きょうの健康 胃がん 最新情報「がんと上手につきあう」 2015.02.05


(テーマ音楽)知っておきたい確かな健康情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
今週は…内視鏡手術に加えて胃がん治療の3つ目の柱が抗がん剤です。
こちらをご覧下さい。
こちらは進行胃がんの患者の5年生存率を見たグラフです。
手術だけで治療したグループは6割だったんですが手術のあと抗がん剤治療を1年間行ったグループは7割だったんです。
1割を超える成績のよさですよね。
意味がありますよね。
ただ実はある研究で抗がん剤治療が続けられるかどうかというのを調べたところ意外な原因のために1年間治療を続ける事ができなかったという患者が4割もいた事が分かったんです。
そこで今日のテーマはこちらです。
抗がん剤治療を乗り切るために大切なポイントをお伝えしていきます。
今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
胃がんの手術と栄養療法がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
さて抗がん剤治療を途中でやめざるをえない意外な原因というのはどういう事なんでしょうか?その意外な原因というのが体重減少だったんです。
いろいろな副作用口内炎とか下痢とか白血球減少というものが起きるんですがそういった症状が起きやすい人たちの中に体重減少した人が多いという事が分かった訳です。
更になぜそういうふうに体重減少が影響したかというと栄養が尽きる事によってやっぱり体を土台をしっかりするという事で抗がん剤に耐えられる体を作ろうという事が重要なのかと思います。
ではまずそもそも抗がん剤治療が必要になるのはどんな場合なのかという事を教えて頂けますか?大きく分けて再発予防の抗がん剤と治療目的の抗がん剤に分かれると思います。
再発予防の抗がん剤というのは…。
胃がんを取り除く事そしてリンパ節を取り除く事が外科医の仕事ですが…。
取り除きますと…。
そうなるとここでは見えてますが目に見えない肝臓への転移そして目に見えない腹膜への転移が育ってきてしまうと再発になる訳ですがこの再発をしないためにこの時点で目に見えない細胞をたたこうと。
これが術後の抗がん剤になります。
手術後に抗がん剤を使っていくという事の意味ですよね?そのとおりです。
さてもう一つ治療のための抗がん剤使用と。
どういう意味合いでしょうか?例えば遠くのリンパ節手術で取り除けないようなリンパ節とかあとは肝臓の転移あとは腹膜の転移が目に見えるような状況であった場合明らかにある場合です。
この場合にこれを治療するために最初に抗がん剤を使うと。
更に抗がん剤によってこれらの転移が小さくなった場合に胃がんを取れば更に手術療法が可能になるという事になります。
この場合抗がん剤がうまく効いて手術は当初できなかったができる状態になる可能性があるという事なんですね。
さて再発予防の場合ですがこれはどんな抗がん剤を使うんでしょうか?通常は先ほど冒頭にもお示し頂きましたS−1というお薬を使いますがこのS−1という薬でこれだけいい治療成績が得られてますので再発予防には是非使いたいという薬になります。
S−1という薬です。
これはどんなお薬なんでしょうか?点滴のお薬ではなくて自宅でのむのみ薬になります。
更に外来で通院しながらのむ薬となります。
特に臓器の問題とか大きな合併症を持ってない人体力がある人に処方できる薬です。
つまり通院が可能だという事はそれだけの体力をお持ちの方が対象になるという事ですよね。
はい。
このお薬の副作用というのはどうなんでしょうか?S−1を服用して頂いて出る副作用ですが…これらの副作用ですが出た場合は担当の医師に相談して頂きたいと思います。
ただ外来で治療だよと…。
それはつまり自宅で服用するという事ですよね。
抗がん剤を自宅でっていうのは何かこう不安ですね。
どうでしょうね?そのために頻回に病院に来て頂いて外来でいろいろな事をチェックしますので医師がしっかりチェックしていれば大丈夫だという事になります。
対処をちゃんとしますので安心して下さい。
はい。
さて胃がんが見つかった時点で既に遠隔転移があった場合はどういう事になるでしょうか?その場合は先ほどお示ししましたS−1という経口…口でのむ抗がん剤に加えて点滴の薬シスプラチンという薬白金製剤といわれてますがこういった抗がん剤を入院して使います。
ここまで抗がん剤治療について伺ってまいりましたがここからは治療を乗り切る栄養療法について伺いましょう。
冒頭でも抗がん剤S−1を続けられなかった理由として体重減少があったというお話でしたね。
体重減少だけが原因だったのでしょうか?ほかにもいろいろな因子を調べたんですよ。
高齢者だったりとか手術療法とかそういったものを調べたんですが主な原因というのはやはり体重減少だけが挙がってきました。
それははっきりしてきた訳ですね。
体重が減るとなぜ抗がん剤が使いにくくなるのでしょうか?体力低下というのが一番大きくて更に体重減少した人は副作用が出やすくなるという事になります。
薬に耐えられなくなるという事になります。
実際体重が減ってしまう方というのは多いんですか?胃を全部取ってしまった場合は特に激しくて10から15%ぐらいの体重減少を2〜3か月以内にしますし胃の2/3を取った場合はやはり10%ぐらい体重減少します。
10から15%というと60キロの場合は6キロから9キロ。
かなりげそっとしますね。
それはやはり食欲がなくなって食べられなくなってやせてしまうという事なんでしょうか?そういう事もあるんですががんの体重減少には特徴がありまして食べられない事でやせるという事で当然そうですが胃を切除するから食べれない。
がんが消化管をふさぐから食べれない。
あと抗がん剤の副作用で気持ち悪くて食べれない。
あとがんと言われてショックを受けて食べれなくなってしまう。
こういった事があります。
それ以外に食べても食べてもやせるという事があります。
がん細胞がある事でエネルギーが利用できないという事があるんです。
そうなると筋肉がやせるという事が特徴的になります。
この筋肉がやせる事が非常に悪いんです。
筋肉がやせるとよくないというのはどういう事ですか?筋肉がやせる事がやはり治療がうまく続けられないという事になります。
治療というのは手術と抗がん剤になりますがこれらの治療がうまく続けられない。
あとは予後にも影響するとまでいわれています。
栄養状態をよくしなきゃいけないという事ですよね。
しかし手術で胃が無くなった方にしっかり食べましょうと言うのもなかなか無理があるんではないですか?よく無理やり無理やり食べろ食べろって言う人いるんですがそれは無理だよという事でゆっくりゆっくり必ず食欲は回復すると言ってます。
例えば3か月6か月1年とゆっくり食上げをしていけばいいんじゃないかという事を患者さんにもご説明してます。
時間をかけてゆっくりとという事ですね。
手術をした胃と上手につきあって上手に食べていくというコツというのはどんなところなんでしょうか?一番のコツは手術する訳ですのでどの部分を切り取られたかどの機能を失ったかという事を考える事が重要で例えばここにある幽門側というのは胃の下の方なんですが幽門側胃切除の場合2/3をこうやって切り取る訳です。
そうなった場合に胃の出口である幽門というところを切り取られてしまいます。
そうすると入ってきたごはんが小腸十二指腸に一気に墜落するという事になります。
こういう事が起きますとダンピング症候群という症状が起きます。
ダンプカーが砂利を落とすがごとくごはんが墜落するという事なんですが食後5分から30分で冷や汗とか動悸とか腹痛下痢などが起きて更に2時間から3時間した時に意識障害が低血糖によって来される事すらもあるんです。
これは危険ですね。
非常に危険です。
ホームに落ちたりとかする人もいらっしゃるという事なので予防しないといけません。
どう対処していきましょうか?食事は少量ずつ回数を多くとるという事がもちろん基本ですがよくかんで口の中で胃の役割をやってあげると。
それでペースト状にしてのみ込んであげるぐらいのつもりでいるといいと思います。
あと低血糖に関しては常にアメとかチョコレートを持ってて頂いて怪しいなと思ったらすぐにアメを口の中に含んで頂ければいいと思います。
それでは胃を全摘つまり全部を取ってしまった場合どんな事が起こりますか?胃を全部切ると先ほど申し上げた噴門幽門全てを失う訳ですから更にそこにつなぐためには食道に小腸をつなぐんです。
ここに…。
小腸をつなぐとごはんが入ってきますと食道から一気に小腸にごはんが落ちます。
従ってダンピング症候群が起きますし更に逆流も起きますしいろいろな事が起きます。
こちらに症状出しました。
逆流症状あとは食欲不振あとダンピング症候群による症状低血糖とか冷や汗とかいろいろあります。
そういった事が起きます。
こちらの対処は…?食後すぐに横にならないという事が非常に重要であって更に散歩をするという事はとても重要なんです。
あとどうしてもごはんが食べれない場合は栄養補助食品を利用して頂いて食事は少量ずつよくかんで回数を多くとって頂くという事が重要になります。
こういった注意点挙げて頂きましたがこの中で散歩をするという事の重要性はどういう事でしょうか?散歩をするという事は体を動かす事。
体を動かすとこのつないだ小腸が一気に動き出すんです。
体の動きイコール腸の動きなんです。
つまりここに交通渋滞を起こさないという事が重要になるんです。
適度な運動がこういう大事な点に結び付く訳ですね。
そして大体術後どのくらいで普通の食事がとれるようになると考えればいいんでしょうか?おかゆから普通のごはんを食べれるようになるのは術後3週間とか4週間ぐらいで食べれるようになるんです。
ただフランス料理のフルコースとなると食べれる人も実はいるんですよ。
えっ!?大体3年ぐらいすると多くの人はフランス料理のフルコースを食べる方もいらっしゃるんです。
そこまで体はだんだん慣れていくという事なんですね。
徐々に食欲などが戻ってくるという事だと思います。
やがてそうなるんだって希望も持ってた方がいいですよね。
食事で積極的にとった方がよいものというのは何かございますか?ここにありますように良質なたんぱく質をとる事は非常にいいです。
特に甘いものとか炭水化物ごはんなどを一気に食べるとダンピング症候群起きやすいのでたんぱく質から積極的にとっていって頂く事がいいかと思います。
更に不飽和脂肪酸といいますがEPAというものが非常にがんの炎症を抑えるといわれているんです。
がんには炎症が付き物でその炎症を抑える効果があるといわれてるので非常にいい栄養かと思います。
こういったお魚…。
青背の魚そしてハマグリなんかに含まれてる事よく知られてます。
青魚といいますとアジやイワシサバといった魚ですよね。
しかし食品から十分になかなかとりにくいという方もいらっしゃいましょうね?そうですね。
たくさんの量のイワシをとるのはなかなか難しいのでそういった時はこういったEPA製剤とかたんぱくが含まれた栄養補助食品をご利用されるのが一番いいと思います。
上手に利用すればいいですね。
逆に避けた方がいい食べ物というのはありますか?大体何でも食べてもいいって私は言ってるんですが特に避けた方がいいのはラーメンとかあとは海藻とか…。
大量の海藻ですよ。
あとはきのこ類。
きのこ類もやっぱりやめた方がいいんだと思います。
これは何でですかね?ラーメンなんか水を含んでだまになりますよね。
ああいったものはやっぱり消化が悪いというかなかなか腸で流れていかないという事があるので大量にとるとやはりよくないという事になります。
辛いものとか駄目だとかって聞きますが…。
辛いものはよく聞かれるんですが例えばカレーに含まれてるカプサイシンは胃腸の働きをよくしてどんどんどんどん流れをよくして交通渋滞をなくすんです。
そういった意味では胃薬にさえ含まれてるという事があります。
なのでカレーはむしろ食べて下さいと僕は言ってます。
辛いものはやめた方がいいだろうなと思いがちですがそうなんですね。
食べていいんですね。
さて胃がんの治療を受けた方そのほかに生活上の注意点ポイントは何かございますか?生活上の注意点ですか?ええ。
がんの治療とうまく向き合っていくという事です。
そのためには筋肉を保つ事が非常に重要という事なんですがその筋肉を保つためにはいい栄養管理をやって更に体を動かすウオーキングなどの散歩が非常に重要かと思います。
それで筋肉が落ちないようにするという事ですよね。
非常に今日はたくさんのポイントを伺いましたね。
お話本当にありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2015/02/05(木) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 胃がん 最新情報「がんと上手につきあう」[解][字]

進行・再発した胃がんの重要な治療法・抗がん剤。薬も進歩し、治療効果が高まっている。さらに抗がん剤治療を最後までやり続けるために注目される積極的な栄養療法も紹介。

詳細情報
番組内容
内視鏡と手術に加え、胃がん治療の3つめの柱となるのが抗がん剤治療だ。手術で取りきれない微小ながんや、腹膜やほかの臓器に転移したがんにも効果を発揮する、進行・再発した場合の重要な治療法だ。胃がんの抗がん剤も進歩し、効果が高まっているが、なんと4割もの患者が体重減少が原因で抗がん剤を途中でやめてしまうことが明らかになった。抗がん剤治療をやり続けるために大切な栄養療法や術後の食事についても解説する。
出演者
【講師】がん研有明病院 消化器外科胃担当部長…比企直樹,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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