イエメンは崩壊寸前、内戦の危機にある=国連
[国連 12日 ロイター] - 国連の潘基文事務総長は12日、イスラム教シーア派系民兵組織「フーシ」が政権掌握を宣言するなど政治的混乱が拡大している中東イエメン情勢について、「我々の目前で崩壊しつつある」として強い危機感を表明。同国は内戦の危機にあり、政治的に不安定な状況は武装組織「アルカイダ」などが勢力を拡大する素地を作り出している、と指摘した。
イエメンでは昨年9月、フーシが首都サヌアを掌握して議会を解散、政権掌握を宣言した。アルカイダや他のイスラム教スンニ派武装組織なども活動を活発化させている。またイエメンはアルカイダ系の「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)の拠点でもある。
国連の潘事務総長とベノマール特別顧問は12日、安全保障理事会で、イエメン情勢について「手をこまねいていてはならない」と述べ、イエメンの危機的情勢を打開し、政治的プロセスを軌道に乗せるために、可能な限り行動する方針を示した。
ベノマール特別顧問によると、政治的安定を目指す交渉は「前進」をみせているものの、依然として注意を要する状態にある。
イエメン情勢悪化を受け、米英仏は11日、治安上の懸念から大使館を閉鎖した。
こうしたなか、イギリスのグラント国連大使は、イギリスとヨルダンがイエメン問題に関連する決議案を起草中であることを明らかにした。同大使は決議が数日内に採択されることを望むとしたが、決議案の詳細は明らかにしなかった。
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