舛添都知事:一部競技被災地実施で「国の復興予算投入を」
毎日新聞 2015年02月12日 20時45分(最終更新 02月12日 20時50分)
東京都の舛添要一知事は12日、2020年東京五輪・パラリンピックの一部競技を東日本大震災の被災地で実施するために、復興予算を使うよう政府に求める考えを示した。初登庁から1年を迎えた同日、毎日新聞のインタビューに「これほど復興予算(の使途)として良いものはない」と強調した。
国際オリンピック委員会(IOC)は昨年末、財政負担軽減の観点から複数都市での分散開催を認める方針を打ち出した。舛添氏も被災地での開催に意欲を示し、開催経費は「国民が合意してくれれば復興予算から出せばいい」と述べていた。
これに対し、竹下亘復興担当相は昨年末、「直接復興に関することに使うのが一番の目的。基本的には、他の予算でやってもらえるものではないか」と否定的な見解を示し、被災地での競技実施についても「大会組織委員会が決めることで、静かに見ていようと思っている」と述べた。
復興予算では、被災地に木材を供給する林野庁の補助事業で被災3県への供給量が計画の約0.7%にとどまっていたとして、会計検査院が昨年改善を求めるなど、使い方が問題視されている。
こうした点を踏まえ舛添氏はインタビューで、竹下氏の発言について「今使えてないことを反省してから言いなさい、と。いくらでも政府に対して、そういうことは言えると思う。世界中に復興している姿をあらわす、これほど復興予算として良いものはない」と踏み込んだ。
ただ一方で、被災地には「五輪に割くのは被災者の理解が得られない」(福島県の自治体職員)との声もあり、議論を呼びそうだ。
また、五輪選手村となる中央区晴海で、水素社会の実現に向けた実験的な取り組みを進める考えを表明した。「(選手村は)白紙から(都市計画を)やれる街。ここで実験できる」と語った。【武本光政、川口裕之】