Big Dataで扱うデータの中には、大きく分けて、「構造化されたデータ」と「構造化されていないデータ」の2種類があります。図1にあるように、Ptengineの「Data Center」の各レポートに表示される、PV、UU、直帰率などは、データが行と列という整理された形で準備されており、Excel等で分析することができるので、「構造化されたデータ」です。一方、Ptengineのヒートマップレポートは、「構造化されていないデータ」です。コールセンターで録音される音声データ等も、「構造化されていないデータ」です。コールセンターで録音される音声データであれば、テキスト化して、自然言語処理ソフトで解析することができます。しかしヒートマップの場合は、ヒートマップ画像の中に特定のピクセルのパターンが何回現れるかを分析して、ユーザーの不満の要因を抽出することはできません。
ヒートマップ自体は、ぱっと見て直感的に気付きが得られる扱いやすいデータである一方、Webページ上のユーザーの莫大な量の行動データが集計されて描画された画像データです。Ptengineのユーザー様から、「ヒートマップをどのようにサイト改善に活用したらよいのか分からない」というご質問をよく頂くのは、ヒートマップがBig Dataで扱うデータの中でも、「構造化されていないデータ」の一つだからです。
図1 「構造化されたデータ」「構造化されていないデータ」
経営とITをテーマに長年研究を行っている、米ハブソン大学教授のトーマス・H・ダベンポート氏は、医療分野のBig Data活用について、自身の著書で次のように述べています。
「CATやMRIといった機器からは大量の画像データがもたらされるようになっているが、多くの医師はさっと見て終わりにするだけで、体系化された分析はなされていない。」 [ 『データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦』 (日経BP社、2014年) P.85 ]
トーマス・H・ダベンポート教授から、「Ptengineからは大量の画像データ(ヒートマップ・データ)がもたらされるようになっているが、多くのWeb担当者はさっと見て終わりにするだけで、体系化された分析はなされていない。」と言われないようにするためには、Web担当者はどうすればいいでしょうか?今後企業は、Big Dataに強い組織を作るために、「構造化されていないデータ」も積極的に分析対象に組み込んでいく必要があります。Webの現場で扱う、構造化されていないデータの代表が「ヒートマップデータ」です。
企業がBig Dataに取り組む際には、テキストや画像(「ヒートマップ」もこれに含まれる)、動画など、「構造化されていないデータ」を処理しなければならなくなります。全てのデータフォーマットの分析手法について、一人のデータ・サイエンティストが担当することは、恐らく不可能です。ですから、その中の1つ、ヒートマップについて、この記事を読んでいただいている読者の方が知識を持っていただけるだけで、企業に貢献できるはずです。
Ptengine有料版の導入を検討していただく場合に、「それがどうやって自分の組織に価値をもたらすのか」がはっきりしないと、社内で予算を獲得していただくことが難しくなります。Ptengine「ヒートマップ」導入の目標設定をしていただく際に、何もないところから考え始めるよりも、次の4つの目標を参考にしていただくことをおすすめします。
1.サイト運営コストの削減
2.意思決定の「高速化」
3.意志決定の「“質”向上」
4.WebサイトのUI改善
目標が決まったら、Ptengine無料版をご利用いただき(無料版の機能だけでは、導入のための必要な実験ができない場合は、弊社営業担当までご相談ください)、実験ステージに入ってください。たとえば、以下のような実験を行ってみてください。
【「実験ステージ」の例】
1.サイト運営コストの削減
(例)Ptengineの分かりやすいUI、ヒートマップレポートをメンバー全員が共有することで、Webサイトのレポーティングに掛けていたコストが削減できるか。データ分析の生産性を改善することができれば、コスト削減は達成できたことになります。
2.意思決定の「高速化」
(例)Ptengineの分かりやすいUI、ヒートマップレポートをメンバー全員が共有することで、社内のデータ・アナリストのレポートを待って進んでいた業務フローが高速化できたか。
3.意思決定の「“質”向上」
(例)これまで、役職が上の人の経験等に基づく発言が、意思決定を大きく左右していたが、役職に関係なく、ヒートマップによるデータ駆動の意思決定をすることができるようになったか。
4.WebサイトのUI改善
(例)A/BテストツールOptmizelyとPtengineのヒートマップを連携させることで、Webサイト上でボトルネックになっているUIを発見し、素早くテストして改善できるようになったか。
A/Bテストなどで一定数のユーザーに対して実験をすれば、仮説が本物かどうか確認できます。また、HTMLソースにJavaScriptの記述を埋め込んだり、専任の担当者を雇ったりする前に、どんなUIや機能が本当に使ってもらえるかを理解して、サイト改善プロセスをブラッシュアップしていくことができます。
「実験ステージ」で一定の成果を出すことができたら、Ptengine有料版導入のための予算獲得が社内で認めらる可能性は高くなります。
今回の記事をここまで読み進めてきて、それでも、「ヒートマップをどのようにサイト改善に活用したらよいのか」で迷う読者の方もおられるでしょう。Ptengine有料版の導入を検討しておられる企業は、いま直面している様々なビジネス上の課題の中から、特定の課題を取り上げて、Ptengineのコンサルタントにぶつけていただくことをおすすめします。そうすることで、その課題を解決するのに役立つPtengineの具体的な機能や、ヒートマップの活用の仕方、ヒートマップにどのようなフィルターを掛けてユーザーをセグメントすればよいかといったことが明確になります。またこのアプローチであれば、Ptengineのヒートマップという比較的新しい技術をどう導入するかという点だけでなく、既に導入済みのWebマーケティングツールを、Ptengineのヒートマップと一緒にどう使うかという点も検討できます。
ヒートマップの導入の際に、「新しい発見」を期待されるかもしれません。確かに「新しい発見」がもたらされることもありますが、それですと、本当にビジネスに貢献する成果が上がるかどうか、先が読みにくいのが実際のところです。それよりも、Ptengineのヒートマップを既存の問題に適用するというアプローチをおすすめします。
たとえば、「トップページにクリック要素が多くて、どの要素もあまりクリックされていない」という状況があるとします。「クリックされない要素をカットして、すっきりとした1カラムのデザインにすることで、それぞれの要素がよりクリックされるようになるか?結果として、トップページの直帰率は下がるか?」というようなテスト(図2)を行う際に、ヒートマップを活用していただきたいのです。
図2 トップページを3カラムから1カラムにリニューアルするイメージ
改善によってもらたらされる価値が最初から共有されているため、社内のコンセンサスが得やすくなります。ボトルネックになっていたり、問題を起こしていたりするものを改善するという提案の方が、「新しいツールを導入します」と説明するよりも、経営層に支持を得やすいはずです。
Big Dataに強い組織を作ろうとする企業は、スモールデータとビッグデータ、社内のデータと社外のデータ、「構造化されたデータ」と「構造化されていないデータ」など様々なデータを統合し、分析結果を「意思決定のスピードアップと質の向上」に使おうとします。Big Dataに強い組織を作ろうとするなら、少しずつ追加されていくデータソースの中に、ぜひPtengineのヒートマップを加えてください。




