コギングトルクとは、非励磁状態でロータを動かした際に発生するマグネットとコアの間に働く磁気吸引力に起因する位置トルクのことです。
英訳:"cogging torque"
コギングトルクはトルクにリップルとして加わります。そのため、制御を行ううえでは外乱となるため、できる限り小さくすることが求められるのが一般的です。
コギングトルクは磁気吸引力の変化がウネリとなって現れる現象ですが、磁気吸引力はコアとマグネットにより決まります。コアについては、コアの極間の隙間がもっとも影響大きく、ほかにもコアの外周面のエッジ部分を削る形状とした設計を施すことによりコギングトルクを低減する場合もあります。
マグネットによる影響も少なくなく、マグネットの形状や着磁を調整することにより、コギングトルク低減に対して効果があります。一般にコギングトルク低減の方法としては、正弦波着磁により磁束の変化を滑らかにすることが言われています。
また、コア数と磁極数の関係によっても大きく異なります。コギングトルクは回転方向に働く磁気吸引力の総和となるからで、巧みに設計すれば磁気吸引力は打ち消しあうことも可能となるということです。理論上、10極12スロット,16極18スロットなどの組み合わせは磁気吸引力が相殺されるため低コギングトルクとなりやすくなります。
また、多極モータにおいては着磁やコア形状のばらつきによる影響が大きいとされているため、ロバスト性の高い設計とするのが主流となりつつあります。
コギングトルクというと外乱というイメージが強いため、単相モータやステッピングモータなどでは、位置トルクという観点からコギングトルクのことを「ディテントトルク」と呼ぶことがあります。また、「コキングトルク」と呼ばれることもあります。また、省略して「コギング」と言われることもあります。