中東・アフリカ

ジャーナリストが行かなければ
紛争地の真実は伝えられないテロをなくすために日本が本当にやるべきこととは

2015.02.13(金)  志葉 玲

外務省からのパスポート返納命令書を見せるフリーカメラマンの杉本祐一さん(2015年2月12日、外国人記者クラブにて、筆者撮影)

ジャーナリストの後藤健二さんがISIS(イスラム国)に殺されてしまったことは、筆者とっては、他人ごとではなく衝撃的だった。後藤さんと面識はなかったが、同業者として、非常に残念に思う。またこの事件を利用して、政府がジャーナリストの活動を封じ込めようとしていることにも、それに同調する意見がネット上に少なからずあることに、危機感を感じる。

 そこであくまで筆者の私見になるが、ジャーナリストたちはなぜ、紛争地に行くのか。また、なぜ中東が現在のように混乱した状況になったのか、論じたい。

報道は民主主義の要であり平和に貢献する

 講演などで、筆者が必ず聞かれることは「なぜ、危険な紛争地に行くのか?」ということだ。これについては、大きく2つの理由がある。

 1つは、報道によって、少しでも戦争で傷つき殺される人々を減らすことができるかもしれないということだ。

 2014年夏のパレスチナ自治区ガザへのイスラエル軍の侵攻、特に地上軍の侵攻以降では、日本人ジャーナリストは筆者含め3人しかいなかったものの、世界各地からジャーナリスト達がガザへ集結していた。米国やイギリス、ドイツやスペイン、インド・・・etc。各国のジャーナリストが現場からイスラエル軍の無差別攻撃の実態を報じたのである。イスラエルが圧倒的な軍事力を持ちながら、ハマスとの停戦に応じざるを得なかったのは、現地から報道に世界中の人々が憤り、国際世論がイスラエルへの圧力となったからだろう。

 もう1つは、現地で何が起きているのか、伝えることで…
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