知られざるお酒の広告事情 ネットに活路を求める生き残り戦略〈ASAhIパソコン〉
dot. 2月12日(木)11時39分配信
海外旅行や出張先のホテルでテレビを見ていて、酒類のCMがほとんど流れないことに気づいたことはないだろうか。海外では、ビールのCMこそ放映されているもののウイスキーなどの蒸留酒のCMはほぼ見られない。
実は日本でも酒類のCMにはさまざまな規制がある。酒類業中央団体連絡協議会の自主規制だが、5時〜18時に酒類のCMを流さないこととなっている。またCM中に必ず「お酒は20歳になってから」「飲みすぎに注意」、妊産婦の飲酒に関する注意表示などを入れる決まりだ。
他にも、未成年向け番組への提供はしない、未成年タレントを原則として起用しないなど、細かい自主規制がたくさんある。結構厳しいようだが、日本はまだまだゆるい方。前述のようにビールなどのCMは日本同様だが、蒸留酒のCMをテレビで流せる国は少数なのだ。
そこで、注目されているのがインターネットマーケティングだ。酒類メーカーはどこも力を入れている。インターネットは誰でも閲覧できる環境であるがゆえに、広告に関しては規制がある。
では、どうやってインターネットでマーケティングしているのか。それは読者が知りたい情報をコンテンツとして配信することだ。雑誌などの出版の世界では「ペイドパブ(記事風広告)」というものがあるが、そのインターネット版。さまざまなネットメディアに記事を提供して、「お酒のPR」を実施する。いまはコンテンツマーケティングの時代、大量の記事を配信してマーケティング成果を狙うことは当たり前の手法となっている。
代表的なところでは、サントリー、メルシャンといったメーカーのオウンドメディア(企業が消費者に向けて発信する自社メディア)、さらに酒類流通企業のリカー・イノベーションの「NOMOOO」などがある。もちろん、記事の体裁を取っているので、直接的な広告ではない。少々遠回りな表現で「お酒を楽しく飲もう」と提案し、「できれば自社のお酒を」というある意味、涙ぐましい努力をしている。
実は、ビールも日本酒も、販売量はピーク時より落ちこんでいる。焼酎、ワインが販売量を伸ばしているのが目立つが、酒類全体の販売量はこの数十年減少し続けている。たしかにCMがあまり展開できなければ、新たな顧客を掴むことは難しい。インターネットでの記事も、生き残りをかけた努力なのだ。
最終更新:2月12日(木)13時36分
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