〜!もうたまんない。
何でお前はそんなうまそうに食うんだ?わかんない。
でも人間ってどんなにつらいときでもおなかは減っちゃうしどんなときでもおいしいもの食べるとなぜか幸せな気持ちになれるでしょ。
それって何か魔法みたいだなって。
魔法?そう。
腹ぺこの魔法。
だから何回もダイエット失敗してるけどそれでも私食いしん坊で良かった。
そっか。
ははっ。
はぁ〜俺も良かったよ。
全部ここにいる仲間と…お前のおかげだ。
えっ…私?最後だから言うけど店やんのはほんと大変だったよ。
何度も投げ出したくなった。
でもその度に客のお前が怒ったり励ましたり笑ったりしてくれた。
俺の飯が好きだって言ってくれたなぁ。
だから最後にここでお前に言いたかったんだ。
ありがとな。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとうございます。
サンキュー千絵ちゃん。
はぁ〜。
あぁ〜もうほらまた泣く〜。
女の涙は嫌いなんだよ。
そうだ食え食え。
ううっ…。
もう〜泣くなよ。
うれしいの。
ははっ…。
ほらもっと食え。
何か夢みたいな半年だったなぁ〜。
ええほんとに。
楽しかったなぁマジで。
また楽しもうぜ英介。
ああ。
またいつか。
お疲れさま。
頑張れよ。

(ドアの開閉音)ううっ…。
ううっ…ううっ…。
あぁ〜〜!あぁ〜〜!!あぁ…ううっ…。
・「ROCKMEBABY」ありがとうございました。
ううっ…。
このガステレアで勉強してもらうことになった。
俺が頑張らねぇと。
拓さんといると胸がドキドキするんです。
結婚しよっか私たち。
(金沢)ここにいたのか。
君と食で日本を変えたいと思ってる。
2015/02/06(金) 15:53〜16:47
関西テレビ1
ハングリー! #10[再][字]

「最後の客を最高の仲間と料理で」
向井理 瀧本美織 国仲涼子 塚本高史
三浦翔平 川畑要 佐藤勝利 鈴木砂羽
片桐はいり 矢田亜希子 橋本じゅん
大杉漣 稲垣吾郎ほか

詳細情報
番組内容
麻生(稲垣吾郎)から引き抜きの話を持ちかけられた英介(向井理)は、賢太(塚本高史)と剛(川畑要/CHEMISTRY)も『麻生コーポレーション』の社員に採用するという条件を聞き、戸惑う。麻生は、英介にフランスで2年間修行をさせた後、同社の11番目のレストランの料理長にすると宣言。さらに、店を任せる際には『ル・プティシュ』の店名を返上し、賢太と剛も従業員にすると約束する。
番組内容2
その夜、『ハラペコキッチン』には通算300人目の客となる金沢亜矢子(矢田亜希子)が来店。歓迎ムードをよそに、亜矢子は「この店、閉めてもらえますか?」と英介に苦情を。実は、亜矢子はレストランの建物の大家で、自分の海外滞在中に、勝手に倉庫をレストランに変えられたことに怒っていた。料理を認めてもらい、どうにか発言を撤回させようと真剣になる一同。
番組内容3
しかし亜矢子は味オンチで、英介の料理に興味を示すどころか、持参した調味料を大量にふりかける始末・・・。

そんな折、拓(三浦翔平)が新たに結成するバンドの一員として活動することが決定し、睦子(片桐はいり)も離婚調停が成立して福岡へ行くことに。メンバーが店を離れることに一抹の寂しさを感じる英介だったが、その様子を見た賢太と剛からフランス修行を勧められる。翌朝、英介は、ある決意の表情で厨房に立っていた。
出演者
向井理 
瀧本美織 
国仲涼子 
塚本高史 
三浦翔平 
川畑要(CHEMISTRY) 
 / 
鈴木砂羽 
片桐はいり 
片平なぎさ 
大杉漣 
 ・ 
稲垣吾郎 
ほか
原作・脚本
【脚本】
大森美香
監督・演出
【プロデュース】
河西秀幸(関西テレビ) 
平部隆明
【演出】
本橋圭太 
白木啓一郎(関西テレビ) 
木内健人
音楽
大橋トリオ
【主題歌】
THE BAWDIES 「ROCK ME BABY」

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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