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財政健全化は堅めの想定で最適解を探れ

2015/2/14付
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 政府が中長期の経済財政に関する試算をまとめた。これを受け、夏までにつくる財政健全化計画の議論が本格化する。

 今回の試算は2020年度にかけて名目経済成長率がほぼ3%台で推移する高成長のケースと、1%台にとどまる低成長のケースという2つのシナリオを示した。

 どちらのシナリオでも、消費税率を2017年4月に10%に上げても、20年度時点で国と地方をあわせた基礎的財政収支の赤字は残る。安倍晋三首相は、20年度に黒字にする目標を堅持すると繰り返している。

 そんな中、政府の経済財政諮問会議の民間議員が低成長シナリオに基づき新たな提案をした。20年度までの5年間で経済成長による税収増と歳出改革を通じ、国内総生産(GDP)比で年平均0.5%ずつ収支を改善する内容だ。

 成長戦略を通じて高い経済成長率をめざすのは当然だ。しかし、海外景気や金融市場の急変などで想定よりも成長率が高まらず、税収が増えなくなるリスクは常にある。まずは堅めの、現実的な前提条件を出発点として財政再建策を議論するのは妥当だろう。

 政府は次に、社会保障分野の歳出削減の具体策を最優先で検討すべきだ。高齢化を背景に社会保障費は膨らみ続け、国の一般会計予算の3割超を占める。ここにメスを入れずに、歳出全体を効率化することはできない。

 永田町や霞が関では、小泉純一郎政権時代に年2200億円の社会保障費削減の枠をはめたことが国民の反発を招いたとして、歳出削減の数値目標を掲げること自体への抵抗が強い。

 だが、医療、介護、年金の具体的な改革案と、それに基づく具体的な歳出削減額を積み上げることを避けていては、信頼に足る財政健全化計画になり得ない。

 財政再建の手段は、経済成長による税収増、歳出削減、増税という3つしかない。魔法のつえは存在しない。

 消費税を10%を超えて上げることを念頭に、痛みを伴う歳出削減から逃げるのは困る。もちろん、10%超の消費増税は不要と最初から決めつけ、非現実的な計画をつくるのも論外だ。

 政府・与党は、日本がGDPの2倍超という先進国で最大の借金を抱えている現実を直視し、財政再建に向けた最適な政策の組み合わせを真剣に探ってほしい。

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