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セカオワ、三代目JSBがカラオケチャートも席巻 ドラゲナイ現象&カラオケEDM旋風を読む

リアルサウンド 2月11日(水)15時6分配信

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セカオワ、三代目JSBがカラオケチャートも席巻 ドラゲナイ現象&カラオケEDM旋風を読む
SEKAI NO OWARI『Tree』(トイズファクトリー)

参考:2015年1月26日〜2015年2月1日のCDアルバム週間ランキング(2015年2月9日付)(ORICON STYLE)

 今年の頭に書いた【2015年、セカオワ現象はどこまで広がるか? 2年半ぶりのアルバム『Tree』の射程距離】で手前味噌ながら完璧な予測をした通り、2010年代以降の若手バンドにとって大快挙となる50万枚突破に向けて順調にセールスを積み上げている(現在のところ40万枚突破)SEKAI NO OWARIが今週3位。もっとも、バンドにとっては大快挙であるその50万枚という数字に初週でいとも簡単に到達してしまったのが、今週1位の三代目J Soul Brothersの5枚目のオリジナルアルバム『PLANET SEVEN』ということになります。実はSEKAI NO OWARIと三代目J Soul Brothersは2010年デビューの“同期”。同じ“大快挙”でもバンド系とJ POP系の瞬発力の違いを見せつけられた感もあります。

 今回注目したいのは同じオリコンチャートでも、アルバムチャートではなくカラオケチャート。というのも、2月9日付けの最新チャートで約10ヶ月ぶり(!)に大きな動きがあったのです。先週まで39週連続1位(!)を記録していた松たか子の「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜(日本語歌)」を抜いて1位となったのは、なんとあの「ドラゲナイ」ことSEKAI NO OWARI「Dragon Night」。このオリコンのカラオケチャート、各カラオケ配信業者のチャートを集計して算出するため2週間ほど時差があるらしいですが、つまり2015年1月半ばにこの国では正式に「アナ雪現象」が終わって、「ドラゲナイ現象」が始まったというわけです。

 これ、別に大げさに言ってるわけじゃないですよ。カラオケチャートというのはある意味でシングルチャートやアルバムチャートよりも正確に時代と大衆の需要を反映しているもの。ちなみに、昔はわりと頻繁に1位が入れ替わっていましたが、近年ではAKB48「ヘビーローテーション」が43週連続1位(!)、ゴールデンボンバー「女々しくて」が48週連続1位(!)、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」が34週連続1位(!)と、いい加減「!」をつけるのも飽きてきましたが、同じ曲がほぼ1年近く1位を独占するのが常態となっているのです。このことが示しているのはたった一つの由々しき事実。「一般の人がCDを買ったり、新しい音楽トレンドを追ったりすることがなくなった」(=なので新曲を歌うという習慣がなくなった)ということに尽きるわけですが、なんとSEKAI NO OWARIはその土俵にまで上がってきたというわけです。

 年頭に今年の「セカオワ現象」を華麗に予測した自分も、さすがにこの「ドラゲナイ現象」までは予測できませんでした。できるわけないって。そもそもこの曲、リリースされた昨年10月の時点では、レコーディングのためにアメリカに渡って、アヴィーチーなどの作品にも関わっている超売れっ子プロデューサー、ニッキー・ロメロにサウンド・プロデュースを手がけてもらった、その本格的EDMサウンドが話題となっていた曲。ちなみに今週のアルバムチャート1位の三代目J Soul Brothersの昨年のシングル「R.Y.U.S.E.I.」もEDM系のサウンドですが、こちらもカラオケチャートでは「Dragon Night」「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜(日本語歌)」に続いて3位につけていて、虎視眈々と1位を狙っています。昔はカラオケといえば歌い上げる系のバラードが人気を集めていましたが、今やカラオケの場で求められるのはノリ。でもって、そこにずっぽりとハマったのが「Dragon Night」や「R.Y.U.S.E.I.」のEDMサウンドということなのでしょう。フェスで踊り、カラオケボックスで踊り、いつの間にか日本はクラブに行かない人々による“踊ってばかりの国”になったのです。

宇野維正

最終更新:2月12日(木)11時56分

リアルサウンド

 

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