アブラハム「いつかはゆかし」の業法違反と誇大広告(有利誤認)について(修正あり)(修正あり)

山本一郎 | 個人投資家

山本一郎です。夏バテなのか脂っこいものを食べて下痢する人が散見されますが、頑健なる胃腸を誇る私には案外大丈夫です。

ところで、表題アブラハム・プライベートバンク社の周辺が再び騒がしくなるかもしれないので、一度整理した内容を以下に記載してみたいと思います。

この一連のアブラハム・プライベートバンク社、ならびにアブラハム・グループホールディングス社(以下、アブラハム社)の提供する「いつかはゆかし」問題自体は、単純にラップ口座の営業、販売を実際に行っているにも関わらず、投資助言業だと強弁している業法違反に関わるもの、それと「毎月5万円の積み立てで1億円を貯められる」などという不思議な広告宣伝による有利誤認に関わるものに大別されます。

そもそも論として、アブラハム社は単なるラップ口座の営業ですよ。その後の投資先なんて可変であるのに、「5万円の積み立てで1億貯められる」とか、要するに「ノーリスクで年利8%以上の高利回り」という金融商品販売と変わらない。んなら投資顧問業第二種金融商品取引業登録して、ちゃんと営業して、日本で利益に見合った税金払えよって思うんですよね。

先日、私のブログでも公開質問状を投げつけておりましたが回答が得られないので、アブラハム社が当局に事情を聞かれたタイミングで記者さんに依頼して取材に行ってもらったんですが、相変わらず実態をきちんと説明もできないような話ばかりをアブラハム社がしていたようで面白かったです。また、インターネット上での悪評の揉み消しを電通に依頼したことがアブラハム社社内から情報漏れして笑いが広がるなど相変わらず芸達者なネタが盛りだくさんになっており、いい加減どうにかしたほうがいいと思うんですよね。適正な広告表示をするよう内々で話があったはずなのに、一瞬「1億円はめざせる」と変更して戻すなど、当局は完全になめられてる感じです。

ここの社長の高岡壮一郎さんの香ばしさは、日経新聞で記者をされている奥さんを通じて口頭で広告掲載の打診をしているところにあります。何事かあって片棒担いでしまったのが事実認定されたら、何かあったときに籍を抜いて資産を逃がすといった技法が取れなくなってしまいます。どうするつもりなのでしょう。

アブラハムPB社「いつかはゆかし」事業に対する公開質問状(訂正あり)(報告あり)

【謹告】アブラハム社から公開質問状に対する回答はなし

一般論として、金融事犯の摘発というのは問題の露顕から実際の関係者逮捕、営業停止処分・免許取り消しまでに一年から三年ぐらいかかるのが常です。私どもが昔からマークして、頑張って調べて、ブログでわーわー書きたてていた日本振興銀行の木村剛さんが摘発されるまで四年とかかかっていたわけで、そこは「問題になった」だから「すぐ摘発だ」とはならないのは良く知っておく必要があろうかと思います。そういえば、木村剛さんはご健在なのでしょうか。最近、私のレーダーから機影が消えてしまって心配しているわけですが。

そして、今回の問題はアブラハム社単体がいかんぞ、という話ではありません。構造としては12年12月に近畿財務局に摘発された株式会社企業設計と同じで、違いは海外に置いた兄弟会社に売上を迂回させているところだけと言えます。つまり、オフショアを使った課税逃れの枠組みにアブラハム社が乗っかっている可能性も否定できないってことなんですよね。

どう考えたって、タックスヘイブンである英国の自治領ヴァージン諸島で海外法人を作り、そこからHSBC香港支店の口座に還流させるという方法を、この高岡壮一郎、大二郎両氏や、(自粛:2015年2月10日)さんが自分の手「だけ」でこんな仕組みを構築できるとは思えないんですよ。この類の話は、おそらくHSBC側に何らかのオフショアを使った租税回避の仕組みをアドバイス、あるいは具体的に提供する手引き業者というのがいて、それが事実上の節税商品として提供されて、日本企業や富裕層、あるいはアブラハム社のように最初から微妙なことを考えているグループを顧客にしているのだろうと予測されるわけです。

関連先はすでに国税庁がオーストラリア当局からの情報提供に基づいてヴァージン諸島も含む企業情報で上がってきているようで、一部はすでにインターネット上で公開されてて笑えます。

タックスヘイブンに所在する事業体に関する情報の入手について

Secret tax-haven names released to public

Offshoreleaks

このリンク先を踏んでいくとしっかり高岡大二郎さんが関連していたルクセンブルクの不思議な箱も辿れる共有住所が見つかるので、ご関心のある向きはチェックされるとよろしいかと思います。

この前も、相続税を脱税してオフショアにたまりを作っていた60代女性が追徴課税されてたりしてますが、まあやらかした人は順番に摘発されていくのでありましょう。ただし、それを手引きした人たちのほうが本来は悪質であり、賭場の胴元が捕まらない限り面白富裕層との戦いは終わらないのでありましょう。

個人的に思うのは、国内で事業をやって成功した人が、国内で税金を納めるのが嫌だから海外に出て行こうというのはただのフリーライダーに過ぎず、どんどこ摘発ってことでいいんじゃないの、ということです。下痢は止めたほうが脱水にならずに済むってことなんですが。あ、汚い比喩ですみません。つい言葉が過ぎました。反省しております。

そんじゃーね。

(修正 13:35)

複数の読者さまより「下痢は止めずに腸内の問題菌を洗い流したほうが症状改善に良い」との指摘があり、一部下痢に関する内容を取り消しさせていただきました。ご指摘いただいた読者さまには感謝いたしますと共に、謹んで今後のご愛読を願う次第でございます。

(修正 2015年2月10日)

記事中、当事者よりお申し出があり、検討の結果、すでにご退職されていることに鑑み実名については一部非表示としました。ご了承ください。

山本一郎

個人投資家

投資業務とコンテンツ開発が仕事のメイン、独立17年め。イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社代表取締役。仕事と家庭を両立させながら、40歳になんなんとする人生の節目を感じつつ一歩ずつ坂道を登って生きたいと思います。

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