NHK高校講座 芸術「書道 仮名の創作〜和歌に挑戦〜」 2015.02.05


皆さんこんにちは〜。
日笠陽子です。
今日は「仮名」です。
この細い筆を使って書きますよ。
漢字のように力強い線ではなくこうす〜っときれいで細くて美しい日笠のような線を書いていきま〜す。
文字をつなげて書く連綿。
わざと行を散らして散らしずし。
今回は和歌に挑戦しますよ。
和歌?はい。
和歌って何だか分かります?和歌だけに分かんな〜い!てへぺろ。
…なんちゃって。
てへぺろ?あのね和歌は日本独特の歌で五音と七音で表現するものです。
ん?最初から読めません。
いやいや前にやったあれですあれ…変体ですって!負けないぞ。
今日は和歌に挑戦ですよ〜!今日の舞台は…参加したのは11名の高校生の皆さんです。
(川合)それではですね仮名の世界を勉強していますけれども今度はですね散らし書きという世界に入っていきたいと思います。
和歌を書く場合行の始まりをそろえる方法を行書きといいます。
一方行の長さや高さ行間などに変化をつけて書く方法を散らし書きといいます。
これ「蓬莱切」という作品なんですね。
これどうでしょうね?割とすっきり出来てますね。
3行に書かれていると。
ちょっと読んでみるわ。
一回いきますよ。
「おおぞらにむれたるたづのさしながらおもふこころのありげなるかな」。
これはこれですごく美しいですよね。
手を入れたくないぐらい美しいですけどこれに手を入れちゃいましょうねみんなでね。
つまり今日挑戦するのは和歌の書をレイアウトし直して自分の書で表現する事です。
それでまずやってほしい事は今3行ですよね。
…という発想でやってもらえると面白いなというふうに思います。
こんなような扇面の用紙やってみるチームも一つあるといいなというふうには思ってます。
今日の「筆順ちぇっく」は成長の「成」。
さあまずどこから書きますかね?え〜っと…あれっいきなり迷っちゃうな。
え〜っとあの…あっそうここが1画目。
で2画目が横画です。
はい。
皆さんどうでした?そうなってました?それからですねぇ…3っていって。
456と。
いや覚えた。
一歩成長です。
ハッハッハ!皆さん早速レイアウトに取りかかりますが…。
ん?ん?何だか苦戦中ですか?そこで先生からヒントが出されました。
例えばこっち見てみて下さい。
行末は比較的そろえています。
ポイントは仮名文字ならではの大胆なレイアウト。
この書は行の始まりの部分をわざとずらしています。
じゃこっち。
もっと奇抜な事をやっています。
文字を大きく2つの塊に分けたこちらの書。
中央にある大きな斜めの空間が印象的です。
文字が書いてあるんだけどもぱっと見絵画的に見えてくる訳ですよね。
で分割させる時も均等に分割させるんじゃなくてちょっと文字多め少なめ…に分けてみるとかね。
要するに平均的にするっていう事って非常につまらない結果に終わるんですよね。
先生のアドバイスを受けみんな大胆に文字を動かし始めました。
目立たせたい文字をイメージしながら構成を考えていきます。
「これいいな」ってみんなに思ってもらえるような形にはしてみたんですけど。
この文章を読んで「こころ」っていうのが一番自分が目立たせたいなって思ったとこだったのでこの形にしてみようかなって思ってました。
今日のテーマはこちら。
…について紹介します。
和紙の研究を続けて30年…平安時代と同じ材料や道具を使って伝統的な料紙作りも行っています。
料紙は平安時代の貴族たちの暮らしぶりや好みとともに独自に発達しました。
(大柳)ともし火があってそこで文など読む時に当たった所に文様がぱ〜っと出て…。
特に平安時代の暮らしの中ではそういった世界が喜ばれたんじゃないでしょうかね。
大柳さんは料紙を使った製本法についても研究しています。
料紙を2つ折りにしそれぞれの紙の折り目近くをのりで貼り合わせていきます。
のりを使う事からこの本の作り方は粘葉装とも呼ばれています。
当時身近な方法として日常的に行われていたと考えられています。
これはもう構成は全部自分で自由に…。
すぐ隣にこの紙が欲しいといえばこの紙を持ってきて。
そしてまた次には「これと対になる歌はこの紙にしたいわ」っていうふうに紙の特徴を非常によく捉えてそれをコーディネートしてるような場面がいっぱいありますのでそれはやはりそれを使う人たちの美意識というものの高さが反映していると思うんです。
書道を極めたい私日笠陽子。
今日も「基本のキ」から頑張りま〜す!先生〜頼もう!
(長野)ひよっちこんにちは。
こんにちは。
どうぞお座り下さい。
はいおとなしく座ります。
今日はですねきれいな本を…。
本当ですね。
それしゃれですか?本だけに。
アハハハハハ。
まっご覧下さい。
本当に何か…。
「本当」って言えなくなっちゃいました。
いいですよ「本当」言って頂いて。
あ〜何かお花がうっすらと。
お花?葉っぱ?じゃあめくってみましょう。
ペロリ。
あっ今度は金が散らされたページに…。
めくって下さい。
おぉ〜きれいですね。
あれっ?あらららら?ちょっと開きにくいかな?ここ開きにくいページがあります。
何で開きやすいページと開きにくいページあるんですか?これ平安時代から伝わっている粘葉本という本の綴じ方なんです。
これが一枚の紙だとしますと紙を折った形で背中にのりをず〜っと付けていきます。
ですからこれが内側。
ですから開きやすい。
これは背中と背中同士…裏側同士がこうなってますからちょっと開きにくい。
そういう本の綴じ方です。
なぜそういう綴じ方をするんですか?そうしますと巻き物とかですねそういうものですとず〜っと開いていかなきゃいけませんけどもこれだと内側に書いて…。
ここに書く場合もありますけれどもこちらに書く場合もありますけどもこの次に書いていく。
そうすると保存がしやすいっていうか長くこの状態でもち続けられるという。
傷まないようにするための工夫なんですね。
じゃあ本という事で2つの本を用意しました。
これがですね和綴じ本の一つの典型的な。
ここに穴を開けてひもを通したという。
ちょっとこれもご覧下さい。
日本によくある感じですね。
なるほど。
はい。
これが洋綴じ本で。
背中にのりを付けて一般的な。
これは現代もあると思いますね。
なるほど。
これで達人の道にまた一歩近づきました。
先生どうもありがとうございます。
さあ実践の後半戦です。
先生からは更に大胆なアドバイスが出されました。
実は書の中にはそれぞれの行の延長が一点に集まるように傾けて書いてあるものもあるんです。
同様に扇形の紙に書を書く時の基本がこちら。
それぞれの行の延長が要の部分に集まるようにします。
基本を踏まえて自分なりの表現を考えてみましょう。
(生徒)この「の」の部分ちょっとかっこよくないですか?「の」だけ一個使うっていう。
「の」を強調したっていう。
あっなるほど。
何となく皆さん形がチームごとに出来上がってきたかなっていう感じもありますのでそれをですねお手本にして書いてほしい訳ですけども。
さあここからが大詰め。
自分たちで決めた構成を見ながら仮名の表現をイメージしていきます。
文字の太さや大きさは自分なりにアレンジを加えてみましょう。
ゴールまであと少し。
みんな頑張れ!今日はちょっと珍しい形。
扇子もいいけど…。
扇子もいいけど…さあそろそろ皆さん出来たようです。
書き上げた感想を聞いてみました。
イメージというか詩の意味を考えながら並べ替えたりする時に想像を膨らませて並べ替えたりとかしてました。
字のバランスをとるのが…。
さっきからすごい頑張ってたんですけどどうしても太くなったり細くなったりの繰り返しで大変でした。
少し遠くに離して自分のを眺めてみましょう。
散らし書きの世界では景色としてどう楽しめるかっていう事がとっても大切なとこですから。
こういう事を繰り返していくといろんな表現っていうのが可能になっていくと思いますので是非楽しんでやられて頂きたいなと思います。
(生徒たち)楽しかったです。
自由自在な仮名の表現。
みんな楽しんでもらえたかな?「書の知」…訪れたのは上野にある…ここには平安時代に書かれた仮名の名筆がたくさん集められています。
まずはその紙の形から升色紙と呼ばれる書。
平安時代の三大名筆の一つです。
(島谷)この作品見て頂くと僅か一色の墨で書きながら遠近感があるんですね。
そういう遠近感を細く書いたりかすれて書く事によって表してる。
最後までかすれてるとそれが出ないので最後の「いのちなりける」のとこにやや墨を入れて変化をつけてる。
こちらは同じく三大名筆の一つ継色紙です。
この継色紙っていうのは散らしがとても特徴です。
散らす事によって文字の大きさ行の傾き字間行間それを考えながら非常にバランス良く書いています。
更にこの継色紙ってのは格調が高いんですよね。
筆をゆっくり運んでなおかつ筆の速い所もあって筆の速い所遅い所の変化を書きながら皆さんには感じ取ってもらいたいと思います。
最後は「古今和歌集」を写した書。
色彩豊かな料紙と力強い筆跡が見事に調和しています。
鑑賞する場合には読めなくていいとは言いませんが読めなくても楽しめる部分がいっぱいあるんですね。
筆の動きを見ていくとスポーツの選手が走るような姿であったりとか例えば音楽を聴いてるようななめらかな動きであったりしますのでそういった点を感じ取ってもらうっていうのが一番大切で。
そのあとに…美しさのあとに何が書いてあるんだろうどう勉強していいんだろうという事を感じて先に進んでもらえればいいと思ってます。
仮名の表現ってアートですね先生。
スタジオに三色紙を用意しました。
三色紙。
はい3つの紙。
3つの紙…色紙。
こちらが…こちらが…こちらが升色紙。
一応色紙のベストスリー。
日本の仮名の文化のベストスリーとしての三色紙という言い方に今はなっております。
この中でどれが日笠さんの感性に合った色紙でしょうか?どうぞゆっくり見て下さい。
何かぱっと見て気になるのは継色紙です。
空間が空いてるのが気になります。
そうですね。
仮名の表現の最たるもの。
特に継色紙は空間の美しさっていうのは典型的な仮名の美を表してるかもしれませんね。
先生はどれがお好きなんですか?線の感覚からいうと寸松庵色紙がいいですね。
先生どこがどこら辺がどのラインが好きなんですか?どのラインというよりも特に線質が強いというんですかね。
確かに継色紙の線に比べるとちょっと…。
線質がちょっと違いますしまた升色紙のような優しい曲線の多いタッチと違って非常に力強い線質といいますかね。
じゃあシャッフルしますから。
何ですか!?先生何するの?やめて下さい。
何?何?これちょっと…。
右から何?これ。
はいどうぞ。
う〜んと…寸松庵色紙。
正解。
ままま…。
「ま」何?ま…またよし。
何が「またよし」かよく分からないですけどね。
「またよし」が…。
升色紙。
升色紙。
「またよし」が頭から離れなくなりました。
実践は和歌の書の構成を自分たちで考え創作しました。
イメージを膨らませながら散らし書きや連綿を工夫する事がポイントです。
仮名の名筆を鑑賞する時には文字の美しさだけでなく書かれた紙や空間など書全体のバランスを味わう事が大切です。
平安時代貴族たちの暮らしぶりとともに紙の文化は高度に発達しました。
料紙を一冊にまとめる装丁が行われるようになりました。
2015/02/05(木) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 芸術「書道 仮名の創作〜和歌に挑戦〜」[字]

美術と書道の2本柱で芸術に親しみます。第一線の作家とともに楽しむ創作ワークショップや鑑賞のヒントを満載したアニメなどを通して、美術や書道の魅力を伝えます。

詳細情報
番組内容
今回は、仮名の書を自分なりに創作してみる。和歌に挑戦。実践の場所はNHK学園高等学校。川合先生、林先生の指導のもと、演習に挑戦する。
出演者
【講師】東京学芸大学教授…長野秀章,NHK学園高等学校教諭…川合広太郎,千葉県立犢橋高等学校教諭…林慶子,【司会】日笠陽子,【語り】西脇保

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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