某初心者が某社日本担当ディレクターに相談した時のログ

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ども、ゴコーです。

僕は Unity を使い始めて1年と8か月くらい(2015.1 現在)で、プログラミング歴も同じくらいしかない初心者(文系)です。

そんな僕が今も Unity を中心として楽しく技術勉強したり、ゲームを作ったりできているのは間違いなく、とある相談のおかげです。

その相談は Twitter のメッセージ上で行わせていただいたのですが、昨日久しぶりにそのログを見ました。初心者の方には当てはまる部分も多いかなあと思い、相談させていただいた方に公開の許可を取らせてもらい、この度そのログを公開させて頂く運びとなりました。


事の発端は 2013年12月のことです。

当時の僕は、絵描き2人+モデラー1人+プログラマー1人(僕)という構成でスマホ向けのゲームを作ろうとしていました。

しかし、メンバーの全員が全員キャリアはなく、技術も差はあれどそれぞれが初心者で未熟。そんな状態でなんとか制作を続けていましたが、それぞれの見ている方向が違うことや、数か月経っても完成が全く見えないことに危機感を覚えていた僕は、何を思ったのか大胆にも Twitter で Unityの日本担当ディレクターである、大前 広樹氏に相談を持ち掛けたのです。

普通なら無視されて当然のところ、丁寧な対応をしてくださった 大前氏には感謝の念が尽きません。

以下がその時のログになります。ほぼノーカットで無編集です。

僕の日本語が残念な感じだったり、人の話をちゃんと聞いていなかったりなのは、きっと Twitter の文字数制限や当時の僕が興奮していたせいです。やさしくスルーしてくださいw

 

某社日本担当ディレクター 大前 広樹氏(以下 大前氏):

いつでもどうぞー

ゴコー:

ありがとうございます! 僕はUnityを始めて、というかゲームを作り始めて半年ぐらいの若造なんですが、現在一緒にやろうかと始めた仲間が僕以外に3人います。 そして、彼らは全員プログラマではありません。 一緒にやり始めたは良いのですが、熱意の差を感じたり、目的が違ったりするのです。

大前氏:

よくあることですね。それで相談したい事というのは?

ゴコー:

例えばある者は自分の絵の認知度を上げたいというものもいますし、 ある者は単純に小遣いも稼げそうだから、というものもいます。 ぼくも最初にゲームを作ろうと思ったとき(Androidアプリでした)は単純にそれが儲かるらしいから、という不純な理由だったので人のことはいえないのですが、

すいませんずれました!

大前氏:

続けていいですよ

ゴコー:

よくあることなのですか? 僕はてっきり同人ゲームを作る人というのは全員とまではいかなくてもほとんどの人が「面白いゲームを作る」という目標に全力で進んでいるんだと思っていたんです。 今も認識のずれから多少の衝突があってどうしたらいいか分からないのです。

またずれました…おねがいします

大前氏:

たいへんよくある事です。「ゲームを作る」というと楽しげで「やろうやろう」となりがちですが、実体は地味で辛い作業ばかりです。しかも面白い作品になるわけでもない。時間もかかる。漫画を描くのも映画を撮るのも同じですけど、そういう作業って地味なもんなんです。それでは僕なりの回答を続けます

ゴコー:

そうなんです。 その地味さに絵描きの人がやられてしまいまして、一時リタイヤしたこともあります。最近またやる気になったとは言っているんですが早々に前と同じようなことを言う気がしてなりません。 技術はある友人なんですが… どうすればいいんでしょうか…

大前氏:

まず、チーム(サークル)として一緒にやる、という感じではなく、タイトル毎にすることです。つまり「このゲームはAさんとBさんのプロジェクト」「このゲームはBさんとCさんのプロジェクト」という感じにします。これによって、目標を「サークルの目標」から「タイトル毎の目標」に変更できます

ゴコー:

そうなんですか!? てっきり固定メンバーでやるもんかと

大前氏:

数人いるところは、タイトル毎にちょっと違うチームというのはよくありますよ。全部において運命共同体である必要はないです。とにかく、みんなのモチベーションが違うのは当然なので、サークル単位よりタイトル単位で合意する方が簡単ですよね。

たとえばその絵描きさんも「全部のタイトルを一緒にやろう」だと疲れちゃうけど、ゲーム毎に「これは一緒に作ろう」なら合意もしやすいですよね。

ゴコー:

なるほど。 精神的に負荷がかかりすぎない程度で見る必要があることもあるんですね。

大前氏:

むしろ、そうしないとサークルの目標と自分の目標をつねに一致させないといけないので、難しくなってくるんですよ。つねに同じゲーム作りたいわけじゃないし。また、実際に作るゲームが固まってなくてフワッとしている段階でもついサークルの方向性とか話し合っちゃうもんですがそれもやめたほうがいい

あくまで作るゲーム単位で目標を決めて、参加したい人が参加するのであれば、ゴールも明確です。その場合良いのは、サークルのリーダーがつねにチームリーダーになる必要もなくなる点です。ゲーム単位でその企画者がリーダーになればいい。「これはAさんの企画」「これはBさんの企画」というふうに

ゴコー:

>フワッとしている段階でもついサークルの方向性とか話し合っちゃうもんですがそれもやめたほうがいい

!? なぜですか?

大前氏:

結局、世の中に見えるのは作品単位でしかないから、合意することのない泥沼にしかならないからです。

サークルの味や方向性というのは、作品を作るチームによって形になるものなので、わざわざ作品性とか狙って出す意味はないです。チームを組むことで勝手に出るもんなんです。であれば、サークルの方向性を話すのは無意味で、具体的なゲームの話をしたほうがいい。あるいは、他のだれと作りたいかとか。

ゴコー:

でも、メンバーの僕以外の人はゲームの案を評価するのはできるけど、考えるのはちょっと…難しいなあって言う感じなんですがそれは…

大前氏:

もしそうなら「こういうゲームを作るよ」という提案について、乗ってきてくれたゲームにのみ付き合ってもらうのがいいでしょう。色々なゲームを作りたいなら、色々な絵描きさんと繋がって一緒に作るのをやってみるのもいいと思います。あれもこれも同じ人につき合わせるひつようはないでしょう

ゴコー:

確かにそうですね。 ちょっと僕自身が「全員知り合い同士で作る」ということにこだわりすぎていた様です。 押しつけになっていたのかなあ。悪いことしたのか…うーん

大前氏:

端的に言うと「ゲームの単位でゴールを決めること」「ゴールを途中で変えないこと」「ゴール設定に参加できる人だけで作ること」の3つでしょうか。それができたら、あとはマネージメント(進行管理)の問題でしょう。

ゴコー:

計画した人の中で仕様など(ゴール)が決まり切ってから切り出した方がいいんでしょうか?

大前氏:

ゴールとは仕様のことではないです。たとえば「冬コミで出す」「Bさんの絵の面白さを活かす」「100枚売る」とかでもいいです。

じゃあ、それはどんなゲームか?という掘り下げができて「じゃあ、そういうゴールのために作るゲームだからこんなのにしよう」というのができて「それいいね」となったらそのゲームを作りたい人が参加する。そんな感じです。であれば、そのゲームは何のために作っているのか明確ですし、参加もしやすい

ゴコー:

なるほど、大きい意味でのゴールですね

大前氏:

そういうプロセスで設定していけば、それぞれがちょっとずつ違うモチベーションで参加しているサークルなどでは合意しやすいでしょう。2番目の「じゃあ、こういうゲームで」というのが、コンセプト設計のところですね。そこはみんなで作ってもいいし、一人が作って人を誘ってもいいですが

大事なのは、ゴールとコンセプトに同意したならあとは文句を言わないこと、というルールを決める事です。そのかわり、この2つは絶対にぶらしてはダメ。意見をいうなら、最初のタイミングで。あとは、やはり開発期間を短くすることだと思います。

想像ですが、おそらく最初から大きなものを作ろうとし過ぎなのではないでしょうか。土日x2くらいで作り終わるゲームの規模から始めた方がよいように思います。お互い「おれもやりたいことがあるんだ」というのが出てきて、それが今のプロジェクトに合わなかったら「じゃあ次でやろう」というのが健全

ゴコー:

なるほどw あるあるです。

今までのゴール設定は「こういうゲーム」みたいな設定の仕方だったから他の人の入り込む余地がなかったんですね、多分。 しかも構想が大きすぎました、全員が。 もっと気楽に作ればよかったのか…

大前氏:

もっと気軽につくって、作りがあまくても出して「はいおわり!つぎいこう!」としたほうがいいですよ。

ゴコー:

長期間やるから気分も落ちるし、下手に長いとだめそうでも捨て所も分からなくなりそうですね

大前氏:

有名企業みたいにあらゆる才能があって選択し放題ならディレクターが全部の取捨選択をしきることもできるかもしれませんが、少人数開発の場合は、最低限守るべきトコロ以外は、すべて担当に任せてダメだし・リテイクしないというのも大事です。

たとえ相手が自分の思っているものとちがうものをあげてきたとしても、それがゲームの根幹をこわさないなら面白がる方が良いものができます。リテイクをすると、自分と相手が打ち消し合った結果しか残らないので、エネルギーを使った上につまらなくなりがちなんですよね

ゴコー:

なるほど とにかくどんどん出そう! という姿勢で一度持ちかけて見ることにします!

大前氏:

はい、そんな感じで、気楽にやるのがいいと思います。たとえ世に出さなくても、小さいゲームを作り終わる(締切をつくって総括しちゃう)のを繰り返すと、作るのがウマくなって行きますのでオススメです

 ゴコー:

否定しない、リテイクしない、ですね。 実力を上げるためにも良いことなんですね。 うわーメンバーと今すぐ話したいw

大前氏:

それをちゃんとやるためにも、コンセプトの定義と共有はしっかりやらないといけないんですけどね>リテイクしない そのあたりは、僕はゲームジャムに何度か参加する事でできるようになっていきました

ゴコー:

今にして思えば、世に出ているアプリなどを見てその水準をいきなり全員目指してしまったことが失敗の元になってなんだなーと反省です。

大前氏:

まずは発行部数40部くらいの同人誌を目標にしましょうw いいんです下手で。どんなクソでもコミケでだせば40部は行きます(実体験)

ゴコー:

そうですねw気負いすぎてました どんどん出して全員でどんどん腕を磨きます!

大前氏:

まぁ、とりあえず頑張ってくださいとしか言えませんが、せっかくゲームを一緒に作ってくれる仲間がいるんですし、楽しくなれば何よりと思います

ゴコー:

ほんとにそうですね。 恵まれてるんだから、どうせなら楽しくやっていけるように頑張りたいです。 本当にありがとうございました! 後、この場を借りて謝辞を申し上げたいです。 僕が今こうしてゲーム作りをやれているのは間違いなくUnityのおかげです。本当にありがとうございます!

大前氏:

いえいえ。お役に立てたならなによりです


このやり取りの後、見事仲間たちといくつかのクソゲーを作ることができました。

物理的な理由で、残念ながらもう彼らとゲームを作ることはできなくなりましたが、その後懲りもせず彼らと立てた大規模な計画を元に、僕は現在もゲーム(ツール?)を楽しみながら作り続けています。

もし、あなたの周りに初心者のサークルがあり、そこに所属する人たちが行き違いに悩んでいるようならこの記事の内容が役に立つかもしれません。

大前氏 に感謝しつつ、この記事はここまでとさせていただきます。

では、また。

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