「高血圧を避けるためには、まずバナナやミカン、リンゴを食べよう」
血圧を上げないためには減塩とよく言われる。実はそれ以上にカリウムの不足が致命的なのかもしれない。カリウムを多く含むと知られている果物が重要となる。
不足しがちなカリウム
米オレゴン健康科学大学のアンドリュー・S・ターカー氏らの研究グループが、有力科学誌のセル・メタボリズム誌で2015年1月6日に報告している。
研究グループによると、食事から取るカリウムの不足は、現代の食事ではよく見られるようになっている。
果物の不足をはじめ、カリウムは意識しないと不足しがちになる。
最近になって、カリウムが不足すると、単純に血圧が上がるだけではなく、血圧上昇に関係する食塩に反応しやすくすると分かってきた。
注目されるのが、腎臓で尿を作って、排出するまでの尿の通り道になる「遠位尿細管」の働きだ。
ナトリウム多くとも蓄え始める
研究グループは、塩分を取り過ぎていても、カリウムの不足がある場合に、ナトリウムは十分あるにもかかわらず、この遠位尿細管でナトリウムを体に蓄えようとすると突き止めた。
研究グループは遠位尿細管にカリウムの充足と不足を感知する仕組みがあると突き止めている。
遠位尿細管でカリウムの減少を電気的な条件と塩素の減少から感じ取る。2000年代に入ってから血圧との関与が分かってきた「WNKキナーゼ」というタンパク質を刺激して、ナトリウムや塩素の体への取り込みに関係する「NCC」というタンパク質を活性化。血圧上昇という犠牲を払ってでもカリウムの排出を防ごうとする。
起点がカリウムというのが大切。
まだ不明の多そうな分野だが、高血圧にカリウム不足が問題というのは確かなようだ。腎臓が悪い人はカリウムの取り過ぎに注意しないといけないが、血圧が気になる場合は果物と食べているかちょっと振り返りたい。
関連情報
Terker AS et al. Potassium Modulates Electrolyte Balance and Blood Pressure through Effects on Distal Cell Voltage and Chloride. Cell Metab. 2015;21:39-50.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25565204
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