今夏の記録的な猛暑が影響し、国産果実は小玉果傾向となり、日焼け果などの被害もみられる。出荷量は軒並み昨年より減少。市況は昨年と比べて高値傾向で推移している。9月中旬の京浜市場の販売実績は、ナシがキロ349円(前年同旬比184%)、リンゴが261円(同140%)――など。昨年までの果実価格低迷からは回復し、各産地では、農家に品質向上に向けた管理と高品質果実の出荷を呼びかけている。
果実の生育状況を日本園芸農業協同組合連合会(日園連)は「今年の夏は高温で日照が多く、雨が少なかった。果実全般でかなり影響が出ている」(業務部)と説明する。
ミカン、リンゴ、柿など日焼け果の被害がみられ、下級品の発生が多かった。開花時の低温や凍霜害の被害も受けて生育は全体的に遅れ、出荷量は昨年より減少している。
一方、干ばつの影響も受け、全般的に小玉果傾向となっているが、糖度は高い。昨年まで低迷していた市況は、今年は単価高で推移している。「単価は大きく伸びているが、昨年まで2年続けて安値だったため一息ついたという印象だ」(業務部)と話す。
温州ミカン
温州ミカンは今年はうら年に当たる。極早生ミカンの生産量は、昨年より若干減る見通し。「着色が遅れている中、着色を待つと後半に出荷が集中する。今年は糖度が高い。産地には品質重視の計画出荷を呼びかけている」(業務部)。昨年は2年連続となる緊急需給調整を発動しており、日園連は一時期の出荷集中を懸念する。
5月時点で温州ミカンの適正生産量を90万トンとしていたが、現時点では90万トンを下回る見通し。産地には極早生ミカンの出荷を10月で終え、11月から早生ミカンに切り替えるよう指導している。早生ミカンの生産量は前年比15%減となる見込みだ。
リンゴ
リンゴの適正生産量は85万トンとしていた。日園連では85万トンを割り込むと予想する。
長野県では、梅雨明け後高温が続き、早生種「つがる」の着色が遅れている。日焼け果が多く、玉は一回り小さいが糖度は高い。JA全農長野のつがる販売量は、9月末までで前年比約80%と減少した。これから出荷が始まる「秋映」「シナノスイート」「シナノゴールド」も生育は1週間の遅れ。つがるほどではないが小玉果傾向という。
JA全農長野は「生産者に適熟品の出荷を呼びかけている。つがるの販売価格は前年比約130%と生産者が納得できる価格に近づいた。近年の価格低迷に歯止めをかけたい」としている。
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〈写真:単価高の状況を維持し、計画出荷を励行して有利販売に努めたい(東京・大田市場)〉