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 「イスラム国」など過激派組織の資金源を断つための新しい国連安全保障理事会の決議が12日(日本時間13日未明)、全会一致で採択された。米国のパワー国連大使は決議に賛成する討論で、人質事件の犠牲になったとみられるフリージャーナリスト後藤健二さんらの活動を紹介し、功績をたたえた。

 パワー氏は採択直後の演説の中で、後藤さんについて「誘拐された友人の湯川遥菜(はるな)さんを捜しにシリアに入った。ケンジは紛争を伝えることに人生を懸け、賞を受けた子ども向けの著書『ダイヤモンドより平和がほしい』では、シエラレオネの元少年兵の物語を伝えた」と述べた。

 援助の仕事でシリア入りした米国人のケイラ・ミューラーさんや、ヨルダン軍パイロットらについても触れ、「これらの人々を失ったことが、過激派根絶に向けた私たちの決意を深めている」とも強調した。

 ヨルダン次席代表も「パイロットの殉教で、ヨルダンは対テロの努力をより前進させる決意だ」と採択を歓迎した。決議の共同提案国には日本やヨルダンなど少なくとも50カ国以上が名を連ねた。

 安保理は「イスラム国」など過激派対策の決議を複数採択してきたが、日本人の人質事件以降は初めて。これらの決議の実効性は、今後の各国の取り組みにかかっている。(ニューヨーク=金成隆一)