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映像通信会社で共に働いた後藤健二さんの「前妻」と「娘」が教会で捧げた祈り
〈大切な家族を失い、この喪失感を受け入れなければならない塗炭の苦しみの中にあります〉。後藤さんが設立した映像通信会社「インデペンデント・プレス」のHPに、彼の「親族一同」のメッセージが掲載されたのは2月1日。同日夜、後藤さんの“元”家族であるその女性は、ひそかにある場所へと向かっていた。

 ***

 都内にあるマンションから2人が出てきたのは、午後7時過ぎのことだった。最初に姿を見せたのは、ベージュのダッフルコートに赤いマフラーを巻いた中学生くらいの女の子。ほどなくして、色白で小柄な40歳前後の女性が姿を現した。肩まで伸びた黒い髪が、カシミヤ風の黒いロングコートと溶け合っている。寒風吹きすさぶ夜道を、2人は肩を寄せ合うようにして駅へと歩き出した。後藤さんは3度の結婚を経験しているが、このロングコートの女性は彼の前妻である。寄り添う女の子は、後藤さんとの間にもうけた娘さんだ。

「彼女は元々、後藤さんの会社『インデペンデント・プレス』で働いていた。確か、会社を立ち上げる頃からいたはずです。今回の事件には、彼女も娘さんも相当なショックを受けているそうです」(前妻の知人)

 駅へ向かって歩く前妻に声をかけると、

「すいません。私たち、急いでて……。教会に行かなきゃいけないので……」

 消え入るような声で言い、足を速めた。2人が向かったのは、「日本基督教団 田園調布教会」。後藤さんが洗礼を受けた教会だ。

「後藤さんの前の奥様とお嬢様はあの日、夜間礼拝に参加されました」

 と、教会の関係者。

「後藤さんが信仰を持たれたのは20年ほど前、1990年代のことだったと思います。前の奥様も元々は後藤さんと一緒に教会に通われていたのですが、数年前から遠ざかっておられた。あの日、お二人は表面上は落ち着いておられましたが、やはりショックを受けていらっしゃる様子でした」

 後藤さんがこの教会を最後に訪れたのは昨年8月。拘束される約2カ月前のことだった。

「特集 日本に宣戦布告! 『イスラム国』狂気の残響」より
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