ネットニュース編集者・中川淳一郎さんが「発言小町」について語った
読売新聞(ヨミウリオンライン) 2月12日(木)17時57分配信
「ウェブはバカと暇人のもの」――そんな“衝撃的”なタイトルの著作で知られるネットニュース編集者・中川淳一郎さん。10年近くIT業界に携わる中川さんは、「発言小町」をはじめとするネット社会をどう見てきたのでしょうか。リアルな人間関係についての考え方なども聞いてみました。
――発言小町はもちろんご存じだと思いますが、初めて知ったのはいつ頃ですか?
中川淳一郎さん)2004年頃かな。よく覚えてないけど、「ケンカばっかりしているサイトがある」って聞いたんですよ。それも女同士。それを運営しているのが読売新聞だって聞いて、「どういうこっちゃ」って思ったのを覚えています。
――当時から読売新聞が運営しているのはご存じでしたか。
中川)分かってました。当時のネットは、まだまだ通信環境も限られていて、通信費も高かったんです。だから使う人が限られていて、そのなかで「女同士がやり合う」というのは結構変わった空間だった。オレは2006年からネットニュースの仕事を始めたんですけど、当時のネットサービスってだいたいが男相手だったんです。それで、オレが担当したサイトは女性をターゲットにしていて、女相手のサービスで際立ってたのが大手小町だったので、熟読して「この手の話題が受けるのか」って参考にしていたところがありますよ。
――本当ですか。
中川)年収を書けばいいんだとか。
――なるほど。「ネットでウケる12か条」を著書「ネットのバカ」(新潮新書)で紹介されています。例えば「モラルを問うもの」「他人の不幸」などがありますけど、発言小町を参考にまとめられた部分もあるんですね。
中川)そうそう。みんなが知りたいこととか、「こういうのはつい読んじゃうよね」というのが発言小町にはよく現れていますよ。
――発言小町は昨年10月で15周年を迎えました。どうしてこれだけ続けられたと思いますか?
中川)えっと、悩みというものは永遠になくならないからでしょうね。それってやっぱり、読売新聞の朝刊に掲載されている「人生案内」がベースにあるんだろうと思うんですけど、そういう「伝統」なんじゃないんですか?
――掲示板をスタートさせた当時から「悩み」に目を付けていたのかは、もう分かりません。お知恵を拝借したいという実用的な相談も多いですし、いまの発言小町の「スタイル」はユーザーの人が作ってくれたのかなとも考えています。
中川)そうですね。途中からお約束芸と、いわゆる「釣り師」が出てくる。発言小町はちゃんとサイトとして成長するんですよね。健全な成長パターンです。
――健全ですか?
中川)そうそう。だって「様式美」が生まれたでしょう。独特の言葉遣いとか、発言小町で展開されているのは、一つの「文化」だと思います。ネットでは、1ジャンルで1人しか勝てないんです。人は勝者に群がるというか。だから「女の悩み」っていうジャンルでは発言小町が圧倒的に1位で、「人間の悩み」全般で言うと「Yahoo! 知恵袋」ですよね。人が集まるとどんどんコンテンツも追加されるし、好循環で回るんですよ。
――最近もチェックしていただいていますか?
中川)今はもうね、あまり見てないです。理由は炎上のパターンがほとんど出尽くしたからですね。オレがウェブサイト見るのって勉強のために見ているんで。ただ、OLさんが「私は2年目の正社員ですが、暇過ぎて小町に書き込むしかない。どうすればいいでしょうか」「私も暇です」みたいなのをたまに見ると、日本の雇用が抱える問題などを理解することもできます(笑)。
最終更新:2月12日(木)17時57分
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