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【経済】

中国人強制連行で元労働者 三菱マテリアルと和解協議打ち切り

 【北京=新貝憲弘】日中戦争時に中国から強制連行され日本国内で厳しい労働を強いられた中国人元労働者と遺族ら四十人が北京市第一中級人民法院(地裁)に起こした損害賠償請求訴訟で、原告側は十一日、被告の一社、三菱マテリアルとの和解協議を打ち切ると発表した。会見した原告団の康健弁護士らは、強制連行と労働に対する明確な責任と謝罪を被告が受け入れなかったためと説明。近く審理が始まるとの見通しを示した。

 中国政府は戦後七十周年に合わせて日本の戦争責任を問う姿勢を強めており、この日の会見も戦争責任を強調する狙いがあるとみられる。日本政府は「戦争賠償の責任を放棄する」とした一九七二年の日中共同声明を理由にこの問題を解決済みとし、民間による賠償請求を認めておらず、被告のもう一社、日本コークス工業(旧三井鉱山)は和解協議に応じていない。

 原告側によると、和解案では、被告企業で働いていた元労働者三千七百六十五人全員に十万元(約百九十万円)ずつ支払うほか、被告企業による謝罪文や記念碑を設置するなどとしていた。原告は提訴時に一人百万元の賠償を求めており賠償金額を大幅に引き下げているが、謝罪文で三菱マテリアルの責任を直接認めていないとして和解案を受け入れなかったという。

 この訴訟は昨年三月に中国で初めて訴状が受理された。原告団が求める「集団訴訟方式」を裁判所が認めれば、各地で起こした同様の訴訟が一本化され原告数は大幅に増える。康弁護士は「裁判所はまだ(集団訴訟方式を)受け入れも拒絶もしていない」と話した。

 

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