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【政治】

施政方針演説 集団的自衛権 首相語らず

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 安倍晋三首相は十二日、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。今国会最大の焦点である安全保障法制を整備する方針を強調したが、武力で他国を守る「集団的自衛権」の文言には言及しなかった。集団的自衛権の行使容認は平和憲法を骨抜きにする懸念が強いが、首相はこれまでの国会の演説でもほとんど触れていない。法整備を目指す今国会で言及を避けたことに、野党からは批判の声が上がっている。 

 二〇一二年十二月の第二次安倍政権発足以降、首相は今回を含め、施政方針演説や所信表明演説を計六回行った。このうち首相が集団的自衛権という文言を使ったのは、昨年一月の通常国会だけ。このときも「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)の報告を踏まえ、対応を検討していく」と述べただけで、具体論に触れなかった。

 今回も首相のこだわりとは裏腹に演説では時間を割かず、「あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安保法制の整備を進めていく」などと、簡単な表現にとどまった。

 その一方で、昨年七月の閣議決定以降、集団的自衛権の行使容認に向けた準備は進む。十三日には与党協議がスタートし、行使を容認するケースなどの具体的な論議の段階に入る。

 首相が今回も集団的自衛権の文言を使わなかったのは、与党協議への影響を避けるためとみられる。

 だが、首相の意図が国民に見えないまま安保法制の枠組みが決まっていくことになりかねず、民主党の岡田克也代表は記者団に「集団的自衛権という言葉も出てこず、安保法制の中身の説明もない」と不満を示した。

 首相は施政方針演説で、原発政策で原子力規制委員会の新規制基準を通れば、再稼働を進める考えなども強調。麻生太郎財務相らが財政演説などを行った。 (高山晶一)

 

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