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【政治】

集団的自衛権 法制化に着手 与党協議、来月に骨格

2015年2月13日 13時56分

与党協議であいさつする自民党の高村副総裁(中)。左は公明党の北側副代表=13日午前、東京・永田町の衆院第2議員会館で(神代雅夫撮影)

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 自民、公明両党は十三日午前、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認など新たな安全保障政策の方針を示した閣議決定を法制化する与党協議を国会内で開始した。協議は週一回程度のペースで開き、三月中に関連法案全体の骨格をまとめる方針。政府は協議結果を踏まえ、関連法案を五月の大型連休後に国会に提出する。成立すれば、憲法解釈で禁じてきた集団的自衛権行使が実際に可能になり、日本の安全保障政策の大転換になる。

 座長を務める自民党の高村正彦副総裁は協議冒頭、「現行憲法の範囲内で、あらゆる事態に切れ目なく対応できるように建設的な議論をしたい」と述べた。公明党の北側一雄副代表は「法制化に向けた与党協議は(閣議決定に続く)第二ラウンドだ。閣議決定以上に明確な形で議論をしないといけない」と求めた。

 この日の協議は、武力攻撃に至らない侵害「グレーゾーン」事態の対応から議論に着手した。日本周辺で警戒活動中の米艦を自衛艦が防護するための法整備、離島を武装集団などが占拠した際に自衛隊に出動を命令する手続きの迅速化を検討。出席者から特に異論は出なかった。

 政府側はオーストラリア軍を念頭に艦船などの防護対象を米軍以外に広げることも求めた。これに対し、公明党側から慎重論が出たため、次回も引き続き協議することにした。今後の協議では、集団的自衛権行使の範囲や自衛隊による他国軍の戦闘支援をその都度新たな法律をつくることなく随時可能とする恒久法制定の是非が焦点となる。

 自民党は、昨年七月の閣議決定が集団的自衛権行使が許される基準として定めた「武力行使の新三要件」を柔軟に解釈し、自衛隊の活動範囲を広げる構え。一方、公明党は政府の国会答弁も踏まえ、行使可能な事態を「わが国に戦火が及ぶ可能性が高い場合」に限定したい考えだ。

 恒久法をめぐっては、自民党は閣議決定に明記された「切れ目のない対応」を可能にするため制定を目指す。公明党は恒久法制定に難色を示し、従来通り自衛隊の他国軍支援は期限と目的を限定した特別措置法で対応すべきだと主張する。

 <武力行使の新3要件> 政府が、集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定で、これまでの自衛権発動3要件に代わって示した要件。(1)日本や密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由や幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる−場合に武力の行使は許されると憲法解釈を変更した。

 <グレーゾーン事態> 他国からの組織的・計画的な武力攻撃には至らないものの、主権侵害の可能性がある事態。有事でも平時でもないため「グレーゾーン」と呼ばれる。武装漁民による離島の不法占拠などが想定され、昨年7月の閣議決定は、警察や海上保安庁が対応できない場合の自衛隊の出動手続き迅速化を検討するとした。米軍と連携して弾道ミサイル発射の警戒監視に当たる際、自衛隊による米艦防護を可能とする法整備も盛り込んだ。

(東京新聞)

 

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