NHKは2月13日夜、これまで「イスラム過激派組織『イスラム国』」と呼んでいた組織について、今後は「過激派組織IS=イスラミックステート」と呼ぶことに改めたことを発表した。NEW NEWS WEBで明らかにした。変更の理由については、「この組織が国家であると受け止められないようにするとともに、イスラム教についての誤解が生まれないように」するためとしている。
NHKは2月13日午後9時ごろに「過激派組織ISの壊滅へ日本と連携」という見出しで記事を配信。見出しには「イスラム国」という名称が消え、本文中も「過激派組織IS=イスラミックステート」もしくは「過激派組織IS」と表記していた。同日午前中は「『イスラム国』アフガニスタンに影響」という見出しで記事を配信していた。
政府は日本人人質事件が発生したころまで「イスラム国」と呼ぶこともあったが(菅義偉官房長官は1月21日の定例会見冒頭で「イスラム国」と発言)、同日、事件後に初めて行われた関係閣僚会議で、安倍晋三首相は「イスラム国」と呼ばずに「ISIL」(アイシル)と呼称。共同通信などの報道によると、1月26日の自民党役員会で、以後「ISIL」と呼ぶ方針を確認していた。
在日イスラム関係者からもメディアの「イスラム国」の呼び方に懸念の声があがり始めていた。駐日トルコ大使館は2月4日、報道各社に対し「イスラム国」の表記中止を求める声明を発出。在日イスラム関連団体も9日以降、NHKや日本民間放送連盟、日本新聞協会、報道機関各社に「イスラム国」の使用中止を求める申し入れを行っていた。ただ、宗教法人名古屋モスクの渉外担当者によると、13日午前中までに回答があったのはNHKのみで、「『イスラム国』と、かぎかっこをつけたりするなどして、正式な国とは異なる存在であることを示している」ことや、この組織が昨年6月に「IS」(Islamic State)に名称を変更したことを挙げ、従来の表記について理解を求める説明をしていたという。
東京の地上波放送局TOKYO MXの報道番組「モーニングCROSS」では、1月終わりごろからニュースの中で「イスラム国」という呼称を使うのをやめ「ISIL」と呼ぶことにしたと、メイン・キャスターの堀潤さんが明らかにしている。
名称変更が反映されたNHKニュースの記事
NHK NEWS WEB 2015年2月13日午後9時8分配信
- 「イスラム国」という名称の変更を希望します (宗教法人名古屋モスク 2015/1/25)
- 大使館からのお知らせ (駐日トルコ大使館 2015/2/4)
- 「イスラム国」やめました (Yahoo!ニュース個人 堀潤 2015/2/11)
- (初稿:2015年2月13日 23:01)
- (追記:2015年2月14日 00:30)