花嫁のれん #24【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】 2015.02.05



(遥)これじゃ私もう死ぬしかない。
(弘美)死ぬ?
(真知子)えーっ?
若い女性客の一言から始まった大騒動
(真知子)えっ?
(房子)いやいや。
大女将?
(志乃)今夜は一晩私がここで付き添います。
(真知子)何もないと思いますけど。
(志乃)絶対に何もないと言い切れるがか?最近の若い人は「死ぬ」とか「死ね」とか結構簡単に言う人いるんですよ。
それなら証明します。
(志乃)証明?お隣失礼します。
(志乃)えっ?何や?よいしょ。
何や?ちょっ…。
(辰夫)おっ。
どうやった?
(房子)ええ。
それが大女将が朝まで付き添われると。
(辰夫)ああ。
(増岡)付き添う?
(房子)お部屋の前に座られて。
私が代わりますと申し上げたんですけども。
(幸)おばあちゃんらしいね。
(増岡)ほうですか。
朝までとは。
(増岡)ほんなご無理をなさって大丈夫でしょうか?何ならこの増岡が。
(翔太)ああ…。
無駄だよ。
(辰夫)まっ。
いつものことや。
(幸)うん。
(房子)えっ?それではこんなことがこれまでも?
(辰夫)うん。
お客さまに病人が出たときなどいつもほうやって一晩中付き添っとった。
さすが大女将でございます。
(香)真知子大丈夫かな?
(佑美)大女将に対抗して付き添うなんて真知子らしいけど。
(綾)でもやっぱり大女将はすごいわ。
お客さまを心配して一晩中付き添われるなんて。
(佑美)でも電話で「死ぬ」って言ってただけなんでしょ?それくらいでいちいち騒がれちゃうのもちょっとね。
(綾)そうかもしれないけど大女将は万が一の場合を考えておられるのよ。
(佑美)万が一の場合ね。
(香)確かに大変なことになるもんね。
旅館で生活しているとそういうよくない話も時々聞いたわ。
女性のお一人客が自殺をされたとか。
(香)えっ?
(佑美)えっ?そうなの?いや。
それにしても。
(香)でもありがたいことだと思わない?旅館がそこまで心配してくれてるってことなんだからさ。
(佑美)うん。
まあね。
いやぁ。
一つだけ言えるのは担当にならなくてよかったってことかな。
(香)真知子には悪いけど。
(佑美)うん。
眠いんなら帰るまっし。
大丈夫です。
どうだか?ご心配なく。
夜は強い方なんで。
ほうですか。
ほんならご自由に。
はい。

(足音)あっ。
陣内さま。
(陣内)大女将。
ここで何を?実は梅の間のお客さま…。
いや。
あのう。
今夜はちょっとお客さまのお付き添いをと。
(陣内)どうかされたんですか?あっいえ。
別に。
あのう。
陣内さまはどうぞお気遣いなくごゆっくりお休みくださいませ。
ではおやすみなさい。
おやすみなさいませ。
おやすみなさいませ。
また余計なこと言おうとして。
何が「夜は強い」や。

(割れる音)えっ?はっ。
えっ。
じゃあ…。
しっかりするまっし。
えっ?あんたがほんなんでどうするんや?いや…。
津島さま。
嘘でしょ?真知子さん。
入りますよ。
いえ。
でも…。
手遅れになったらどうするんや?中におるのがあんたの家族でもそうやってただ震えとるんか?津島さま。
失礼いたします。
はっ。
津島さま!津島さま。
しっかり。
大丈夫ですか?津島さま?
(遥)うーん。
何?何?ああ。
よかった。
あのう。
今すぐ応急処置を。
ねっ。
あれ?えっ?えっ?
(遥)ちょっと。
いったい何なの?あっ。
(遥)こんな時間に人の部屋で何してるんですか?あのう。
中で何かが割れる音がしたので。
万が一のことがあってはと。
何ですか?万が一のことって。
あのう。
実はうちの仲居が偶然津島さまのお電話の声を聞いてしまいまして。
ほれで津島さまがほのう…。
「死ぬ」って言ってたって。
はあ!?いえ。
あのう。
ほのことがどうにもこうにも気ぃになってしまいまして。
失礼やとは思いましたけれどもこうして付き添わせていただいておりました。
付き添うって?お部屋の前の廊下にいたんです。
昨夜から。
嘘?ホントですよ。
だからこうやって。
どういうつもりよ?えっ?この旅館は客を監視するんですか?いえ。
監視するやなんてほんな。
とんでもございません。
いいかげんにして。
電話で「死ぬ」って言ったからって何なの?そんなの言ったら死ぬってもんじゃないでしょ?いえ…。
はっきり言ってすごく不愉快。
こんなのいくら何でもやり過ぎでしょ!はい。
津島さまのおっしゃるとおりでございます。
本当に申し訳ないことをしてしまいました。
お許しくださいませ。
余計なお世話よ。
たかがそんな言葉ぐらいで大騒ぎして。
「たかがそんな言葉くらい」って。
本気でそう思ってるんですか?えっ?真知子さん。
言葉には力があるんです。
口にした瞬間からそれはただの音じゃなくなる。
言霊を秘めた強い力を持つんです。
だからどんな言葉だろうと絶対に無責任に口にしちゃいけないっていつもおばあちゃんが言ってました。
(フミ)《言葉にはな言霊があるんや》
(真知子)《言霊?》
(フミ)《口に出したことをかなえてしまう不思議な力や》《ほやからなどんな言葉も決していいかげんな気持ちで口に出してはいかん》私だって「死ぬ」なんて言葉全然信じてなかった。
言霊を忘れてた。
でもさっきグラスの割れる音聞いたときホントに恐ろしかった。
もしもあのときあなたの言葉を聞き流してたら私は一人人を見殺しにするところだった。
真知子さん。
もういい。
もういい。
奇麗事言わないで。
えっ?ホントは私に騒ぎを起こされたくなかっただけでしょ?老舗旅館で自殺者が出たなんてことになったら大問題ですものね?ちょっとそんな言い方…。
真知子さん。
もうやめなさい!やめなさい。
津島さま。
重ね重ね本当に申し訳ございませんでした。
大変失礼なことしてしまいました。
どうかお許しくださいませ。
いいかげんにするまっし。
お客さまに何てこと言うんや。
すみません。
でも…。
言い訳は聞きません。
大女将は悔しくないんですか?せっかくあそこまで親身になって心配してたのにあんな身もふたもない言い方されて。
お客さまの気分を損ねてしもうたんやさかいしかたのないことです。
それにしたって。
こちらがお客さまのためにと思うてしたことでもほのせいでお客さまが気分を害されたんならほれはもうおもてなしでも何でもない。
ただの余計なお世話です。
ほやけど真知子さんも言い過ぎです。
どんな状況であれお客さまにあんなこと言うもんやありません。
真知子さん。
すみませんでした。
今からやったら少しはうん。
眠る時間もあるやろう。
ねえ。
今日のために少しは寝といた方がいい。
はい。
ねっ。
ほな。
ほんでもよかったね。
津島さまに何ものうて。
大女将。
真知子さんもご苦労やったね。
《ほんでもよかったね。
津島さまに何ものうて》あっ。
何や。
起きとったんか?
(辰夫)どうやった?津島さま。
うん。
まあ何とかご無事で。
(辰夫)お疲れさんやったな。
結局私の思い過ごしやったけど。
ほうか。
あーあ。
大失敗してしもうたわ。
(房子)はい。
ではいただきます。
(一同)いただきます。
(香)房子さん。
ゆうべ真知子さん帰ってこなかったみたいですけどどうなりました?
(佑美)梅の間の津島さまに付き添ったんですよね?
(房子)大女将と一緒にって真知子さん強引に言い張ってね。
大女将はさ何度も帰れとおっしゃってたのにずうずうしいったらありゃしないわよ。
いいですか?前にも言いましたけれどもこのかぐらやで大女将はもう上の上。
てっぺんにいる方です。
ねっ?であなたたち塾生は下の下。
ですから大女将がおっしゃることは何でも「はい」と素直に聞かなくてはなりません。
それは間違っていることにもですか?佑美。
(綾)佑美さん。
佑美さん。
大女将は決して間違いなどなさらないお方なんです。
分かりました?
(佑美)はい。
(房子)いただきます。
(一同)いただきます。
(香)真知子。
時間よ。
起きて。
うん?あっ。
みんな。
おはよう。
(香)おはよう。
(佑美)うわ。
ひどい顔。
大変だった?うん。
まあね。
(綾)これおにぎり。
作ってきたから。
助かる。
ありがとう。
(香)じゃあうちらも着替えようか。
(綾・佑美)うん。
いただきます。
(一同)はい。
板長。
蓮の間の稲田さま。
お目覚めになりました。
お食事お願いします。
承知しました。
頼むよ。
(一同)はい。
(弘美)大女将。
えっ?
(弘美)津島さまが急にお帰りになると。
えっ?お食事も上がらずに?
(弘美)はい。
えっ。
津島さま。
誠に申し訳ございませんでした。
本当に申し訳ありませんでした。
「よき思い出は心の宝」「ほの宝をつくっていただくことこそおもてなしの心」と長い間そう信じてこの女将という立場を務めてまいりました。
ほれなんに心の宝をつくっていただくどころかほの宝を台無しにしてしまいました。
誠に申し訳ございません。
あのう。
はい。
靴を。
はい。
ただ今。
どうぞ。
(遥)それじゃ。
(一同)ありがとうございました。
こんなに大女将が謝っておられるのに。
仕方ない。
悪いのは全部私なんやさかい。
ほやけどおわびの言葉も聞いていただけんやなんて私もまだまだやね。
私ちょっと行ってきます。
えっ…。
ど…どこ…。
どこへ?ちょっと真知子さん。
あっ…。
津島さま。
よかった追い付いて。
まだ何か?けさのこともう一度ちゃんと謝っておきたかったんです。
私津島さまに大変失礼なことを言ってしまいました。
本当に申し訳ありませんでした。
それからもう一つだけ。
津島さまは騒ぎを起こされたくなかっただけだろうなんておっしゃいましたけどあれは絶対に違いますから。
大女将は本気であなたの心配をしてた。
まるで家族の心配をするように。
《手遅れになったらどうするんや?》《中におるのがあんたの家族でもそうやってただ震えとるんか?》大女将が守りたかったのは決してかぐらやの看板なんかじゃありません。
そのことだけはどうしても分かっていただきたくて。
「よき思い出は心の宝」か。
えっ?
(陣内)ありがとう。
・失礼いたします。
これは大女将。
けさほどは大変お恥ずかしいところをお見せしてしまいました。
こちらこそ。
ついつい興味深くお話を聞かせていただきました。
「よき思い出は心の宝」いい言葉ですね。
ほんでもお客さまのためによかれと思ってしたことがお客さまのとんだご不興を買ってしまいました。
しかし後悔はされていないんでしょう?もちろん後悔はございます。
ほうですが何もせんで後悔するよりは精いっぱいやって後悔した方が。
まあほういう意味では悔いはございません。
やはり。
ほうですが反省はいたしております。
若いお客さまとの関わり方はまだまだ未熟。
これからももっと勉強せんといけません。
まだ学ばれますか?どのおもてなしも一つとして同じもんはございません。
この年になっても日々勉強でございます。
なるほど。
私にもだんだん分かってきましたよ。
女将というものが。
でも私のような女将の在り方はもう古いんかもしれません。
そうでしょうか?陣内リゾートさまのようなリゾート形式の宿泊施設が人気を集めておられるのがほの何よりの証しかと。
私にはかえって大女将の姿が新鮮なものに映りましたが。
いえ。
(遥)かぐらやに泊まろうって言ったのは彼だったの。
私もかぐらやなら特別な日にふさわしいって思って自分で予約したの。
すごく楽しみにしてた。
特別な日?昨日は私の誕生日だったの。
えっ?彼とは私が新入社員のころからの付き合い。
でも5年前に私がアパレル系の部署に移ってからはずっと擦れ違いが続いてた。
でも私の誕生日だけはずっと一緒に過ごしてきたの。
でもついに去年彼は私の誕生日をすっぽかしたわ。
そのとき約束したの。
「来年こそは必ず人生で最高のプレゼントをするよ」って。
私ついにプロポーズされるんだとばかり思った。
だから自分で立ち上げたプロジェクトを放り出してまでここに来たの。
それなのにね彼電話でまた言ったのよ。
「ごめん。
仕事が忙しくて行けない」彼にとって1年前の約束なんて大した意味はなかったのね。
それが分かった瞬間悲しくて悔しくて情けなくてあんなふうに飲むしかなかった。
でもあなたたちに怒りをぶつけさせてもらったおかげでちょっとすっきりしちゃったの。
もしあのまま一人で朝を迎えてたらきっともっと最低な気分だったと思う。
彼との大切な思い出すら嫌な思い出に。
津島さま。
「よき思い出は心の宝」いい言葉よね。
はい。
ここではいい思い出をつくることはできなかったけど彼とのこといい思い出に変えるきっかけにはなった気がする。
頑張るわ私。
仕事も恋も一からやり直す。
大丈夫。
今までだってそうやってしぶとく生きてきたんだから。
はい。
応援してますから。
ありがとう。
私またかぐらやに来ます。
はい。
ぜひお待ちしてます。
(増岡)真知子さん遅いようですが。
ほうやね。
大丈夫でしょうか?まさかまたお客さまにケンカ吹っかけてるなんてことは…。
・失礼します!
(一同)えっ?ああ。
あっ。
どうやった?えっ?真知子さん!「またかぐらやに来ます」って津島さまそうおっしゃってくださいました。
ホントか?はい。
ああ。
ああ…。
(一同)ああっ。
大女将?
(房子)大女将しっかり。
どうなさいました?腰…。
腰が抜けてしもうた。
びっくりした。
大女将。
よかった。
よかった。
よかった。
2015/02/05(木) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #24[字][デ]【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】

『金沢女将塾』に復帰した真知子(矢田亜希子)は志乃(野際陽子)から接客も許可され、益々やる気を見せる。そんな時、東京から大手リゾート経営者という客がやってきて…

詳細情報
番組内容
 真知子(矢田亜希子)と志乃(野際陽子)は正座をして、一晩中、遥(山田キヌヲ)の部屋の前で不測の事態に備える。やがて明け方近く。部屋から何か割れる音がする。
 心配した真知子たちは慌てて遥のもとへ。しかし、酒に酔っていただけの遥は、この旅館は客を監視するのかと怒り出す。ひたすら低姿勢で詫びる志乃。対して真知子は、軽々しく「死ぬ」なんて言ったからこそ心配して付き添ったのだとつい反論してしまう。
番組内容2
悔しさをにじませる真知子に志乃は、お客様が気分を害されたらそれは“おもてなし”ではないと言う。
 翌朝、詫びの言葉を聞こうともせず硬い表情のまま立ち去る遥。真知子は、最後に大女将の本心を分かってほしいと遥の後を追いかける…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
片瀬真知子:矢田亜希子

宮崎 綾:原田佳奈
白山 香:広澤 草
石野佑美:川村ゆきえ
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
 ・
神楽宗佑:津田寛治
小島房子:沢田雅美
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:杉村六郎
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:東方神起「サクラミチ」(avextrax)
エンディングテーマ:東京カランコロン「夢かウツツか」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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