科捜研の女13 2015.02.05


(宇佐見裕也)はい。
ゆっくり…よいしょ。
(宇佐見咲枝)よいしょっと。
仕事は?いいの?昨日徹夜だったから今日は早く帰っていいって所長が。
はい。
(涌田亜美)へえ宇佐見さんもう帰ったんですか?
(日野和正)うん今日は早く帰らせてほしいって言われてね。
(相馬涼)なんですかその特別待遇…。
俺も帰っていいっすか?あのね宇佐見君は昨日徹夜だったの。
それにね事件があったらいつでも呼び出してくれって言って帰ったの。
(榊マリコ)なんでそこまでして帰りたかったんでしょう?ほらお母さん介護認定受けてるっていっても無制限にサービスを使えるわけじゃないからさ。
ああ…自分で出来る時は自分でなんですね?宇佐見さんお母さん介護してんですか?
(日野)うん。
まあそのために前の仕事を辞めて京都に来た人だから。
(亜美)へえ。

(飯村長治郎)あっ…ああー!ああー…!
(飯村長治郎)あぁ…!うああー!
(うめき声)助けて…!うわあ…!飯村さん…!誰か…!誰か来て!誰か救急車!!
(榊マリコ)あれがご遺体ね。
(土門薫)おい。
また怒られるぞ。
(藤倉甚一)よし次!ホトケさんの寝室。
(一同)はい。
ホトケさんの検視するならしてもいいぞ。
(相馬涼)珍しいっすね藤倉課長がそんな事言うなんて。
おとなしく待ってたご褒美だ。
まるで犬扱い。
どっちでもいいわ検視出来るなら。

(藤倉)何してる。
検分中だ。
出てけ。
(木島修平)死亡時刻は午後4時5分だそうです。
え?なんでそんなに正確にわかるの?飯村さんは助けてくれ!と言いながらあそこからここまで這い出てきて死亡したそうです。
助けてくれ…そりゃあ近所の人驚きますよね。
だから救急車と一緒に警察が要請されたのか。
近所の人の目の前で死んだので死亡時刻が正確なんです。
(カメラのシャッター音)死後硬直がまだなのに首や脇の下に硬さがある。
飯村さんは心臓や甲状腺に病気でもあった?おい。
あっ…。
なんの病気かはわかりませんが近所の人の話だと最近まで入院してたそうです。
奥さんと娘さんがいたはずだ。
詳しく聞いてくれ。
外出中です。
さっき連絡したので戻ってきたらすぐに。
(藤倉)土門刑事。
はい。
ベッド脇の机にあった。
(木島)飯村さんの薬かもしれませんね。
うん…。
心臓か甲状腺の薬ですか?この薬品名から調べてみる。
いえ科捜研で分析します。
それはこっちが調べたあとだ。
やっぱ…病気だったんですかね?お前の見立てでは病死か?うん。
一応念のために解剖に回してもらって。
うん。
宇佐見さんを呼ぶわ。
病死じゃなければ中毒死の可能性が高い。
現場に毒物があるか鑑定してもらわないと。
(携帯電話)
(宇佐見裕也)あっ…。
(携帯電話)
(宇佐見咲枝)いいよここで。
いや…1人じゃあ無理だろう。
そのぐらい出来るわよ。
出来るうちは自分でするの。
出来なくなった時のために練習しとくよ。
本当に助けが必要になったらその時教えるから。
母さんね父さんの介護で鍛えられたんだ。
(咲枝)フフフ…早く仕事行きなさい。
(風丘早月)冠動脈に閉塞と狭窄あり。
カテーテルによるオペの痕跡あり。
虚血性心疾患ね。
やはり病死所見ですか。
そうね心筋の一部を切除しておきましょう。
お願いします。
(木島)土門さん。
うん。
奥さんです。
(飯村房子)すみません何度も電話を頂いて。
教室に入る前は携帯を切ってしまうもので…。
教室?奥さんはこの近くのさとのみや中学で学習が遅れた生徒に勉強を教えるボランティアをしてるそうです。
一昨年までそこの中学で教師をしていたので…。
では一昨年からそのボランティアを?いえ始めたのは最近です。
(木島)最近といえばご主人入院されていたとか。
心臓を悪くして娘の病院に。
娘さんの病院?娘がそこで看護師をしていて。
あっ看護師さんを。
(ドアの開く音)
(飯村望)父が死んだって本当ですか?おかしいんです!私が帰ってきた時父は元気でした!望…。
(望)母さん。
あの…帰ってきたって…。
今日一度ここに帰ったんですか?でも病院で看護師の仕事をしていたんじゃ…。
時々休憩時間に様子を見に来ます。
家が近いんで。
(宇佐見)大変ですね…。
看護師の仕事の合間に大変だな…と。
だって父親ですから。
ここだけ新しいですね。
最近リフォームしたんですか?ええ父の部屋なんで父が退院してから。
お父様は車椅子ですか。
えっなんでわかるんですか?車椅子でテラスに出られるようスロープが設置してあります。
このガラスも割れてませんよね。
(木島)それ不思議だったんです。
車椅子で強く当たっても大丈夫なガラスです。
業者の人に頼んでそうしてもらったんです。
お父様はご家族に大切にされていたんですね…。
あの…父はどうして死んだんですか?検視では病死の可能性が高いと。
そんな…!父はオペが成功して自宅療養中だったんです。
確実によくなってました。
病死だなんてそんな…!望…。
今司法解剖をしています。
お願いします。
ちゃんと死因を調べてください。
戻りました。
(日野和正)ああお疲れさま。
(涌田亜美)あっ今回の事件科捜研の出番なしみたいですよ。
病死で処理されるんですか?
(日野)マリコ君の検視も早月先生の解剖も病死だったからね。
呼び出しておいてすみません。
看護師の娘さんが死因に不審を抱いていました。
娘さんなら信じたくないでしょうね。
やっと退院した父親が病死なんて。
時々休憩時間に介護しに帰っていたそうです。
へえ看護師なんて60分休憩があってもその半分も休めないって噂なのに。
親孝行ですね。
(相馬)なんかそういうとこ宇佐見さんに似てますよね。
(日野)余計な事言わないの!だって今日お母さんの介護しに帰ってたんでしょう?宇佐見さんそれは…。
飯村さんの家から採取したものです。
毒物反応を調べます。
(日野)あっせっかくだけどその鑑定必要ないかも。
宇佐見さん帰宅のチャンス!朝までには済ませますから。
(藤倉)モルヒネ心臓の薬だ。
あのそれは…。
落としても割れない素材で出来てる。
なるほど…それも介護用。
指紋が付着していますね。
あの家に住むホトケさんとその妻娘以外の指紋だ。
これがその特定出来なかった指紋が出た場所。
家から出る家族以外の指紋としては量が多すぎますね課長。
鑑識である俺が言える事は家の中から家族以外の指紋がこれだけの量採取されたという事だけだ。
失礼。
この指紋に心当たりは?あるんですね?原美智子さん。
多分あなたの指紋だと思われます。
飯村さんの退院後訪問看護をされていたそうですね。
(原美智子)週2回。
昨日訪問した時は元気だったんですよ。
訪問時間は午後2時から2時半で間違いないですね?昨日もそうでした。
つまり娘さんが一時帰宅して病院に戻ったあとですね。
望さん一度家に帰ったんですか?時々そうしているそうですが。
昨日は私が訪問する日だって知ってたはずなのになんで…。
飯村さんの訪問看護は原さんお一人でなさってるんですか?ええ。
飯村さんが入院している時私が一番親しい看護師だったんで私がいいだろうって戸村先生が。
戸村先生?飯村さんの担当医です。
戸村先生にもお話を伺いたいんですが。
鑑定の結果飯村さんの家から毒物は出ませんでした。
じゃあ病死に決定かな。
あのー…。
ん?ご遺体の血液を調べられないでしょうか?普通病死所見が出た遺体で血液検査はしないよ。
わかってます。
でもさせてください。
なんか宇佐見さん力入ってますね。
お願いします。
でも一課からも鑑識からもそんな鑑定依頼されてないし…。
今までだって誰も頼んでない鑑定勝手にやってきたじゃないですかマリコさんが。
いや褒めたんですよ。
(ため息)
(日野)どうする?お願いします。
そうですね風丘先生に切除してもらった心筋もあるし私はそれを組織検査してみます。
ありがとうございます。
私は洛北医大で飯村さんの血液を預かってきます。
じゃあ僕は現場の足跡をトレースしてみるか。
なら俺はちょっと…。
ちょっとってどこ行くの?すぐ戻ります。
あの…。
ん?私は何しましょう?うーん…。
まあ今回はいいよ。
こんなとこ見つかったらやばいんですよ!
(木島)病死ですよ。
事件にもなってない事件なんですよ。
置き時計を押収したのってベッドの近くだったよね。
え?そうですね。
だとしたら苦しみもがいた時に落としたもの。
(木島)うーんそうかもしれませんね。
飯村さんの死亡時刻は4時5分。
(木島)ええ近所の人たちの証言では。
なのにこれ3時50分で止まってる。
(相馬)なんで死亡時刻の15分も前に止まってるの?
(木島)15分遅れてたんじゃないんですか?これ電波時計だよ。
そんな微妙に狂ったりする?じゃあ落ちた時に針が動いたとか飯村さんは15分間苦しんだあとに死んだとか。
(藤倉)そこで何してる?うちで保管してるブツに勝手に触るな。
コラッ待て!泥棒!!捜査一課の木島だったな。
はい…。
この姿で捜査一課を引き回されました。
(佐久間誠)ああ…もう勘弁してやってくれないか藤倉課長。
飯村さんの死亡案件ですが病死で処理したいと所轄から報告もありました。
司法解剖の結果も病死です。
まあ普通なら事件性なしで処理だな。
この置き時計が壊れた時刻ですけど鑑定の結果やっぱり午後3時50分でした。
死亡時刻の15分前ですか。
でもその死亡時刻近所の人の証言でしょう?15分ぐらいの誤差はあるかもしれませんね。
うーん…。
所長の…足跡の…。
トレース?はい!
(日野)家の中に家族以外の足跡があった。
同一人物で女性だね。
訪問看護に来ていた看護師。
(日野)だろうね。
(亜美)飯村さんの心筋の…。
心筋の組織検査の結果ね。
はい。
洞結節に血流阻害の痕跡冠動脈に病変がありました。
って事はやっぱり病死?はい。
直接の死因は心拍が早まった事による…。
すみません!ちょっと見てください。
飯村さんの血中からモルヒネが検出されました。
(2人)モルヒネ!?
(宇佐見)過剰投与すれば死亡する副作用もある麻薬です。
待って。
心疾患の患者なら処方された薬かもしれない。
あっそうだ。
さっき土門さんから連絡があって被害者が飲んでたこれモルヒネだって。
(戸村渉)飯村さんには急性心不全による肺鬱血がありました。
その呼吸困難を緩和するためモルヒネを処方しています。
もちろん適正な量で。
それで死亡するはずがない。
じゃ失礼。

(宇佐見)でもモルヒネは元々アヘンという植物です。
血中からの成分検出だと医師が処方した薬かそうでないかの鑑別は困難です。
それに少し気になる事が…。
気になる事?処方されたモルヒネにしては血中から検出された量が多い気がするんです。
でも血中薬物の代謝には個人差がありますよ。
確かにそうですがただ…何か引っかかるんです。
(相馬)それってもしかして勘ってやつですか?看護師の娘さんも父親の死に疑問を持っています。
科学者の勘アンド看護師の勘だそうです。
う〜ん…。
(日野)マリコ君の組織検査も早月先生の司法解剖も結果は病死なんだよねえ。
マリコさんの鑑定では飯村さんの心臓は鼓動が早まってた事がわかったんですよね?ええ私はそれを病死所見だと思っています。
だとしたら当然いつもよりモルヒネの代謝は早かったはずです。
にもかかわらず血中にこんなにモルヒネが残存しているのはやっぱり変じゃないですか?モルヒネは血圧を下げますよね。
ええ。
呼吸を抑制する効果もあります。
だとすれば当然心拍も遅くなります。
宇佐見さんが言うようにモルヒネを過剰投与されたなら心拍が遅くなっていたという所見が出るはずです。
でもマリコ君の組織検査では心拍は早まっていた。
つまり処方されていたモルヒネの効果を上回るほどの何かが飯村さんの体の中で起きたって事です。
病気による発作…と考えるのが一般的だね。
それにモルヒネを過剰投与された場合人間の瞳孔は必ず収縮します。
でも私が現場で検視をした時飯村さんの瞳孔に収縮はありませんでした。
モルヒネの効果を上回るほどの何かって本当に病気の発作だけでしょうか?珍しい…宇佐見先生が強情だ。
もちろんモルヒネと相反する作用を持つ毒物を投与する事でも同じ結果が得られると思います。
それならそういう毒物を投与された可能性が…。
落ち着いてください。
可能性の話をしてるんです。
落ち着いています。
いいえ落ち着いているようには見えません。
宇佐見さんの血中薬物検査では検出されたのはモルヒネだけでそれ以外の薬物は検出されてませんよね?ええ。
もしモルヒネと相反する毒物が投与されたならその毒物が検出されない理由はなんですか?こんな事言いたくないんですけど…。
どうぞ言ってください。
亡くなった飯村さんは宇佐見さんのお母様と同世代で娘さんは看護師の仕事を抱えながら介護をしていた。
だからなんでしょう?宇佐見さんは自分と同じ境遇の娘さんに感情移入しているんじゃないですか?マリコ君。
そのとおりです。
感情移入…いや同情しています。
宇佐見君…!でも鑑定は科学者として冷静にしたつもりです。
残念ながら今回の宇佐見さん私にはそう見えません。
2人共科学者だから。
科学的な意見を戦わせるのは結構結構。
いいんですか?これで。
僕はね科捜研はチームプレーだと思ってる。
ですよね!だったら…。
でもね仲よしクラブじゃあない。
君も何か意見をしたいなら科学で立証してからね。
でも私に何が出来るんですかね。
(せんべいを噛む音)あの…今回ってやっぱり病死って事になりますか?まあそういう鑑定結果を伝える事になるだろうな。
じゃあ今のうちに…。
いやちょっと待て。
今のうちって何?何する気?嫌な予感しかしないよ…。
もう…僕を巻き込まないでくださいよ。
で今回は何を探してるんですか?時計が壊れた時刻と死亡時刻に誤差があるんだ。
だからそれは…!勘とか想像はいいの。
俺は科学で立証したいの。
(ドアの開く音)うわっ!とっとっとっ…!あっ!またお前らか。
少し早いけど帰っていいよ。
えっ?だって鑑定結果は病死でしょ?だとすると今日はもう鑑定するものはない。
じゃあ。
宇佐見君がなんであんなにこだわったのか気になってる?一昨年だったかな…。
覚えてる?科警研の五十畑が殺された事件。
ああ…所長の友人の…。
あの時もマリコ君以外の僕たちは五十畑が偽札を作った犯人だっていう鑑定を出した。
でもマリコ君は別の人間を犯人とする鑑定を出した。
その2つの鑑定明らかに矛盾してたよね?でもどちらも正しかったはずです。
そう。
それがわかって五十畑の無実が証明された。
はい。
一見矛盾してるように見える鑑定もその矛盾さえ科学で解明出来る事がある。
あの時それを教えてくれたのがマリコ君君だよ。
所長…。
早く帰れる日は早く帰らないと…体壊すよ。
飯村といいます。
土門刑事いらっしゃいますか?どのようなご用件でしょうか?父が死亡した事件がその後どうなったか…。
すいません。
(藤倉)土門刑事。
お前なんて格好してるんだ。
好きでしてるんじゃありません。
所轄が事件性なしで処理しようとしてる案件をこそこそと調べ回ってる。
うちの保管庫に潜り込んでな。
科捜研に巻き込まれたんです!飯村さんの死亡案件でしたら自分ももう少し調べます。
何が気になってる?わかりませんが何かを見落としてるような気がします。
科捜研みたいにモルヒネの過剰投与を疑ってるのか?
(望)モルヒネ…?あのちょっと…。
僕が!木島待て!えっでも…。
告白とれ。
わかりました。
失礼します。
(ノック)はい。
信じてみます。
はい?宇佐見さんの鑑定を。
飯村さんはモルヒネを過剰投与されたという鑑定です。
どうして…。
今までずっと宇佐見さんの鑑定を信じてきたから。
それを自分の鑑定と食い違った途端に信じなくなるのは科学者のエゴだったかもしれない。
いえ…そのエゴをむき出しにしていたのは私です。
科学的に正論だったのはマリコさんの方でした。
じゃあ私の正論と宇佐見さんの仮説その矛盾点を徹底的に鑑定してみましょう。
ええ。
今度は誰に感情移入する事もなく科学的に。

(美智子)何してるの!?モルヒネを過剰投与されたら瞳孔に収縮がないのはやはり不自然です。
モルヒネを過剰投与されたら心拍が早まっていたのも不自然です。
ええ。
ではモルヒネと逆の作用をする薬物を投与されたとすると…。
その逆の作用をする薬物が血中から検出されないのはやはり不自然です。
でもその薬物が微量だった場合はどうでしょう?確かに…飯村さんは心拍が早まっていたため代謝も早まっていました。
ええ。
微量の薬物なら血中からそれだけ検出されない事はあり得るかもしれません。
どう?うちの科捜研のチームワークはすごいだろ?ええ本当に。
フフフ…。
(藤倉)日野所長。
おう。
あっはい!ちょっと来てもらえますか?嫌な予感が的中した気がする…。
きっと父は殺されたんです。
それもモルヒネの過剰投与で。
あなたは自分の病院のミスを疑ってるの?いいえミスじゃありません。
原さん…。
あなたならそれが出来ると言ってるんです。
私が?あなたのお父さんを?奥さんと別れるって言ったじゃない…。
えっ?父にそう言ってましたよね?オペの前日に。
(美智子)ねえなんとか言ってよ。
君とは一緒にならない。
何言ってるの?声が大きい!奥さんと別れるって言ったじゃない!やっとわかったんだ妻のありがたみがな…。
入院してそんな事がやっとわかるなんて…。
だから…。
だから君との関係は終わりにしたい。
そう言われてましたよね?本当ですか?なぜ警察に言ってくれなかったんですか?だってそんな…。
父の恥ずかしい事を…。
それが本当なら…原さんあなたには飯村さんを殺す動機がありますね。
鑑定書がなかなか上がってこないと思ったら…。
ですから今他殺という仮説を立てそれを鑑定で検証しておりますのでもう少しお待ちくださいと。
科捜研が仮説を立てて鑑定?刑事部長がそういう事を許しておられるんですか?許した覚えはないんだけどね。
いやしかし我が科捜研はこれまでずっとそうしてきたじゃないですか!それがいいと思った事もないんだけどね。
大量のモルヒネそれと相反する微量の薬物…。
ええ。
それを一緒に飲ませたとしてどうやったらそれを証明出来るんでしょう?代謝されてしまった微量の薬物を検出する方法は…。
ちょっといいですか?いいって言う前に入らないで。
へへへへへ…。
来いよ早く。
大丈夫だから。
失礼します。
鑑識から勝手に持ち出した置き時計です。
勝手に持ち出してたんですか!?壊れた時刻は午後3時50分でした。
さっき聞いたわよ。
(相馬)鑑識から勝手に持ち出したデジカメです。
いい加減にしないと怒られますよ。
所長が怒られてるよ。
そのデジカメがなんなの?サッシのそばに落ちてました。
電源を切ってもデータ保持用にリチウム電池が使われてるタイプです。
(亜美)よくあるタイプですよ。
当然電源を切っても時計は刻み続けるよな?でも止まっていました。
壊れてたって事?そうだ。
で鑑定した結果壊れた時刻はダラララララ…ダン!
(相馬)午後4時5分。
えっ?近所の人が証言した死亡時刻だ。
つまり3時50分に壊れた置き時計も4時5分に壊れたデジカメもどちらも飯村さんが苦しんで壊したんだとしたら?その発作は二度あった?だとしたら飯村さんは一度目の発作で…。
ああー!うっ!ああ…!その約15分後二度目の発作で…。
あっ…ああー!ああー…!
(宇佐見)ちょっと待ってください。
15分も間隔をあけて発作が起きますか?じゃあもしこれが殺人なら1回目の毒で気絶させて2回目の毒で殺したっていうのはどうですか?待って。
一度心拍が停止したり意識が混濁したりした相手に再び毒物を飲ませるのは困難よ。
飲ませなきゃいいじゃないですか。
注射するとか。
私と風丘先生が飯村さんの体を調べた時注射針の痕跡はなかった。
(相馬)うーん飲ませたんでもない注射でもない…。
経口投与でもなく血中投与でもないとすると…。
(2人)粘膜投与!なんです?粘膜投与って。
ご遺体の鼻や目などあらゆる粘膜を調べましょう。
私が立ち会ったうえで薬局の在庫管理担当者が点検した結果モルヒネに不正な持ち出しはありませんでした。
えっ?
(早月)ではご遺体をお返しします。
こちらが死亡診断書です。
(ノック)失礼します。
待ってください。
ご遺体をもう一度鑑定させてもらいます。
病死じゃないって事?それをもう一度調べてみましょう。
私たちで。
飯村さんの眼球からトロパンアルカロイドが検出されました。
えっ?眼球って目の中から?そうです。
トロパンアルカロイドってなんです?向精神薬にも使われる物質です。
瞳孔を拡大させ心拍を著しく早める。
って事はモルヒネと逆の作用をする薬。
そう。
きっと犯人はまず飯村さんにモルヒネを過剰に服用させたんです。
ああー!うっ!ああ…!そのあと眼球にトロパンアルカロイドを点眼した。
それによってモルヒネの過剰投与による瞳孔の収縮が抑えられたんだと思います。
点眼されただけだったので代謝が早まっていた血中からは検出出来なかったんです。
それにより一時的にモルヒネの効果が弱まり意識を取り戻したものの…。
あっ…ああー!あぁ…!うああー!なんて残酷な殺し方…。
いや多分犯人はそこまで予測してない。
そうね。
これで必ず二度発作が起きるとは限らない。
でもそんな事出来るの医師かナースですよね。
いいえ。
そうとも限らない。
検出されたトロパンアルカロイドの成分です。
(日野)「ヒヨスチアミンアトロピン」「ノルヒヨスチアミンスコポラミン」全てベラドンナという植物の毒物成分です。
つまり医師から処方された薬ではなく自然毒です。
だとしたら過剰投与されたモルヒネも処方薬じゃなく自然毒だった可能性も…。
あります。
以前も言ったようにモルヒネは自然毒か否かの鑑別が非常に難しいんです。
私たちは被害者がモルヒネを処方されていたため処方薬だと思い込んでしまった。
モルヒネが自然毒なら考えられるのはケシの類いです。
つまりケシからとったアヘンが原料って事ですね?でもケシとかベラドンナって自然に生えてます?どこかに人知れずの可能性はあるよ。
しかし本来どちらも栽培禁止植物です。
いえ京都市内に栽培されている場所があります。
アツミゲシとベラドンナが…。
(亜美)二条院大の薬用植物園にあります。
「その植物園の防犯カメラを1週間前までさかのぼって調べた結果…」この人物が映っていました。
(木島)ケシとベラドンナが栽培されているハウスの前です。
鼻と口と顔の輪郭で照合した結果あなたです。
1週間前この植物園に行きましたね?行きました。
でもこの栽培ハウスには入っていません。
最近ボランティアを始めたんでしたね?学習が遅れた生徒に勉強を教えるボランティアをしてるそうです。
その中学校であなたが使っていた実験室を鑑識が徹底的に調べた結果ケシの樹液で付着したあなたの指紋が見つかりました。
このハウスに入りケシとベラドンナを盗みましたね?飯村さん!二条院大の薬用植物園は授業で何度も訪れています。
俺の病気がよくなって歩けるようになったら二条院大の植物園に連れてってくれって。
お前がそこでどんな授業をしていたのか見たいからって…。
そんな夫がずっと私を裏切っていたなんて…。
(飯村)やめろ!もうすぐ房子が来る。
(美智子)ねえ私たちもう半年よ。
いつ別れてくれるの?奥さんと。
(美智子)私この病院辞めるから。
だって私たちが一緒になったら娘さんと同じ病院なんてあなたも嫌でしょ?ねえなんとか言ってよ。
君とは一緒にならない。
何言ってるの?
(飯村)声が大きい!
(美智子)奥さんと別れるって言ったじゃない!まさかこんな結果になるなんて…。
今回宇佐見さんがいなかったら私は殺人犯を見逃していたかもしれない。
いえマリコさんが私の仮説を立証してくれたから真犯人がわかったんです。
もしかしたら科学と科学が矛盾する時そこに真犯人がいるのかもしれないな。
日野所長…今回犯人がいたのはたまたまですよ。
までも終わりよければ全てよし…。
よくない!こんな勝手な鑑定をいつまで続ける気ですか?科捜研がこんな鑑定を続けていたらいつかきっと大変な事が起こる。
藤倉課長に言ったそうね?この事件をもう少し調べたいって。
ああ。
私や風丘先生の病死の鑑定が信じられなかった?いや…。
じゃあ刑事の勘?その勘の正体がさっきやっとわかった。
え?俺がずっと抱いていた違和感だ。
違和感?あの奥さん最初に会った時こう言ったんだ。
一昨年までそこの中学で教師をしていたので。
では一昨年からそのボランティアを?いえ始めたのは最近です。
夫が退院したら介護で忙しくなるって時になんでボランティアなんか始めたんだ?普通ならそんな事はしない。
だが彼女はそうした。
その時すでに夫への愛情はなくなっていたから…。
やっぱり何かが矛盾してる時そこに真犯人がいるのね。
2015/02/05(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
科捜研の女13[再][字]

「矛盾する鑑定!法医学VS化学!!空白の15分 死亡時刻に潜む殺意」

詳細情報
◇番組内容
沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、犯罪現場に残された微細証拠を手がかりに、事件の真相を究明する科学捜査ミステリー。
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、奥田恵梨華、長田成哉、崎本大海、田中健 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:21102(0x526E)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: