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増加する肺非結核性抗酸菌症(MAC症)

肺結核より多いのが肺非結核性抗酸菌症(MAC症)です。
この30年間で6倍に増加しています。
特に喫煙歴の無い中年女性に増加しています。

肺結核は人から人へうつる伝染病ですが、MAC症は
人から人へ感染しないのが最大の違いです。
MAC症の菌は、自然界に広く存在するいわゆる弱毒菌です。

結核は、薬で治る時代です。
しかし、よく似たMAC症には、完治させるお薬がありません。

非結核性抗酸菌は、約80種類が発見されていますが、人に病気を起こすのは15~20種類程度です、一番多いのが、アビウム、イントラセルラーレの二種類で、合わせてMAC(マック)と呼び、70~80%で、次いで、カンサシーという菌が15~20%で、その他の珍しい菌種が5~10%の割合で見られます。

聞き慣れない病気ですが結核と同類の菌で、偶然見つかることもある意外とありふれた病気でもあります。自然経過観察する症例が多いのですが、治療が必要なケースではなかなか治りにくいので難渋することがあります。

どんな病気か

結核の原因である結核菌の仲間を、 抗酸菌こうさんきんといいます。結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症です。かつては結核菌によるものを定型的と考えていたので、非定型抗酸菌症ともいわれていました。

 結核との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)しないこと、病気の進行が緩やかであること、抗結核薬があまり有効でないことなどがあります。結核の減少とは逆に発病者が増えてきており、確実に有効な薬がないため、患者数は蓄積され、重症者も多くなってきています。また、HIV感染者への感染(エイズ合併症)が問題になっています。

原因は何か

非結核性抗酸菌が原因です。非結核性抗酸菌にはたくさんの種類があり、ヒトに病原性があるとされているものだけでも10種類以上があります。日本で最も多いのはMAC菌(マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ)で、約80%を占め、次いでマイコバクテリウム ・キャンサシーが約10%を占め、その他が約10%を占めています。

 全身どこにでも病変をつくる可能性はありますが、結核同様、ほとんどは肺の病気です。発病様式には2通りあり、ひとつは体の弱った人あるいは肺に古い病変のある人に発病する場合、もうひとつは健康と思われていた人に発病する場合です。

症状の現れ方

自覚症状がまったくなく、胸部検診や結核の経過観察中などに偶然見つかる場合があります。症状として最も多いのは咳で、次いで、痰、血痰・ 喀血かっけつ、全身 倦怠感けんたいかんなどです。進行した場合は、発熱、呼吸困難、食欲不振、やせなどが現れます。

 一般的に、症状の進行は緩やかです。ゆっくりと、しかし確実に進行します。

ほとんどが肺ですが、結核同様に全身どの臓器にも感染する可能性があります。

かかりやすい人がいるのですか?

肺に基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、じん肺等)があったり、HIV感染患者や白血病患者、臓器移植患者等で抵抗力が落ちている場合発症しやすいのですが、健康な人、特に中年の女性に見つかることが多いのも特徴です。

検査と診断

診断の糸口は、胸部X線やCTなどの画像診断です。とくに、最も頻度の高い肺MAC症は特徴的な画像所見を呈します。異常陰影があり、喀痰などの検体から非結核性抗酸菌を見つけることにより診断されます。

 ただし、本菌は自然界に存在しており、たまたま 喀痰かくたんから排出される(偶発排菌)こともあるので、ある程度以上の菌数と回数が認められることと、臨床所見と一致することが必要です。2008年に肺MAC症の診断基準が緩やかになり、(1)特徴的画像所見、(2)他の呼吸器疾患の否定、(3)2回以上の菌陽性で診断できることになりました。

 菌の同定は、遺伝子診断法(PCR法やDDH法など)により簡単、迅速に行われるようになっています。

 非結核性抗酸菌症と最も鑑別すべき疾患は結核です。そのほか、肺の真菌症、肺炎、肺がんなども重要です。

非定型抗酸菌症の主な治療法

治療は抗結核薬の投与なのですが、必ずしも効果が得られません。結核なら完治するのですが、この病気は完治が難しいです。
無症状で検診発見例や、症状が軽微な場合は無治療にて経過観察をします。なぜなら抗結核薬が効く保証がなく、また副作用も出現しやすいためです。進行がゆっくりな為、治療を必要としないまま経過をみているケースも多いです。血痰など症状が強い、排菌量が多い時は抗結核薬を投与します。
通常4剤で治療しますが、いろいろ副作用があります。注意しながら慎重に投与することになりますが、入院の必要はありません。
投与期間は約2年。最近治療したケースでは、聴力障害、視力障害を認めました。ほかに肝機能障害、発疹などがあります。

手術で切除することはできないのですか?

非定型抗酸菌症は、肺の一カ所ではなく、数カ所にできることが多く、内服治療が第一選択です。
ただし、肺の一部に限局しており、出血などの症状がコントロールできない時、副作用などで内服治療が困難、または継続できない時には切除を考慮しています。

難病『肺非結核性抗酸菌症』改善策はないのか!?

MAC症は完全に治すことは難しく、経過観察が必要です。自覚症状がないまま急速に悪化する場合もまれにあり、症状がなくても通院を中断しないことが重要です。

感染を予防するには?

土やほこりに存在する菌であり、吸い込むことで感染しますので、マスクをすれば防止できますが、絶えずマスクをつけることはできませんね。掃除をするときや土を触る時などには注意しましょう。
体の抵抗力が低下すると感染しやすくなるので、規則正しい生活をして睡眠を十分取り、ストレスをためないように注意しましょう。

漢方薬の中から、非結核性抗酸菌症に使われるものをいくつか紹介しましょう。

一般的に、「結核」に対して漢方は有効であることが多く、「非結核性抗酸菌症」も、結核同様に、漢方が奏功するケースが多数あります。

*麦門冬湯(ばくもんどうとう) 強い咳の出るものによく用いる。痙攣(けいれん)性で激しく、痰が切れにくく、顔を赤くして咳き込む傾向が見られるような人に

*小柴胡湯(しょうさいことう) 初期で症状があまりない場合。また、倦怠感があり、食欲がないという程度の人に

*補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 病状が慢性化し、気力がなく、だるくて疲れやすいような人に

*柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 小柴胡湯の適する人より病状が進み、血色が悪く、動悸や息切れがある人に

*加味逍遥散(かみしょうようさん) 補中益気湯を用いる人より、体力があり、発熱があるような人に

活性酸素対策(肺や気管支の炎症を抑える)

ウイルスや細菌に感染すると免疫反応により炎症が起こり、正常細胞を傷つける活性酸素の発生量が多くなります。
炎症状態が長引くと、細胞が弱くなり炎症が慢性化してしまいますので、抗酸化成分(スカベンジャー)の摂取が大切です。
さらに、お薬を服用している場合は、肝臓での解毒の際にも多くの活性酸素が発生しますので、しっかりと対策されることをおすすめ致します。
スカベンジャーには、ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、セレン、コエンザイムQ10、カロチノイドなどいくつか種類があります。
それぞれ体内で働く場所や働き方が違いますので、できるだけいくつかの種類を組み合わせてお摂りいただくと協力して働くことができます。

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lemon55さん

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