スマートフォンの普及で不要になるかと思われたアナログ手帳が、売り上げを伸ばしている。特に「コンテンツダイアリー」と呼ばれる分野が活況だ。スケジュール管理だけでなく、趣味の記録や将来の目標、自分史や家系図を書き込むタイプなど、多種多様な広がりをみせる。手書きの魅力は、記録の手軽さと自由度の高さ。データがうっかり流出したり、消滅する心配もない。こつこつ書き込んだ手帳は、人生を豊かにする宝物になるかもしれない。(重松明子)
約3500種の手帳が並ぶ渋谷ロフト(東京都渋谷区)では、手帳商戦序盤の9月に早くも1万3千冊を販売した。売り上げは手帳全体で前年同月比5%増。特に60%増と驚異的に伸びているのがコンテンツ手帳の代表格、糸井重里事務所の「ほぼ日手帳」(全76種)だ。発売2日で完売する品も出た。
売り場の手帳を開けば、さまざまな工夫が発見できる。
大手広告代理店に勤務する佐久間英彰さん(36)が開発し、2年前からコクヨS&Tが販売する「ジブン手帳」(4104円など)は3冊一式の変則型だ。毎年交換するダイアリーに加え、家系図や自分史を記入するライフ帳とアイデア帳がセットになり、来年用は「人生でやりたい100のリスト」などの新フォーマットを追加。自分の現在・過去・未来を見渡そうという壮大な手帳である。
コンテンツ手帳の活況を背景に、ロフトは9月、内田雅己社長(61)の発案で趣味に特化した「ワナドゥ手帳」(1620〜2484円)を発売した。
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