本連載は、午堂登紀雄著、書籍『1つずつ自分を変えていく 捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。
「忙しい」という口グセ、完璧主義、自社基準の評価――あなたには「捨てたほうがいいかも」と思う習慣はいくつあるでしょうか?
時間と経験が積み重なると、自分でも気付かないうちに行動や思考が習慣化していきます。自分が本当は何を欲しがっていて、何がやりたいのかが分からないまま、情報や他人の意見に流されがちになります。
本書では、人生に「悪い影響」をもたらす40の習慣について、「捨て方」と「捨てて得られるもの」を具体的に伝えます。捨てたいと思うものを1つずつ捨てていくことで、あなたの人生は少しずつ前向きな方向に変わります。
多くの先人が主張する通り、「完璧主義」も捨てたい習慣のひとつです。
医療行為など、完璧を追求しなければならない分野もありますが、私たちの日常生活では完璧主義が逆に世界を狭く、ストレスフルなものにします。
完璧主義のデメリットは、例えば次のようなものが挙げられます。
完璧な準備ができてから動こうとしていると、どうしても行動は遅れます。
例えば学生の頃の受験勉強。合格ラインに達していなくても、とりあえず「模擬試験」を受ければ、どんな問題が出されどんな時間配分が必要かが体感できます。
会場はどんな雰囲気で、自分がどんな精神状態になるかが分かる。だから次の模試や本番では、もっとうまくできるようになる。場数が多ければ多いほど、それだけ本番で平常心を保てる。
これはビジネスでも同じことで、完璧なプランだと思っても、顧客の反応や市場の変化によって必ず軌道修正を迫られます。
私がかつて失敗した事業のひとつに「投資物件検索サイト」があります。当初は壮大なビジョンを掲げ、Web制作会社との要件定義(システムの機能設計)の打ち合わせに半年以上の時間を費やし、多額の資金を投入しました。
しかしいざリリースしてみると、競合のサービスも進化し顧客のニーズも変化しており、まったく売れない。テコ入れをしようとしても、最初からガッチリとシステムを組んでしまったせいで、修正にも膨大なコストがかかってしまうため資金が足りない。つまり身動きがとれなくなってしまったのです。
そうならないために、6〜7割くらいの完成度でもとりあえずやってみる。サービスを開始してみることです。その結果、顧客からの反応があり、意見をもらえます。まったく反応がなかったとしても、それも1つの反応です。
「次はここを改善すればもっと良い反応があるだろう」「うまくいったからもっと改良しよう」そうやって試行錯誤して、どんどん進化させていくことができます。
念入りに時間をかけて仕上げたプレゼン資料を上司に見せたとき、大きなダメ出しや根本的な修正を迫られることがあります。すると、それまで費やした時間と作業がムダになります。「最初に言えよ……」と、一気にモチベーションも下がるでしょう。
こうした事態を回避するためには、とりあえず細部には目をつむり、スピード重視で全体のストーリーや構成をつくった段階で上司に見せることです。もし上司のイメージと違っていれば、早い段階でフィードバックを受けることができ、手戻りや作業のムダを防ぐことができます。
とりあえず「いったん最後まで終わらせる」ことです。例えば企画書やレポートなどは、最初から「3回やり直すもの」というイメージで取り組むと、結果的に完成度の高いものをつくることができます。
1回目は、怒られない程度の粗さで最後までザッと終える。そして上司のフィードバックを受けて、修正する。そして最後に自分が納得するレベルまで細部を詰める。
早い段階で「一応全体像はできている」という安心感があると、それ以降は中身のブラッシュアップに専念できます。早く終わらせればその分、中身を確認したり、修正する時間の余裕ができます。
そうして、最初から「完璧」を狙わないことで、結果的にはクオリティの高いものになる、というのが自分の経験から得た教訓です。
Copyright© 2015 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Facebookコメント