アフガニスタン:「タリバン一部がIS台頭の動きも」
毎日新聞 2015年02月13日 11時05分
◇駐留米軍司令官が米上院軍事委員会の公聴会で警戒感
【ワシントン西田進一郎】アフガニスタン駐留米軍のキャンベル司令官は12日の米上院軍事委員会の公聴会で、アフガンの旧支配勢力タリバンの一部がイスラム過激派組織「イスラム国」(IS)として存在感を示す動きが出てきたとし、「危険な言語表現や思想を伴っており、潜在的な脅威として非常に深刻にとらえている」と警戒感を示した。
キャンベル氏は、アフガンの現状について、治安部隊が強力なことに加え、隣国パキスタンと軍同士の対話を始めるなど前向きな動きがあると紹介。一方、「ISが台頭する可能性という新たな動きがある」とし、「タリバンの一部がISという名前で再生しようとしているようだ」とし、アフガン、パキスタン両国と協力して対処する方針を示した。
アフガン戦争の「責任ある終結」を宣言するオバマ大統領は、アフガン駐留米軍の規模を2014年末で1万800人、15年末には半数の5500人、16年末には通常の大使館警護レベルまで縮小し、事実上完全撤退する計画だ。しかし、11年に「責任ある終結」を宣言して撤退したイラクでは、ISが勢力を拡大した。
同委員会のマケイン委員長(共和党)は、大統領が撤退計画を示した後、アフガンでもISの存在が確認され、パキスタン北部からアフガンへの大量の難民流入など状況が変わっていると指摘。「(米軍撤退で力の)空白が生まれれば、イラクと同様に不安定さが増し、テロリストの安全地帯となって米国への直接的な脅威になる」と語り、撤退計画の見直しを求めた。
これに対し、キャンベル氏は、さまざまな選択肢を組織内で提示してきたとし、具体的には撤退の進め方をより柔軟にできないか指導部と協議していることを明らかにした。