何十年も茶道をしてきて、この頃大きな壁にぶつかる。
高校の時に茶道を始めた。
部活は剣道部で礼儀作法が勝負より大切と教わる。
茶道もそうであった。
今は、一歩教室を出れば先生も何も関係ないようである。
会っても会釈どころかふんぞり返って知らん顔。
10年教わっても同じなので、
こんな人間に茶道を教えてよいのかと悩む。
今週は4時間誰も来ない。
お休みの連絡もないので空しくお湯を沸かすだけ。
どういうつもりかと、
もう二度と教えないとまで思いつめる。
今の私には大事な時間。
遊び気分で休まれたのでは困る。
昔のように全員破門かと、
だが今回は葬儀がかかっている。
私は姉の葬儀も父の葬儀も出ていない。
伝授の式をしていた。
私のことだが、せめて連絡位はできるだろう。
このところ、茶道が廃れたと聞く。
パソコンにいきなり、半額セールの広告が飛び込むようではたまらない。
習うほうも正常ではいられないのだろう。
いまだこんなことはありえないことである。
恥ずかしくて上を向いて歩けないのは私の方である。
個人の教室がなくなる。
長い間縁の下の土台で要であった。
言わないで去ろうと思っていたが、
未来を担う、青年には本当の事を伝えたかった。