<p>今週のお題「10年」</p>
東レ本社の元社員(50歳)が2000年から14年間に渡り約2億円を着服していたことが発覚し刑事告訴するという記事です。
2億円といえば凡そサラリーマンの生涯賃金です
東レの平均年収は648万。着服した2億を14年で割れば1,428万。合計年収は2,076万円になります。
『さぞかし豪遊して良い目を見たんだろうな』と思うかもしれませんが、それは間違いです。
14年の内半分以上の少なくとも10年は『いつかはバレる』という不安の牢獄にいたことでしょう。
報道で詳しく書かれていないその『手口』と『なぜ発覚しなかったか』を解説します
報道では『パンフレットや製品サンプルを架空発注して資金を還流させた』としてます。
具体的な方法は以下の通りです。
- パンフレットの印刷会社に10000冊のパンフレットを100万円で注文します。
- 実際に納入されるのは9000冊です。
- 10000冊受け取ったことにして100万円の代金を印刷会社に払います。
- 浮いた10万円を印刷会社と山分けします。
単純な方法ですね。
- パンフレットやサンプルはお客に販売する『商品』ではありませんから、その数をあまりチェックしません。
- また、切らしてしまわないように、必要部数より少し余裕を見て発注するものです。
使うことなく捨てることになるパンフレットやサンプル分のお金を、印刷会社と山分けしていたんですね。
それにしても14年間とはいえ2億もの額を着服してバレないものでしょうか?
東レの平成26年3月期の単体の売上高は5,577億円、営業利益は195億円です。着服した広告宣伝費が計上される販売費及び一般管理費は940億円です。年間0.14億円というのは支出の0.014パーセント。
600万円の年収の人にとっての900円に当たります。
- 月に75円ずつ弟が財布から抜いてた
- 月に500mlの牛乳を屋根裏の誰かが飲んだ
- ストックにしているトイレットペーパーをこっそり友達が2ロール持って帰ってた
バレないでしょうね
事実、会社が調査に踏み切ったのは内部通報でした。やってみますか?その前に…
この方法には『共犯者』が不可欠です
それは印刷会社の営業責任者です。これから先の人生、一生彼に弱みを握られることがその代償です。報道では着服したお金の使い途として『遊興費や外注先の運転資金に使った』とされています。
これは正しくありません。まずは会社から外注先にお金が払われるんですから、彼は外注先からそのお金を貰っていたんです。立場は下です。報道では会社から2億着服したとなってますが全額が彼に入る訳ではありません。半分以下かもしれませんね。
やめたいと思っても、やめさせてもらえない
そんな10年だったんでしょう
また、発覚しなかったことで彼はビジネスパーソンが最も仕事で充実するはずの36歳から50歳を犯罪に費やすこととなりました
同情はしませんが
今回、着服が発覚し、逮捕されたことで彼は牢屋に入ることになりますが、かえって解放されたような気分ではないでしょうか。
始めの一回が地獄への入り口です『一回だけ』では終わらないんです。
よろしければ、ブックマークorクリックお願いします、
関連記事
みずほ銀行 元行員1,200万円横領 企業の罪 - 千日のブログ
みずほ銀行 不正防止の観点 繰り返される理由 - 千日のブログ
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2014/09/13
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (25件) を見る