韓国司法の異常性が注目されている。旅客船「セウォル号」沈没事故や、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長をめぐる裁判が、国際常識から逸脱しているのだ。まともな法治国家とは思えない韓国の現状について、ジャーナリストの室谷克実氏が連載「新悪韓論」で暴いた。
韓国で裁判をすると、外国人はまず勝てない。OINK(オンリー・イン・コリア=『韓国でしかあり得ない』の意味)という、韓国に対する軽蔑語が世界に広まったのも、国際金融や海難事故をめぐる裁判のためだった。外国人でも日本人となると、勝てないばかりか嫌がらせにあう。産経の加藤前支局長への出国禁止措置は、典型だ。
「空白の7時間」疑惑を生んだセウォル号沈没事故は、昨年4月16日に起きた。事故から29日後の5月15日に、検察は船長らを起訴した。
起訴から26日後の6月10日に第1回公判が開かれた。それから154日後の11月11日には、船長に懲役36年など、乗組員15人に対する1審判決が出てしまった。
1人、2人が負傷した自動車事故ではない。300人以上が死亡した重大事故の裁判だ。殺人罪に当たるかどうかという争点もあったのに、驚くべきスピード裁判だ。いや、事故の大きさからしたら「スピード違反裁判」と言いたくなる。
加藤前支局長を被告とする裁判はどうか。問題発生(昨年8月3日、ネットへの記事のアップ)から、すでに半年以上もたつのに、まだ3回しか公判が開かれていない。
しかも、取り調べ中から、ずっと出国禁止措置が延長されている。前支局長は日本に戻り、証拠隠滅工作でもすると思っているのか。日本に戻ったら、もう出廷しないとでも考えているのか。
ともかく、検察が延長を申請し、裁判所が認めている。だから、それ自体は合法的な措置といえるが、韓国の裁判所と検察といえば、韓国人も揶揄の対象にする存在だ。両者が手を携えて「嫌がらせのためのスローモーション裁判」をしていると見るほかあるまい。