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米原油在庫「80年で最高水準」 行き場ない生産継続「価格均衡ほど遠い」

産経新聞 2月13日(金)7時55分配信

 【ワシントン=小雲規生】米エネルギー情報局(EIA)が11日発表した米週間石油統計で、原油の民間在庫量が前週より490万バレル多い4億1790万バレルに達した。EIAは「少なくともこの80年間で最高の水準」としている。米国では原油安のあおりで石油関連企業の事業縮小発表が続いているが、生産量の調整に時間がかかるとの見方も再燃している。

 統計では、1日当たりの原油生産量も前週より4万9千バレル多い922万6千バレルとなった。こちらも1983年から記録されている週次のデータとしては史上最高だった。

 発表を受けて、11日のニューヨーク原油先物相場は続落。指標の米国産標準油種(WTI)3月渡しは前日比1・18ドル安の1バレル=48・84ドルで取引を終えた。1バレル=50ドルの大台を割り込むのは1週間ぶり。

 米国では原油価格の水準が昨年6月から半値以下になっていることで、石油関連産業で事業縮小の動きが目立っている。石油掘削に使われるリグの稼働数は直近のデータで1140基まで減り、2011年12月以来の低水準。大幅な人員削減も相次いで発表されており、原油価格の底打ちが近いとの見方も出ていた。

 しかし今回示された在庫や生産量の高さは、行き場のない原油の生産が続いていることを示唆している。原油市場の見通しに強い影響力を持つ米金融大手ゴールドマン・サックスは10日付のリポートで「原油価格が均衡するにはほど遠い状況だ」とした。同社は1月のリポートで1バレル=39ドルまでの価格下落を予想しており、原油価格は不安定な状況が続きそうだ。

最終更新:2月13日(金)11時51分

産経新聞

 

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