今夜は
まずは石川県の歴史ある山代温泉
しかし町なかにはつぶれた宿がいたるところに
廃業する旅館は全国的に増え続けている
そんななか大人気だというのが昭和に建った4階建てのこの旅館
確かにこの賑わい。
ところが中に入ってみると…。
旅館というよりおしゃれなカフェ
そして部屋はというとシンプルな和の空間。
落ち着きそうですよね
更にはやりの客室にある温泉が全身を癒やしてくれる
この旅館社員旅行などの団体客が減っていくなか安らぎをテーマにした高級路線へ転換。
大胆な改装で客をつかんだ
一方三重県には更に大胆な温泉宿が…
まるで現代美術館のような佇まい。
その名は
館内は客で大賑わい。
日帰り温泉客にも大人気の施設だ
しかし以前は片岡温泉というお世辞にも個性があるとは言えない宿だった
近くへ移転するのを機に大幅にリニューアル。
宿泊する部屋も家族連れを意識した温かい雰囲気にした
こんな楽しそうなイスも。
でもこの温泉宿の魅力それだけじゃない。
大行列をつくっていたのは…。
自家製酵母でふっくらと焼き上げたおいしそうなパン
館内には見て回るだけでも楽しいお店が盛りだくさんだ
なんとイチゴ農園まで併設していた
競争が激しさを増すなか今や旅館も宿泊だけでなく魅力的な施設を満載することで集客を行っている
ところがそんな厳しい観光業界で信じられないような温泉宿を見つけた
羽田から2時間で着く
その宿へは車で20分ほどだという
でもこの辺り目立った観光スポットは何もない田舎町。
すると…ん?道端にお辞儀をする人が
宿の名は天空の森。
これで連れていってくれるようだ
なんでも天空の森山だったところを切り開いてつくったという
気持のいい木立の道をしばらく走ると…。
おっ池が見えてきた。
すると…
この天空の森客を魅了するのは広大な敷地に広がる美しい里山。
ここでは自然の色彩が輝いて見える
なんて思ってると見晴らしのいい場所へ案内された
はい。
こちらが頂上になります。
すてきなブランコと机にイス。
更にはるかかなたに見える山々は…
勇壮な霧島連山。
すると…
えっ!ここがチェックインカウンター!?
壮大な気分でチェックインを済ませようやく見えてきたこの建物が宿泊する部屋だという
はい到着いたしました。
建物は2つ。
まずはこちら…。
80平米もあるひろ〜いベッドルーム。
ベッドも巨大
もうひとつの建物はリビング。
ガラス張りの開放的な空間にセンスのいい家具が並ぶ
おっあそこに見えるのは…
気持よさそうな大自然に身をゆだねる露天風呂
2時間前東京にいたのが嘘のようだ
とそこへ宿泊客がやってきた
神奈川から来たという旅行好きの夫婦
ご主人部屋に入るなりその風景にくぎづけになった
いいな。
そんな天空の森気になるお値段は…
1人1泊20万円。
いちばん安い部屋でも12万円。
誰もが高いと感じる金額だがそこには驚くべき事実が…
実はこの天空の森広さはなんと…
その事実が何を意味するのかというと…
つまり人目をはばからずこんなふうに過ごすことができるのだ
その価値は体験した者にしかわからないという
年に一度泊まりにくるという家族連れも…
1泊20万円で大自然を満喫する極上の楽しみは他にも…。
部屋の隣にある小さな畑
泊まった客は収穫するもよし食べたければ調理だってしてくれる
この緑の車で広大な里山をどこにでも案内してくれるという
ついてこんでいいですよ。
このおじさんに乗せてもらった
見えてきたのは敷地内を流れる川。
するとおじさん…
そしてなんとそのまま川へ突入してしまった
それにしてもずいぶんとやんちゃなおじさん
そう実はこのおじさんこそ驚きの宿をつくりあげた…
やんちゃそうに見える田島だが実は天空の森に建つ建物はもちろん
ところが…
建物の高さが身長155cmの田島サイズなのだという
でも田島にはもっと驚きの事実が。
2004年に開業した天空の森。
実は田島自らが山を切り開き10年以上かけて作り上げてきた
しかもその作業はまだ続いている
何気なく生える色鮮やかな木々も田島が風景を考えて植えたもの
そんな田島が作ったオンリーワンの宿実は天空の森だけじゃない
車で10分ほど走るとその宿はある
入り口に掲げられていたのはにわとり優先の文字
一歩足を踏み入れるとそこには今はなき日本の原風景が現れる
わが物顔で歩くにわとりはもちろん放し飼い
茅ぶき屋根が郷愁を揺さぶる
ここが田島がつくったもう1つの人気の宿
この宿朝いちばんからひと味違う。
昔ながらの土間の台所では…。
朝ごはんが作られていた。
薪をくべかまどで炊きあげたのは…。
この地域で昔から親しまれてきたサツマイモご飯。
魚も昔ながら炭火で丁寧に焼いていた
朝食から他では味わえない手の込んだ地元の味が並ぶ
そんな田島のオンリーワンの宿づくりは海外の雑誌にも数多く取り上げられている。
やんちゃな田島を慕ってあの忌野清志郎が常連の一人なら世界的な高級時計メーカーのフランク・ミュラーもとりこになった
ちょっと下りてみましょう。
そんな田島が天空の森のある場所へ案内してくれた。
それがここ
そしてその隣には田島が植えたという変わった形の木が
ここでパーティーしたらすごくね…。
次なるオンリーワンの魅力にひと役買うことになるこの木。
実は…
これくらいの木をね…。
お値段は1泊20万円ということで実業家の方も多いとおっしゃってましたけどどんなお客さんが他に来られるんですか?ほんとに奥さまにプレゼントありがとうっていう気持で結婚記念日だったりそういうときにお使いになる方が多いですね。
それからお嬢さま…。
1人でですか?一生懸命コツコツ貯めて来られる方もね…。
1年に1回だったら惜しくないっておっしゃってましたもんね。
インタビューされてた方も。
東京ドーム12個分もあるんでしょ?18個分。
宿泊できるの3つでしょ?これ将来的にちょっと増やす予定はあるんですか?建築の設計も田島さんがやられたっていうことですけどそういった勉強もされたんですか?え!?家具も作られてるんですね。
センスいいですね。
例えばこのイスもその一つ。
高級時計メーカーのフランク・ミュラーがやってきたときパーティーをしたいとの要望に応えるため急遽作ったものだ
あれたぶん何ていうのかな…。
なんか自分の作品を作ってるような感じなんですね。
なんとなくそんな感じなんですけど。
でもあれ見るとここでひと儲けしてやろうっていう感じのホテルじゃないですよね。
見えない。
損してもいいやっていう感じじゃないかもしれないですけど。
植えちゃうんですか?植えちゃうんです。
そのときに植えていくと。
そうですよね時間かかりますもんね。
あのですね田島さんの簡単な自分史みたいなのを拝見したんですけど山や川が遊び場でそれで山へ行っていろんな道具を使って山学校っておっしゃってるんですけど遊んだんだと。
そういったちっちゃい頃の思い出っていうか体験っていうのは天空の森に生きてますか?山で何して遊んでたんですか?こんなもの食べないといけないの…。
どんな鳥ですか?なんかすごいですね。
コジュケイも?ええハトとかですね。
コジュケイもハトもうまいですもんね。
このあとは鹿児島の絶品黒さつま鶏のジューシーしゃぶしゃぶ。
唯一無二の温泉宿が明かす地元を味わい尽くす独自戦略
更に関西の名湯…
川沿いにたち並ぶコンクリートの旅館。
どこもよく似た日本の温泉街
そしてそこで出てくる料理は…。
山あいの旅館でもイセエビにタイの刺身と魚介類のおもてなし。
なぜかどこでもこれが登場する。
そしてそんな温泉に泊まって楽しむのは…
全国どこでも同じような温泉で同じように過ごす日本人
しかし田島の宿づくりはそんな日本の旅館のあり方とは真っ向対峙している
こだわりぬくのはそこでしか味わえないもの
あんまり言っちゃいけないけど
鹿児島の大自然に囲まれて味わう料理もその一つ。
野菜ひとつとっても田島の宿ではスーパーで売られる全国に流通するものは使わず敷地内で栽培された野菜しか使わない
更に鶏…。
鹿児島県産の地鶏を飼育し食事のたびに1羽ずつさばく。
これも地元の風習を意識したもてなしだという
風景や食材土地の文化…。
地域にある素材を磨き上げ他にないオンリーワンを作り上げる。
それが田島流
そんな田島の原点が天空の森に程近い小さな温泉街にある
それがこの田島の母が営んできた宿
古くから神経痛などに効くと地元の湯治場として親しまれてきたこの温泉宿で田島は育った
そもそも田島大学卒業後家業を継ぐつもりもなく働いていた。
しかしあるきっかけで観光業に目覚める
それが1960年代に起きた
鹿児島にも大勢の客が押し寄せ田島は観光の将来に希望を見いだし独立する
しかしつくった宿は資金が足りなくボロボロ。
交通の便も悪く目当ての新婚旅行客はまったく来ない
そこで田島がしようがなく受け入れたのは発電所の工事関係者たち
安さで客を集めたのだすると…
工事の男たちはさまざまな要求を出し始め田島はしかたなくそれに応えた。
そしていつしか近くのストリップ小屋の出張サービスまで受け入れるように。
当初夢見ていた旅館とは程遠いものになっていた
観光客に来てもらうにはどんなサービスをすべきなのか。
田島は考えた末あることを始める
それが月に一度の東京通い。
目的は鹿児島に来る都会の客が何を求めているのかを探ること
そんな日々のなかで田島はヒントをつかむ。
銀座に当時建ったばかりだったソニービル。
その1階にはさまざまなものを展示するスペースがあった。
そこでの出来事だった
通りがかった田島が展示スペースに目をやると…。
そこには咲き誇る大量の菜の花が飾られていた。
田島は思ったなぜこんなどこにでもある花が…。
そして都会の人はこんなものでしか季節を感じることができないのかそう気づいたのだ
考え続けた田島は確信する。
コンクリートに囲まれて暮らす都会の人々…。
彼らが求めるのは失われたふるさとのような光景に違いない
鹿児島の朽ち果てようとしていた茅ぶきの民家を次々と移築。
まったく新たな宿忘れの里雅叙苑をつくり出す
郷愁を誘うこの
その部屋のつづきには専用の温泉。
今でこそどこにでもあるこのおもてなし。
実は40年前雅叙苑で田島が最初につくったものだ
そんな雅叙苑が今もこだわりぬくもの青々とした地元でとれたばかりの野菜。
それをふんだんに使った田舎ならではのお味噌汁
使っている味噌も麦味噌と呼ばれる地元のものだ
更に毎日行われるのが竹を割る作業。
作っているのは客に使ってもらう竹の箸だ
他にないこの細やかな地元流のもてなしが遠方から訪れた客の心をつかむ
田島いわく観光とはたんに余暇を過ごす娯楽ではなく地域にしかない魅力を全身で味わうことなのだ
今でこそ古民家風とか室内に露天風呂があるというのはあたりまえになってますけども40年も前に田島さんが考えられたことだったんですね。
予想してましたでもこんな時代がくるなんて。
さっき菜の花の話がありましたけど…。
東京の人は菜の花をこうやって都会の真ん中に置いていったら喜ぶんだと。
そういうことがわかったわけですね。
造ったわけですよね。
造ってきました。
皆さんが造った。
その頃も造ってましたよね。
ええ造ってましたよ皆さん。
下手したら今でも造ってますからね。
造ってます造ってます。
確かに日本の観光地は似てるっていえばちょっと似ていますよね。
これってやっぱり日本の特徴でどうしてそうなっちゃったんですかね?そうですね田島さん地域文化産業っておっしゃってますもんね。
そうですよね。
娯楽じゃないわけですね。
はい。
私は東京生まれ東京育ちなので田舎もないんですけどあの忘れの里懐かしさっていうのが不思議とあるんですよね経験したことないのに。
癒やされるのわかる。
なんていうのかな。
原風景っていうのはそういうものだと思うんだよね。
実際そこに住んだことがなくても自分が無意識の中で作り上げたイメージがあってさそことぴったりと合うものがあるとそれが原風景になっちゃうから。
40年も前によくそんなことが考えられたな。
ただ考え方によっては出張ストリップとかがある旅館もなんか趣があっていいような感じも…。
ライト照明を?それもやりました。
どの曲からいきましょうか…。
何人も来たんですか私たちって。
2人です。
2人若い人ですか?あのへんのことですから年齢不詳っていうか…。
そうなんですよね。
違うだろと。
これ違うだろと。
例えば星野リゾート。
あれがなかなか今人気もあって『カンブリア宮殿』出ていただいたんですけどどう思われますか?どこでも食べられますね。
自ら山を切り開き独創的宿をつくる田島。
世界を魅了する次なる作戦は更に意外なものだった
この日雅叙苑の入り口に何やら大きな岩が運び込まれていた
そして1枚の金属のプレートが岩に取り付けられた
書かれていたのはフランス語で…
世界的な権威だ
日本で選ばれているのはわずか15。
そのメンバーとして雅叙苑が選ばれたのだ
外国人観光客の受け入れに力を入れている日本。
しかしその訪問先は東京などの大都市や京都のような有名な観光地がほとんど。
観光資源の乏しい地方にまで外国人はやってこないのだ
そんななか宮崎が誇るリゾート施設シーガイアに田島がやってきた。
自分の施設だけでなく地域全体に海外の客を取り込もうと奔走しているのだ
シーガイアと天空の森双方に宿泊するプランを販売する取り組み
ターゲットは海外の富裕層だ
田島のノウハウを学びシーガイアも積極的に動きだした
更に田島世界に発信するための地域の資源づくりにも奔走していた
通い詰めるのは老舗の醤油蔵
霧島の湧き水を使った醤油や味噌で地元に数多くのファンを持つ。
田島はここで自らアドバイザー役となり世界に通用する商品開発に力を貸している。
目指すのは地元の大豆だけを使った醤油
いやカツオ入ってないですけどね。
いい香りがします。
香りはする。
田島の夢は地元にしかない極上の味を自分の宿に来た世界の客に提供すること
地元にしかない素材こそが世界に競争力のある資源となる
地域文化を武器に田島は新たな観光のかたちに挑む
その観光なんですけど…。
こちら各国の海外からの観光客数のランキングです。
これを見ると1位のフランスからアメリカ日本はベスト10よりかなり低い27位なんですよね。
歴史的に日本は海外から学ぼうという気持が強くて海外の人に日本に来てもらおうっていうのがなかなかそういう発想ができなかったっていうこともあると思いますけど。
愕然とするような…。
田島さんはいかがですか?ただ僕が知るかぎりあんまりそういった地域の文化産業と位置づけて地域との一体感というか好循環をつくろうとしている観光業の人はあまりいないんじゃないですか?いますか?確かにね。
僕は当たり前のこと当たり前にやってるだけですものね。
いつもどこでも陽気すぎる田島
収録を終え村上龍はこんなことを考えた
『カンブリア宮殿』の新しい本が発売されます。
テーマは時代を変えた変革者です。
本当に変革する人たちです。
お電話お待ちしてます。
2015/02/05(木) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
カンブリア宮殿【一度は行きたい奇跡の温泉宿!観光の常識を変える独自戦略】[字]
名所旧跡も観光スポットもない鹿児島の寂れた温泉地にある「1泊3食付・3500円」の激安宿が、海外セレブが注目する高級旅館に変身!観光の常識を変える独自戦略とは?
詳細情報
番組内容
政府が“観光立国”を掲げてから11年。海外から日本を訪れる観光客は年々増加し、2014年、ついに1300万人を超えた。しかし、その数字を世界で比較してみると、同じ島国・イギリスの3分の1程度に過ぎないという。なぜ、ここまで力を入れているのに、日本観光はブレイクできないのか?そんな問いにひとつの答えを出した男がいる。鹿児島の山中で1泊20万円の宿を経営する、田島健夫だ。
番組内容つづき
もともとは「1泊3食付・3500円」という作業員向けの激安宿を経営していた田島。近くに名所旧跡や観光スポットがあるわけでもない寂れた温泉地で、たった一人、その激安宿を、海外セレブが注目する「自然と地域性にこだわった高級旅館」に変えたのだ。観光業の常識を打ち破る、田島の独自戦略の全貌に迫る!
出演者
【ゲスト】雅叙苑観光社長 田島健夫
【メインインタビュアー】村上龍
【サブインタビュアー】小池栄子
関連情報
【ホームページ】
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
【公式Facebook】
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