ボコ・ハラムから逃げた少女たち、安息の地は米大学現地校
(ブルームバーグ):武装したイスラム過激派武装集団ボコ・ハラムが少女276人を拉致した時、その1人であるグレースさんはナイジェリア北東部の町チボクにある学校の寮にいた。その10カ月後、グレースさんは逃げ出した他の20人と共にナイジェリア・アメリカン大学に安息の地を見いだした。
同大学はチボクの南方、約270キロメートルの場所にあるだけだが、グレースさん(17)たちにとっては別世界だ。ボコ・ハラムによって昨年4月14日の夜拉致された少女たちは、米国が運営する閑静なキャンパスへと移った。そこでは、学生たちがアップルのタブレット「iPad(アイパッド)」を見たり、スターバックスで購入したカプチーノをすすったりする日常があった。
「最初はどんな学校なのだろうと思った。ナイジェリアにいるとは思えなかった。どこか別の場所に来たのだと考えていた」。拉致された他の少女たち同様、家族を報復から守るため名字を公表しないことを条件にグレースさんはキャンパスでインタビューに応じた。
拉致事件の後、少女たちは数カ月間、親類と住み、一部は農場で働いていた。オバマ米大統領のミシェル夫人ら数千人が支持していた少女たちを取り戻す国際キャンペーンについては全く知らなかったという。ボコ・ハラムによる6年間に及ぶ暴力行為によって、少女たちの親類の一部は殺害されるか自宅から逃げ出すことを余儀なくされた。
少女たちの大学への移住は、ナイジェリア・アメリカン大学の米国人学長、マーギー・エンサイン氏が昨年8月、少女たちを見つけ出すためヨラにあるキャンパスからボコ・ハラムの拠点がある隣のボルノ州に自動車で向かうことを決心したのが発端。
メディアの関心は集まっていたが、少女たちはほとんどお金を持っていなかった。エンサイン氏はAUN財団を設立して少女たちのために教育費を集めることにした。
エンサイン氏がクリスマス休暇後の米国からのお土産は何がいいかと尋ねると、少女たちは洋服や化粧品ではなく辞書が欲しいと言った。
「教育を受けたらパイロットになって国を助けることができる」。メアリーさん(17)はその後、少し間を置いて「ボコ・ハラムは両親と兄たちを殺す。耐えられないことだ。自分の国のために役立ちたい」と語った。
原題:Girls Who Escaped Boko Haram Find Refuge at American-Run School(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Yola, Nigeria Yinka Ibukun yibukun@bloomberg.net
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更新日時: 2015/02/12 15:33 JST