アナリストは、今回の訴訟によって、台湾の巨大な技術産業にとって不可欠な知的財産権の保護に対する必要性が強調されることになったとみている。
香港のSanford C. Bernsteinでアナリストを務めるMark Li氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「台湾は現在、“頭脳流出”の問題に直面しているが、過去にもその事実を浮き彫りにした訴訟がいくつかある。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)の分野では、中国の半導体チップ設計メーカーが台湾の技術者を引き付けたことにより、同じような訴訟が起こっている。これについても、数々のよく似た訴訟のうちの1つに過ぎない。台湾政府は、こうした流れを変えようと取り組みを進めてきたが、期待していたような結果を実現できたのかどうかは正直なところ不明だ」と述べる。
今回のTSMCの訴訟は、同社が約10年前に、中国のファウンドリSMICに対して勝訴した事例とよく似ている。
Thurston氏は「Device」と題する著書の中で、「TSMCにとって企業秘密は、最も重要な知的財産である」と書いている。
「SMICはまるで巨大な窃盗団のようだった。台湾は何年もの間、企業秘密を保護することを拒んできたが、裁判所は、この時の訴訟だけでなく最近行われたいくつかの訴訟でも、先例となるような判決を下している」(同氏)。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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