若者に人気の米靴ブランド「ニューバランス」の偽物を販売目的で所持したとして、警視庁板橋署は8日、商標法違反容疑で、神戸市の無職の男(31)を逮捕した。
逮捕容疑は同日、自宅で同ブランドの人気スニーカー「574」の偽物1足を販売目的で所持した疑い。オークションサイトで「574」の偽物を販売して、2013年12月から10か月で約800万円の売り上げを得たとみられる。自宅からは「574」が433足も出てきた。容疑を否認している。
板橋署幹部は「574はタレントの梨花さんが履いたことで人気。押収された靴は24~25センチの女性向けだった」と話す。
販売当初は人気で品薄だったため、定価8900円に対して1万円を超える値段がついた。最近では6000円程度に落ち着いた。「1000足前後売った計算になる」(同幹部)
品薄であるはずの商品をバンバン売っている出品者を不審に思った捜査員が、実際に靴を落札。ニューバランス日本法人に確認して「偽物」と判明した。
商標権を侵害されたニューバランス社も被害者だが、偽物を買わされた人たちも被害者。詐欺容疑での再逮捕はないのか。
先の幹部は「中国から仕入れていた靴を容疑者は『海外正規品』として出品していた。ニューバランスの工場は中国にも実際にあるらしい。容疑者が『この商品は海外では本物として売られている。それを日本で本物として売って何が悪い?』とでも言えば、詐欺には問えない可能性が高い」と語る。
「だますつもりで偽物を売った」などと自供すれば詐欺罪に問えるようだが、現実的には難しい。ニューバランスの靴は2万円台など高価なモデルもあるが、人気が高い。ネット上には「ネットで買ったら偽物だった」「商品が届かなかった」などの被害を受けた消費者の書き込みが多数見受けられる。
【関連記事】