タイトル、長っ!?
HUNTERのエロDVDかっ!(なぜ伝わりにくい方で例えるのか、せめてラノベと言おうよ)
どうも、SABUROHです。
以前書いた、こちらの記事「絵が上達したい人向けのプロのアドバイスまとめに戸惑ってしまう理由」が、すごく読まれていて驚きました。
ありがとうございます。
異論や反論で、もっと叩かれるかなと思っていたのですが、概ね同意や好意的な感想をいただけて、ホッと胸をなでおろしております。
その中に混じって、やっぱりいつもの「あのワード」が紛れていたので。
それに対する自分の考えを、まとめておこうと思って、書いておきます。
こういう、漫画のネタ帳の隅に書いていた取り留めのないメモを、気軽に発表できるのがブログのいいところ。
よろしければ、また、お付き合いください。
実績も特にないマイナーなエロ漫画家が「才能」について語るよー。
◆ あなたは、なんて答えますか?
「でも、結局は才能だよね」
「才能がなかったら努力するだけムダじゃん」
こういう意見、見かけたことがあるでしょうか。
まさか、言ったり書いたりしていないですよね?
よく知らない初対面の人との、あいさつ程度のやりとりの中で、こんな言葉を投げかけられたらどうしましょう?
ちょっとその場に座らせて、長々と説教したくなるかもしれません。
でも、なかなかそういうわけにもいかないですよね。
短い時間で的確にまとめて言いきる自信はないし、きちんと伝わる可能性は低く、必死に話すほどの間柄ではないし、徒労は目に見えているし、けど何か言わなきゃ……。
なんて返しましょう?
答えは、まぁ、よく聞く、ありふれた言葉になるんですけど。
その前に、いくつか、確認しておかなければいけないことがあります。
もったいをつけるわけじゃないんですけど、踏みたい手順がありますので、少し遠回りをします。
少々お待ちを。
◆ キカイダーは赤いか青いか
「才能」という言葉を聞いたり見かけたりしたとき、使う人によって意味合いが違って聞こえませんか?
なんていうか、言葉にブレを感じますよね。
その言葉を、よーく観察してみると分かるのですが、だいたい2種類に分類できると思います。
つまり、「好き」と「得意」です。
口にしているのは同じ「才能」という言葉だけれど、同じ意味で使っていない。
だから食い違う。言葉がブレる。
「キカイダー」を横から見て、それぞれ「赤いロボット」と「青いロボット」と言っているようなものです。
かみ合わないわけです。
同じ左右別色の「仮面ライダーW」で、そんなネタがありましたね。
「才能」は、「好き」と「得意」で構成されている。
まず、ここが一つ目です。
次に「才能=好き」と「才能=得意」を、それぞれ見ていきます。
◆ 「才能がある」=「好き」
例えは、スポーツでも音楽でも何でもいいんですけど、自分は漫画家ですし、絵を描く人の話から始めたので、それにしますね。
「絵を描く才能」とはなにか?
それは「絵を描くのが好き」ということ。
それをすることが「とにかく好き」「とにかく楽しい」ということが、なぜ大切かというと、「続ける」ことへの原動力そのものだからです。
最初に貼った、以前の記事の締めの部分でも触れましたが、ピラミッドを積み上げるために最も重要で、最も困難な条件だからです。
こちらの意味で使うのは、プロの方や、指導者の方が多いですね。
長年の経験や、その現場で生き残っている人に共通なのが「続ける」「やめない」ということだからです。
能力が有っても、続けられない人は消えていってしまいます。そんな人を、たくさん見ています。
その重要性と難しさを、身をもって知っているからなんですね。
◆ 「才能がある」=「得意」
では、もう一方です。
「絵を描く才能」とはなにか?
それは「絵を描くのが得意」ということ。
一般的に多くの人が「才能」と言って使うのは、こちらの意味ではないでしょうか。
「要領がいい」とか
「コツを掴むのが早い」とか
「最小限の労力でショートカットできる」とかの
ピラミッドのブロックを、一度に3つも4つも積めるような、効率のいいマシン。
すぐに結果の出る「即効性の能力」のことです。
『JOJO』の「スタンド能力」ですね。
これを言い出すのは、まだ充分な高さにピラミッドを積み上げていない人。
飽きてしまったり、億劫になって、もっと楽で手っ取り早い方法はないかと、すぐに結果を欲しがる人に多いです。
確かに、向き・不向き、得意・不得意はあります。誰にでもあります。
同じ量の作業を続けても、めきめき上達して、すぐに結果を出していく人はいます。
でもそれは、やろうとしている「目的」と、持っている「能力」の相性が良かっただけのことです。
いや、もちろんそれは、すっごい羨ましいことなんですけど。
すっごく妬ましく思ったりもしますけど。
でも、人それぞれに強みは違う。
「近距離パワー型」「遠隔操作型」「遠距離自動操縦型」の各能力持ちが、自分以外の能力を羨ましがっても仕方がないです。
地道な努力をコツコツ続けるのは大変なので、そう言いたくなる気持ちは、よくわかりますけど。
以上が、「好き」と「得意」の2つが、「才能」の成分として挙げられる理由です。
ここまでが、二つ目のチェックポイントです。
◆ 「才能がゼロ」の人はいません
いったん、まとめます。
すごく大雑把ですが、図にしてみました。
破いたカレンダーの裏に、ザックリ描いたので、少しテキトーですが。うっすら日付も透けてるし。まぁ、だいたいの感じで。
「才能」というのは要するに、この2つのポイントを合わせた合計値をいいます。
そして、この合計値が大きければ大きいほど、その人はより力を発揮できるというわけです。
才能は、0か100かではなく、1から100まで段階がいくつもあります。
「そのことに興味を持った」それだけで、ポイントがつくんです。
だから、才能がゼロの人はいません。
そしてこれは、行動次第で、いくらでも変化するんです。
細かくいうと、このポイントにもパラメーターの割り振りがあるんですけど、今回はそこまで書きません。
もし、この2つが100%の状態で備われば、完全・完璧な才能人間。才能超人。
パーフェクト中のパーフェクト。パーフェクト超人ですね。
それが、悪魔将軍の言う「私とシルバーが望んだ力!」であり「かつて善良だった“あやつ”が待望していた、新たなる夢の世界の姿!」なのかもしれません。
そこへ到達できるのは、神に愛された、それこそ本当に超人だと思います。
でも、そんな人なかなかいませんよね。
いや、世界のどこかにいるかもしれないけれど、自分がそうとはとても思えない。
大半の人が、そう思っているんじゃないでしょうか?
私もそうです。
「フフン、オレは違うぜ!オレは100%の才能の塊だぜ」という人がいたら、すごいです、周りがバカに見えるでしょうね、別次元の人間なので、そのまま突き進んでほしいと思います。
「あなたは、あなた自身で考えているとおりのあなたではない。だが、あなたの考えていることは、あなたそのものだ。」ノーマン・ヴィンセント・ピール
◆ 地に足をつけて
そんなものすごい人のことは置いておいて、自分たちのことを考えてみます。
というわけで、「才能」の構成要素である「好き」と「得意」で、おなじみ4分類をつくってみました。
あなたは、どこに入るでしょうか?
Aは、何も言わなくても突っ走ります。
Dは、そもそも近寄りません。
大半の人が、BかCだと思います。
Bが上位で、Cが下位にある理由は、次の項目で話します。
そして、自分がRPGやSLGのキャラクターやユニットだとして、
・ フィールドやマップの、どの地点に立っているのか
・ どんなカードを持っているのか
・ 成し遂げたい目的や、辿り着きたい場所はどこか
それらのことを意識することで、それぞれの立ち位置ごとに、見えてくる対応策や作戦があると思います。
ダイスの目が悪くて、どんなに初期値が低くても、数値がゼロのキャラクターはいません。
レベル一桁でも、ラスボスを倒す方法はあります。
それはそれで、普通にプレイするより大変ですけど。
普通は、コツコツ経験値をためてレベルを上げて、パラメーターを振って、能力を練り上げていく。
目的の大きさや高さや、そこまでの距離によって、必要なレベルや能力は、それぞれ違いますけど。
そういうことって、自分でも、なかなかわからないかもしれません。
その取っ掛かりは、やはり「楽しい」こと「面白いと思う」もの。
興味をもったものを、なんでもいろいろ試して、その中に「好き」と「得意」の種を見つける。大切に育てる。
何度も繰り返しになりますが、ピラミッドのブロックを積んでいくことで、続けていくことで、見えてくるんだと思います。
自分は世界のどこにいて、何がどれくらい「好き」で、何が「得意」で、どうなったら「満足」なのか。
こういうことを意識すると、行き詰まったり迷ったりした時に、自分を見失わないし、安易に「才能」なんて言葉に逃げなくなります。
これが、ポイントの三つ目です。
◆ 厄介な下等超人
突然ですが、ここで「才能のない人」の話をします。
「才能がゼロの人はいない」と書いておいてなんですが。
あえてそういう言い方をします。
「才能がない」ってどういうことでしょう?
「得意」という意味でなら、
「得意じゃない」「不得意」ということです。
「好き」という意味でなら、
「好きじゃない」「嫌い」ということです。
どうしても興味や感心のない分野はありますし、世の中の全てのことが得意な人なんていませんので、別にそれは不幸でも問題でもないことです。
不幸であり問題なのは「絵を描くのが好きでもないのに、絵を描き続けようとする」ような人のこと。
「え?そんな人いるの?」と思うかもしれませんが、います。割とよくいます。
そして、とても厄介です。
そういう人たちは、「自分でそのことに気づいていない」場合が多いです。
絵や作品を通した、コミュニケーションは好きかもしれません。
絵や作品を発表して、注目されたり、チヤホヤされるのは好きかもしれません。
でも、絵を描くこと、作品を作ることそのものは、それほど好きではない。
でも、全部ひとまとめにしてしまっているために、自分は絵を描くのが好きと思い込んでいる。
だから、気づかない。
好きじゃないけど中途半端に描けてしまう、4分類のCの位置にいる人に多いです。
これが、Bが上位でCが下位にある理由です。
好きじゃないから、努力できない。
花も開かないし、実も結ばない。
少し得意な場合であっても、好きでなければ続きません。
仮に一発当てられても、単発の徒花で終わります。
描くことが好きじゃないなら、できれば近づいてほしくないのですが、そのジャンル自体は好きなので、この領域に生息します。
こういう連中は、手っ取り早く、労力少なく、注目を集めようとして、パクリや無断転載に手を出したりします。
描いて手を動かしている人はまだ良いのですが、好きじゃないことを続けるのは苦痛です。
その、「描けない」「上手くならない」の不満の声は、自然と大きくなります。
原因は自分の中にあるというのに。
「だから描くな」とは言いません。
描くも描かないも自由ですから。
それに、「才能」のある人は、そんなこと言われても、こっそり一人で描いてしまいます。
「才能」って、そういうことです。
問題は、この呪いの言葉が、きちんと結果を出した人の足を引っ張ったり、努力を積み上げている途中の「才能のある」人を惑わしたり、やる気をいちじるしく削ぐということ。
それでいて本人たちには、邪魔をしている自覚がないという。
わかりますでしょうか。この中途半端さに潜む、厄介さと、タチの悪さ。
好きでもないのに、好きなフリしてんじゃねーよ!ゴミカスがっ!!
すみません、言い過ぎました。つい。
手っ取り早く強さを手に入れようとして、モン=サン=パルフェ(聖なる完璧の山)に向かって泳いでいたザコ超人ですね。
そりゃあ、完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)も、下等超人を滅ぼそうとするわけです。
漫画は参考になるなー。
こういう人たちには「才能のない」ことには見切りをつけて、「才能のある」分野に、「好きで好きで、楽しくて、やめられない」ことの方へ進んでもらった方が絶対いいんですけど。
なかなか、難しいですね。
心の中で「ビッグ・ボンバーズ」と呼んでいます。
あなたが、そういう人でないことを祈ります。
もっとも、そういう人は、それが自分のことだと思わないで「そういう人いるよねー」と言ってしまうのですが。(それが厄介たる所以)
世界には、いろんな人達がいる。そういう連中もいる。
これが、最後のチェックポイントです。
◆ 短く持ってコツコツと
私は漫画家ですが、「才能」の数値でいうと、ごくごく平凡なレベルの描き手だと思います。
Twitterやpixivで、流れてくる皆さんの作品を眺めていると、その上手さにクラクラしてしまいます。
でも別に、それで描くことをやめようとは思いませんし、その実力差を呪おうとも思いません。
その人が「それだけ描ける」ということは、「それだけのもの」を費やしてきたということですから。
私は、自分の引いた線がキャラクターや物語になっていくのが大好きで、その楽しさや面白さは、他の方が描いた作品では満たされないので。
そのことは、他の方がどうかとは、ぜんぜん別の話なので。
私にできるのは、
「素晴らしい作品は称賛」して
「頑張りたい、伸びたいと思っている人は応援」して
「そうでない人は、相手にせず、やんわり無視」すること。
自分に対しては、
「やめずにコツコツ続けて、少しでも上を目指す」こと
「自分の苦しさを、なるべく、そういうもののせいにしない」こと
それくらいかな、と。
それが、平凡な自分の、具体的な決意と行動でしょうか。
◆ 答えてみよう
お待たせしました、最初の問いかけです。
回り道をしすぎたせいで、すっかり忘れられているかもしれませんが。
「でも、結局は才能だよね」
「才能がなかったら努力するだけムダじゃん」
遠回りして一緒に地獄巡りをした皆さんには、もう答えが見えていると思います。
そう「黄金のマスクはすべてニセモノだった」ことに!(そっちじゃない)
タイトルの通り、たった一言だけ答えるなら、私の場合はこれです。
「そうですね、あなたに才能がないなら、やめておいた方がいいですよ」
よく聞く、ありふれた言葉ですよね。
相手は微妙な表情で、「ケッ!自分は才能あるとでも思ってるのかよ、何様だ」的な顔をして、舌打ちしながら去っていくかもしれません。
でも、それでいいんです。
なぜこうなるか、一緒に遠回りをした皆さんなら、理由がわかると思います。
「才能ある」人なら、気づきます。
「才能のない」人なら、相手にするだけムダです。
私はこれ以上の言葉を思いつきませんが、もっと的確で効果的な言葉があるかもしれません。
それを思いついた方は、その言葉で、どうぞ答えてあげてください。
◆ おわりに
自分なりに思うところを、つらつらと書いてみました。
いろいろ見落としや、書きもらしがあるような、例え間違いがあるような気がしないでもないですが、とりあえず書きたかったことは書けたので、満足です。
穴だらけの理屈かもしれませんが、考える何かのキッカケになったり、もし悩んだり苦しんだりしている人が少しでも楽になるようなら、幸いです。
そんなわけで、私は今日も何か描いてます。
それぞれの場所で、お互いに頑張りましょう。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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