村上さん、こんにちは。一日に二度もお便りしてすみません。

いつかこうした機会があったらお話したかったことを思い出しました。何年か前、フィンランドに行ったことがあります。ヘルシンキやハメーンリンナを訪れたのですが、帰国してからしばらくたって、やはりその年に村上さんもフィンランドを訪ねていらしたことをニュースで知りました。そしてその後『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ時に、ああ、ここにハメーンリンナのことが書いてある……と、ぽんと膝をたたいたのです。お会いできませんでしたが同じ国に同じ年に行けて、幸せでした。

ところで、フィンランドといえばアキ・カウリスマキ監督がいますが、西荻窪の喫茶店で「JUHA（ユハ）」というジャズのレコードをかけてくれるところがあります。
（「JUHA」はアキ監督の映画「白い花びら」の原題です）

とても良いお店なので、こちらの方にいらっしゃる機会がありましたら、是非一度訪れてみてください。夜も遅くまで営業されています。
それではまた。良い夜と音楽を！　
（まめ、女性、41歳、司書）

僕はヘルシンキにあるカウリスマキ兄弟が経営しているバーに行ったんですが、店は開いているのに、三十分以上待っても従業員が顔を見せなくて、あきらめて何も飲まずに帰ってきました。カウリスマキらしいというか、まったくやる気のない、変なバーでした。内装も大衆浴場みたいだし、ジュークボックスに入っている曲はなんか、もうとんでもないし。

村上春樹拝