シンポジウム:「近代日本建設の父」フルベッキの実像に迫る 長崎時代の最新研究発表−−歴文で30日 /長崎
毎日新聞 2013年03月27日 地方版
幕末の志士らに英学などを教え、「近代日本建設の父」とも呼ばれる宣教師のフルベッキ(1830〜98年)の実像に迫るシンポジウム「−日本の近代化に貢献した−長崎のフルベッキ博士」が30日午後1時半から、長崎歴史文化博物館(同市立山)で開催される。同館と長崎外国語大の主催で、研究者らが長崎で過ごした10年間の軌跡など最新研究成果を発表する。【大場伸也】
同館などによると、オランダ出身のフルベッキは1859年、幕末の動乱期に来日して長崎で塾を開き、大久保利通、陸奥宗光ら日本の志士たちに英語、法律、歴史、数学などを教えて10年間を過ごした。また、同市五島町にあった佐賀藩の英学中心の藩校「致遠館」で、明治政府の参議になる大隈重信や副島種臣らにも教えた。
フルベッキの長崎時代の生活は詳細が不明だったが、近年、フルベッキが米国の教会本部に送った書簡の研究などが進み、大隈重信の要請で1871年の岩倉遣欧米視察団を立案したり、長崎市の崇福寺で高杉晋作と2〜3回会い、奇兵隊構想に影響を与えた可能性があるなどの新事実が判明したという。一説には、長崎で青年期の明治天皇に会っているという言い伝えもあるという。
シンポジウムでは、加島巧・長崎外国語大現代英語学科教授による「英学史から見たフルベッキ書簡」と題した研究発表などがある。入場無料だが、事前申し込みが必要(先着140人)。問い合わせは同館(095・818・8366)まで。
〔長崎版〕